点数評価 | 90点 |
プレイ状況 | 偽エンディングと少し (PSP版で全クリア済み) |
プレイ時間 | 約7時間 |
発売日 | 2010年3月11日 |
対応機種 | PSP/PS4/PS5 |
プレイ機種 | PS5 |
開発元 | ACQUIRE |
発売元 | ソニー・インタラクティブエンタテインメント |
ジャンル | ダンジョン・マネージメント ジャンルの考え方 |
勇者のくせになまいきだ:3Dは、当記事を投稿した2022年7月現在、発売から12年4か月以上経過したゲームだ。しかし、この記事のタイトルにある通り、今遊んでも十分に通用する面白さである。元々レトロ調のグラフィックということもあり、古さを感じることもない。パロネタは流石に12年も経てば若年のゲーマーには通じなくなったものも多いだろうが、そこはレトロゲームの宿命なので目を瞑るしかないだろう。クラシックスカタログの巻き戻しとクイックセーブ機能が、当ゲームのPSP版のリトライ性の低さをカバーしており、満足度の高い作品となっている。
勇者のくせになまいきだ:3Dは、プレイヤーが1本のツルハシ(破壊神)となりダンジョンを掘り進み、侵入してくる勇者を撃退するゲームだ。ダンジョン内部には様々な魔物が暮らし、それらの食物連鎖が成り立っているので、ビオトープとしてのダンジョンを管理しながら勇者を迎え撃つ。
2022年7月19日により、PlayStation Plusにてプレミアムのサービスに加入していれば無料で遊ぶことができる、クラシックスカタログとしてPS4/PS5向けに提供されている。
難しいが達成感のあるダンジョンマネージメント
世界に平和はおとずれない!!
と、魔王の侵略宣言で始まるゲームが、“勇者のくせになまいきだ”のシリーズ3作目、勇者のくせになまいきだ:3Dである。
“勇者のくせになまいきだ”は、一般的なRPGとはプレイヤーの立場が逆転し、魔王討伐に向かってくる勇者を撃退するために、ダンジョンを構築・管理するゲームだ。
ゲーム画面はアリの巣の観察キットのような見た目をしており、画面上部がダンジョンの入り口となっている。そこから敵である勇者御一行が侵入してくるので、プレイヤーは下へ下へとダンジョンを掘り進み、モンスターを効率的に配置したうえで、ダンジョンの奥深くに魔王を隠して守らなければならない。魔王は威勢こそ良いものの戦闘力はゼロなので、勇者に捕まると一切の抵抗をせずに簀巻きにされて地上に引きずり出されてしまう。
しかし、モンスターを配置するといっても、ダンジョン内は完全に土に埋まっており、ゲームスタート直後は一切の生物が存在しない。そこで、養分の詰まった壁を壊すことでニジリゴケという、スライム的なモンスターを出現させるのだが、このニジリゴケは壁の養分を吸い出して、別の壁に運ぶ習性を持っている。そこで、ニジリゴケをうまく誘導することで一部の壁に養分を集中させ、その壁を破壊することで、新しい上位モンスターを生み出すことが可能となっている。
上位モンスターは下位モンスターを捕食することで繁殖をしていくので、その食物連鎖を崩さないようにバランス良くモンスターを生み出すことが重要となる。食物連鎖が崩れた場合、モンスター達は一気に餓死してしまうので、特定のモンスターが多すぎると感じた場合は間引きして調整を行う。
愛着が沸いたモンスターも涙を呑んで間引く。
モンスターを増やして、増え過ぎたら間引きする。生態系の管理は基本的にはこれだけだが、この作業がデリケートで非常に難しい。とりあえずスライムを大量に沸かせておけば大丈夫という訳でもなく、無駄にダンジョンを広げてしまうと目の行き届かない箇所が増えてしまい、必ず一部で生態系の崩壊が発生するので注意が必要だ。
また、死んだモンスターや勇者達は養分を周囲に撒き散らし、勇者が唱えた魔法によって魔分が壁に染み込む。それらの壁は、破壊されることで新たな戦力や餌として生まれ変わる。そのため、養分や魔分が散らばらないように、戦線が広がり過ぎないようにダンジョンを構築しなければならない。
最初は意味も分からず掘りまくり、生まれた魔物を各個撃破されたうえに養分も散らばり、手も足も出なくなってゲームオーバーになることは必然だ。しかし、繰り返し遊ぶことで、モンスターの繁殖や行動のパターンを把握し、入り口付近で大群を用意して勇者を瞬殺できるようになると、大きな達成感を味わえるだろう。
最初の数ステージで勇者を瞬殺出来るようになった喜びも束の間、すぐさま状況を覆されて盤石だと思っていた布陣が一気に崩壊するだろう。襲来する勇者には、戦士、魔法使い、僧侶、錬金術師など職業が設定されており、タイマンが得意だったり、範囲攻撃が得意だったりと特徴は様々だ。そのため、序盤ステージを安定してクリアできるようになったとしても、新たな職業の登場により今までの掘り方を完全に覆されるような状況に陥ることは必然である。なお、勇者とモンスターの戦闘は完全にオートだ。戦闘は見守るしかないが、戦闘途中に壁を掘ってモンスターを誘導したり、スキルで一時的なサポートを行うことができる。
勇者の職業特性に対応するためには、ダンジョンの掘り方だけではなく、モンスターをアップグレードするための“堀りパワー”を使うタイミングの再検証も必要になってくる。どのステージでどの程度掘って、どのモンスターを、どこまで強化すれば良いのか、その匙加減が一向に掴めず、何度も魔王を攫われてゲームオーバーになるだろう。アップグレードの度合いによっては、モンスターの繁殖速度も変化し、生態系の維持の感覚も狂ってくるので、ダンジョン・マネジメントの方針が混迷を極めてくること間違い無しだ。
