点数評価 | – |
プレイ状況 | クリア 実績250/1000 |
クリア時間 | 約3時間 |
プレイ時間 | 約3時間 |
発売日 | 2021年11月2日 |
対応機種 | Switch/Steam Xbox (Gamepass) |
プレイ機種 | Xbox Series X |
開発元 | Witch Beam |
発売元 | Humble Games |
ジャンル | パズル ジャンルの考え方 |
ネタバレ | 無し |
Unpacking (アンパッキング)は、引っ越しの開梱作業に特化したパズルゲームだ。ある人物の引っ越しを20年間追い続け、人生のターニングポイントにおける引っ越し時の段ボール開墾作業を通じて、所有物の変化から人生を感じ取ることがゲームの目的となる。小振りながらも高尚な雰囲気は、インディーゲームならでは。リアルで整理整頓が苦にならない人にはオススメしたいが、そうでなければオススメしない。ただし、ゲームパス加入者であればプレイしてみよう。配信されているサウンドトラックは作業用BGMとしてアリ。
ダンボール開梱特化のパズルゲーム
Unpacking (アンパッキング)は、ゲームタイトルが示す通りに“開梱”がテーマだ。プレイヤーが行うことは、ダンボール箱から荷物を取り出して、所定の位置に配置することだけである。しかしながら、持ち物の変化から部屋主の20年間を読み取ることが出来る、ナラティブなパズルゲームでもある。
ゲームは1997年に、ある人物の部屋を片付ける場面からスタートする。取り出したダンボールの中身を正しく配置すると年代が進み、部屋主が新しい部屋に引っ越をしてライフスタイルが大きく変化する。新しく増えた物や、年代が進んでも変わらず愛用している物、部屋の共有スペースの使い方などから、部屋主の人生が何となく伝わってくるはずだ。
部屋主に発生した人生のイベントについては、テキストによる具体的な説明は無い。そのため、プレイヤーは黙々と片づけをしながら想像力を働かしていくことになる。その想像に特に正解は無いので、プレイヤーが好きに解釈すると良いだろう。
例えば、最初の部屋で片付けた衣類から、部屋の持ち主は女性であることが分かる。途中から男物の服が登場することから交際状況が見えてきたり、仕事で何らかの成功を収めたのだろうか、トロフィー的なオブジェクトが追加されたりもする。プレイヤーはまるでプロファイリングでもしているかのような気分になるだろう。
ダンボールから取り出した荷物は、所定の位置と言っても、それなりの自由度を持って配置可能である。本であれば本棚の何処に収納しても良いし、衣類であればハンガーに掛けても、畳んで棚や引き出しに収納しても良い。壁のポスターやイラストも配置も自由だ。当然ながら、適当に物を床置きしている場合はクリアとならない。また、家電製品であれば、コンセントの近くに設置するなどの配慮も必要となる。
配置が間違っているオブジェクトは、全てのダンボールを開梱後に赤色の枠で縁取られる。全オブジェクトを正しく配置すると、自動で画面右下に☆マークで通知が出るので、それをインタラクトするとステージクリアとなる。
なお、クリア条件を達成した後も、自分で納得がいくまで配置の変更は可能となっている。インテリアシミュレーターとまでは行かないが、部屋作りが趣味であれば、好みの部屋にカスタマイズすることに面白さを見出せるかもしれない。ゲームを構成するドット絵は、しっかりと細部まで描き込まれて出来が良いので、満足の行く部屋が完成すれば達成感があるだろう。
なお、ダンボールから取り出した荷物だけでは無く、最初から部屋に設置されている小物類も動かすことが出来るが、大物家電や棚は動かすことが出来ない。
ゲームの序盤は最初は荷物も少なく、片付ける部屋も1部屋だけだが、年代が進むにつれて徐々に物も部屋も多くなってくる。最初は適当に棚に突っ込むだけでもクリア出来るが、ステージが進むと、デッドスペースが発生するような置き方では全てが収まりきらなくなってくる。段々とパズルゲームらしさを感じてくるはずだ。
Unpackingは引っ越しに伴う開梱がテーマなので、誰もが経験するであろう、“引っ越しあるある”が幾つか登場する。
