点数評価 | 70点 |
クリア時間 | 約5.5時間 |
プレイ状況 | クリア 実績:240/1000 |
プレイ時間 | 約5.5時間 |
発売日 | 2021年6月11日 |
対応機種 | Steam/Xbox (Gamepass) PS5/PS4/Switch |
プレイ機種 | Xbox Series X |
開発元 | Wishes Ultd., Greg Lobanov, Alexis Dean-Jones, Lena Raine, Madeline Berger, A Shell in the Pit |
発売元 | Finji |
ジャンル | トップダウン視点のアドベンチャー ジャンルの考え方 |
ネタバレ | 無し |
チコリー 色とりどりの物語(Chicory: A Colorful Tale)は、『Wandersong』や『Celeste』を手掛けた開発陣の新作だ。大分類上はアドベンチャーゲームだが、少々のジャンプアクションと色塗りで発動するギミックをコントロールするパズルゲームが評価の多くを占めている。緩い雰囲気の作品に見えるが、メンタルヘルスに関する問題がテーマとなっている。そのため、メインストーリーは終始重めな雰囲気となっており、それに関しては賛否両論だろう。アートを要求されるシーンはコントローラー操作に限界があるため、ユーザビリティの評価を下げることになった。PC版をマウス操作で遊んだのであれば、評価が高くなる可能性あり。
【総合評価】 | |
革新性 | |
ユーザビリティ | |
ビジュアル | |
サウンド | |
プレイ継続性 | |
コストパフォーマンス |
アーティストの心の闇をテーマにしたストーリー
『チコリー 色とりどりの物語』というゲームのタイトル名に含まれる「チコリー」とは、本作に登場する超有名なアーティストであり魔法の絵筆の持ち主だ。そんなチコリーが行方不明になったことで国中の色が失われてしまい、主人公(名前は自由に設定可能)が偶然にも絵筆を引き継いで世界に色を取り戻そうとする場面から本作はスタートする。
本作はトップダウンビューのアドベンチャーゲームであり、プレイヤーは主人公を操作して幾つかの村を巡っていくことになる。行く先々では、村人の要望通りに色を塗って感謝されたり、アートとしての表現方法の方向性に意見が食い違ったりと、色をテーマにした様々なイベントが用意されている。
用意されている村人との会話は豊富で、1回の会話で話が終わることは無い。面白そうな村人を見つけた場合は、インタラクトできなくなるまで何度も話しかけることを心掛けたい。日本語翻訳の質も高く、村人との会話をしっかりと楽しむことが出来るだろう。
冒険の舞台は全て白黒なので、プレイヤーはいつでも気が向くままに塗り絵を楽しむことが出来る。各村をセンス良く彩るにはかなりの根気が必要だが、一人で黙々と作業することが好きなプレイヤーであれば、可愛い動物キャラクター達の世界をテーマにした塗り絵ゲームとして楽しむことが出来るだろう。
可愛い動物と塗り絵の緩い作品に見える本作だが、テーマは“アーティストが内に抱える闇”である。自身の作品の評価や、周りに期待されているポジションや、伝統と自身のやりたいことのギャップなどによって蓄積された心の闇を払うことが本作の目的となる。
心の闇、つまりはメンタルヘルスの問題を題材にした作品を嗜好すること自体は理解するが、メンタルヘルスの問題とは無縁な人の場合、“自分には関係の無い説教臭い話を見せられている”という印象を受け、余り共感ができずにストーリーを楽しめないだろう。ストーリーの一部分にメンタルヘルスに関する展開が採用されているだけであれば一向に構わないが、最初から最後までこの題材はブレないので、筆者の場合はプレイ前に期待していた内容とのギャップが大きく、本作に対する満足度が大きく低下することになった。
本作の開発陣が過去に関わった『CELESTE』でも心の闇が題材にされていたが、筆者はそちらをプレイした際にもストーリーそのものが蛇足だと感じており、アクションパートに集中させて欲しかった旨をレビューに記載している。本作も後述する色塗りパズルの出来栄えが良いだけに、そちらをもっと重点的に遊びたかったところだ。
本作にて心の闇と向き合う場面では戦闘パートが用意されている。他人からの期待や評価の具現化なのだろうか、真っ暗な背景の中に浮かび上がった目玉が襲ってきたり、トラウマ的な過去の記憶や自分て身が登場して攻撃を繰り出してくる。このような戦闘パートでは、左スティックで主人公を攻撃予告されたエリア外に退避させながら、右スティックで絵筆を動かして敵を塗ってダメージを与えていく。
左スティックで移動して右スティックで照準という操作体系は多くのゲームで一般的だが、戦闘パートでは主人公の移動先と照準先が全く連動していないため、見た目に反して戦闘の難易度は高い。幸いにも何度被弾しても主人公は立ち上がるのでゲームオーバーになることはなく、戦闘パートで詰むことは無い。しかし、ゲームが進行するにつれてボスの攻撃は激しくなり操作反転のようなギミックも登場するので、人によっては戦闘パートの操作から大きなストレスを感じるだろう。
適度に頭を使う色塗りパズル
本作にはジャンプアクションが用意されているものの、プラットフォーマーという程にはシビアな操作は求められておらず、色塗った際のオブジェクトの動きの見極めが重要だ。つまり、実質的にはパズルゲームなのである。
次のスクリーンショットは、主人公が左の高台にある花を取ろうとしている様子だ。高台に登るためには色を塗ることで上下左右する植物を見つけて、ジャンプが届く足場を作っていくことになる。このスクリーンショットは塗った後の様子を示しているため簡単そうに見えるが、全て白黒の状態でスタートすれば意外とギミックに気が付かないものである。
