点数評価 | 80点 |
プレイ状況 | 全キャラクリア 真エンディング到達 |
プレイ時間 | 約6時間 |
発売日 | 2022年6月2日 |
対応機種 | Switch/Steam |
プレイ機種 | Switch |
開発元 | Saebashi |
発売元 | PLAYISM |
ジャンル | ソーシャルローグライクアクション ジャンルの考え方 |
常世ノ塔 (トコヨノトウ)はスコアアタック特化型ゲームということや、ストレスとやり応えの絶妙な境界に位置する難易度から、★3の“人を選ぶ”という評価になるが、1180円という低価格にもかかわらずプレイ継続性が高い点を評価して、点数では80点を付けるに至った。ローグライクゲームとしては仕様に疑問を感じるが、通常攻撃が完全に制限され、ここぞという時にスキルを発動して乗り切るというプレイスタイルは新鮮。24時間で自分に合ったルートを開拓するという、新しいスコアアタックの在り方を提案した点も評価したい。懐かしさを感じる可愛いカットインや、やや“紳士的”なゲスト絵が飛び出すロード画面も面白い。
常世ノ塔 (トコヨノトウ)は、リアルタイムで24時間ごとに自動生成される塔を登る2Dアクションゲーム。当最上階のボスを倒せばクリアとなるのだが、クリア出来る場合は1プレイは30分ほどで終わるボリューム。単純にクリアすることが目的では無く、24時間という制限時間の間にひたすら塔に挑み、スコアアタックの全国ランキングで競い合うゲームである。
“通常攻撃?そんなものは無い”から始まる挑戦
2Dアクション界の雄、“ロックマン”における縛りプレイの定番と言えば、特殊攻撃の使用を禁止したロックバスター縛りだ。便利な特殊攻撃を使わずに、豆鉄砲だけを使って全てのステージを攻略するやり込みである。今回レビューする常世ノ塔は、簡単に言えばその定番の縛りの逆、通常攻撃が禁止されたロックマンのようなゲームである。
ゲーム開始直後のチュートリアルにて、“通常攻撃?そのなものは無い”と、いきなり告げられて困惑するのだが、本当にそのような攻撃手段は存在しない。攻撃手段はただ一つ、30秒に1回使えるスキル攻撃だけである。30秒も待つだけあって、スキルの威力は超強力。選択したキャラクターによって性能差はあるものの、画面全体を自動追尾攻撃したり、一定範囲内に近付いてきた敵を連続攻撃したりと、一度発動してしまえば画面内に映っている敵は間違いなく瞬殺できる威力を持っている。
スクショだけでは分かり難いので、実際のプレイは以下の動画を参照して欲しい。動画の冒頭では、MPが足りないのでスキルを発動できず、敵の弾を避けて足場の移動に専念している。途中からスキルを発動して一気に敵を倒しながら、ロックマンで見たことがあるような点滅ブロックを乗り越えて進んでいることが分かるだろう。
スキルに必要なMPは毎秒1ずつ回復。スキルは発動すると長時間持続するので、繰り返し遊んでスキル発動中に何処まで進むか決めることが重要。 #常世ノ塔 #tokoyo #commentout #PLAYISM #NintendoSwitch pic.twitter.com/ZGtqz402Qu
— Sara@ゲームの話が7割ぐらい (@mig60_net) June 3, 2022
動画に示した通り、30秒に1回発動できるスキルは、超強力なうえに長時間持続する。スキルがそこまで便利なのであれば、1回発動して敵を一掃する度に待機し、MPの回復を待ってから進めば良いと思うかもしれないが、実はスキルを発動するタイミングが重要である。何故なら、常世ノ塔はローグライクゲームなので、リソース管理の概念が導入されているからだ。
画面右上に示されたゲージは、カルマと呼ばれるリソースの残量を示しており、これがいわゆる満腹度的な役割を持っている。カルマは時間経過とともに減少していき、ゲージが無くなると、画面外から強敵が急襲してくるので、そうなるとスキルを切って対処せざるを得なくなる。
カルマのペナルティもスキルの発動で乗り切れるなら、リソース管理は大きな問題では無さそうに感じるかもしれないが、常世ノ塔はクリアすることが目的では無く、スコアアタックに特化したゲームである。冒頭に記載した通り、常世ノ塔は24時間に1回ランダムに塔の構造が変わることが最大の特徴だ。24時間内で繰り返しプレイして構造を把握し、何処のタイミングでスキルを使って何処まで進むかを調整し、如何にノーダメージやコインなどのボーナスを積み重ねるかが重要なのだ。スキルの発動タイミングが1回狂うだけで、スコアは大きく変動してしまう。
ちなみに、登塔の途中で白と黒のルート分岐が2回登場するので、プレイヤーは得意な地形が多いルートを探すことになる。足場の移動は絶妙に滑り、ワンミスが取り返しのつかない遅れに繋がるアクションゲームなので、自分にあったルートを見極めることが重要だ。
スコアアタック特化と言いつつも、3体目の中ボスとラスボスは相当の難易度である。通常攻撃が用意されていないということは、逃げに集中できること意味しているので、それを前提として当たり判定が強めで、弾幕も多めとなっている。倒されてもスコアを放棄すればコンティニュー可能なので、クリア自体は誰でも可能だが、ノーミスクリアを達成できる人は限定的だろう。下の動画はラスボス最終形態の様子だ。特にネタバレは意味のないゲームなので、気楽に見てもらいたい。
通常攻撃が無いので、MP回復までは逃げ回るしかない。逃げに集中するゲームなので、当たり判定強め、弾幕多め。こちらのスキルは必中では無いが、使えばまず当たる。 #常世ノ塔 #tokoyo #commentout #PLAYISM #NintendoSwitch pic.twitter.com/FH3i76YlRx