掘り方、使うモンスター、アップグレード、どれか少し変えるだけで状況が大きく変わるので、各ステージのラスボス勇者を撃破するための最適解を見つけることは容易ではない。しかしながら、勇者のくせになまいきだは、公称ジャンルが“ダンジョン・マネージメント”なので、管理することがゲームの主たる目的であり、意図的に難易度が高く設定されている。生態系を管理することの難しさを骨身に染み込ませながら、トライ&エラーを繰り返すことがこのゲームを遊ぶプレイバリューそのものである。
最適解を調べて簡単にクリアすることが目的では無く、状況に対応する過程が重要。トライ&エラーで模索することが好きな人は絶対にハマる。
度が過ぎる気もするパロディ
勇者のくせになまいきだ:3Dは、3作目の3Dに限らずシリーズ通してパロディネタが盛り沢山だ。ステージ名、ダンジョンに侵入してくる勇者の名前、セリフなど、ほぼ全てが何らかのパロディでありネタの宝庫となっている。
例えば、ステージ1-3の隠し勇者の名前は『シャスカ』だが、これは機動戦士ガンダムシリーズのシャアと、新世紀エヴァンゲリオンのアスカをミックスしたものだ。セリフの『チャーンス!私は運がいい』も、アスカの代名詞とも言えるセリフと、マッドアングラー隊に左遷されたシャアが早々にホワイトベースと巡り合った際のセリフを連続させたものになっている。メビウスの輪は逆襲のシャアから、自信家はエヴァのアスカの性格からである。
ちなみに、シャスカは後のステージでも再登場し、その際には波平ドレンという名前の部下を引き連れてやってくる。ドレンはシャアの部下であり、声優がサザエさんの波平と同じということからの直球的な名前だ。そしてそのステージ名称は『ふしぎだ・・・ダンジョン・・・』となっており、そちらはアスカの名前に引っ張られて、不思議のダンジョン外伝 アスカ見参とのパロディになっていたりする。ネタがネタを呼ぶ、度が過ぎた状況になってくるので、その辺りは好みが分かれるかもしれない。
このように、ありとあらゆるステージでゲーム、マンガ、アニメのネタがしつこいぐらいに仕込まれている。ゲーム序盤では、ファミコン用ソフト『えりかとさとるの夢冒険』が妙に推されていたりと、マニアックなパロディが多く何のネタか分からないことも多い。
元ネタを調べるという遊びも楽しみたい。
なお、これらのネタは改めて勇者図鑑にて詳細を確認することができる。図鑑の本来の使い方は、ゲームオーバー後に、勇者の攻撃力や物理・魔法防御力などのステータス、分岐の動きや狙うモンスターなどの行動パターンを把握し、次の挑戦に役立てるもののはずなのだが、それ以上にネタがぎっしりと詰め込まれている。
特定の条件を満たさなければ出現しない隠し勇者や、トレーニングモード専用の勇者も多いので、隅々までプレイして図鑑を完成させたい。
巻き戻しとクイックセーブで遊びやすさが向上
状況の巻き戻し機能と、ゲーム内のセーブのタイミングに関係なく状況を保存できるクイックセーブ機能は、クラシックスカタログ対応ゲームの共通機能だが、勇者のくせになまいきだ:3Dにおいてはその恩恵が非常に大きい。
勇者のくせになまいきだシリーズは前述の通り難易度が高いゲームだ。ダンジョンマネジメントのために特定のモンスターを生まれさせようとした瞬間、ニジリゴケが養分を移動さえて別のモンスターが生まれてしまうことが多々ある。トカゲ男を出すつもりが、ガジガジムシを1匹出してしまっただけで、生態系が崩れてしまうことなど日常茶飯事だ。間違って出現させた場合は、諦めてそれに沿った生態系を作るか間引くしかないのだが、生態系を作り直すことは難しく、慌てて間引こうとして別の場所を掘ったり、別のモンスターを間引いたりと2次被害が発生することも多い。
ちょっとしたワンミスで取り返しがつかなくなり、最初からやり直しという場面に遭遇することも少なくないので、ゲーム後半の勇者相手に理想のダンジョン形状で練習回数を重ねることが難しい仕様となっている。後半戦のリプレイ性の低さから、自力でステージ3をクリアする難易度はかなり高く、PSP版では攻略サイトなどを頼ったプレイヤーも多いことだろう。
しかし、巻き戻し機能とクイックセーブ機能を使えば、最初からやり直すことが無くなり、容易にトライ&エラーを繰り返すことが可能となっている。問題点が完全に解消されたことで遊びやすさが格段に向上したため、クラシックスカタログで遊ぶことを前提に神ゲーに分類した次第だ。
ただしPS5で遊んでいるとUI面の不整合で混乱することも。PSPのゲームなので決定は〇だが、巻き戻しやセーブの時だけ×で決定になる。
以上のように、勇者のくせになまいきだ:3Dは、ネタ満載のテキストが楽しい一方で、奥深い生態系管理のマネージメントと些細なミスが命取りになる難易度の高いゲームだ。巻き戻しとクイックセーブの存在が、ゲームシステムの評価に直結した例でもある。頭を捻って考え抜くゲームを探している人は是非遊んでもらいたい。
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