点数評価 | 100点 |
クリア時間 | 1時間(初回) |
プレイ状況 | 5種類のデッキで基本難易度クリア ブルーデッキで5つ目の難易度クリア |
プレイ時間 | 約15時間 |
発売日 | 2024年2月20日 |
対応機種 | PS4/PS5/Switch/Xbox/Steam |
プレイ機種 | Steam |
開発元 | LocalThunk |
発売元 | Playstack |
ジャンル | ポーカーとローグライクが融合したデッキビルダー ジャンルの考え方 |
ネタバレ | 無し |
『Balatro』は、理解が容易なポーカーをベースとしたデッキ構築型ローグライクだ。ポーカーの役を作ってスコアを出すというシンプルな内容に、デッキ構築型ローグライクの要素がミックスされている。ベースがシンプル故に、ゲームを開始して3分後からは延々とデッキ構築型ローグライクの面白い部分だけを味わうことができる。ローグライク完全メシとでも形容したくなるような作品である。
【総合評価】 | |
革新性 | |
ユーザビリティ | |
ビジュアル | |
サウンド | |
プレイ継続性 | |
コストパフォーマンス |
『Balatro』はローグライク完全メシである
まず、
○○からしか摂取できない栄養がある
とは、食事に直結した内容では無くとも、自身が愛する特定のジャンルに触れることで、素晴らしい体験が得られることを誇張する際に利用される称賛表現だ。当記事でレビューする『Balatro』を絶賛する場合であれば、本作はポーカーとローグライクが融合したデッキビルダー、つまりポーカーを用いたデッキ構築型ローグライクであるため、「デッキ構築型ローグライクからしか摂取できない栄養がある」などと利用する。
具体的に「デッキ構築型ローグライクからしか摂取できない栄養」とは何かと言うと、理想のデッキが計画通りに出来上がった結果、デッキに組み込んだカードやレリックなどのシナジー効果で驚くべき強さを発揮する楽しさや、ランダム要素が下振れした状態におかれても、知恵を絞ってピンチを切り抜けることで得られる達成感だ。
次に、
完全メシ
とは、日本人の標準的な食生活から導き出された、複数の栄養素をパーフェクトに調整した食品のことだ。味や見た目はさておき、それさえ食べておけばコストパフォーマンス良く手軽に、必要な栄養素を十分に摂取できるという便利な代物である。
以上のような前置きを経て、当記事でレビューする『Balatro』がどのような作品であるかを一言で表せば、それは「ローグライク完全メシ」である。つまり、「デッキ構築型ローグライクからしか摂取できない栄養」を、「ポーカーという手軽な手段で効率良く摂取できる」ような作品である。
完全メシとは栄養面に特化して味は程々に、見た目であったり、提供者や調理工程などの付加価値を気にしない食べ物だ。そのため、栄養だけに拘った人以外には無用の長物であり人を選ぶものである。それと同じでローグライク完全メシである本作は、デッキ構築型ローグライクの面白い部分“だけ”を短時間で体験することに特化しているため、評価は必然的に★3【人を選ぶ】に分類される。
しかしながら、筆者のようにローグライクの本質を心底から楽しみたいと思っている人には深く刺さるものであり、文句の付け所が無いので、補助評価項目である点数は100点としている。
デッキ構築型ローグライク化したポーカー
さて、ローグライク完全メシのような『Balatro』だが、 基本ルールはポーカーだ。ポーカーと言えば配られた5枚の手札から役を作り、対戦相手よりも大きな役を作ることができれば勝ちとなるシンプルな遊戯であり、カード交換時には多少は考えることがあるものの、基本的には運否天賦のいわゆる“運ゲー”だ。そして運に身を任せつつも、「ポーカーフェイス」という言葉が存在するように、ブラフによって相手を欺くことが重要である。
そんなポーカーを題材にしつつも、本作には対戦相手との読み合い要素がある訳では無い。規定回数内で作った役のスコアの合計が、目標スコアを超えるかどうかを判定するだけである。ただし、ポーカーが題材だと言いつつも、 本作はポーカーのような「何か」である。
まず、本作で利用できる手札は、一般的なポーカーのように5枚では無く8枚だ。1~13の数字×4系統(スーツ)の全52枚からランダムに8枚配られるので、そこから5枚を選んで役を作る。ディスカードと呼ばれるカード交換は、ラウンド内であれば1回につき5枚まで、規定回数内であれば好きなタイミングで何回でも行うことができる。
