点数評価 | 80点 |
プレイ状況 | 6章途中 |
クリア時間 | クリア前レビュー |
プレイ時間 | 約6時間 |
発売日 | 2022年12月14日 |
対応機種 | Steam/Xbox (Gamepass) Switch/PS4/PS5 |
プレイ機種 | Xbox Series X |
開発元 | niceplay games |
発売元 | tinyBuild |
ジャンル | 錬金術師シミュレーター ジャンルの考え方 |
ネタバレ | 無し |
Potion Craft: Alchemist Simulator (ポーションクラフト アルケミストシミュレーター)は、典型的な人を選ぶゲームだ。ゲームの基本は、素材収穫、顧客の要望確認、ポーション調合、ポーション販売の4ステップだけである。一見では黙々とポーションを調合するだけのスローライフ系ゲームに見えるかもしれないが、賢者の石という大目標に向かって、素材管理をしっかり行いながら、指先を震えさせてポーション調合を繰り返すという、実に根気の要る作品である。提示されたロードマップを達成するために、黙々と作業を繰り返すような体験が好きな人には深く刺さること間違い無しだろうが、繰り返し作業が苦手な人には全く向いていないので注意して欲しい。以上のようなゲーム性のため、★3【人を選ぶ】という評価ながらも、80点という高点数になった。
ポーションを作るだけのゲーム
Potion Craft: Alchemist Simulator (ポーションクラフト アルケミストシミュレーター)は、プレイヤーが錬金術師としてポーションを調合し、自分のポーション屋に訪れる客にそれを売る“だけ”のゲームだ。
ToDoリストで構成されるチャプターと、最終的に賢者の石を錬金するというロードマップは用意されているものの、ゲーム内に時間制限は設定されていない。魔王が復活して世界に危機が差し迫っている訳でも無く、自身に隠された出生の秘密のために暗殺者に追われることも無く、あるポーション屋の店主として、自分のペースで黙々と調合するだけだ。基本的は下記の4つの手順しかやることはなく、まさに硬派なシミュレーターであると言えるだろう。
商人から新しい設備を買うようなイベントは稀に発生する。
錬金術師の朝は早い。朝起きて真っ先にやらなければならない任務は、庭に生えてきた草花やキノコ類を収穫することだ。一晩の間に庭には多種多様な植物が生い茂るのだが、これらは全てポーションの原料となる。ワンクリックで即収穫できるので、それぞれをインタラクトしていく。15秒もあれば1日の収穫は終わるだろう。
ポーション店には毎日必ず一定人数が来店する。最終目標が賢者の石を作り出すことだと言っても、その素材は膨大であり、高額な錬金設備も幾つか必要となる。つまり先立つ物が必要なので、毎日のように客の要望を通りのポーションを提供し、金を稼がなければならない。
客の要望が分かった以上、やるべきことはただ一つ、ポーションを作るだけだ。ただし、Potion Craftにおけるポーションの調合作業は、単純に規定の材料を混ぜれば良いという訳ではない。ポーションの効果を目的地に、混ぜた素材の作用を移動方向に見立てた地図上を用いて、調合ミニゲームを行わなければならない。
まず、調合は地図の中心から始まる。最初はポーション瓶の中には水しか入っていない純粋な状態だ。例えば次のスクリーンショットであれば、地図の中心から右下のハートマークで表現された、回復のポーションを目指しているところだ。ポーションから右下に点線が出ていることが分かるだろうか。それが混ぜた素材の効果を移動方向で表現したものだ。このスクリーンショットでは更に、テラリアという植物を右側のインベントリから選択しよう推しているのだが、テラリアは地図を下方向に蛇行しながら進む性質を持っているので、薄い点線でテラリア投入後のルート予告されている。薄い点線がハートマークのすぐ左まで伸びているので、テラリアの次の素材として右側に向かって移動できる素材を投入すれば、ゴールであるハートマークに辿り着けることが想像できるだろう。
