点数評価 | 75点 エラー落ちが無ければ85点 |
プレイ状況 | ノーマル難易度でクリア |
プレイ時間 | 約10時間 |
発売日 | 2021年8月12日 |
対応機種 | Switch/PS4/Xbox/Steam |
プレイ機種 | Switch |
開発元 | Arkane Studios |
発売元 | Thunderful Publishing |
ジャンル | ナラティブローグライクゲーム ジャンルの考え方 |
Curious Expedition 2は、見た目からゲームの内容を想像がしにくく、ナラティブローグライクゲームなどと言われても、何をするのかさっぱり分からないゲームである。しかし、実際にプレイしてみると実にローグライクらしいゲームだ。また、多くのローグライクゲームにはリソース管理要素があるが、Curious Expedition 2は常にリソースがカツカツで、リソース不足によるペナルティも高め。崩壊していく遠征隊を何とか立て直して目的をクリア出来たときの達成感は大きく、ダイスベースの運が影響する戦闘やイベントに翻弄されつつも、上振れ下振れを考えながら遠征隊をコントロールする楽しさは確かなもの。致命的では無いがエラー落ちが多い点は点数を下げている。(Switch版)
【総合評価】 | |
革新性 | |
ユーザビリティ | |
ビジュアル | |
サウンド | |
プレイ継続性 | |
コストパフォーマンス |
Curious Expedition 2 (キュリオス エキスペディション2)は説明が難しいゲームだ。Curious Expedition、日本語で言えば“奇妙な遠征”なのだが、奇妙とか不思議とかいうと直ぐにローグライク信者がホイホイと釣れる訳であり、Curious Expedition 2も例によってローグライクゲームだ。
ニンテンドーオンラインの紹介によると、Curious Expedition 2はナラティブローグライクゲームを自称している。ナラティブとは、“物語”や“語り”という意味だが、物語のローグライクゲームと言われてもピンと来ない。加えて、Curious Expedition 2のビジュアルはタッチや配色が独特なので取っ付き難く、気になっているが買おうかどうか迷っている人多いのではないだろうか。
結論から言うと、記事のタイトルにもあるように、絵面が気になって、SAN値やローグライクという言葉に惹かれる人であれば買っても良いゲームだ。かなり尖ったゲームなので、カテゴリーとしては★3の人を選ぶとしているが、筆者的には気に入っている。エラー落ちがなければ85点という高い点数を付けるに至った。
既存のローグライクに落とし込むと見えて来る
Curious Expedition 2は、どのようなゲームか伝わり難いので、まずはゲームの流れを説明したい。独特な見た目と遠征隊と言うワードから、ゲームの想像が付きにくいが、既存のローグライクゲームに当てはめて考えると割と理解しやすいだろう。
Curious Expedition 2の舞台は、19世紀後期の万国博覧会に向けてエッフェル塔が建設真っ最中のパリ。プレイヤーの目的は、万博主催者“ヴィクトリア・マリン”に雇用された、遠征隊のリーダーとして、奇妙な島を探索して財宝を持ち帰ることである。遠征先で全滅すると、ローグライクゲームなので、パーティメンバーや持ち物を全てロストする。そうなると再びマリンが新たなリーダーを選出して、遠征を繰り返すという仕組みである。キャンペーンモードは複数の章構成になっており、章毎に3回~4回の遠征を行い、とある目標を達成すればゲームクリアとなる。
遠征に失敗する=全ロストだが、ローグライクゲームなので次回遠征に向けての底上げ要素が用意されている。リーダー(主人公)に選べる職業が増えて行き、遠征を成功させた際の報酬によってアンロックされた仲間,装備品,消費アイテムは、ランダム出現のテーブルに組み込まれたままとなる。遠征に成功してもアイテムは全て失うが、装備品とレベルアップした仲間は残り、次回の遠征でも使うことが出来る。
