当記事は、『漢字インダストリー』の熱烈なファンの方から、Steamにて製品の提供を受けて作成しております。自分で購入していませんので、コストパフォーマンスの項目は評価していません。また、評価項目を欠いたことから、暫定的な5段階評価を付けるものの、分類するカテゴリーは“他薦PR”としています。
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点数評価 | – |
クリア時間 | 約6時間 |
プレイ状況 | ワールド,ステージクリア 2023/9/27版アーリーアクセス |
プレイ時間 | 約8時間 |
発売日 | 2023年9月27日 |
対応機種 | Steam |
プレイ機種 | Steam |
開発元 | Tsune Studio |
発売元 | Tsune Studio |
ジャンル | 漢字生産自動化ゲーム ジャンルの考え方 |
ネタバレ | 無し |
漢字インダストリーは、漢字をテーマにした生産自動化ゲームだ。生産自動化ゲームと言えばSF物が定番だが、シンプルな見た目で、漢字を取り扱うことで素材投入の方向の概念を取り入れた、新基軸の自動化ゲームに仕上がっている。また、本編となる収支バランスを考えて生産ラインを設計するワールドモードとは別に、制限時間内に既定数の漢字を納品することを目的とし、デッキ構築型ローグライク要素を取り入れたステージモードが用意されている点も面白い。UI面では改善の余地が見られるが、自動化ゲームの新たな可能性を感じることができる素晴らしい作品だ。
【総合評価】 | |
革新性 | |
ユーザビリティ | |
ビジュアル | |
サウンド | |
プレイ継続性 | |
コストパフォーマンス | ー |
向きを考えて漢字を作る生産自動化ゲーム
『漢字インダストリー』は、生産自動化ゲームの一種だ。生産自動化ゲームというと、未開の惑星を舞台に資源を採掘し、資源を元に様々な文明的な機器を産み出し、圧倒的な密度で未来的な工場設備を構築し、最終目標達成のために途方もない要求数の資源を自動化ラインで揃えるようなイメージだろう。それに対して漢字インダストリーは、SFとは無縁でシンプルな見た目をしており、その名前の通りに漢字を生産する工場をコントロールするという、一般的な生産自動化ゲームとは大きく異なった作品だ。
本作はグリッド状のフィールドに漢字の生産ラインを構築するゲームだ。本作の本編にあたるワールドモードでは、フィールドの中心に家が建っており、その周囲には一定間隔で漢字を生産し続ける工場が立っている。プレイヤーは、輸送機と呼ばれる運搬用のラインをフィールドに設置することで、漢字工場から生産される漢字を移動させることができるので、工場と家を輸送機のラインで結んでやれば、次々と生産される漢字が家の中に納品されていく。そして、漢字毎に設定された納品ノルマを達成することで、新たなお題が解放される仕組みだ。
例えば次のスクリーンショットであれば、“立”という漢字を10個納品すればノルマ達成となる。家の左隣に“立”の生産工場があるので、右に向かって輸送機を設置してやればあっと言う間にノルマを達成できる。
生産工場から家にラインを引くだけであれば簡単な話だが、本作は工場経営を模しており何事にも金が掛かる。フィールドに設置した輸送機のラインもレンタル品であり、10秒に1回レンタル費用が発生する。輸送機の場合は、10秒毎に2円のレンタル料が発生し、この“立”の場合は2マス利用しているので4円/10秒のレンタル費用となる。
手元の資金は、1万円というレンタル費用からすれば多めな数値から始まるが、レンタルを続ければいずれは底をつく。残金がマイナスになるとゲームオーバーなので、それを回避するために換金装置という設備を設置し、納品と並行して不要な漢字を換金することでお金稼ぎもしなければならない。
例えば次のスクリーンショットであれば、納品ノルマが“立”から“十”と“日”に切り替わっているシーンだ。この場合は“立”を納品する必要が無いので、“立”は納品せずに換金機へ流れ込むようなラインに変更している。“日”も既にノルマを達成しているので、これからラインを変更しようとしている最中だ。
このように、次々と変化していくお題に合わせて納品と換金を変更していく訳だが、換金機の設置にもレンタル費用が発生するので、漢字を最大効率で換金したとしても収益は雀の涙程度しかない。
ではどうすれ良いのかというと、高く売れる漢字を作り出せば良いのである。多くの漢字は少し形状を変化させれば部首に成り得て、既存の漢字はそれらの組み合わせで構成されていることはご存じだと思うが、本作では組み立て機という設備をレンタルすれば、漢字と漢字を組み合わせて新しい漢字を産み出すことができる。
例えば、次のスクリーショットでは“田”という漢字の納品を求められているが、この漢字の生産工場は存在しない。そこで、“口”と“十”を組み立て機に投入することで、“田”を産み出している。
