点数評価 | – |
クリア時間 | – |
プレイ状況 | アーリーアクセス (2024年1月19日版) 進捗不明 |
プレイ時間 | 約15時間 |
発売日 | 2024年1月19日 |
対応機種 | Steam/Xbox(Gamepass) |
プレイ機種 | Xbox Series X |
開発元 | Pocketpair |
発売元 | Pocketpair |
ジャンル | マルチ対応のオープンワールドサバイバルクラフトゲーム ジャンルの考え方 |
ネタバレ | 無し |
Palworld(パルワールド)は、企業倫理を完全に捨て去り、名作の優れた部分を寄せ集めて作られたキメラのようなゲームだ。ポケモンに酷似したパルを、殴りつけ,銃撃し,強制労働させるというゲームデザインは、法的に許されるのであれば稼ぐために何でもやるという、開発会社であるPocketpairのビジネスマインドの現れだ。それを倫理的に許せるというのであれば遊べばよいと思うが、残念ながら見た目以外のゲーム内容も現時点では低クオリティであり、積極的にプレイをお勧めしたいとは思わない。話題を集めて爆発的なスタートダッシュを切ることには成功しているが、真に評価されるためにはかなりの改善を要するだろう。一方で、改善に成功すれば、真のポケモンとして後世に名を残す名作となるはずだ。
【総合評価】 | |
革新性 | |
ユーザビリティ | |
ビジュアル | |
サウンド | |
プレイ継続性 | |
コストパフォーマンス |
Palworld(パルワールド)は、主人公が流れ着いた謎の島で不思議な生き物『パル』を捕獲しながらサバイバル生活を行い、パルの密猟者との戦いを繰り広げる3Dオープンワールドゲームである。
企業倫理が問われるポケモン“風”のモンスター
Palworld(パルワールド)が注目を浴びる理由は単純だ。超人気モンスター捕獲ゲームである『ポケットモンスター』の優れた部分である「親しみやすいモンスター,可愛らしいモンスター」はしっかりと踏襲しつつ、ポケットモンスターの不満点である「テンポの悪さ」,「低品質なグラフィック」,「酷い処理落ち処理落ち」などを、少なくともPVの時点では感じさせないからだ。
さらに、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』のようなオープンワールドの探索要素や、『マインクラフト』や『Ark』のような資源を回収しながらクラフトを楽しむサバイバル要素が用意されるなど、複数の名作から良い部分をかき集めて繋ぎ合わせたような作品になっている点も大きい。
加えて、ポケモン風のモンスター“パル”を使役するだけではなく、プレイヤーも共闘できるというオリジナル要素が刺激的であり、初報の時点から本作に対するゲーマーの期待値は非常に高かった。
実際に本作をプレイしてみると、プレイ開始から最初の2時間ぐらいまでは、これは“疑うことの無い神ゲー”だと錯覚する。どこかで見覚えのある姿のパルを捕まえ、一緒に戦いながら素材を集め、拠点で素材を元にクラフトし、パルの適正配置や設備の並べ方の工夫でクラフトを効率化していくという流れは、“まさにこんなゲームが遊びたかった”の連続であり、感動すら覚えるだろう。本作は掴みの時点においては完璧で、殆どのプレイヤーが神ゲーだと認識するはずだ。
本作は様々な既存作品を繋ぎ合わせた作品であるため、間違いなく革新性には乏しい。しかし、恥ずかしげもなく貪欲に、各方面から優れた要素を取り入れようとする行為自体は、ある意味核心的とも言える。
そんな神ゲーを感じさせる本作だが、ピークを過ぎると評価は急降下する。探索の舞台はスカスカで虚無感を覚え、クラフトは底か浅く自動化も中途半端。そして戦闘はバグまみれでまともに機能しないことが多い。これらの問題点については第2項で詳しく説明するが、筆者の場合はプレイ開始2時間ほどで一気に評価が下がることになった。
