【スーパーロボット大戦V,X,T】レビュー: 細かい改善は見られるが、抜本的な改革が必要。変化が無ければシリーズとして終焉の危機が迫る

スーパーロボット大戦V,X,Tの3作品を5段階評価で表せば★3である。

点数を付けるのであれば、V70点,X60点,T60点だろう。

ここ最近は毎年のように新作が発売されていたスーパーロボット大戦シリーズだが、2020年度は家庭用ゲーム機で向けに新作はリリースされない。2021年はスーパーロボット大戦シリーズ30周年なので、充電期間なのだろう。

せっかくの充電期間なので、開発工数的に省エネ仕様で連続リリースされたスパロボV,X,Tを振り返ってみた。シリーズの存亡は、30周年記念作品にかかっているかもしれない。

追記:遂に発売された、スーパーロボット大戦30のレビューを投稿した。そちらも合わせて確認してもらいたい。

マンネリを打破しないと未来がない

筆者はロボット物好きで、スーパーロボット大戦は、GBでリリースされたシリーズ1作目からプレイしている。もはや半分義務みたいに新作が出る度に購入しているが、次の30周年で大きく変化を加えないと、シリーズ存亡の危機だろうと考えている。

スーパーロボット大戦は参戦作品が多く、参戦作品ありきでストーリーが創作されるため、展開がご都合主義とか、困った時の空間転移とかは目を瞑るとしよう。

しかし、システム面の進化の無さは無視できない。

V,X,Tでは、システム面で以下の様な要素が目玉として用意されていた。

VXTで追加された要素
  • Tacポイント
    敵を撃破すると経験値や資金と一緒に貯まり、それを使って各種ステータスを強化したり、舞台全体のボーナスを得ることが出来る。
  • エキストラカウント
    敵撃破やレベルアップで貯まり、それを使えば撃破後再行動や、クリティカル確定ボーナスを得ることが出来る。
  • 非戦闘員の活躍
    戦艦に乗っている非戦闘員も、精神コマンドが使える。
  • エースパイロット
    のお祝い撃墜数が一定数に達してエースパイロットになると、マスコットキャラがお祝いしてくれる。(Zから採用)

このような追加要素を見ると、あの手この手で変化をもたらそうと努力している事は伝わる。

しかし、それらはこの記事のタイトルにある通り、所詮は小手先の“改善”止まりであり改革とは呼べない。

25年シリーズ続けてこの程度の改善しかできないのか?と、正直なところガッカリしてしまう。25年というと赤子が立派な社会人として戦力になるぐらいの期間である。スパロボの25年の進化は、人間で言ったら精々、幼稚園児が小学校高学年になった程度の進化しかしていない。

以下にアニメーションの進化が良く分かるCMを並べてみた。これを見ると、アニメーション以外は大体同じである事も良く分かるだろう。

以前レビューした十三機兵防衛圏をプレイした時に感じたのだが、スパロボはPS2でリリースしたスクランブルコマンダーを成功させて、ハードの進化と共に3Dリアルタイムスーパーロボット大戦を実現するべきだった。

ゲーム終盤のご都合主義な展開に加えて、ゲームとしての進化が無さ過ぎるため、スパロボは新作を出したとしても“動画で戦闘シーンを見れば十分”などと言われてしまうのだろう。

難易度が機能していない

システム面で不満が有れど、スパロボがSRPGとして面白ければ評価されるはずだ。しかし、近年のスパロボは戦闘パートが余りにも簡単過ぎて消化試合感が半端ではない。

スーパーファミコン時代のスパロボは、役に立たないユニットはどれだけ工夫しても使いようが無く、戦力として使えるユニットを如何に有効に使うかを考える楽しみがあった。敵は2回行動が当たり前で、迂闊にユニットを進軍させると集中攻撃を受けて撃破される緊張感もあった。

しかし、スパロボはシリーズを重ねるごとに、脇役でも何だかんだと戦えるようになっていき、逆に敵は固いだけで凶悪なMAP兵器を撃つこともなくなり弱体化の一途を辿っている。

また、味方が全体的に底上げされたお陰で、相対的にエースユニットはさらに強くなっている。一部のユニットは余りにも強過ぎるため多くのスパロボは40話あたりからゲームとして崩壊する。特に、覚醒持ちのユニットが連続行動を延々と続けて1ターンで全ての敵を葬り去ることが最適解という、SRPGとしてゲーム性が完全に崩壊した状況が発生する。

説明しなくても経験者は分かると思うが、真ゲッターがその筆頭である。Xに限ってはマップ兵器が圧倒的に使い易いサイバスターだ。

それであれば真ゲッターのような強ユニットを使わなければ良いとか、精神コマンドの覚醒を封印すれば良いと言う人も居るかもしれないが、プレイヤー側で態々縛りプレイをしなくても遊べるように工夫して欲しい所である。

一応は難易度システムが用意されているものの、スパロボV,X,Tのハードモードは、一般的なゲームのベリーイージー以下の難易度だ。敵の配置やボス情報などの攻略情報を一切得ていない状態の初回プレイであったとしても、ハードモードにもかかわらず1ターンクリアが当たり前である。老人向けの脳トレゲームか?と疑いたくなるような難易度の低さとなっている。

こうなってくると、シナリオ観戦モードような、ボタン押すたびにイベントシーンまでスキップ出来る機能が欲しくなる。

筆者は、ゲームボーイの第2次スーパーロボット大戦Gで、必ず可能な限りシュラク隊は出撃させるという無謀な縛りプレイを楽しんでいたが、昨今のスパロボはそのボリュームからそういうチャレンジにも適さないので、プレイヤー側が工夫して楽しみを見つけるにも限界がある。

それでも、スパロボは好き

何だかんだと文句を垂れながらも、30周年記念作品が進化していなくても新作は間違いなく買うだろう。もうここまでシリーズを追い続けたら、最後まで看取る覚悟である。少なくともOGをキリの良いところまで進めてからシリーズとしての終焉を迎えて欲しい。

また、散々に酷評しているにもかかわらず、何故スパロボV,X,Tに70点~60点が付くのかと疑問に思うだろう。その理由は、序盤20話ぐらいまでなら面白いからである。色々な事情で所帯が大きくなっていく過程は楽しいのだ。

また、仲間が増えるたびに新しい戦闘シーンをチェックするのはワクワクするし、初顔合わせのクロスオーバーのセリフは本当に楽しみだ。

ちなみに、今までで一番感動した戦闘シーンは、BXの法術士ニューである。レアカード演出が最高過ぎる。後は、APのフルアーマーガンダムのショルダーキャノンの構え方が妙に気に入っている。

最後にスパロボ愛を示すために、マイナーなスパロボの小ネタを二つ披露しておこう。

まず、第2次スーパーロボット大戦Gは、販売時期によってアムロの顔グラフィックが違う。通常は少年時代のアムロ顔が採用されているが、一部のロットは大人顔に差し替えられている。

二つ目は初代スパロボの説明書についてだ。実は生産ロットによってカラーとモノクロの2パターンが存在する。

バンダイナムコエンターテインメント
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