任意のディスカードにて、ペアやフルハウスと言ったお馴染みのポーカーの役を作りスコアを加算していく。そしてこのスコア計算こそが、本作の最大の特徴であり、ローグライク要素がふんだんに詰め込まれている部分になっている。
スコアはチップ×倍率で計算され、この計算式は役によって決まっている。例えば、スリーカードであれば30×3=90点、スリーカードにワンペアを加えたフルハウスであれば40×4=160点、全スーツから同じ数字を持ってくるフォーカードなら60×7=420点と、役の難易度が上がるにつれてスコアも上昇していく。
厳密には、役を作った際にカードの数字の分だけチップに加算される。3のツリーカードなら、(30+3×3)×3=117点となる。
さて、ここまでであれば、手札の数とスコア計算が特殊なポーカー程度にしか見えないが、本作で最も重要なのはジョーカーだ。一般的なポーカーでは、ジョーカーはどのカードとしても振舞うことができるワイルドカードとして利用されるが、本作の場合はジョーカーは手札に組み込まれない。その代わり、ジョーカーは画面上部に配置され、役のスコア計算時に特別な倍率を加算したり、役の成立条件を緩和するなどの効果を発揮する。
文字だけでは伝わりにくいので実際にプレイしている様子を動画で見せよう。次の動画の場合、ステージクリアの目標スコアは左上に示された通り11,000点だ。ここで作れた役はレベル2のストレート60×6=360点であり、これだけではクリアには全くスコアが足りていない。しかし、そこからスコアの計算式に5枚のジョーカーのバフが載って130×103=13,390点を得てクリアしている。
何故360点が13,390点まで膨らむのかというと、まず、一番右のジョーカーの効果により、1~10の数字カードが、11~13の絵柄の掛かれたカード(フェイスカード)として認識されている。次に右から2番目のジョーカーの効果により、フェイスカード1枚に付き倍率に+4のボーナスを得ている。その後、一番左のジョーカーのランダム倍率を与える効果で倍率に18が加算され、さらにこのジョーカーは強化されていたためチップにも50が加算されている。その他にも残りのジョーカー2枚からも幾つかの効果を得た結果、このようにスコアが一気に倍増している。
このように、役の計算式にジョーカーが様々なバフ効果を与えるのだが、ジョーカーは150種類という驚異的な数が用意されており、ジョーカー間には無数のシナジー効果が存在する。如何にしてジョーカーのシナジー効果でスコアをインフレさせるかが、本作で最も重要なポイントとなっている。
正直なところ、ここまでのスクリーンショットや動画を見ても、これが面白そうだと思う人は多く無いだろう。実際にシンプルなスコアのやり取りに特化しつつ、膨大なジョーカーの組み合わせを探るという遊び方は万人にはとても勧められない。しかし、ローグライク作品が好きであれば、余分な情報を削ぎ落して構築やシナジーといった、ローグライクの本質的な部分だけに集中できる本作に開始3分でハマるはずだ。
恐らく、開発者はポーカーのゲームを作りたかった訳ではない。ルールがシンプルなうえに、トランプカードをデッキに見立てることができるポーカーが都合良かっただけだと推測する。
全150種類のジョーカーのシナジーが重要な本作だが、ジョーカーのポジションは一般的なデッキ構築型ローグライク作品で言うところのレリックだ。つまり、常に何らかの効果をプレイヤーに与え続けるアイテム的なポジションであり、“デッキ構築型”が示す構築対象は52枚のトランプカードの山札である。
本作ではステージとステージの間にショップを利用することができる。ステージをクリアした際に入手した資金を利用することで、ランダムに提示されるジョーカーや、手札に何らかの効果を与えるタロットカードを購入出来るほか、複数枚のランダムなカードが封入されているブースターパックと呼ばれるアイテムを購入することができる。
例えばトランプカードのブースターパックを購入すれば、提示された4枚のトランプカードの中から好きなものを選んでデッキに加えることができる。ブースターパックから出現するトランプカードはランダムだが、当然ながら数字の大きいトランプカードをデッキに加えれば高いスコアを期待できる。また、ショップで購入したトランプカードには特別な効果が付与されたものもあるので、数字が小さいながらも大きなスコアを期待できるものもある。