各章では、任意に難易度を選べる遠征を2,3回クリアした後に、固定難易度の遠征に挑むことになる。当然ながら遠征の難易度が高くなるほどに出現する敵が強くなり、クリア目標の達成も厳しくなるが、報酬(新アイテムをアンロックする経験値や、拠点専用の通貨である万博チケット)が多くなる。パーティの育ち具合を考慮して、3段階の難易度から選んで遠征をしていくスタイルは、ルート分岐系のローグライクをイメージすれば分かり易いだろう。
遠征する奇妙な島々では、プレイヤーの周囲と踏破したエリア以外は見渡すことが出来ず、フィールド上には茶色い羊皮紙が広がっている。プレイヤーが踏破したり遠くを見渡すアイテムを使うことで、徐々に地図が埋まって視界が広がって行く仕組みだ。次のスクリーンショットであれば、砂漠地帯の右側1/3程が未踏破となっており、その先に何が待ち受けているか分からない状態である。当然ながら、島の地形や建物の配置はプレイする度に変化し規模や見た目は毎回全く異なるが、ダンジョン系ローグライクで踏破すればダンジョンマップが完成していくようなものである。
マップを踏破しながら財宝や目的の人を探すわけだが、闇雲に歩き回っても簡単には目標に辿りつかない。そのため、まずは右下に表示されている中間目標を目指して、最終目標のヒントを得ながら徐々に遠征を進めていくことになる。島の原住民との会話を通じて目標のヒントを得られるため、プレイヤーは常に原住民の評判というステータスを意識しなければならない。原住民の評判は、野生生物を狩ったり、遺跡から財宝を持ち出すと下がって行き、規定値を下回ると会話が出来なくなってしまい、ノーヒントで目標を探し回ることになる。最悪の場合、一定時間ごとに村から戦闘集団が派遣され戦闘を繰り返すことになる。
つまり、原住民の評判と、財宝や戦闘からの経験値及びドロップアイテムはトレードオフの関係にある。幾ら財宝やアイテムを手に入れてもクリア出来なければ意味が無いので、どの程度まで財宝や野生生物に手を出すか、プレイヤーは頻繁に頭を悩まされる。ある程度強くなってしまえば、評判など無視して全て武力で制圧して歩き回れば良いと思うかもしれないが、しかしこれはローグライクゲーム。行動回数に対するリソース制限として“正気度”という数値が用意されている。
クトゥルフでお馴染みのsanity、いわゆるSAN値だ。
島の地形には移動コストという数値が設定されており、ジャングルや高い山など踏破しにくい地形は移動コストが高く設定されている。歩き回るほどにコストに応じてパーティの正気度が失われていき、正気度が低くなると村やキャンプで休憩した際に精神疾患が発生しやすくなる。さらに正気度が0になると狂気イベントが発生し、パーティ全体が大ダメージを受けたり、発狂した仲間の永久ロストが発生する。食事や休憩で正気度を回復することもできるが、時間掛け過ぎると正気度を大きく奪う霧が島を覆いだす。
引き際を見誤らないように、SAN値と霧に注意しながら限界まで稼ぐのは如何にもローグライクらしい要素だ。不思議のダンジョンで言えば、満腹度と突風に気を付けながら、そのフロアで限界まで粘るようなものである。
ただし、限界ラインを見極めているつもりでも、本作では突発的なイベントにより何かとダメージを喰らうことが多い。死に至る感染症を患う,地形が火事になる,噴き出した毒ガスを吸い込むなどなど、マイナス効果のイベントは数多く用意されている。そのようなイベントが発生した際には、臨機応変に遠征計画を変更しなければ生還は難しい。
突発イベントは見えないトラップを踏んだような物である。
このように、プレイヤーは正気度及び手持ちのアイテムと相談しながら、原住民の評判を気にしつつも限界のラインで財宝を回収し、最終的な遠征の目標を目指すことになる。つまり、リソースを管理しながらどこまで攻めた遠征をできるかを考えることが、Curious Expedition 2の醍醐味である。ゲームの難易度はやや高く、通常難易度を選択してもリソースはギリギリで、常に効率の良いマップ移動が求められる。特に足場の悪い地形では、あっと言う間にSAN値を削られて回復アイテムを消費してしまうだろう。一歩一歩を考えて踏みしめながら放浪した果てに、何とか一息つける村を見つけた際には、まるで自分が探険隊の一員になったような喜びを感じることが出来るはずだ。