なお、素材は画面中央の釜の中に入れるだけでも良いのだが、その前に乳鉢で磨り潰すことで素材による移動距離が伸びる。とりあえずポーションを作るだけであれば、磨り潰しにテクニックが必要という訳ではなく、単にスティックを上下左右に動かすだけであり、成功や失敗も存在しない。ただ単に時間を浪費するだけの工程なのだが、ゴリゴリと磨り潰す効果音が実に気持ち良く癖になる。
磨り潰さなくても良いシーンでも、とりあえず潰してしまう。
磨り潰した後は、素材を釜に入れて混ぜるだけだ。かき混ぜ棒を掴んでグルグルとスティックを回せば、素材によって示されたルートの上をポーションが移動していく。目的地に移動するまでの間、只管に回すだけである。
ポーション瓶が目的地に着いたのであれば、最後は左のふいごを上下させて釜を沸騰させることで、ポーションの調合が完成する。左に完成したポーションの名前と効果が表示されるので、好きな瓶,ラベル,色を選べば売り物の完成だ。
なお、一度作ったポーションは「処方を保存」しておくことで、材料さえ揃っていれば調合工程を飛ばして調合することが出来る。ただし、庭に生えてきた素材や、客の依頼の偏りよって、特定の材料が枯渇することがある。そのため、同じ材料だけを使うのではなく、同じ効果のポーションであっても別材料(別ルート)で作って、別の処方(レシピ)を記憶しておくことも重要となる。
ポーションが完成すれば後は売るだけだ。そのまま売れば提示された金額と店の評判が手に入る。その一方で価格交渉のミニゲームを遊べば、手に入る店の評判を多少減らしつつも、提示金額を吊り上げることが出来る。ミニゲームは左右に移動するバーに合わせて、特定のタイミングでボタンを押すだけのシンプルなものだ。
ポーションを販売する際には、要求された効果以外にも追加の要望も叶えてあげることで売却額がアップする。例えば下のスクリーンショットであれば、明らかに『ウィッチャー』シリーズの主人公であるゲラルトが来店したシーンだ。回復ポーションを購入したいようだが、毒が弱い方が良いと言っているので、素材に毒系の植物を混ぜなければ評価は上がる。また、ポーションには品質が3段階設定されており、品質が高い方がより高く売れる。
ポーションの品質は目的地にどれだけピッタリ辿り着けるかで変化する。次項に示す動画を参照。
プレイヤーのポーション屋に訪れる客は、何も善良な市民ばかりとは限らない。遠回しに毒薬を依頼してくる客や、ストレートに金庫破りのための酸を要求してくる客など、悪人も多数訪れる。悪人相手に商売を続けると店の評判が下がっていくが、それが原因でいきなりゲームオーバーになることは無いので、善良な錬金術師として生きるか、金のためなら客を選ばない闇落ち錬金術師として生きるかはプレイヤー次第となる。方針を決めて処方を断り続けることで、客を出禁にすることも可能だ。
複雑化する要求に答えて、繊細な作業を繰り返す
Potion Craftにおいてプレイヤーが行う大半の作業は、前項に示した4ステップの繰り返しだ。一定数の客を捌くと、来客が途絶えるのでその日はベッドで眠るしかない。店を出て何処かに行ける訳でも無いし、朝が来れば再び素材採取からのポーション調合を繰り返すだけだ。ただし、繰り返しのゲームとは言え、難易度は段々と上がっていく。
特定の効果を持ったポーションを作ったり、マップ上で特定の行動を取ることで、設定されたToDoリストが達成されていく。これらは章仕立てになっており、章ごとのお題を全て達成することで、訪れる客に変化が現れて要求が段々と厳しくなっていく。
例えば、次のスクリーンショットであれば、眠れないと言っているので睡眠ポーションを与えれば良いのだが、追加でマッチング効果が欲しいと言っている。恐らく睡眠ポーションをベースに、魅了ポーションの効果も加えることで達成できるのだが、このような複数効果ポーションの依頼が頻出するようになる。このような場合は、地図上で特定のポーションを作った後に、更に移動を続けて別のポーションまで移動すれば複数効果を得ることが出来る。