— Sara@ゲームの話が7割ぐらい (@mig60_net) June 3, 2022
常世ノ塔は“通常攻撃が縛られたおかしなゲーム”という印象が強いかもしれないが、繰り返し遊ぶことでスキルを発動のタイミングを模索して効率化を図る道中と、高い集中力が試されるボス戦と言う、全く異なる2種類の遊びが用意されている、高難易度アクションゲームと捉えれば良いだろう。難易度が高いだけに、自分なりにベストな効率化が出来たときの達成感は大きいゲームだ。
ローグライクとしては仕組みが噛み合っていない
常世ノ塔は24時間に1回構造が変化し、4パターンから任意のルートを選び、ベストなリソース管理を模索する、変則的なローグライクアクションゲームであることが前項で分かったことだろう。ローグライクを謳っているため、プレイヤーの強化面でもシナジー効果が用意されているが、残念ながらゲームの仕様がローグライクと噛み合っていない。
まず、ゲーム開始時と中ボス撃破時に、ローグライクゲームにありがちなアイテムの3択が提示されるのだが、この選択が余り意味をなしていない。というのも、アイテムを選択できる機会は僅か3回しかなく、この3回から得られる効果は、クリア時には15~20個のアイテムが手に入ること考えると全く支配的では無く、プレイヤーがシナジーの方向性をコントロールするという面白みに欠けている。
また、入手アイテムの大半は、恐らく同時刻に倒されたであろう、他のプレイヤーの倒された墓から入手することになる。そのため、プレイヤーが少ない時間帯にプレイすると、入手アイテムが減ってしまい、プレイヤーにはコントロールできない部分で影響を受けてしまう点も残念だ。
そもそも、大量にアイテムを入手したところで、多くのアイテムの効果の発動条件が、“敵を倒した場合”や“フロア移動時”になっており、ボス戦の難易度低減には寄与していない。また、カルマや状態異常に関するアイテムはボス戦には意味が無く、スコアアタックをする際にはベストルートを選定しているためお世話になることも無いし、効果が得なければならない状況であればスコアアタック失敗でリスタートである。攻撃力アップのアイテムが出現することもあるが、ボスはどのような攻撃でも固定ダメージとなっており同じく意味は無い。一方で、確率で被ダメージを1/5と、被ダメージ時の無敵時間延長の2種類のアイテムだけが極端に強力である。アイテムの種類は多いものの、大量の外れから当たりの2種類を多く引くことが出来れば、ラスボス戦が安定するという程度だ。
唯一コントロール出来る要素は、休憩所における、最大HPアップとスキル発動に必要なMPダウンの2択である。休憩所は塔を一定階数登るごとに出現し、最大HPアップか必要MPダウンの効果が付いた回復アイテムを入手できる。敵の弾幕を避ける自信があれば、堅実にHP上げることが有効であり、逆に被弾を抑えられないのであれば、短期決戦のためにスキルの回転を上げることが有効となる。
結局のところ、色々とアイテムが出現するがゲームに対して理解が進むと、ビルドの方針が最大HPアップか消費MPダウン以外は余り意味が無いことが見えて来るのだ。シナジーのコントロールというローグライクの醍醐味が、根本的にゲームの仕様と噛み合っておらず残念だ。
可愛いカットインと紳士向けロード画面
常世ノ塔はゲーム性以外にも、そのビジュアルが特徴的だ。前項の動画を閲覧した人であれば、スキルを発動した際のカットインが気になったことだろう。90年代後半に良くインターネットの個人サイトで見かけたような、ペイントで頑張って描いた風の、可愛いイラストがスキル発動時に挿入される。可愛らしいカットインは各キャラクターに3種類用意されており、ボスにも1枚だけ用意されている。
また、各キャラクターでクリアすると、元の世界に戻った際の1枚絵が用意されている。こちらもまた懐かしさを覚えるテイストがあり、好みは分かれるかもしれないが、刺さる人には刺さるだろう。
なお、常世ノ塔は容量の少ないゲームなのでロードは2秒ほどで直ぐ終わるのだが、ロード中にはゲストが描いた“やや紳士向け”な1枚絵が挿入される。ロードと共にチップスも下に表示されているが、急にこのようなイラストを表示されると驚いて見落としてしまうこと間違い無しだ。
以上のように、常世ノ塔はローグライクの仕様にはいささか問題を抱えるものの、通常攻撃が無いという斬新なデザインのスコアアタック特化型ゲームとして、人によっては大きく評価することになるだろう。繰り返しプレイで高みを目指す作業が得意なアクションゲーマーはプレイしてみてはどうだろう。
2022年6月22日追記
パブリッシャーであるPLAYSIMより、取得レーティングの引き上げが発表された。元のレートは“IARC 3+”、つまり3歳以上だったが、紳士向けの挿絵が不当と判断されたことが推測される。販売再開時期は未定だが、IARC 12+へ引き上げられる見込み。
【重要なお知らせ】
— PLAYISM (@playismJP) June 22, 2022
『#常世ノ塔』Nintendo Switch版はレーティング変更に伴う対応のため6月22日より一時的にニンテンドーeショップでの販売を停止しております。
ご購入予定の皆様には大変ご迷惑をおかけして申し訳ございません。
早期の販売再開に努めておりますので、お待ちいただければ幸いです。

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ボスの種類が多ければ良かった
面白いけどね
アイテムがあまり活きていないのは同意
値段と開発規模を考えると相応ですかね。
可能なら大型アップデートは期待したいですが。
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