なお、本作に登場するモンスターであるパルは、見て分かる通り露骨にポケットモンスターに寄せたデザインになっている。誰がどう見てもパクりなのだが、開発元であるPocketpairによると、“法務担当者がレビューを行っているので問題は無い”とのことだ。しかし、法的に問題があるかどうかと、企業倫理的に有りか無しかは別問題である。ちなみに、筆者的にはパルのデザインは許容できる範囲だが、売れる為なら何でもやるという、企業倫理を捨てたパルのデザインに嫌悪感を覚え、本作を忌避する人も多いだろう。
本家ポケットモンスターが既に1000体以上のデザインを抱えている以上、何らかの可愛げのあるモンスターを出そうとするとデザインの被りは避けられない。が、露骨に寄せていることも事実。
さらには、ポケットモンスターに酷似したパルに対して、プレイヤーが棍棒でぶん殴ったり銃弾を撃ち込んだりするという凶行に走る、センセーショナルな絵面で話題を集めていることに対しても拒絶反応を起こす人が多そうだ。その他にも、ジムリーダー的なパル使いの存在や、モンスターボールに酷似したパルの捕獲ツールであるスフィアなど、本作とポケットモンスターの類似点は多い。
このようなパクりと言われても仕方がないデザインや仕組みを倫理的に許せるかどうかは、最終的にはプレイヤーが各々で判断することである。非倫理的なことをやってでもセールスを最優先する本作を、欲しいものが全て詰まった神ゲーと称賛する者も居れば、全てがパクリのクソゲーと突き放す者も居るだろう。しかし、このように意見が食い違ったとしても、お互いを尊重しなければならないことには注意したい。
探索,クラフト,戦闘の全てが面白く無い
さて、前項で軽く触れた通り、当サイトにおける『パルワールド』の評価は低い。圧倒的な売上本数を誇っているものの、本作を神ゲーとして称賛することなどは決してできない。本作の問題点は以下の通りだ。
本作の主人公は何か大きな使命を帯びている訳でも無く、何処かを目指して旅をしている訳でも無い。ただただ、漂流して辿り着いた見知らぬ土地でサバイバルを行うだけである。つまり、生き残るためにパルを捕まえて使役しているだけだ。
一方で本作に登場する敵は、パルの密猟団や愛護と称してパルを監禁する団体である。それらの組織と敵対することになる主人公だが、(プレイヤーの判断次第だが)捕まえたパルを過酷な環境で労働を強いたり、個体差によって労働能力が低かった場合は屠殺したりと、主人公の行いも密猟団とさほど変わらない。
ゲームを進めると他の漂流者が残した手記を拾うことができ、それにより世界観を補足することができるものの、もう少し説得力のある設定が欲しい。
このようなプレイヤーの行動原理はさておき、本作のオープンワールドの探索は実に退屈だ。本作における多くのプレイヤーは、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』のように厳しいスタミナ制限の元で崖を登り、そこから周囲を見渡して遠方のランドマークに思いを馳せつつも、ひとまずは手頃な距離で見つかる狼煙に向かって行くという行動を取るだろう。
しかし、プレイヤーが向かった先で待っているのは、パルを監禁している密猟団や愛護団体だけである。それら以外に何かイベントが発生する訳でもなく、少なくとも15時間遊んだ範囲では一切見つからなかった。詳細は後述するが、密猟団との戦闘のクオリティは果てしなく低レベルで1回遊べば満足だ。
仮に戦闘が面白かったとしても、“オープンワールドの何処に行ってもやることは同じ”では、評価が低くなって当然だ。稀に宝箱が落ちていたり、スキルを習得できる実がなった木を偶然見つけることはあるものの、もっとプレイヤーの探索意欲を掻き立てるようなフィールド上のコンテンツが必要不可欠である。
名作と名高い『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』における探索の報酬は、全てが予定調和で何一つ意外性は無かったが、様々な角度からプレイヤーを動かす動機になっていた。