単に地図を移動させれば良いだけだと考えるかもしれないが、素材の補充は任意のタイミングで行うことが出来ないため、要望に応えられない場面が増えて来る。また、要望に応えられるにしても素材の在庫調整の観点から、依頼を受けるべきか断るべきかなど、考えることが増えて来る。
評判は下がるが、思い切って依頼を断ることも重要。
章を進めることで特別な商人が来店するようになり、非常に高額だが賢者の石を錬金するために必要な設備や、賢者の石に辿り着くまでの中間素材のレシピを入手することが出来る。
この中間素材の錬金するためには、最高品質のポーションや、複数効果で品質が指定されたポーションが必要になるのだが、最高品質のポーションを作ろうとすると、素材の潰しと釜のかき混ぜに思いのほかテクニックが要求される。
次の動画は、最高品質の酸のポーションを作ろうとしている様子だ。最初は在庫から素材を選んでラフに操作しているだけだが、磨り潰し工程と混ぜ工程の最後で、微調整をしていることが分かるだろうか。最高品質のポーションは、目的地のポーションマークに完全に重なって止まる必要があるため、このような指先が震えるようなコントローラー捌きの調整をしなければならない。
しかしPotion Craftは、コントローラーのスティック入力に対して、入力受付までのデッドバンドが殆ど設定されておらず、僅かなスティックの傾きでもセンシティブに感知する。そのため、ちょっとした指の震えで、磨り潰し過ぎたりかき混ぜ過ぎたりしてしまい、目的地を通り過ぎてしまうことも多く、その操作性にストレスを覚えることも少なくないだろう。
この極めて繊細な操作体系は、賢者の石を錬金することに要求される技術の高さを表現するために設定されたのか、単純に作り込みに問題があるのか、その真相はプレイヤーには分からない。いずれにせよ、ゲーム序盤こそはスローライフ的なポーション調合生活だが、途中からは無理難題のような複合効果ポーションを求める顧客を相手にしつつ、賢者の石を目指して高品質ポーションを作り続けるという、神経を擦り減らすような作業を繰り返すゲームへ変化していく。
操作UI全般がマウス操作前提なので、マウスでプレイすれば難易度が下がるかもしれない。
Potion Craftは同じことの繰り返しの毎日の中で調合の手段を積み上げ続け、幾つかの中間素材を経て、賢者の石というゴールに向かう盛大なロードマップを踏破するゲームだ。ゲームスピード自体はスローだが、決してスローライフを満喫するようなゲームでは無いことに注意したい。筆者は残念ながら、忍耐力が持たずに6章の途中でギブアップした。
恐らくクリアまでには30時間は要すると予想している。 黙々と同じ作業を繰り返すことが得意な人にとっては短い時間かもしれない。しかし、この手の作業が苦手な場合には、賢者の石の中間素材に要求されるポーションを見た瞬間に、手が止まってしまうだろう。
評価ポイントのまとめ
Potion Craftは、ポーション調合に特化した錬金術師シミュレーターであり、繊細な繰り返し作業が得意な人向けの作品だ。忍耐力に自身があり、素材管理しながら計画的にポーション調合を繰り返すゲーム性に魅力を感じたのであればプレイしてもらいたい。
長所
- 時間に追われない
- ロードマップを踏破する達成感
- 僅か2曲だが心地よい音楽
- 薬草類を磨り潰す心地良い感覚
短所
- コントローラーに最適化されていない、マウス前提の操作体系
- 繰り返し作業は人によっては辛い
なお、発売と同時にXboxGamePassにて配信されているので、加入者であればまずはプレイして、自分に合っているかどうか確認してみると良いだろう。
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