このようにして組み合わされた漢字は、作ることに手間がかかっているだけあって単体の漢字よりも高く売れる。納品に夢中になっていると残金がマイナスになってゲームオーバーになってしまうので、適度にレンタル費と高く売れる漢字の換金による収益のバランスを考えながら納品ノルマを達成していくことが本作の基本となる。
高額な漢字を生産して資金を稼ぐためには、単純に漢字と漢字を組み合わせれば良いだけでは無く、素材となる漢字の投入方向を遵守しなければならない。この素材投入の向きにルールが設けられていることが、本作が一般的な生産ラインの自動化ゲームとは大きく異なる部分だ。
例えば、“暗”という漢字を作ろうと思えば、その構成から“日”を2個と“立”を1個使えば良いことは明白だが、単純に3個をぶち込めば良いという訳では無い。
まずは“立”と“日”を上下方向で組み立てて“音”を作ってから、その“音”と“日”を左右方向で組み合わせて“暗”を作らなければならない。そして、“音”を作る際には、組み立て機に“立”を上から入れ、“日”を下から入れる必要がある。“暗”を作る際には、組み立て機に“日”を左から入れ、“音”を右から入れる必要がある。
組み立て機へ正しい方向から漢字を輸送するために、プレイヤーはフィールド上に所狭しと輸送機のラインを引くことになるだろう。フィールド上にスペースが無ければ近隣の土地を購入することでフィールドを拡張できるが、土地の価格はレンタル費用と比較して相当に高く設定されているので、何も考えずに土地を購入してしまうと残金に余力が無くなり危険だ。
また、当然ながら輸送機のラインが長くなればなる程に、輸送機のレンタル費用も嵩んでいく。そのため、デッドスペースができたり無駄な回り道をしないような、効率的なライン構築が重要となる。そして、考え無しに生産ラインの拡張を重ねていると、新たなお題を出された際に既存の生産ラインを流用できずに生産ラインの大手術が発生してしまう。
生産ラインの構築に迷ったのであれば、既存の生産ラインを一旦撤去してから、お題に対応した新しい生産ラインを構築すれば良いと考えるかもしれない。しかし、既存の生産ラインを撤去すれば、現在の設備のレンタル費を支える生産ラインが一時的に途切れることになり、そうなると瞬く間に残金が目減りしていく。
特に、複雑怪奇に入り組んでしまった生産ラインに手を入れた際には、知らず知らずのうちに複数の漢字を組みわせた高額で売れる漢字の生産ラインの一部を止めてしまうことがある。部首の供給がショートしていることに気が付いたときにはリカバリーが効かなくなっており、あっと言う間にゲームオーバーに陥ってしまうという経験を、必ず一度はしてしまうだろう。既存の生産ラインを置き換えた際の一時的な赤字を如何に最小限に抑えるかが、本作の重要なポイントだ。
なお、地下輸送機というパーツを設置することで、既存の生産ラインを飛び越えて漢字を輸送することができる。地下輸送機を駆使することで、強引に部首の左右を入れ替えたり、輸送量が足りていないラインに遠方の漢字工場から漢字を補充したりできるのだが、多用しすぎると生産ラインのカオスが更に加速して取り返しの付かないことになるので注意が必要だ。
地下輸送機の多用すると、GoTo文を多用して質の悪いコードを書いたような背徳感を得てしまう。
このように、ゲームの絵面こそシンプルだが、漢字の構成パーツの組み立て機への投入方向が重要であり、それを意識した効率的なライン作りを求められてる点が本作の魅力である。普段から何にでも最大効率を出すことに喜びを覚えるタイプの人であれば、間違いなく没頭して生産ライン作りにのめり込めるはずだ。また、自動化ゲームをやり込んできた猛者であっても、素材投入の方向を考えるという新たな遊びを楽しめるので、新鮮な気持ちでプレイできるのではないだろうか。
ローグライク要素を取り入れたステージモード
さて、漢字インダストリーには本編であるワールドモード以外にも、ステージモードという遊びが用意されている。このモードは、生産自動化にデッキ構築型のローグライク要素をミックスし、更に短時間で遊べるようにアレンジされた漢字インダストリーの別モードだ。
漢字生産の自動化ゲームで、さらにそれがデッキ構築型のローグライクになるというと、字面のインパクトが強くて頭が混乱するかもしれないが、遊んでみると意外とすんなりと理解できるだろう。
このモードでは、プレイヤーは事前に提示されたお題と難易度を見て、どのステージに進むか分岐を自由に選択ができる。お題の漢字を制限時間内に作り切ればステージクリアとなり、ステージの難易度が上がるほどに納品数も多くなり効率的なライン構築が求められるが、その分だけステージのクリア報酬も良くなる。
