点数評価 | 70点 |
プレイ状況 | クリア |
クリア時間 | 約12時間 |
プレイ時間 | 約12時間 |
発売日 | 2022年12月9日 |
対応機種 | Switch,steam |
プレイ機種 | Switch |
開発元 | トーセ |
発売元 | スクウェア・エニックス |
ジャンル | トレジャーライフRPG ジャンルの考え方 |
ネタバレ | 無し |
ドラゴンクエスト トレジャーズ 蒼き瞳と大空の羅針盤 (DQトレジャーズ,ドラクエトレジャーズ)は、人を選ぶ作品だ。普段あまりゲームをしないようなライトゲーマーの受けは程々に良い一方で、様々なジャンルに精通しているコア層(ハードゲーマー)の受けは悪いだろう。公称ジャンルはトレジャーライフRPGとなっているが、オープンワールド風なプレイエリア、簡単操作の3Dアクション、ハクスラ要素を含む仲間のスカウト、お宝を入手するためのタイムアタック的なダンジョン攻略など、多くのジャンルを複合した作品だ。一方で、それらはどれも本格的では無く、各ジャンルの表面を撫でた程度になっている。普段からゲームに熱心に打ち込んでいない人であれば、複数の遊びを同時に楽しめるゲームとして評価するかもしれないが、ゲーム上級者はどれも中途半端に感じてしまうこと間違いなしだ。お宝要素に関しては、鑑定額がソーシャルゲームのように桁が大きいことは気になるものの、シルエットから中身を想像して鑑定で答え合わせをするという過程は、ドラゴンクエストの知識を試されているようでドラクエファンなら楽しめるだろう。ジャンルは盛り沢山だが、いずれも薄っぺらく本格的ではなくコアなゲーマーは相手にしていないことから、“大人向けのお子様ランチ”と評した次第である。
オープンワールドを意識した多ジャンル作品
ドラゴンクエストトレジャーズ 蒼き瞳と大空の羅針盤は、ドラゴンクエストⅪに登場したカミュ・マヤ兄妹の幼き日々の冒険を描いたスピンオフ作品だ。当初はモンスターズ新作としてアナウンスされていたが、仕様が変更されたうえで改めてドラゴンクエストトレジャーズとしてリリースされている。
主人公カミュ・マヤの盗賊や海賊といった盗みを生業とする職業と、トレジャーズというゲームタイトルから分かる通り、本作の目的はお宝を集めることだ。謎の精霊に導かれて訪れた“竜の大地”にて、7つの竜石を手に入れるために、様々なお宝を集めながら拠点を拡張していくことになる。
ドラゴンクエストトレジャーズのマップ中央は自身の拠点となっており、それを除く5か所の浮遊大陸が探索目標となっている。それらはオープンワールドと呼ぶには規模は小さいが、特殊なエリアを除いてシームレスに繋がる遊び場となっている。一般的なオープンワールドゲームと同じく、基本的には見える場所は全て踏破できるようになっており、仲間モンスターの移動スキルを駆使することで、徒歩では登れないような高台に上がったり、崖から滑空してショートカットなどができる。
フィールド上にはモンスターが歩き回っており、エンカウント制ではなく見つかればそのまま戦闘に突入する。戦闘はリアルタイムで進行し、プレイヤーはカミュ・マヤを操作して短剣による連撃か、属性弾や回復弾を撃ち分けることができるスリングで戦う。仲間のモンスター達は完全にオートで、状況に合わせて覚えているスキルを使い分けて戦ってくれる。
ドラゴンクエストトレジャーズにおいては、従来のドラクエシリーズでは絶対に低レベルで倒せないような強敵が、序盤から近くをウヨウヨと徘徊しており、それらにも自由に挑戦することができる。完全にアクションゲーム化したことにより、例え序盤であったとしても、回避を駆使しながら逃げ回り、ラリホー弾で眠らせて体制を整えるなどすれば倒すことも出来る。序盤から無茶な強敵に挑むことができるという仕様は、如何にもオープンワールドを意識した作りと言えるだろう。
また、オープンワールドの定番と言えば素材拾いだが、それもしっかりと採用されており、プレイエリアの至る所で拾うことができる。集めた素材はスカウトしたモンスターを仲間にする際に消費する他、クエストで要求されたり、ステータスアップの料理の材料などに使われる。
