点数評価 | ― |
クリア時間 | 約10時間 |
プレイ状況 | クリア |
プレイ時間 | 約11時間 |
発売日 | 2023年7月19日 |
対応機種 | Switch/Steam |
プレイ機種 | Switch |
開発元 | Overflow |
発売元 | HOOK |
ジャンル | ローグライト・シューティング ジャンルの考え方 |
ネタバレ | ラスボスに言及 |
Madshot(ショット)は構築要素を持ったローグライク2Dアクションゲームだ。ただし、能力間のシナジーの発揮は容易で、どちらかといえばアクションゲームファンに向けた難易度が高めの作品となっている。壁蹴りやワイヤーアクションを駆使するアクションは軽快で、武器や強化の組み合わせが上手くハマって敵の大群を一瞬で撃破できた際の満足感は大きい。システム面で詰め切れていない部分もあり荒削りな印象も受けるが、遊ぶ価値はあると考える。一方でSwitch版はとにかくバグまみれで快適に遊べるとは言い難く、セール価格以外で購入することは推奨しない。発売と同時に異常な値引きが行われているので、コストパフォーマンスと点数の評価は行わない。
【総合評価】 | |
革新性 | |
ユーザビリティ | |
ビジュアル | |
サウンド | |
プレイ継続性 | |
コストパフォーマンス | ― |
発売日から90%OFFになっている理由
Madshot(マッドショット)を語るには、まずはその価格設定について言及しておく必要がある。本作は2023年7月19日のリリースと同時にオープニングセールを開催しており、通常定価よりもお得な価格で購入可能となっている。本作はSteamとSwitch向けにリリースされており、Steam版は2380円から40%OFFされて1428円で販売されているが、それに対してSwitch版は2750円からまさかの90%OFFの275円となっている。
本作がクリアまで10時間程度の小振りなインディーゲームであることを考慮しても、発売日初日から90%OFFは異常な値付けだ。しかもプラットフォームによって大きな価格差が産まれていることから、Switch版だけ価格設定を間違ったのではないか?と心配になった。
しかし、本作をクリアまでプレイした結果、この価格設定は“贖罪”を意味するのではないかと思えてきた。何故なら、Swtich版Madshotはバグまみれだからだ。以下は筆者がクリアまでに遭遇したバグである。
- 敵を全滅させても次のステージに進むポータルが出現しない
- ボス戦で倒れると、リスタート後もボスのHPバーが画面に残り続ける
- ボス戦で倒れると、リスタート後も何らかのエフェクト音が鳴り続ける
- 特定の必殺技を連打して負荷が高まると敵が出現しなくなる
- 儀式の進行度がカウントされない
- ジャンプ攻撃で天井に接すると異常なベクトルで左右に加速する
- 本来は侵入不可の画面外に出てしまう
- 前のプレイ時で取得したステータスが合算される
- ラスボスを倒した後に延々と落下し続ける
これらの中でも“敵を全滅させても次のステージに進むポータルが出現しない”の発生率が高く、これに遭遇すると一旦メインメニューに戻るしかない。ローグライクゲームということでメインメニューに戻ると最初からやり直しになるかと思いきや、リスタートするとバグが発生したステージの最初からやり直しができる点だけは救いだ。メインメニューに戻ってリスタートする度に、ステージの内容がランダムに変化しバグが発生しないこともあるので、運が良ければ次のステージに進むことが出来る。
辛抱強くリスタートしている内にクリアはできるものの、低性能なSwitchは例によって読み込み速度が遅いので何かとストレスを感じることは間違いない。
また、ラスボスのクトゥルフを倒すと発生するイベント後に落下し続けるというバグは致命的だ。イベントシーンの会話を見る限りではクリアだと判断するが、ラスボス撃破後にリセットを強要されると流石にプレイヤーのテンションが大きく下がってしまう。
