点数評価 | 70点 |
プレイ状況 | 本編クリア |
プレイ時間 | 約10時間 |
発売日 | 2019年3月28日 |
対応機種 | Switch/PS4/Steam Xbox (Gamepass) |
プレイ機種 | Switch |
開発元 | Digital Sun Games |
発売元 | テヨンジャパン |
ジャンル | 店舗経営×ローグライクアクションRPG ジャンルの考え方 |
ダンジョン冒険 × ショップ経営と言えば、多くのゲーマー達はトルネコの大冒険を思い浮かべるだろう。DQⅣではトルネコは初期村で店番をやっていたが、大冒険では店番は妻に任せていた。一方で、ムーンライターの主人公は、昼は店番、夜はダンジョンとワンオペで大忙しだ。アクション面は正直なところ中の下と言ったところだが、店舗経営パートのお陰で救われている。ドラクエのガワを着せて、もっと細かくバランス調整すれば大化けしそう。スクエニさんどうですか?
ローグライクなダンジョン冒険 × ショップ経営
と聞いて真っ先に頭に思い浮かぶのは、SFCの名作“トルネコの大冒険”だ。トルネコの大冒険は、ターン制バトルに頭を捻りながら、毎回変化するダンジョンを深く潜り、持ち帰ったアイテムや資金で自分の店や町を発展させていくというゲームだった。今回レビューするムーンライターは、戦闘はアクションだが、トルネコの大冒険と同じように、ダンジョン探険と町の発展を楽しむことが出来る。
戦闘はシンプルなアクション特筆するべきところは少ないが、自分で店番をするモードが用意されている点に注目したい。自分で売りたい商品に値付けをして、NPCとの価格の駆け引きを楽しむという、店舗経営シミュレーター的なものを楽しむことが出来る。店が大きくなると、アイテム陳列と市場需要に合わせた値段を更新に追われて忙しくなるものの、忙しさに比例して売り上げが増えて行くので達成感がある。まさに個人店主としてワンオペ労働を実感できるゲームだ。
対NPCワンオペ対応シミュレーター
ムーンライターの主人公は、昼は店主として自身の店“ムーンライター”で働き、夜になるとダンジョンに潜って商品を調達する。
ダンジョンで手に入れたアイテムを店は、ダンジョン内でいつでもゲーム内通貨である“コイン”に換金できるが、その換金効率は余り良くない。一方で、ダンジョンからアイテムを持ち帰って、自分の店に並べることで好きな値段で売ることが可能。
もっとも、好きな値段と言っても、アイテムには相場が決まっており、相場から大きく乖離した値段では売れない。来店した客はアイテムの値段を見て、様々な反応を見せるので、それを見てせっせと値段を付けかえていく。ニッコリした顔の場合は適正価格なので買ってくれるが、怒り顔なら高過ぎなので値下げが必須。逆に喜び顔の場合は安過ぎるので、同じ商品を複数陳列しているなら急いで価格改定をしなければ損をしてしまう。
アイテムには相場以外に、需要と供給が設定されている。需要が高まった商品は、普段の相場よりも何割か高くても売れる。逆に需要が低い商品は安値でしか売れないので、需要が戻るまで倉庫で寝かせておくのもアリ。つまり、拾って来たものを何でもかんでも売れば良いという訳では無く、時には“売らない”という選択肢も必要になる。
商品調達に出かけたダンジョン内では、所持できるアイテムの上限が決まっているので、必然的にアイテムを取捨選択することになる。ダンジョン内でも店舗の販売記録兼アイテム図鑑である、“商人手帳”を確認できるので、それを参考に、アイテムの単価、入手性、スタック数からどれを持ち帰るか吟味することになる。面倒くさいと思うかもしれないが、このひと手間が、如何にも経営者目線を持った冒険者という感じで好印象だ。初めて手に入れたアイテムの価値は分からないので、ダンジョン内の出現率からレア度を推し量って運試し。高く売れると信じて持って帰ったアイテムに大して価値が無いなんてのもまた一興。
コインを稼げば店舗を改装したり、店の中の備品をアップグレードが可能。何れも非常に高額だが、それに見合った効果を発揮する。
改装によって店舗が大きくなれば、売り場面積も増えて、同時に来客する人数も増えてくる。来店人数アップや、客の店内移動速度をアップの装飾品を同時に使えば、店内の混雑が加速することになり、レジ対応、商品補充&値付け、売れない商品の価格改定、万引き逮捕、交渉対応、納品対応と、ワンオペで走り回るブラック労働を体感可能だ。