そして肝心のお宝探しは思っていたよりもシンプルだ。イベントアイテムである7つの竜石は決まった場所で入手することになるが、拠点を成長させるために必要な一般的なお宝は、エリア内のランダムな場所に埋められている。プレイヤーがお宝に一定距離まで近づいた状態でモンスタービジョンというスキルを発動すると、モンスター達がそれぞれの視点から見たお宝の場所を教えてくれるので、3つの風景から場所を特定できればお宝を掘りだすことができる。
このモンスタービジョンという仕組みには、モンスター毎の特徴がユニークに反映されている。例えばスライム系は素直でクリアな視界だが、さまようよろい系であればバイザーの縦格子が邪魔して見え難かったり、トンブレロ系であれば帽子で一部の視界が遮られている。また、ドラキー系であれば超音波を駆使しているという設定からか視界はノイジーで白黒になっていたり、キラーパンサー系であれば常に疾走しているからか、視界が流れるように歪んでいる。
宝探しはそこまで難しいものではないが、視界の悪さが適度に意地悪な演出となることもあって面白い。
なお、拾ったお宝は好きなだけ持てるという訳ではなく、連れている仲間モンスターが運んでいるという設定のため所持上限数が決まっている。さらにお宝を持った状態で探索を続けていると他の空賊団の襲撃を受けることがあり、仲間モンスターが大ダメージを受けるとお宝を落としてしまい、最悪の場合は回収できずに奪われてしまうこともある。一方で、こちらから勝負を挑んでお宝を入手することもできる。
お宝は沢山手に入れるほどに査定ボーナスが付くため、所持限界まで探索を続けたいところだが、襲撃や野生の強敵に倒されたりするリスクを考慮して、どこで探索を切り上げるか見極めることが重要となっている。
なお、ライバルとなるネームドモンスター達は、既存のモンスターをアレンジしたものとなっている。空賊団に似合った、少しだけ悪そうな意匠が施された姿はゲームに良くマッチしている。
このようにドラゴンクエストトレジャーズは、オープンワールド風の世界の探索、強敵との遭遇や素材集め、リアルタイムの3Dアクションを通じてモンスターを仲間にするハクスラ要素、地図を頼りにお宝を探し、所持限界からの見極めなどなど、色々な要素をふんだんに詰め込んだ作品となっている。
お宝はツッコミどころ満載で面白い
ドラゴンクエストトレジャーズの魅力は何と言っても豊富なお宝だ。お宝には、過去作品に登場した著名な武具、イベントアイテムや消費アイテム、ドラクエ関連作品の登場人物の像、どこかの姫に蹴破られた城の壁などなど、中々に見応えのあるラインナップになっている。
特に武具類は大量に採用されており、“はやぶさのけん”のような正統派の優秀な武器から、“あぶないみずぎ”のような定番のネタ装備まで登場する。また、メタルキングのよろいならぬ、メンタルキングのよろいのような、パチモノアイテムも幾つか登場する。
いずれのお宝も、地面から掘りだした段階では黒塗りのシルエットしか分からず、正式な名称や鑑定価格は明らかにされていない。お宝は拠点に持ち帰れば自動鑑定されるので、持ちきれない場合はそのシルエットから価値を見極めて取捨選択することになるのだが、このシルエットクイズ的な遊びがドラクエの知識を試されているようで大変面白い。
1人で黙々と遊んでいてもそれなりに面白いだろうが、ドラクエ好きの家族と共に当て合いしたり、ゲーム配信シーンにおいて視聴者と一緒に推論すれば盛り上がるだろう。
筆者の場合、円形アイテムを“ラーの鏡”だと思って持って帰ったら“おなべのふた”でガッカリし、そして2回目の円形アイテムで今度こそ“ラーの鏡”だと確信したのだが、まさかの偽物“うーの鏡”だったことが印象的だった。