そもそも本作は難易度が高めで、特にラスボスは圧倒的な耐久力を誇り長期戦となる。攻撃はパターン化しているので覚えれば避けられるが、15分ぐらいは気を張って集中し続けなければならないのでプレイヤーの疲れはかなりのものだ。そのため、もう一度エンディングの確認のためにプレイしようという気にはならなかった。
このようなバグまみれな状況でありつつも、何らかの理由でSwitch版のリリースを延期できなかったのだろう。そしてバグを考慮すれば、90%OFFの275円程度が妥当だという判断をしたのではないだろうか。
従ってMadshotの正しい遊び方は、“2023年8月2日23時59分までのセール期間に、90%OFFという破格でSwitch版を購入しておき、修正パッチが配信されるまでは一旦プレイを保留しておく”か、“40%OFFのSteam版を購入する”である。
Steam版にバグが無い保証はできないので自己責任。
狙ったシナジーを取得しやすい、定番のルート選択式の構築型
Madshotは、クトゥルフ神話に着想を得た、ステージ制の2Dアクションゲームだ。1ステージはどれでも狭いフィールドで構成されており、所狭しと敵が湧いてくる。敵を全て撃破するとクリア報酬が手に入り、出現したポータルに入ると次のステージへ進むことが出来る。ストーリーも設定されているが、ごく僅かであり気にする必要はないだろう。
ステージはランダムに出現するが、プレイヤーにある程度の選択権が与えられている、いわゆるSlay the Sipre方式が採用されている。各エリアにはエリアボスが待ち構えているので、そこに到達するまでにどのような強化を得るか考えるという、構築型のゲームでは最早定番となったルート選択方式だ。
ルートの選択方法は定番とはいえ、本作にはオジリナルの要素として“スカウト”という仕組みが用意されている。本作ではルートが全てが開示されている訳ではなく一部はハテナマークとなり、実際に踏み込むまでは何が待っているか分からない。強化タイプやエリートタイプの敵を避けたい場合や、特定の強化を狙いたい場合には、スカウトを消費することでハテナマークを開示することができる。しかしスカウトの数は決まっているので、必ず何回かはリスクを背負ってハテナマークに踏み込む必要が出て来る。どこでリスクを背負うかはプレイヤーの判断力次第となる訳だ。
本作ではルート選択と戦闘を繰り返し、“改変”という新しい能力を3択で手に入れることで、プレイ毎に能力の構築内容を変えていくのだが、本作は構築によってシナジーを発揮することよりも軽快なアクション操作に重きを置いている。従って、構築によって強力なシナジーを発揮させることはそう難しくない。というのも、基礎となる能力を取得することで初めて、それとシナジーを持った新たな能力がアンロックされる仕組みだからだ。
例えば次のスクリーンショットは、“ヘックス”,“ほうしゅつ”,“ポイズン・コート”という新しい能力が選択肢として現れた状況である。基礎能力である“ほうしゅつ”と“ポイズン・コート”に対して、“ヘックス”は呪い付与の能力からアンロックされた、シナジーを発揮する能力だ。“ヘックス”の下にアンロックという文字とアイコンが一つ書かれていることから、“ヘックス”を取得すれば呪いとシナジーを持った能力が更に一つ抽選対象に加わることを意味している。この状況で毒付与の“ポイズン・コート”を取得すれば、こちらはアンロックのアイコンが二つなので、新たに毒とシナジー持った2種類の能力が抽選対象に加わることを意味する。
このように、能力取得時の抽選対象は基礎能力から始まり、抽選対象の拡大をプレイヤーがコントロールできる。基礎能力以外はアンロックしない限り出現しないので、デッキ構築型のゲームによくある、系統違いのコンボパーツだけが揃って、何のシナジーも発揮していないという状況が発生しにくくなっている。そのため、普段は構築型のゲームを遊ばないアクションゲーマーであっても手を出しやすくなっていると言えるだろう。
本作は能力のシナジー発揮が簡単な代わりに、アクション面はなかなかにハードだ。2弾ジャンプ、壁蹴り、ワイヤーぶら下がりなどを駆使しながら敵の猛攻を捌くことになるが、ステージ内は狭いにもかかわらずバトルスピードは速いので慣れない内は処理が追い付かないことも多い。
