【Melon Journey: Bittersweet Memories】レビュー: メロンが先か、ゲームボーイが先か? – メロンジャーニー:ビタースイート・メモリー

点数評価
クリア時間約4.5時間
プレイ時間約4.5時間
プレイ状況クリア
発売日2023年3月9日
対応機種Steam/Switch/PS4/PS5
プレイ機種Switch
開発元Poppy Works
Froach Club
発売元Beep
ジャンルアドベンチャーRPG
ジャンルの考え方
ネタバレ無し
総評/評判/感想

Melon Journey: Bittersweet Memories(メロンジャーニー:ビタースイート・メモリー)は、ゲームボーイに対するリスペクトの塊のような作品だ。メロンを主軸に置いたストーリーが先なのか、ゲームボーイ風な見た目が先なのか?どちらが先に企画されたのかは不明だが、いずれにせよゲームボーイ愛に溢れている作品であることは間違いない。そのため、ゲームボーイファンには刺さるだろうが、そうでなければ余り響かない可能性が高い人を選ぶ作品だ。従って★3【人を選ぶ】に分類している。本作の原点であるメロンジャーニー1が実際に遊べるレトロカートリッジが付属する限定版は、ゲームボーイファンなら絶対に確保しておきたい。

総合評価
 (3)
革新性
 (4)
ユーザビリティ
 (2)
ビジュアル
 (4)
サウンド
 (4)
プレイ継続性
 (2)
コストパフォーマンス
 (1.5)

違法メロンを巡るおかしなストーリー

Melon Journey: Bittersweet Memories(メロンジャーニー:ビタースイート・メモリー)の主人公『ハニーデュー』は、メロンソーダの製造会社エグランタイン社の従業員だ。ある日奇妙な手紙を残して行方不明になった友人を探すため、メロンの所持が違法とされているホッグタウンを訪れ、メロン合法化を争点にした市長選挙の闇を暴きつつ、失踪事件の真相に迫ることがゲームの目的となる。

メロンジャーニー アイテムの入手
事務方として働く主人公。
メロンジャーニー 見学ツアー
工場ツアーが開催されるほどの大企業。

かわいくてノスタルジックな見た目の裏に、犯罪と腐敗の暗い背景が隠されている

マイニンテンドーストアより

この一文は、マイニンテンドーストアに記載されている、メロンジャーニーの説明文からの抜粋だ。

メロンジャーニーに登場するキャラクターは、ハリネズミや猫、犬、ハムスターなどの可愛い動物たちばかりだが、その舞台となるホッグタウンには、“犯罪”,“腐敗”,“違法”,“行方不明”など、危うげな言葉が頻繁に登場する。

このような説明を目にすると、可愛さとは裏腹に、本格的な推理物であったりシリアスな展開が続くサスペンス物を期待するかもしれないが、基本的には緩い動物キャラクターの見かけ通りに脱力系で、メロンが生活に深く入り込んだ珍妙な世界の面白テキストを楽しめる作品である。

メロン実物以外にも、メロンの加工製品やメロンの種など、あらゆるメロン関連物を所持すると逮捕されてしまうホッグタウンでは、疑似メロンやメロンを模したフレーバーの食べ物などが売られており、非合法であるものの如何にメロンが魅力的な物であるかが伝わってくる。時にはメロンの裏取引の現場に出くわすこともあり、住民のメロンに対する執着心も窺い知ることが出来る。

メロンジャーニー 疑似メロン
スーパーマーケットでは代替メロンが売られている。
メロンジャーニー メロンの裏取引
闇でメロンを取引するタヌキ。

ホッグタウンではメロンの取り締まりが行われる一方で、メロン合法化を主張するネコ王が市長選に立候補しており、歴史の転換期を迎えようとしている。そのような状況下でハニーデューは地下勢力と接触し、友人失踪の真相を探るべく行動する。このようにストーリーの冒頭を書き出すとシリアスで、副題の『ビタースイート・メモリー』に繋がるような展開を予感させるが、やはり登場人物は前述の通り可愛い動物であり、殆どの登場人物が間抜けなので全くシリアスさを感じることはない。

メロンジャーニー デモ
立候補したネコ王に反対する勢力。

次の動画は泥棒蛇が逮捕されるシーンだ。蛇に対して手を頭に回すように指示し、蛇に手足が無いことを突っ込まれるというほのぼのした展開が待っている。メロンジャーニーは全編を通してこのようなテイストのテキストで構成されているので、合う合わないの参考にしてもらいたい。

ゲームとしては、町の中で人に重要人物に話しかけるか、何処かを調べてキーアイテムを手に入れることでフラグを立て、特定の場所に移動すればストーリーが進行するというシンプルなものだ。操作自体も気になった場所に移動してインタラクトするだけであり、途中でミニゲームが挿入されることも無い。古き良きアドベンチャーゲームのスタイルで、緩いキャラクターや面白テキストを楽しもう。