なお、カードゲームの基本の1つとして“デッキの圧縮”というテクニックが存在する。あれこれと欲しいカードをデッキに加えるだけではなく、余分なカードをデッキから廃止することで狙った効果を得られる確率を高めるというものだ。本作でもそのようなデッキの操作を行うことができ、タロットカードの効果によってデッキから不要なカードを削除することができる。
さらに、本作の場合はトランプカードならではの要素として、スーツを変更が用意されている。例えば、太陽のタロットカードを使えば、自身の手札から最大3枚まで選んで、そのランが終了するまで永続的にスーツをハートに変更することができる。
単純なカードの強化に加えて、除去やスーツの変更によって歪なデッキを作り出してポーカーに挑むことができるのが、本作の面白い所である。例えば次のスクリーンショットであれば、デッキの総数は49枚と標準の52枚から少なく、しかも49枚中34枚がハートだ。さらに、本来であれば4枚しか存在しないエースが9枚も入っている。
このようなデッキでやることは唯一つ、ひたすらに同一スーツのフラッシュ狙いだ。役の成長はフラッシュだけに絞り、後はショップのリロールを繰り返し、ハートのスーツやエースのカードがプレイされた際に、スコアの計算式にボーナスが加算されるジョーカーを狙うことになる。
スーツの絞ったデッキはあくまで一例であり、敢えて小さな数字のカードの比率を高めたり、偶数軸や奇数軸などデッキの構築方法は様々だ。いずれにせよ、基本的にはランの序盤に手に入ったジョーカーを基準として、どのようにトランプカードの山札を改竄していくかを考えるプレイスタイルとなっている。
デッキのカードそのものはシナジーを持たず、レリックだけが大きなシナジー効果を持つデッキ構築型ローグライクと捉えても良いだろう。
運に大きく左右されるが気にならない
一般的にローグライクゲームとは、ランダム要素に結果が左右されるが、決して運まかせという訳では無い。ランダム要素が下振れした際にも適切な行動を取ればクリアでき、上振れした際には無双感が味わえる作品が多いが、Balatroは基本がポーカーということもあり、途中まで上振れしていたとしても運が悪ければクリアできないことが多い。
前項に示したような偏りの大きなデッキが作れた場合、その瞬間は負ける気がしなくなるのだが、3戦毎のボス戦では意外と負けてしまうことが多い。ボス戦ではプレイヤーに不利なデバフが追加され、その効果はフェイスカードや特定のスーツを無効化したり、ディスカード不可やカードが裏向き配られるなど様々だ。これらのデバフが偏ったデッキにピンポイントで刺さることがあるので、どれだけ上振れしたところで運任せなところはある。
それなら偏ったデッキにせずにバランス良くすれば良いと思うかもしれないが、それはそれでデバフが付与されない代わりに要求スコアが極端に多くなる特性を持ったボスに勝てない。ボスのデバフをリロールするチャンスや、目標スコアに達しなくてもランを継続することができる代わりに消滅するジョーカーを手に入れるといった対策もあるが、それらが出る保証はないので確実性は無い。
このように本作は運に左右される部分も大きいのだが、実際にプレイしていると特に気にならない。本作はプレイのテンポが良く、演出速度も最大で4倍速まで設定できてサクサク進むため、運悪く規定スコアに届かなかったとしてもリトライは苦ではない。
そもそもとして、本作の立ち位置は記事タイトルや冒頭で示した通り「ローグライク完全メシ」のようなものだ。シンプルに短時間でローグライクの面白い部分だけを狂ったように摂取できるので、クリア出来るに越したことは無いが、出来なかったとしてもゲームオーバーまでの過程には楽しさしか存在しない。また、スターターデッキは15種類、それぞれに難易度が8段階が用意されており、本作はまさに味のバリエーションが豊富なローグライク完全メシといったところである。
評価ポイントのまとめ
『Balatro』は、ローグライクの面白い部分だけを短時間で摂取し続けたい人にはオススメ。決して万人向けでは無いが、デッキ構築型ローグライクが好きならプレイ必須。
長所
- デッキ構築の面白さだけを短時間で楽しめる
- ポーカーベースでルールが分かりやすい
- スターターデッキが多い
短所
- 万人には勧められない
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