ちなみに、お宝にはなぜか、今は亡きドラゴンクエストライバルズのカードが、異界のボードゲームのカードとして結構な枚数が採用されている。文字こそ読めないが絵柄は完全にそのまま流用されており、“スライムかがみもち”のような超マイナーカードまで登場する。サービス終了に未練があるのであれば、買い切り型の対戦ゲームとして復活させてもらいたいところだ。
戦闘の単純さと探索の前準備の不便さが目立つ
オープンワールド風な世界に様々な遊びが用意され、ドラクエファンには刺さるお宝が多数登場するドラゴンクエストトレジャーズだが、残念ながら評価は★3の“人を選ぶ”を付けることになった。
まず、ドラゴンクエストトレジャーズの仲間モンスターは、完全にAIでオート戦闘してくれるのだが、ガンガン行こうぜ的な作戦は存在しない。とはいえ、仲間モンスターはカミュ・マヤよりも圧倒的に強く頼もしく戦ってくれるので、プレイヤーは隙を見て短剣攻撃をしたり、スリング弾で支援に回ることが主体のゲーム性だと思えば良いのかもしれないが、短剣は連撃以外にアクションはなく単調で、スリングは弾を選ぶだけでターゲットすれば必中なので技術的な介入要素は低く飽きが早い。
序盤に頑張って強敵を倒している頃がピークで、中盤からは惰性。
攻撃や被ダメージで貯まるロマンゲージを消費することで発動するロマン技や、仲間モンスターに合わせて攻撃することで発動するスキルチェインなども用意されているが、これらは通常の攻撃と比較してダメージの桁数が2桁ほどアップする。これらによるダメージが与ダメージの大半を占めるので、立ち回りもワンパターンになりがちだ。
また、戦闘のシーンとしてはフィールド以外にもダンジョンが用意されているのだが、ダンジョンとは名ばかりで、円形の戦闘場が用意されており、敵を全滅させれば次に進むだけの極めてシンプルな作りとなっており拍子抜けする。クリアタイムによって報酬が良くなるようだが、事前に貯めておいたロマンゲージで敵を瞬殺し、後はひたすらに仲間を囮にスリングを撃ってチェインを発動させるしかクリアパターンは無く面白みに欠ける。
ドラゴンクエストトレジャーズをオープンワールドではなく、小規模なエリアを5つ用意したオープンワールド風に仕上げたことは良いのだが、各エリアに出現するお宝の傾向システムと、モンスターに依存する移動スキルの仕組みが全く嚙み合っていない。
各エリアには見つかるお宝の傾向が設定されており、仲間モンスターにランダムに付与された、見つけることが得意なお宝の種類と一致していると、エリア内にお宝が大量に出現するようになる。用意された5つのエリアは、草原、火山、砂漠など何れも特徴的なので、エリアによって武器が手に入りやすいとか、人物像が手に入りやすいなどの設定だけで充分だったのだが、何故か一定時間ごとにお宝の傾向が変化してしまう。
お宝を見つけることが目的のゲームなので、当然ながらプレイするエリアのお宝の傾向に合わせて仲間モンスターを選びたい訳だが、そうなると今度はモンスターが持つ固有の移動スキルが偏ってしまうことがある。特に時短のためのダッシュスキルと、踏破性を格段にアップさせるジャンプスキルは必須なので、実質的に1枠しか変更の余裕はない。そのため、お宝の見つけやすさか、快適な探索のどちらかを諦める必要があり、悩まされる場面が多かった。
立体的なマップを、愛されつづけるドラクエシリーズのモンスターのスキルを使って進んでいく楽しさは、ドラクエを題材にしたトレジャーズならではなのだが、お宝の傾向と移動スキルの調整のためにパーティ調整がとにかく面倒臭い点は残念でしかない。
この問題に対しては、仲間を複数確保しておけば良いと思うかもしれないが、それにはモンスターをスカウトするだけではなく、大量の素材が必要となって簡単ではない。傍流とは言えモンスターズから派生した作品なので、スカウト成功だけで仲間に出来て、素材はステータスアップに使うぐらいで良かったのではないだろうか。
素材が足りない場合、仲間にするかどうか保留できるのは良いが、素材が揃う頃には次の強いモンスターがスカウト出来てまた足りないの繰り返し。