本編であるワールドモードでは、どのパーツであっても残金が許すのであれば好きなだけレンタルできたが、ステージモードではパーツの使用数に制限が課せられている。そして、ステージをクリアした際に提示されたパーツを取得することで、パーツの使用数が緩和されていくという仕組みだ。選択したステージの難易度が高い程に報酬のパーツの数が増えていくので、序盤は率先して高難易度のステージに挑みたい。
また、納品場所もフィールド中央の家では無く、納入機と呼ばれるパーツを設置することで任意の場所で納品できるように変更されている。本編ではラインが詰まってしまえば換金機を設置していたが、ステージモードでは換金器の代わりに納入機を設置するイメージだ。
そして、作った漢字の納品方法が変わっただけでなく、漢字の生産工場の仕様も変わっている。本編では決まった工場から決まった漢字が自動的に生産されていたが、ステージモードでは生成機というパーツを任意の場所に設置して、自身で生産するパーツを選択することができる。
次の動画は、“等”という漢字を作るために、自身で“寸”と“土”から“寺”を作り、“ケ”2個から“竹”を作りそれを冠として“竹”と組み合わせている様子だ。また、単に“等”の生産ラインを1個作っただけでは制限時間内にノルマを達成できないので、ラインを分岐させて複数個所で“等”を生産しようとしているところだ。
なお、ワールドモードではステージ毎にランダムに生成機や納入機などのパーツが設置されている。これは選択制の報酬だけはパーツが足りない場合への配慮であり、また同時にローグライクのランダム要素も兼ねている。ランダム配置されているパーツは撤去こそできるが、回収して手元のパーツに加えることはできない。そのため、報酬パーツの取得状況によっては、ランダム配置されたパーツも有効に使わなければならず、ローグライクらしい咄嗟の応用力が試される面白い仕組みとなっている。
ランダム配置されるパーツを最大限に活かせるように生成機を配置し、無駄なパーツを使わずに漢字を効率良く生産できればクリアできる。
前項では、“地下輸送機による強引な生産ラインの構築は避けたい”と書いたが、あくまでもそれは本編の話である。使用できるパーツ数に制限のあるステージモードにおいては、なりふり構わずランダム配置のパーツも有効活用しなければならないので、そのような場合は地下輸送機が非常に重要となる。限られた時間の中で頭をフル回転させて強引に生産ラインを引いていく作業は疲れるが、効率化に生きがいを感じる、いわゆる“効率厨”であれば大きな達成感を味わうことができるだろう。
今後のブラッシュアップに期待
生産自動化ゲームに方向の概念を取り入れ、おまけにローグライクモードまで用意した漢字インダストリーだが、アーリーアクセス版ということで改善すべき点が散見される。
本作は、画面下部に表示された生産や運搬のパーツをクリックして選択した後に、盤面内をクリックすることで選択したパーツを配置できる。そこまでは良いのだが、置き終わった後に別パーツに切り替えようと思うと、一旦“Q”キーを押して選択を解除する必要がある。頻繁にパーツを切り替えるので、“Q”キーを押さずとも画面下のパーツをクリックできるようになると非常に有難い。
また、漢字を運搬する“輸送機”のパーツは大量に置くことになるが、ドラッグで一気に輸送機を置いていくと別の場所にはみ出してしまい、既存の生産ラインを壊しがちだ。シフトキーを押しながらドラッグすると、上下左右のラインが固定されるような機能があると嬉しいだろう。
後はゲーム性との兼ね合いになるが、各モードで一度作った形状を幾つか保存しておいて、直ぐに再現できるような機能があればプレイ効率が改善されて良いかもしれない。ただし、保存した形状はゲームを最初からスタートすれば消えるような仕様にして、保存できる数も限定的にしておけば、特にローグライクなステージモードでは戦略性が増すかもしれない。
気が付いたら赤字に陥って経営破綻してしまうスリルを味わうことができるワールドモードだが、安定を取ってそれこそ離席して長時間放置すれば幾らでも残金を増やすことができる。このようにしてクリアしても意味が無いと思うが、現状では手段を選ばなければ確実にクリア出来てしまうので、生産ラインにアクシデント的な外乱要素を加えたり、同じ漢字を納品し続けていると時間経過と共に売却単価が下がっていくなど、安定策に対する何らかの妨害が発生した方がゲームとしては面白みが増すだろう。
評価ポイントのまとめ
アーリーアクセス版のレビューということで、改善に期待したい点も見られたが、新しいタイプの生産自動化ゲームとして非常に期待値の高い作品だ。効率化が好きであればアーリーアクセスの内に購入しておいて損は無いだろう。
長所
- 素材投入に方向性の概念をミックス
- 生産自動化ゲームのローグライク化という挑戦
短所
- UIの作り込み
- ワールドモードの制限の無さ
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