点数評価 | – |
クリア時間 | 約1時間 |
プレイ状況 | アーリーアクセス (2023年12月26日版) ノーマルをソロでクリア ナイトメアをマルチでクリア |
プレイ時間 | 約5時間 |
発売日 | 2023年4月2日 |
対応機種 | Steam |
プレイ機種 | Steam |
開発元 | Noisestorm Limited |
発売元 | Noisestorm Limited |
ジャンル | ローグライク要素を備えたTPS ジャンルの考え方 |
ネタバレ | 無し |
Crab Champions(クラブチャンピオンズ)は、カニを主人公に据えたインパクトの抜群の作品だ。ゲームとしてはTPSながらローグライク要素を備えており、シナジーを発揮することで与ダメージが爆発的に高まっていく。高難易度のマルチプレイに挑み、その奇天烈な見た目で大ダメージを叩き出すことができれば、プレイヤー達は奇妙なテンションで本作を楽しめることだろう。一方で、繊細なMOD(強化アイテム)の選択は要求されずシナジー構築の幅も狭いので、ローグライク部分に惹かれてプレイすると底の浅さにガッカリするだろう。
【総合評価】 | |
革新性 | |
ユーザビリティ | |
ビジュアル | |
サウンド | |
プレイ継続性 | |
コストパフォーマンス |
Crab Champions(クラブチャンピオンズ)は、銃火器を使いこなすことができるカニを操作して、迫りくる敵を倒すステージ制のサードパーソンシューティングゲームである。ローグライク要素を備えており、様々なシナジーを構築して攻撃手段の変化を楽しむことができる。
カニである意味の無いインフレ系TPS
Crab Championsの主人公はカニだ。しかしただのカニではない。本作に登場するカニは、ハサミでアサルトライフルからロケットランチャーまで様々な銃火器を巧みに操り、前後に高速ダッシュができ、更には空中で二段ジャンプもできる。また、カニだけあって、そのハサミによる近接攻撃の威力は非常に高い。
本作はそんな常識を逸したカニを操り、MODと呼ばれる様々な強化アイテムを集め、オリジナルのビルドを模索して戦うステージ制のサードパーソンシューティングゲーム(TPS)だ。各ステージには、登場する敵の全滅,一定時間の生き残り,アスレチックの攻略など、何らかのお題が定められている。アーリーアクセスの現時点では日本語に対応していないが、いずれのルールも単純であり、理解が難しいことは決してないだろう。
ゲームの構造そのものも非常にシンプルで、スタート地点となるロビーで射撃武器や近接武器などを選んだ後に、戦いに繰り出すだけとなっている。ストーリーなどは一切用意されておらず、何を目的にカニを主人公にしているのかなどの説明も無い。
ところで、カニが主人公のゲームといえば、対戦形式の『カニノケンカ』が有名だ。『カニノケンカ』は、Fight ClubとFight Crab、つまり同好会のClubとカニのCrabを掛けて、対戦形式のゲーム性に当てはめたものだった。しかし『Crab Champions』は、Club Championsと読み替えたところで、特にサードパーソンシューティングというゲームジャンルと明確に結び付く訳ではない。つまり本作には、カニが主人公である意味は一切存在しないのだ。
単純に見た目のインパクトとしてカニが選ばれているだけ。
とりあえず、見た目が面白ければそれでいい。本作はそういう作品である。確かに、カニがダブルショットガンで戦い、グレネードを投げたり空中を華麗に舞う様は目を引くので、年間1万タイトル以上がリリースされるSteamにおいて、数多の作品群に埋もれてしまわずに遊んでもらうには、このような手法は非常に有効的と言えるだろう。
本作はローグライク要素を備えており、ステージクリア毎にランダムに提示される3つの選択肢から好きなMODを選択するという、近頃のローグライクのスタンダードな形式が取られている。関係性の高いMODを複数集め、シナジー効果を発揮できれば武器の威力が大きく向上する仕組みだ。
倒されると集めたMODを失い最初から再スタート。