お宝の傾向が変わることで、様々な仲間モンスターを連れて歩く楽しみを感じてもらいたいのかもしれないが、前述の通りそもそもモンスターを仲間にするための戦闘があまり面白く無いことも致命的だろう。
ただしこれらの仕様については、一概に全てが問題ありという訳ではなく、スクウェア・エニックスがドラクエシリーズをプレイするボリューム層が、どの程度ゲームに意欲を持っているかを良く理解しているということの現れだろう。
ドラクエシリーズをプレイする年齢層は全体的に高めで、普段から積極的にハードなゲームをプレイすることもないため、変化を好まずドラクエらしさを感じることが出来れば、ゲームシステムの子細には拘らずに満足する。その一方で、新しい試みには拒絶反応を示す傾向が強い。
そのため、オープンワールド風やアクションゲームに変化しつつも、その内容は決して複雑ではなく理解が容易で、オート戦闘でお馴染みのモンスター達が楽しげに戦ってくれて、レベルさえ上げて一定時間さえ凌ぐことが出来ればロマン技で大逆転できるような大雑把なバランスで充分なのだろう。マンネリと言われない程度に変えつつも、なんとなくドラクエらしさを感じさせることができれば、多くのファンの満足度は向上するのだ。
特にスリング弾のUI関連に関しては、絶対に流行を追わないという強い意志を感じた。飛び道具の弾にせよ消費アイテムにせよ、近年の多くのアクションゲームでは、円形の武器メニューに任意のアイテムを自分でセットしておき、メニューを開いてスティックで方向選択という仕組みが多く採用されている。しかし、ドラゴンクエストトレジャーズの場合、全種類の弾一覧からカーソルを移動して選択しなければならない、面倒な仕組みが採用されており、これも意図的なことだと思われる
円形メニューを採用すると、操作が難しい、ドラクエらしさがない、洋ゲーっぽくて嫌だと、懐古主義者からの不満続出が続出する可能性大。
このように、ユーザビリティを捨てて古くて面倒な仕組みを採用し続けたり、薄っぺらい戦闘方法が採用される理由は明白で、ドラゴンクエストトレジャーズは、コアゲーマーは無視して、変化を好まない古参のドラゴンクエストファンの方を向いて作られた作品だからである。
評価ポイントのまとめ
ドラゴンクエストトレジャーズ 蒼き瞳と大空の羅針盤は、人を選ぶ作品であるため評価は割れることだろう。“ドラゴンクエストぐらいはとりあえずプレイしておく”というタイプのライトゲーマー向けの作品なので、自分がどの程度のゲーマーなのかを考えて購入判断しよう。 〇〇なゲームを遊びたい!と強い意志を持っている人向けでは無く、漠然と何かゲームしたいというカジュアル層に70~80点を与えてくれる作品だと割り切ろう。
長所
- ドラクエシリーズのアイテムや登場人物を振り返れる
- 多ジャンルを一度に楽しめる
短所
- 用意された遊びはいずれも底が浅い
- 素材集めが面倒臭い
- お宝の傾向とパーティ編成が面倒臭い
- UIが高齢者向けで使い難い
【追記】約2週間で45%OFFの投げ売りへ
GEOの年末価格改定にて、ドラゴンクエスト トレジャーズは、早くも45%OFFの3,980円になった。恐らく2022年12月27日の価格改定にて値下げされている。僅か2週間足らずで45%OFFになったという事実からも、人を選ぶ内容であることが分かるだろう。
スクウェア・エニックス製のゲームは直ぐに投げ売り価格になることが多く、発売日に購入することはリスクでしかないので注意してもらいたい。
【追記】Steam版配信開始
速攻で投げ売られたことから売り上げは芳しく無かったことが推測されるが、それを補填するためなのか何の予告も無しに2023年7月14日からSteam版が配信されている。低性能なSwitchとは異なり、SteamDeckやそれなりのスペックを持ったPC遊べば、幾分かユーザー体験は向上すると思われる。しかしながら、根本的なゲーム設計がおかしいことが問題なので、評価が大きく上がることは無いだろう。
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