遠征の引き際を見極めて上手く稼ぐことが出来たのであれば、次の遠征では更に上の難易度を目指し、逆に厳しそうであれば下の難易度の遠征に向かうことになる。いずれにせよ、章の最後には固定難易度の遠征が待ち受けているので、そこを目指して遠征隊を強化していくことになる。
Curious Expedition 2は、5人+ゲスト1人の最大6人パーティのRPGだが、とにかく仲間のロストが痛い。遠征の終わり際に仲間を失っただけなら、パリに戻った際に補充すれば良いのだが、遠征の半ばに仲間を失うとその後の戦闘で常に後れを取ることになり、ジリ貧で全滅に追い込まれることになる。また、順風満帆に見えた遠征でも、初見では無知故のロストが常に付きまとうので非常に緊張感がある。何かと体験して知識を得る部分が多く、唐突な全ロストからプレイヤーが呆然とするという体験を、久しぶりに味わうことが出来た。
なお、遠征の途中でも仲間を新しく雇用したり、野生動物を手懐けるチャンスはそれなりに用意されている。ただし、仲間をロストした場合には、戦闘で不利になる以外にも貴重な装備品が失われてしまう。また、仲間が減ったことで、一時的に所有できるアイテムの上限が低下するため、一部のアイテムを泣く泣く捨てることになる。さらに、仲間が発揮していたパッシブ効果も失われるので、仲間が1人離脱しただけでも複数の要素で難易度が上昇して負の連鎖に陥ることもある。
このように、Curious Expedition 2 は、死に覚えを繰り返し,限られたリソースからルートを考え出し,仲間のステータスや原住民の評判なども管理しながら、何が最適解かを考え続けるゲームである。この手の試行錯誤が好きなプレイヤーであれば間違いなく楽しめるだろう。
ダイスベースの一風変わった戦闘
さて、前項では遠征の概要について説明したが、次は遠征における戦闘と仲間に付いて紹介する。
Curious Expedition 2の戦闘には6面ダイスが使用される。ダイスのそれぞれの面には、攻撃,シールド,バフ/デバフなどの様々な属性のスキルが記載されている。毎ターンそれぞれのキャラクターがダイスを振ることで、ダイスの出目に応じたスキルがランダムに選出される。また、武器を装備していれば武器の分だけサイコロを多く振れる。キャラクター・武器共に、レベルが低い内は発動できるスキル数が少ない(6個に達していない)ため、サイコロには何も書かれていない空の面が存在する。その面が出た際にはハズレ扱いとなり、何の行動も出来ない。
1ターンに1回サイコロを振り直すことができるので、空の面とそのターンに使う予定の無いスキルや、仲間の出目とシナジーが薄い目は振り直すことになる。(ただし、振り直しても空の面がもう一度出ることもある。)
なお、次のターンに行われる敵の攻撃は事前に全て予告されているため、全てのダメージをシールドで受け止められるように防御系スキルを整えてから、余りのダイスで攻撃が基本となる。体力の回復手段に乏しいゲームなので、毎ターンのダメージを最小限に抑えることが重要だ。
戦闘を繰り返してキャラクターの育成が進むことで新しいスキルを覚え、ダイスの空の面は徐々に埋まっていく。最終的には全ての面がスキルで埋まるので、サイコロを振っても外れの出目は存在しなくなる。また、レベルアップと共に出目の効果も強化されていく。
ダイスは戦闘以外でも、遺跡のトラップや原住民との交渉などのイベントシーンでも使用する。戦闘と同様にダイスを振って、要求されたダイスの出目が出れば条件達成となり物事が有利に進み、外せば悲劇に見舞われるという訳だ。