なお、コインを簡単に稼ぎたいのであれば、相場よりも低めで次から次へとアイテムを売り払い、途中からはバイト(売り上げの30%支払い)を雇って、自分はダンジョンに専念した方が圧倒的に効率が良い。また、ムーンライターには全4種のダンジョンが用意されており、新しいダンジョンに進む度に、新しいアイテムが登場するが、相場が毎回インフレするので、倉庫で寝かせて後で売るというやり方も余り恩恵が無い。
“アイテムを需要と供給に合わせて、自分で最適価格で売る”という発想は面白いが、それを完全に活かすことが出来るバランス調整が出来ていない点は残念だ。折角なので最後まで想定されているプレイスタイルに則って、店番を頑張ってプレイしたが、どうしても途中から“全部投げ出した方が早い”という思考が頭にチラついてしまったのは事実。
ローグライクアクションとしてはやや不満
ムーンライターのダンジョン探索は、トップビュータイプのローグライクアクション。自動生成のランダムダンジョンが4種類用意されており、何れも3層構造で中ボス2体と大ボス1体を倒せばダンジョンクリアとなる。戦闘はスクロール無しの1画面1エリアで行われ、それが複数個繋がってステージを構成している。エリアに足を踏み入れると入り口が閉ざされ、中のモンスターを全て倒せば次に進めるという仕組み。
戦闘はシンプルで、武器を剣、大剣、槍、ナックル、弓の5種類から2種類を選んで自由に切り替えて使用する。何れも通常攻撃と溜め攻撃が用意されているだけで、特技やスキルツリーのような成長要素は何も用意されておらず、最初から最後まで使える攻撃手段に変わりは無い。また、戦闘時に使えるアイテムは、HP回復ポーションしか存在しない。草を食べて火を吹いたり、杖を振って敵を吹き飛ばしたりは出来ない。後はドッジロール的な緊急回避のみ使用できる。
操作が分かり易く、シンプルイズベストと言えば聞こえは良いかもしれないが、言い換えれば代わり映えのしないアクションが続く。幸いにも、ダンジョン毎に出現する敵は全く異なり、動作も大きく変わるので、“敵の攻撃を回避する”というアクションにおいては変化に富んでいて面白い。
敵が大きく変わるお陰で、アクション自体はクリアまではギリギリ飽きないものの、武器を強化する度に性能のインフレが発生するという問題を抱えている。新しいダンジョンを解放する度に、武器を1段階強化できるのだが、強化するとバランス崩壊気味に性能がアップして、そのダンジョンではボスであろうと向かうところ敵無しだ。一方で強化をしなかった場合は、なかなかダメージが通らず、長期戦になり難易度が大幅にアップする。武器を強化すれば簡単過ぎるし、強化しなければ難し過ぎる極端なバランスだ。
折角の商人という設定を活かして、武器の性能は控え目に、アイテムを駆使して戦うようなスタイルに出来なかったのだろうか。町では商人と戦士の違いについて議論が交わされたり、“戦士では無く商人だから無理をするな”と忠告されたり、何かと商人であることが議題に挙がるにも関わらず、やっていることは脳筋戦士と変わらないという点が残念だ。
極端な話、強化無しでボスを倒すような縛りプレイをしない限り、4つのダンジョンを、4回武器を強化して、4回ゴリ押しすれば終わりである。武器強化にはそれなりに、素材とコインが必要になるが、コインを消費すればいつでも“商人のポータル”というアイテムで町まで帰還できるので、余程無理をしない限りアイテムのロストの心配は無い。そのため、武器の強化に苦戦するということも無いだろう。
また、仮に倒れたとしても、全アイテムをロストする訳では無く、武器とコインは全て残るし、5種類だけはアイテムも残る。そのため、倒されるリスクも余り大きくは無い。
スクエニ、ムーンライターにドラクエのガワ着せたゲームを作ってくれ!
ムーンライターは、店主と戦士という二足の草鞋を楽しむゲームであり、経営とバトルどちらもそれなりに面白いのだが、全体的に調整が大味である。
前述の通り、店は効率だけを考えると何も考えずに安売りしまくって、さっさとダンジョンに商品を補充しに行った方が儲かるし、戦闘は武具のアップグレードが全てを左右するという傾向が、全てのダンジョンで共通。店の経営、バトル共に、あと一歩の作り込みが足りていない印象を受けた。
現状では器用貧乏な仕上がりになっているが、もう少し繊細な調整をすれば大きく評価が化けそうな気がする惜しいゲームである。
スクウェア・エニックスは、ポケモンにドラクエを着せてモンスターズ、無双にドラクエを着せてヒーローズ、マイクラにドラクエを着せてビルダーズと、ガワを使って勝負することが得意なので、ムーンライターにドラクエを着せて、トルネコの大冒険4を出せば神ゲー間違い無しではないだろうか・・・。

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