点数評価 | 70点 |
プレイ状況 | トロフィー:13% |
プレイ時間 | 約5時間 |
発売日 | 2019年12月19日 |
対応機種 | Steam/Switch/PS4/PS5/Xbox |
プレイ機種 | PS4 |
開発元 | Bugbear |
発売元 | THQ Nordic |
ジャンル | レース ジャンルの考え方 |
ネタバレ | 無し |
【総合評価】 | |
革新性 | |
ユーザビリティ | |
ビジュアル | |
サウンド | |
プレイ継続性 | |
コストパフォーマンス |
Wreckfest(レックフェスト)は、2019年12月19日にPS4で発売された、破壊要素を全面に押し出したレースゲームだ。PS5版が2021年5月6日にPS Plusのフリープレイ入りしたので遊んでみた。
筆者は車に興味が無いので、レースゲームを積極的に遊ぶ方ではない。そのため、レースゲームと言えば有名どころのグランツーリスモと、パーティゲーム寄りなマリオカートぐらいしか遊んでいない。マリオカートは全作やり込んでいるが、リアル系のレースの経験は数えるほどだ。
そんなレースゲームにさほど入れ込んでいない筆者がWreckfestをプレイして一番最初に感じたことは、
Wreckfest(レックフェスト)=汚いグランツーリスモ
である。
グランツーリスモは上級者のプレイを観戦すれば、絶妙なライン取りや、タイヤ交換や給油のためのピットインの駆け引きが面白い。しかし実際にプレイすると、コーナーで追突されてコースアウトしたり、意図せずライバルに追突してペナルティを課せられたりとストレス要素が多くて辟易した。
Wreckfestは、リアル志向なレースゲームながらも追突は当たり前。むしろ追突からの逆転は推奨されるテクニックだ。マリオカートのようなカジュアル寄りな見た目のゲームではないが、車を滅茶苦茶に操作して遊びたいというニーズを叶えてくれるレースゲームである。
想像していたよりも本格的なレースゲーム
Wreckfestをスタートすると、至る所に錆が浮き側面がボコボコになっているボロ中古車を渡される。ゲームがフルにインストールされていなくても車体のカスタマイズは可能なので、まずはボロ車を改造するところからこのゲームは始まる。
一通り外観を変えると次に“チューニング”という項目にも目が行くはずだ。何をチューニング出来るかというと、サスペンション,ギア比,デファンレンシャル,ブレーキバランスの4項目を5段階で変更可能だ。どの項目をどう変化させると、車体の挙動にどのような影響が出るかについては、画面の右側に論理的な説明が表示されるので、車初心者でも分かり易い。
Wreckfestは車体をぶつけまくるバカゲーであり、車のセッティングについては細かい設定は無いものだと思い込んでいたので、このチューニング項目の存在は意外であった。説明を見てもチューニングの意味が良く分からないという人は、マリオカートで例えると、ギア比を下げればヨッシー,ギア比を上げればドンキーコングなので、慣れるまではギア比を下げれば良いだろう。
細かい調整もできることに感心しつつも、レースを開始すれば追突事故のオンパレードな、期待通りの汚いレース展開が待っている。ライバルに追突してスピンさせると、評価点のようなものが加算されることからも分かるように、ダーティな走りで相手を攻撃することが推奨されている。しかし、追突攻撃を仕掛けた側も相当にタイムロスしてしまう。手あたり次第にアタックしていると勝てないので注意が必要だ。
グランツーリスモでは燃料切れになるとリタイアになってしまったが、Wreckfestには燃料が設定されていないため幾らでもフルスピードで走ることが出来る。しかしながら、車体には耐久値が設定されており、耐久値を超えるダメージを受けると車体が完全に破壊されてリタイアとなる。また、リタイアまで行かなくとも、ブレーキやギアボックスなどの重要なパーツが破壊された場合には走行性能がダウンしてしまう。レース序盤から積極的にアタックしているとゴールまで車体が持たないので、まずは自分の腕前を信じてレースを楽しみ、ここぞというタイミングでライバルを撃破しよう。