サードパーソンシューティングらしく、銃の発射レート上げたり、弾道や集弾性を犠牲に与ダメージを強化したりするMODが用意されている一方で、銃から衝撃波や鉄球が飛び出したり、プレイヤーが操作するカニに近づく敵にスリップダメージを与えたりといった、良く分からないものも多数用意されている。
例えば、銃の取り回しにデメリットが発生する代わりに攻撃力を上げるようなMODは、エイミング性能の影響を受けにくい火炎放射器と組み合わせるとデメリットを感じることなくメリットだけを享受できる。また、炎上,感電,毒などの状態異常や周囲の敵にスリップダメージ与えるMODを固めて、発射レートの低い武器の隙を補うといった、サードパーソンシューティング視点のローグライク要素を楽しむことができる。と、言いたいところだが、実際には本作はそのような繊細な作品ではない。
次の動画は、火炎放射器の基礎ダメージを高め、燃焼効果に加えて毒ダメージも乗せて、その他に諸々のシナジーを発揮しまくった結果、ステージ30のボスを5秒で撃破した様子だ。高速でボスを撃破した実績を取るには10秒で撃破すれば十分だが、その半分の時間で達成している。このように、シナジーを発揮しまくると、あっと言う間にダメージがインフレするのが本作の特徴である。
なお、MODは武器,グレネード,パーク(その他のバフ)の3項目で各24個を取得可能だ。MODを24個も取得できるのでシナジーの発揮は容易なのだが、構築の方向性から不要になったMODは任意で捨てることが可能となっているため、ゲームに慣れると構築において悩むことはまず無くなる。
また、ステージクリア時には次のステージを2択から選ぶことになるが、その際に報酬となるMODのサブジャンルを確認することができる。MODには前述の3つのジャンル以外にも、ダメージ,クリティカル,幸運など、幾つかのサブジャンルが設定されており、報酬にはそれに従ったものしか出現しないことが、本作におけるシナジー構築の容易さに拍車を掛けている。
以上のような仕様であるため、ある程度MODの性能を理解すると意外性は無くなってしまう。つまり、ローグライクの醍醐味である、新たなビルドを見つける楽しみという観点からは、非常に底の浅い作品となのだ。本作はあくまでシナジーによるインフレダメージを楽しむものであり、カードゲームのように1ダメージを細かく調整するような繊細さは要求されないことに注意したい。
マルチプレイで高難易度に挑む
本作はステージ30に待ち受けるボスモンスターを撃破すると、強化された敵が出現する次のループに突入できる。ループに終わりはなく、ソロプレイでは無限に強くなる敵に挑戦し続けることになる。ただし、ソロプレイで延々とループしたところで、インフレしたシナジーが通用しなくなるまで同じような作業を繰り返すだけだ。そのため筆者は、ループすること自体には余り面白さを感じることは無かった。
なお、本作には難易度としてイージー,ノーマル,ナイトメアの3種類が用意されており、更にそこに敵の強化や、ショップで売られているアイテム価格の上昇など、全12種類の枷となる追加オプション(Difficulty modifiers)を設定可能だ。難易度と加えた枷によってチャレンジレベルが決定されるので、ループを繰り返すことよりも最高ランクのチャレンジレベルのクリアを目指す方を重視した方が良いだろう。
ちなみに、基準となるノーマルと比較してイージーとナイトメアは補正の乗り方が極端だ。イージーはプレイヤーの体力+100%や敵の体力-50%など合計5種類のバフを得ることができるため、余りにも簡単過ぎて消化試合のような内容になってしまうのでプレイする意味は無い。その一方で、ナイトメアは逆に5種類のデバフが辛過ぎるため、ソロクリアは相当の熟練が必要となる険しい道程となるだろう。
そのため、まずはノーマルでソロクリアをした後は、ナイトメアのマルチプレイを楽しむことを推奨したい。マルチプレイは敷居が高いと思うかもしれないが、本作はマルチプレイ用のトーテムに触れた後に待つだけで、簡単に最大3人のプレイヤーとマルチプレイに挑むことができる。