メロンジャーニー 町のカギ
良く分からない設定のカギ。
メロンジャーニー 地下組織の冷蔵庫
地下組織の冷蔵庫にはメロン関連製品がタップリ。

ちなみに、ゲーム内でインタラクトできる場所は非常に多く、むしろインタラクト出来ない場所の方が少ないぐらいだ。色々なパロディネタも仕込まれているので、インタラクトを繰り返してそれらを発見したい。コツコツとインタラクトを繰り返してテキストを読むようなプレイフィールが好きな人は楽しめるだろう。

Sara
Sara

ヘッジとホッグなハリネズミや、眼帯をした蛇など、色々と連想せざるを得ない。

ゲームボーイ風の演出を楽しめるかどうか

メロンジャーニーはゲームボーイ時代を彷彿とさせるグラフィックが特徴的だ。色合いも徹底的にゲームボーイに寄せてきており、初代ゲームボーイの黄緑色のLCDらしさを表現した、緑色の濃淡だけ色彩表現されている。メロンというテーマが先に決まりそちらに寄せたのか、ゲームボーイのような作風が先なのか不明だが、全編を通してこの色調で統一されている。

メロンジャーニー ライトグリーンの屋根を探せ
ライトグリーンの屋根の家を探せと言われても、全部緑色じゃねえか!

メロンジャーニーはあくまでゲームボーイ“風”の作品であり、2023年現在で現役で使われているハード向けに作られている以上、アドベンチャーゲームとして幾らでもリッチな表現が可能だ。しかし、当時のゲームボーイのように、ハード的な制約の下で頑張って作った“風”に仕上げたようなシーンが散見される。

次の動画は、メロンソーダ2.0のリリースに合わせて生産ラインで大慌てしている従業員の様子だ。単に忙しさを演出したいのであれば様々なオブジェクトを動かせば良い訳だが、一部のオブジェクトだけを高速に動かし、数枚のグラフィックの差し替えだけでキャラクターの方向転換や表情変化を表現し、“ハード制約下において工夫して作られたような”慌ただしいシーンが再現されている

とどのつまり、メロンジャーニーは万人向けのゲームではない。インディーゲーム特有の、訳の分からないこだわりに崇高さを感じてしまうような、インディー沼に首までドップリと浸かってしまっているような人向けの作品である。

Sara
Sara

限定版パッケージに実物のゲームボーイのレトロカートリッジが付属するように、当作品はゲームボーイに対する愛情が深い。個人的には気に入っているが、まさに★3【人を選ぶ】に相応しい作品。

バグが多いので小まめなセーブが必須

Melon Journeyは、特定のポイントにインタラクトを繰り返すだけのゲームであり、特に複雑な処理は発生していないと思われるが、それなりの頻度でゲームがエラー落ちしてしまう。筆者の場合、クリアまでの約4.5時間で合計3回のエラー落ちが発生した。

オートセーブは存在しないため、エラー落ちが発生した場合は前回のセーブポイントまで強制的に巻き戻しとなってしまう。セーブを忘れて長時間プレイした後にエラー落ちすると致命的である。エラー落ちが発生するタイミングは、決まって何かに対してインタラクトをした瞬間だ。インタラクトして様々なテキストを楽しむことが目的のゲームなので、エラー落ちを避ける術は無く、小まめにセーブしながら被害を最小限に食い止めるしかない。

また、ゲーム内ではキャラクターの移動速度をアップさせるローラーブレードが手に入るが、これを使用できないバグも発生する。入手したタイミングで示されたボタンを押してもローラーブレードを装備できず、アイテム欄を開いた状態でボタンを押すと装備できることがある。しかし、ストーリーが少し進むと強制的に装備が外れ、何をどうやってもローラーブレードを装備できなくなってしまった。

メインクエスト以外にも幾つかのサブクエストが用意されており、それらは街中で会話を繰り返すことで進行する。目的地を行き来するには、利便性から移動速度アップのローラーブレードを装備したいがそれは叶わなかった。大ボリュームのゲームではないので、移動速度がアップしたところで全体で精々10分ほどの短縮だろうが、それでも使えるはず物が使えないという状況に置かれると、何ともモヤモヤした気持ちになるだろう。

メロンジャーニー クエスト完了シーン
サイドクエストは全5種類。
Sara
Sara

Steam版が後発で2023年4月7日に発売されるので、その際に修正パッチが配信されることに期待したい。

評価ポイントのまとめ

メロンジャーニーは、ゲームボーイ“風”な作品を今の時代に遊ぶことに価値を見出せる人には強くお勧めしたいが、そうでなければ遊んでも余り得るものは無いだろう。ゲームボーイファン向けの人を選ぶ作品である。

長所

  • 可愛い動物達
  • ゲームボーイ風な見た目と演出
  • ゲームボーイ実機や互換機で遊べる、レトロカートリッジ付き限定版

短所

  • エラー落ちが多い
  • 文字が欄外に飛び出ることがある
  • 高めの値段設定
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