ダイスベースのシステムなので当然ながら運が絡んでくるが、パーティ5人+武器5個+ゲストメンバーで、サイコロは毎ターン10~12個振ることになる。更にダイスの振り直しもあることから、これだけ振れば出目の偏りもある程度は矯正されるので、確率を考えながら普段は安全な選択を取り、重要な局面ではリスクを背負って博打に出るというスタイルになるだろう。戦闘で攻防のバランスが良く、イベント突破用にダイスの色に極端な偏りが無いようにパーティメンバーを用意することを心掛けたい。
本作では、バランスの良いパーティを作ろうとしても、残念ながら遠征の参加者は曲者揃いとなっている。多くの遠征志願者は何らかの精神異常をバッドステータスとして持っているため、簡単にはバランスの良いパーティを組むことはできない。例えば、次のスクリーンショットはレベル3の宣教師を雇おうとしている様子である。パッシブ効果で正気度の最大値が上がり、無料休憩所が利用できるようになり、ダイスも5/6が埋まっているので補充要員には最適に見える。しかし、アルコール中毒の疾患も同時に確認できる。定期的に酒を使用しなければ忠誠度が下がり、酒が切れると最悪の場合は勝手にパーティから離脱する。加えて、酒を使うことで他のメンバーも一定の確率でアル中になるという厄介なものだ。
他にも、原住民に対して高圧的な態度を取って評判を下げる帝国主義や、迷信を信じて神殿の類に入ると忠誠心を下げたり、高所恐怖症で高台の地形に登ると忠誠心を下げるなど、疾患の種類は様々である。疾患自体は、遠征報酬のチケットを消費すれば治療可能だが、武器の購入や傭兵の雇用にも共通のチケットを使うので、チケットを使ってまで治療するのか、解雇して新しいメンバーを入れるのか悩み所である。前回の遠征結果が低い場合は、リスクを負って疾患を受け入れるしかない。
難易度高いマップを何とかクリアして、その報酬でキャラクターの強化が上手く進み、致命的な精神疾患を治療できればクリアが見えて来る。しかし、前項に書いたように初見のイベントで突発的にロストする可能性があり、楽観的になると一気に危機に陥るので常々気を引き締めて遠征を進める必要がある。上手くサイクルが廻りだすと非常に安定してくるが、ちょっとしたミスで崩壊するのは何ともローグライクらしい。
エラー落ちがやや多いが自動セーブで助かる
前2項に書いたように、Curious Expedition 2は実にローグライクゲームらしい出来である。クセのある仲間を管理したり、マップ上に見えている強敵に追い回される様は、Darkest DungeonやMistOverに近いものがあり、これらのゲームをよりカジュアル寄りにしたような側面も持ち合わせている。
やり直しが効かず一手一手が重要になるゲームなのだが、残念ながらエラー落ちがやや多い。幸いなことに、イベント毎に自動セーブされているのでエラー落ちで全ロストすることは無いが、会話イベントが発生した瞬間にエラー落ちして再開すると、会話が終了した状態から再開することがある。一方でエラー後に再起動するとイベント前に戻されることもある。乱数は保存されないようなので、ダイス勝負で折角勝ったにもかかわらずやり直しで、次は勝負に負けることもある。筆者の場合、クリアまでに5回エラー落ちしたので、2時間に1回ほどエラーが出ていることになる。今回はSwitch版で遊んでおり、Steam版や今後リリース予定のPS4/Xbox版では改善されているのかもしれないが、明確な減点要素である。
Curious Expedition 2は、エラー落ちさえ目を瞑れば、ローグライク好きや、シビアなリソース管理が好きない人には是非遊んでもらいたい良作。シリーズ2作目ということで、今後もシリーズが続いて欲しいと思わせるぐらいに魅力的な作品である。
【追記】PS4/5版及びXbox One/Series版のリリース日が決定
2022年3月17日に、PS4/5版及びXbox One/Series版のリリースが決定した。同時にDLC“Highlands of Avalon”も配信されるようだ。更に2種類のDLCが用意されているようなので、今後の展開にも期待したい。
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