特に挨拶用のエモートもボイスチャットも無いシンプルなゲームなので、マッチングすればさっさとプレイを開始するだけとなっている。ステージクリア後のステージ選択の猶予時間も10秒と短くサクサクと進むので、他人の選択に長時間待たされるストレスも無くマルチプレイが可能だ。
ショップの品物は共通なので早い者勝ち。他人がアイテムを前に考えていそうなら、品揃えのリロールは待った方が無難。逆に見てるときにリロールを喰らっても、カニだし仕方がないぐらいの気持ちでいこう。
もしマルチプレイ中に倒された場合は仲間のプレイを見守ることになり、残された仲間が無事にステージをクリア出来れば、倒れた仲間が自動的に復活する仕組みとなっている。次の動画のように、倒された際には自動的に仲間の視点にカメラが切り替わってくれるので戦いの行く末を見守ろう。蘇生回数に制限があったり、蘇生できる条件が設定されていることも無いので、マルチプレイの敷居は相当に低いと思って問題ないだろう。
Steamでは“圧倒的に好評”を得ているが、神ゲーではない典型
さて、インフレ火力を楽しめてCo-opプレイも盛り上がる『Crab Champions』だが、現時点の当サイトにおける評価は★3【ひとを選ぶ】と★4【オススメ】の中間となる★3.5である。
本作は決して悪いゲームでは無いが、率先してオススメする訳でも無いので、カニが銃火器を持って走り回るビジュアルに何かを感じればプレイすれば良いという評価だ。理由としては前述の通り、ローグライクの基礎を抑えてTPSでシナジ―効果を楽しめそうにみえるものの底は浅く、マルチプレイは気楽にサクサク楽しめるもののやや淡泊で、数回クリアすると満足して難易度を上げ続けて楽しもうという気にはならなかったからだ。
一方で、Steamの評価を見てみると当記事を公開した2024年1月9日時点では、“圧倒的に好評”という評価ステータスを得ている。このステータスを得るには、500件以上のレビューが寄せられたうえで好評率を95%以上維持する必要があるため、真に面白い神ゲーだけが取得できる狭き門のように見えるだろう。
しかし実際には、Steamのレビュー投稿時に選択できるのは、「このゲームをおすすめしますか?」という設問に対する“はい”と“いいえ”だけだ。そして、“はい”を選べば好評にカウントされ、“いいえ”を選ぶと不評にカウントされる。本作のように並程度の面白さを持ちつつ、カニが銃火器を持っているといった“見た目の出落ち感”を備えた作品は、二択であれば高確率で好評にしか投票されないため、“圧倒的に好評”を取得することになるのだ。件数制限があるので何らかの切っ掛けで脚光を浴びる必要はあるが、カジュアルなプレイヤーが流入する程に高評価を得やすいことも事実である。
本作は決して悪いゲームでは無いが、現時点では神ゲーでは無いことは明言しておきたい。
なお本作は、当レビューを投稿した時点ではアーリーアクセス期間が設けられており、これからもコンテンツの追加やバランス調整が行われていく。また、次の引用のように、アーリーアクセス期間は1年~3年とかなり長く見積もられている。
Anywhere from 1-3 years after the initial Early Access release
steamより
今後の追加内容次第では、“圧倒的に好評”という評価ステータスに相応しい神ゲーになる可能性を秘めていると言えるだろう。これからの開発を見守っていきたい作品である。
評価ポイントのまとめ
Crab Championsは、ダメージのインフレを楽しめるサードパーソンシューティングだ。わいわいとフレンドとチャットしながら遊ぶような環境にあればマルチプレイで盛り上がるはずだ。そうでなければ、マルチプレイであっても淡泊で直ぐに飽きるだろう。
長所
- 見た目のおかしさを楽しめる
- 簡単なシナジー構築で爆発的なダメージを出せる
- マルチプレイの敷居が低い
短所
- カニである意味がない
- シナジー構築の底が浅い
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