また次のスクリーンショットは、中央下部の大岩を破壊するための風船爆弾を、インクを食べる岩のような虫に乗せて運んでいる様子だ。虫を誘導して風船爆弾と主人公を載せた後に、大岩まで虫を誘導すればクリアできるステージとなっている。このような状況の説明だけを見ると、簡単な子供だましのようなパズルに見えるかもしれないが、実際にはギミックを活用する発想が直ぐに出て来ずに適度に頭を使うことになるだろう。
簡単過ぎず、難し過ぎず適度な難易度の面白いパズルが豊富。
なお、プレイヤーが色を塗らない限り世界は白黒なので、一見では高低差が分かりにくいステージが多々ある。筆者は横着して必要最低限だけしか塗らないことが多かったが、分かりにくいステージでは急がば回れで積極的に色を塗った方がスムーズにパズルをクリアできるだろう。
ちなみに、ストーリーの行き先やパズルのクリア方法が分からなかったとしても、前述の戦闘と同じようにクリア不能に陥らないように配慮されている。まず、ストーリー進行上の要所には公衆電話が置いてあり、そこから自宅に電話を掛けることで主人公の両親と会話することができる。母親と会話すれば大まかな次の目標地点を教えてもらえるので、何らかの理由で長期間プレイを中断してしまった時などに役に立つだろう。そして父親と会話をすれば、明確な行き先の座標やパズルの解き方を教えてもらうことができる。
色塗りを使った上質なパズルは何とか全部自力で解きたいところだが、解法を閃かずにクリアを諦めてしまうことだけは避けたい。従って、ある程度考えても解き方が分からないのであれば、素直にこのヒント機能を利用することを推奨したい。
難易度が高めのシーンでは、『ヒントが足りないならネットで攻略情報を見ろ』と言われる。
本作はチャプターが進む毎に主人公と絵筆の絆が深まり、様々な移動系のアビリティが使えるようになる。例えば、壁に色を塗ることで降りるだけしかできなかった断崖を登れるようになる。また、川に落下すると所定の位置に戻されるが、水にも色にも色を塗れるようになると川を泳いで渡れるようになる。
つまり本作は、探索型(いわゆるメトロイドヴァニア)的な遊び方も用意されており、能力が手に入る度に探索できるエリアが増えていく。そして探索にて手に入る報酬は一貫しており、宝箱には“おめかし”の項目にて主人公の見た目を変更できるドレスアップ用の装備か、筆先の形状を変更する絵筆ツールが入っている。また、世界の各地にはゴミが落ちているので、それをついでに拾っておけば、後々装飾アイテムと交換してもらえる。
意外と収集要素が多く、それらの収集の進捗具合に合わせた実績も設定されている。取り逃した収集物がどのエリアにどの程度残っているか教えてくれるNPCが用意されているものの、実績コンプリートまで遊ぼうと思うと結構なボリュームである。
筆者は目に付いたアイテムは回収しつつも、全ての分岐を隈なく調査するようなプレイはしていない。そのようなプレイスタイルでクリアまで約5.5時間,収集率は約20%だったので、自力で全ての収集物を探し出そうとすれば、単純に計算で25時間~30時間ほど掛かるだろう。虱潰しにステージを探索して全ての収集物をコンプリートすることに達成感を覚えるようなプレイヤーであれば、当作品の評価は高くなるかもしれない。
コントローラーでは難し過ぎる創作活動
本作は塗り絵をテーマにしたパズルを解くことが主体となっているが、幾つかのイベントシーンでは人物画を描いたり、店の看板をデザインするといった創作活動を求められる。この手のイベントでは、プレイヤーが描いた内容を査定されることは無く、どれだけ狂った絵を描いたとしても会話内容に変化は無い。
例えば次のスクリーンショットは、リングーショップというドーナツ屋の看板をデザインしたシーンだ。プレイ開始から1時間ぐらいで発生する序盤のイベントなのだが、既にこの時点でコントローラーで絵を描くことを諦めており、看板を適当に塗って余白を残したまま完成としている。それでもNPC達は最高のデザインだと褒めてくれる。
人物画やデザインを求められるシーンでは、通路を開通させるだけのパズルとは異なり、プレイヤーの作品がゲーム内でデカデカと表示される。従ってそれなりに上手く描きたいところだが、色塗りだけならまだしも、コントローラーによるスティック操作では精細な絵を描くことは叶わない。次の画像は主人公とチコリーがお互いの似顔絵を描き合うシーンで作った絵だ。元々筆者に絵のセンスがさほどないことと、コンローラーで絵を描くことの難しさが合わさって、悲惨な結果になっていることが分かるだろう。
ゲームの設定上では、チコリーは絵の才能に溢れているが、主人公は才能を持っている訳ではなく偶然にして魔法の絵筆を手に入れてしまっただけである。そのため、お互いの似顔絵を描くイベントは、ある程度の画力の差を見て取れることを狙っている思われるが、立ち絵を下絵として用意するなど何らかのアシスト機能が欲しかったところだ。
評価ポイントのまとめ
チコリー 色とりどりの物語は、メンタルヘルス的な話が続くので好みが分かれるところだが、パズルゲームとしては良質でプレイする価値はある。一方で本作の要ともいえるアートを完成させるにはコントローラーは不向きなので、出来るだけPC版をマウスでプレイした方が良いだろう。XboxGamePassに対応し、リリース当初は対応していなかった日本語も追加されているので、パズルゲーム好きであればまずはお試しで触れてみよう。
長所
- 塗り絵をテーマにした良質なパズル
短所
- コントローラーに不向きな操作性
- 延々と続くメンタルヘルス的な話
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