例えば、寝室に置いてあるダンボールの中から、何故かキッチン用品が出てくる。或いは、棚に本を並べ終わったと思ったら、別のダンボールから一冊だけ分厚い本が出て来て並べ直し。などなど、ダンボールの容量の関係で不本意な荷造りをした結果、何処に行ったか分からなくなり、開梱の終盤にやり直しを喰らうというアレだ。
プレイヤーから見れば、単純に置き直しが面倒くさいだけなのだが、“Unpacking”というゲームタイトルに相応しい演出といえるだろう。
アイデアは面白いが、途中から面倒くささを感じる
さて、Unpackingは、パズルゲームながらもリリース10日で10万本を売り上げ、幾つかアワードを受賞し、XboxGamePass入りも果たしているような、世間一般から見れば“高評価”なゲームだ。しかし、筆者はこれに対して★3.5 “人を選ぶ”という評価を付けることになった。
年代の経過を通じて、荷物から感じ取るナラティブなパズルゲームという、今までに無い試みは面白い。しかし、物が溢れて来る中盤からは、普段から整理整頓が好きな人でない限り、丁寧に細部にこだわった配置を考えるのは面倒くさいのではないだろうか。
筆者は普段から片づけが苦手なタイプの人間だ。リアルの片付けすら面倒なのに、ゲーム内でも細かい配置を気にして居られない。本来であれば、物の取り易さや作業効率も考慮しつつ、見た目の美しさにも配慮したいところだが、途中からはそれらを一切無視して配置さえ出来れば良いというプレイスタイルになってしまった。
特に、キッチン用品に関しては、型抜きや計量カップのような小物類が非常に多く、更には引き出しの中に仕舞い込むことになり、部屋の見た目にも関係が無くなるので、単純に煩わしさしか感じなかった。ゲームですら、外から見えない部分まで綺麗にするという人間は、なかなかレアなのではないだろうか…。
某オンラインゲームでも、筆者のマイハウスは物置代わりで効率重視。インテリアの欠片も無い。
ゲームの終盤になると、何に使うのか良く分からない小物や、風呂場で使うのか洗面で使うのか、見た目から判別不能なボトル類が頻出する。生活用品に精通している人であれば、入れ物の形状から判断着くのかもしれないが、残念ながら筆者の場合は全く分からず、偶然正解するまで適当に置きまくるシーンに頻繁に遭遇した。
小物や判別不能品以外でも、思い込みによってクリアに至らないこともなる。筆者が最もてこずったのは、次のスクリーンショットで冷蔵庫に張ってあるホワイトボードだ。筆者はこれを、初見でペンタブレットだと思い込んでしまったため、パソコン周辺に配置したり、キャビネットの中に収納したりと、試行錯誤を繰り返すことになりタイムロスすることになった。
ホワイトボードは冷蔵庫に張り付けることが正解なのだが、冷蔵庫には写真や磁石も張り付けることが出来る。そのため筆者の場合、最初に写真を雑に張ったためにホワイトボードのスペースが無くなっていた。そうなると、冷蔵庫近辺にホワイトボードを持ってきても、設置可能を示す反応が出てこないため頭を悩ませることになった訳だ。設置可能であれば、別の物が置いてあったとしても、何らかの方法で表示する仕組みが欲しかった所である。
一度冷蔵庫に張ればホワイトボードにしか見えないが、ドット絵のゲームで思い込むと発想の転換が難しい。
Unpackingのステージは全8種類で、筆者の場合はクリアまでは約3時間だった。2周目やクリア後要素は存在しないため、約2000円という値段設定からは、コストパフォーマンスの悪さを感じるかもしれない。(筆者はゲームパスで遊んだので特に気にしていないが)
なお、実績は調べなければ見つけにくい物が多いが達成は容易。例えば、特定のぬいぐるみを2体並べる、マネキンに帽子をかぶせる、ルービックキューブをインタラクトするなど、数工程で取得可能な実績が殆どだ。実績をブーストしたい人にもオススメしたい。
RTAで無茶苦茶な配置でクリアするという遊び方もアリかもしれない。効率配置を極めて、クリアは出来るものの“絶対に住みたくない部屋”を作り上げるようなプレイングを見せれば、配信で盛り上がりそうである。
Switchのパッケージ版発売決定
2022年12月15日、ニンテンドーSwitch版にてパッケージ版が追加で発売されることになった。特典として引っ越し用のダンボールに見立てた外箱が付属。コレクター心をくすぐる一品となっている。
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