大きくコースアウトしたり、車体が転倒した場合には、△ボタンを2秒長押しすれば当たり判定無しの無敵時間を伴ってコースに復帰できる。そのため、ライバルをアタックで場外に押し出したとしても即座に復帰されて、次のコーナーで減速した際には側面から追突されて高確率で復讐されるだろう。アタックされた相手に復讐できた時は痛快だが、出来なかった時は悔しさがこみ上げてくる。アタックの応酬は間違いなくWreckfestの醍醐味である。
従って、オンライン対戦で接戦になった際には、そのままドライビングテクニックで抜くのか?体当たりしてスピンさせるのか?という駆け引きも重要になる。
なお、コースは綺麗に整地されているとは限らず、起伏に富んだバンカーコースも用意されている。そのようなコースでは、先頭を走っている車に追い付けない状況でも、諦めずに走っていれば意外と事故で破損リタイアが発生して順位が繰り上がることがある。次の動画は、ぶっ飛んで空中滞在時間の合計が5分を超えたトロフィーを取った時の様子だ。この程度のクラッシュはちょっとした操作ミスで頻発するので、最後まで諦めずに走ろう。
レースモード以外にも、球状のグラウンドで車をぶつけ合ってスコアを競う、あるいは最後の1人まで生き残りを競う、デスマッチモード(マリオカートでいうところのバトルモード)も用意されている。競技性は低いがストレス解消には持って来いだ。
なお、レース,バトルどちらのモードにもチーム戦が用意されている。個人的には、レースはチーム戦の方が面白く感じた。何故かというと、レースの先頭集団に敵チームが多ければ、道が狭くなったりヘアピンカーブに入るタイミングで、敵を複数台まとめてクラッシュさせたり、自分が大破してリタイアしそうなら逆走して敵チームのトップに正面衝突して道連れにするなど、ゲームの特性を活かしてチーム貢献が出来るからだ。混戦の中で、狙い通りにライバルをクラッシュさせて勝利を重ねることが出来れば、クラッシュ職人感覚でゲームを楽しむことも可能だ。
このように、Wreckfestはリアル志向ながらも存分に破壊を楽しめて、レースモードではある程度の駆け引きも要求される一風変わったレースゲームである。
車種限定戦が楽しいキャンペーンモード
Wreckfestは、オンライン対戦がメインのゲームだが、CPU相手のキャンペーンモードも充実している。
決められた車種やルールでレースをクリアし、ポイントを一定値貯めれば新しく上位のレースが解禁されていくという仕様だが、途中で明らかにおかしい設定の対戦が混じっており、本気のレースの合間にひと時の安らぎを提供してくれる。スクールバス限定戦、小形芝刈り機のデスマッチ、魔改造してエンジンを取り付けたソファで走るレースなど、実にバカげたイベントが多数用意されている。
なお、CPU戦であれば、一時停止してからフォトモードで衝撃的な写真を撮り放題である。Wreckfestは、通常価格3,960円と比較的安めな価格帯にしてはグラフィックが綺麗な部類なので、大破した車から破片が飛び散る様子や、車種限定戦のユニークな場面は撮り甲斐がある。その一瞬の為にレースそっちのけで体当たりを繰り返すプレイヤーも多いことだろう。
オンライン対戦の息抜きに、写真撮影も兼ねてキャンペーンモードを遊んでいきたい。
長く遊ぶかというと疑問が残る
ぶつかってもペナルティが無いからグランツーリスモほどイライラしない。一方でマリオカートのように簡単にドリフトできる訳でもなく、適度にリアルなレースを楽しめる。と書けば聞こえは良いが、やはりリアル志向にしてもパーティゲームにしても中途半端である。
余程レースゲームが好きで作品ごとの細かい違いを楽しんだり、無類の車好きでこの車が出ているからプレイしたいという欲求が無い限り、そこまで長く遊ぼうとは思わないだろう。オンライン対戦のレースでライバルの尻を押し放題だけでは継続して遊ぶ動機に弱く、特徴を存分に活かしたデスマッチも競技性が低いため厳しい。そのため、割と早く飽きがやってくる。
ちなみに、観戦モードが充実しているので、レース全体を見ているだけでも楽しい。車体番号とカメラワークを選び、順位や車体コンディションなどの情報も含めて観戦可能。レース好きであれば、観戦モードでオンライン対戦を眺めているだけでも価値があるかもしれない。
Wreckfestは決して面白くない訳ではないが、レースゲームのジャンルに新たなメジャータイトルを新しく生み出すことの難しさが良く分かる作品だ。
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