また、後半のエリアへ進んでいくと、崩れる足場,大ジャンプする踏板,自由に浮遊できる空間,特定の位置へのワープなどのギミックも増えていくので、敵の攻撃の激しさと相まってステージが進む度に慌ただしくなっていく。幸いにも、敵との接触ダメージは設定されていないので、敵の攻撃に注視しつつも大胆にステージ内を動き回ることがクリアの秘訣となっている。
なお、本作には操作タイプの設定が幾つか用意されている。ボタンで攻撃を手動発動する操作タイプや、スティックを倒せば自動攻撃する操作タイプを、好みに応じて変更することが出来る。また、エイム補助も用意されているので難しいと感じればそれも活用していきたい。
アンロック要素が豊富だが、システム面では粗が目立つ
本作の主人公の初期装備はスタンダードな性能の二丁拳銃だが、拠点にて“儀式”というお題を受注して達成すれば、三連撃の大剣,発射レートが低い高威力の銃,発射レートが高いが低威力の銃など、全5種類の武器がアンロックされる。また、お題を達成することによって、武器以外にもトランスミューテーションという、アクセサリー的な装備品をアンロックすることができる。トランスミューテーションはコストの範囲内で自由に組み合わせできるので、自分のプレイスタイルにあったステータスの底上げが可能となっている。
トランスミューテーションを装備するコストは、洞察力という通貨を消費することで増やすことができ、トランスミューテーションの効果はエーテルという通貨を消費することで強化できる。これらの洞察力及びエーテルは入手さえすれば周回を重ねても失われない、持ち越し可能な通貨である。
また、洞察力はトランスミューテーションのコスト増加以外にも、ボス戦で使える補助アイテムをアンロックしたり、エリアとエリアの間にショップをアンロックさせることができる。
他にもエリアボスを倒す度に手に入る通貨を消費して新しい必殺技を購入することが可能。
前項で紹介したシナジーに加えて、武器,トランスミューテーション,必殺技を組み合わせて好みの構築を探すことが楽しく、低価格のゲームにしては意外と探求の充実感を得ることが出来る。また、うまく構築が噛み合って効率よく敵を蹴散らせるようになると一気にプレイの爽快感がアップするだろう。
新たなアンロックを元に構築を考えることが楽しめるのは良いことだが、本作に用意された6エリアに登場するボスは、最初の1体目以外はすべて固定である。そのため、結局はこちらも戦いやすい構築を一度見つけると、プレイスタイルが固定されがちだ。前項で説明した通りシナジーを発揮する敷居が低いために、ある程度の時間を遊ぶと意外な組み合わせに驚くような、ローグライクゲーム特有の体験は薄くなっている。
また、エリアとエリアの間ではトランスミューテーションの切り替えが出来るものの、殆ど活用の機会が無いことが残念だ。ボスのパターンが幾つか用意されており、エリア突入前にボスを確認できてそれに合わせて、武器やトランスミューテーションを最適に切り替えるような遊び方が用意されていると面白かっただろう。
そして、エーテルや洞察力と言った恒久的なバフを得るための通貨だが、これらはある程度までバフのアンロックが終了すると、報酬としては意味を成さなくなる。ハテナマークに入った際にエーテルや洞察力が報酬として出現すると、戦い損でしかない点が残念だ。クリアを目指す際には、エーテルや洞察力が報酬になっているマスを避けるためにスカウトを消費することになり、本来の目指したあろう遊び方とは異なってくる点も気掛かりだった。
『光る物があり遊ぶ価値はあるが荒削りな作品』という表現がぴったり。
評価ポイントのまとめ
定価であればとてもプレイを進められないが、破格の割引価格であればプレイしても良いだろう。アップデートにてバグが解消される保証も無いので、出来ればSteam版を購入した方が良い。
長所
- 軽快なアクション
- プレイし甲斐のある難易度
- 安い(Switch版)
短所
- バグが多い
- ラスボスが硬すぎる
- 最初のエリア以外のボスが固定
- 通貨アイテムがクリアを目指す際に邪魔
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