ちなみに、フィールド上やミニダンジョンには強敵が配置されているので、低レベルの内からマルチプレイでそれらに挑み、何とか倒すことができれば大きな達成感を味わうことができて盛り上がるだろう。しかし、ソロプレイにおいては適正レベルになったら挑むだけであり、戦闘のクオリティの低さも相まって盛り上がりに欠けること間違い無しだ。
マルチプレイで遊ぶ予定が無いのであれば、現時点のコンテンツが極端に少ないオープンワールドの探索に対して、過度な期待を抱かない方が良いだろう。加えて言えば、マルチプレイとなれば低クオリティのゲームであっても面白く感じるものである。
本作のように工程を自動化して作業効率の改善を繰り返していくゲームの楽しみは、作業からプレイヤーが手を放しても生産工程が上手く進んでいくことである。しかし本作においては、どう考えても煩雑には見えない、付加価値の低い単純作業からプレイヤーが解放されることはない。
本作では、拠点の範囲内の畑や牧場から資源を収穫し、それらを使って料理を作ることができる。また、岩盤から採掘作業を経て手に入れた鉱石を素材に、炉にてインゴットを成形することもできる。これらの生産活動を可愛いパル達と一緒に行うことも本作の醍醐味だが、探索に専念したい場面では、単純作業はパル達に任せたいところだ。
しかし残念ながら、幾ら潤沢に素材が供給され続ける環境にあったとしても、プレイヤーが都度指示しなければ作業は回らない。例えば、目玉焼きの生産指示を出したとして、既定数の生産が終わった後はいくら原料の卵があったとして、パルは絶対に次の目玉焼きを作ることはできない。
また、プレイヤーが不在時に拠点で作業を担うパルには作業適性が設定されており、アイテムの運搬能力を持ったパルが居るにもかかわらず、生産品は運搬の対象外となっている。例えば炉で鉱石からインゴットを作ったとしても、プレイヤーが回収しに行くまでは炉の中に放置されたままだ。そのため、プレイヤーがわざわざ生産品を回収し、チェストに収納しに行かなければならず非常に面倒だ。
なお、生産ゲームと言えば、次々と上位素材が解放され基本素材の要求数が爆発的に増えていくものだが、本作にはそれが無い。そのため、生産工程を見直して作業を効率化することの楽しさは皆無。
このように、生産の自動化ゲームとして考えても全てが中途半端であるため、最初こそ可愛いパル達と一緒に戯れながら作業することで癒しを感じることができるが、早々に飽きが来てしまうだろう。自動化の運搬ラインや動力源を、可愛らしいパルに置き換えたような、本格的な生産ゲームであれば評価は高くなりそうなだけに残念だ。
本作の戦闘はポケットモンスターのようなターン制のコマンドバトルではなく、主人公が召喚したパルと共に戦う3Dアクションゲームだ。事前に公開されていたPVからは、パルを前線で戦わせながら、主人公は後方からの援護射撃に徹するようなイメージを受けるだろう。
しかし実態としては、プレイ開始から約10時間は延々とパルを物理的に殴り続けるだけの作業が続くことになる。プレイヤーに状況に応じて使い分けるような攻撃スキルが用意されている訳でもないので、採掘や伐採と同様の単調な動きで近接攻撃を繰り返すしかない。このもっさりとした爽快感の無い戦闘から得られる“単純につまらない”というプレイフィールは、相手が野生のパルであろうと密猟団であろうと同じだ。
また、戦闘では“野生のパルvs手持ちのパル”が主となり、プレイヤーはヘイトコントロールをしながら支援に回るような展開を想像するかもしれないが、本作にはそのような戦略性は一切存在しない。肝心のパルに関しては敵も味方も低レートで攻撃を繰り出すだけであり、その一方で戦闘における与ダメージは仲間パルに対する依存度が高く、プレイヤーは“仲間パルの攻撃待ち”の状況になることが多くイライラさせられる。
銃火器が解放されて主人公の攻撃力が大幅にアップし、さらにパルに乗って一緒に戦えるようになると、退屈な戦闘もある程度はマシになってくる。とはいえ、戦闘の面白さが劇的に進化する訳でも無いので、銃火器が解放されるまで遊んだ頃には、本作に対して興味を失っているプレイヤーも多いことだろう。
そして、戦闘の単調さに加えて致命的なバグが多いのも問題だ。特に味方のパルが敵を目の前にしても、積極的に戦闘するように指示を出しているにもかかわらず棒立ちし、一方的に攻撃の的になる現象が発生する。それだけならまだしも、敵も味方も含めて一切の行動を取らない現象が頻発するのは困ったものである。この棒立ちバグは致命的で、最も評価を下げる要因となっている。
強制的にメインメニューに戻されるエラーも3回発生した。
アーリーアクセスとは言え、クオリティの低さは許容したくない
当レビューを投稿した段階の『パルワールド』は、Steamにおいては“早期(アーリー)アクセス”、XboxGamePassにおいては“Game Preview”という扱いで販売されている。アーリーアクセスやゲームプレビューとは、未完成の製品を販売することで、ゲームの開発会社は「現時点におけるフィードバック」,「資金」,「口コミ効果」などを得ることができ、プレイヤーは販売予定価格よりも安く購入し、ゲームが完成した暁には追加費用無しで完成版に移行できるという仕組みである。
つまり、本作は現在も製作途中にあるため、ある程度は各種コンテンツが未完成であったり予期せぬ不具合が潜んでいることはやむを得ない。しかし、ここにおいてもパルのデザインと同様に企業倫理の問題が発生する。アーリーアクセス品は漠然と“作りかけ”としか定義されておらず、開発の進捗具合は問われない。そのため、どのような出来栄えでアーリーアクセス品として売り出そうが開発者の自由である。
筆者の場合は、開始早々に飽きが来るコンテンツ不足が明確な状態で、認知しないことの方が難しいような致命的なバグが複数潜んでいるものを、体験版ではなく3400円から10%引きの3060円でリリースされることを受け入れることは難しい。この辺りの感覚は人によって異なるので一律の正解は存在しない。倫理観の無いパルのデザインを許容できるかどうかと同じだ。
価格が高い安いの議論はしていない。この状態の物をリリースして資金調達しようとする企業姿勢を許容できるか否か。
また、前項にて3つの要素について不満を述べたが、これらは初期バージョンに対するフィードバックである。アーリーアクセスとは、全ての不満点や不具合を見逃さなければならない制度ではない。アーリーアクセスだろうが低価格だろうが、クオリティに関する事実を隠蔽する必要は無く、ただただ列挙するだけである。
以上のような状況であるため、アーリーアクセス品に対して相当に寛容であるか、マルチプレイにてこのような低クオリティな状況も含めて楽しめるのでなければ、本作を遊ぶことをお勧めすることはできない。
なお、Steamでは“非常に好評”を得ていることから、現時点のバグは致命的ではないと考えるかもしれないが、本作のようなゲームは“好評”か“不評”でしか投票できないSteam仕組みにおいては、大半のプレイヤーが“好評”しか投票する仕組みとなっている。投票の仕組みの是非については、以下の別記事で論じているので、興味があればそちらを参照してもらいたい。
評価ポイントのまとめ
Palworldは、ポケモンに酷似したパルのデザインの倫理的な問題を許すことができ、まともに機能していない戦闘や虚無感しかないオープンワールドを、“アーリーアクセス品だから”と許せるのであれば買いである。
長所
- 可愛いモンスター(パル)と共同作業できる
短所
- 中身がないオープンワールド
- 底の浅いクラフト
- 単調でバグまみれな戦闘
- 曲が殆ど無い
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