- 5段階評価:★★☆☆☆
- 点数:40点
- コメント:非常に丁寧に作られた駄作。音楽は名曲。
機動戦士ZガンダムAWAY TO THE NEWTYPEは、1996年に発売されたZガンダムを題材にしたゲームです。
このゲームをプレイした理由は、作曲・編曲担当が、ミスティックアークやワンダープロジェクトJの作曲で有名な、故・森彰彦である事を知ったからです。
音盤化されておらず、一応ネットに音楽は見つけましたが、折角なのでプレイしてゲームとのマッチ具合も確認しようと思い立ってプレイ。
結論から言うと、”ネットで音楽を聴くだけで十分だった”なのですが、折角箱と説明書付きを買ってプレイしたので、レビューをアップしておきます。
1.音楽は良いんだよ!音楽は!
森彰彦が作曲・編曲した収録曲は、氏が生前に残した名盤の数々と同様に、本当に素晴らしいです。サントラが発売されていない事が悔やまれます。
もうこの作業用BGM集だけで満足なゲームです。
特に、上の動画の5分22秒ぐらいから始まる曲。
最初は如何にも戦闘開始直前を表現した緊張感のある曲調なんですが、途中から”水の星に愛をこめて”のサビ部分のアレンジに違和感なく繋がるという不思議な名曲です。
その他の曲も良い物が揃っているので、是非バックグラウンドでこの動画を再生してください。
2.ゲームのジャンルとターゲットを絞れ!
ガンダムゲームは古今東西、様々なジャンルで発売されていますが、このゲームは公式ではシミュレーションゲームに分類されています。
シミュレーションゲームとしての出来は、お世辞にも良い出来とは言えませんが、当時の水準から考えれば70点ぐらいは付けることが出来る内容です。
UIが分かり難いですが、動かしたいユニットの上でAを押すと、MOVEとかATTACKとかメニューが出ます。
攻撃したい場合はATTACKから武器を選択すると、何故か4マスの攻撃範囲が出るのでそれをターゲットに合わせて決定すれば攻撃開始。
移動して接近すれば、サーベルで攻撃も可能。
ここまでは良いのですが、問題は本作の目玉である、Zガンダムのハイスピードバトルを再現した、3D(奥行き方向)シューティングバトル。
シューティングパートは、攻撃と防御を敵と味方で交互に行います。
防御は敵が画面奥から弾を撃って来るので、中央の白枠内にそれが入らない様に、左右に動かすだけです。
攻撃は防御の逆で、敵を白枠内に捉えてロックオンすれば選んだ武器で攻撃します。
これが難しいのなんの・・・。
ハイスピードバトルを再現という事なのか、序盤のハイザックですら、マクロスのバルキリーのマニューバかよ!と言いたくなるような絶妙な回避をしてきます。
加えて、ようやくロックオンしたかと思うと、
なんでビームライフルを撃つだけで、スクリューパイルドライバーのコマンドを要求されるんですか!
上の画像、よく見てもらうと分かると思いますが、ATTACK!!の上にコマンドが出ています。
これをどの程度入力出来たかで、攻撃の威力が変わります。
ステージが進むと、入力をミスって0%の場合、ビームライフルが4発も当たってるのに量産機が落ちません。
しかも、コマンドにもたついていると、0%の攻撃すら出来なくなるので、途中から面倒くさくなってバルカンで攻撃しがち。
毎回毎回、攻撃の度にスクリューパイルドライバーなんてやってられませんからね。
受けのモーションもしっかり用意されていて、ドット班は仕事をしっかりしている。
1ステージの内、シミュレーションパートに入る前に、このシューティングパートを3回ほどやらされます。これが本当に苦行なんですわ・・・。
ちなみに、シューティングパートのダメージはシミュレーションパートに引き継がれます。
戦闘前の準備画面でE-PACを設定していれば、メニューからアイテムを選んでHPを回復可能。MAGはマガジンの略で、ライフルの残弾も回復できます。
何だかんだで敵機を撃破していくと、唐突にRPGの如くレベルアップします。
レベルアップすると、まさかのスキルポイント振りが可能。
この画面では接近戦(CLOSE)や射撃戦(GUNSHOT)という、主に攻防に関するステータス強化が可能です。他のページに移動すると、移動速度や命中率、持てるアイテムの数を成長させる事も出来ます。
完全にRPGの育成要素です。
少々難易度の高いこのゲームですが、ゲームオーバー時には、その面で獲得した経験値を引き継いでリトライ可能です。
なので、根気強くプレイすれば、レベルアップを繰り返して必ずクリア出来るようにはなっています。
ロボットシミュレーションかと思いきや、シューティングからの格ゲーコマンド、そしてキャラ育成と、様々なジャンルに手を出した実に欲張りな仕様になっています。
一体どういう人をターゲットにしていたのか理解に苦しみます。
3.丁寧な原作再現が傷口を広げる
このゲーム、システムはダメなんですが、非常に丁寧に原作再現をしようとした努力が伝わってきます。
例えば、ゲーム最序盤のカミーユがジェリドに名前をバカにするシーンは定番ですが、ブライトがバスクにシバかれるシーンもあり。さらにこの後、しっかりとカクリコンにシバかれます。
Zガンダムのシナリオ的には余り重要では無い、カミーユの両親の人質カプセルを運ぶシーンにわざわざ1枚絵があったり、
ライラ戦で2ステージ(撤退と撃破)も用意されていたり、リックディアスのカラー統一に対してロベルトがコメントしたり。
ライラ程度のネームドキャラなら、1ステージで撃破されてくれませんかね・・・。
ステージ間のやり取りや、1枚絵が豊富な事は良いんですが、戦闘ステージの多さが本当に難点。
ゲームの土台となる部分の出来が悪いばかりに、戦闘シーンが再現されればされる程、苦行が多くなります。
このように、音楽以外の良い所がありません。
先日レビューした、SDガンダムの様なコレクションアイテム的な要素もありません。残念ながら”ガンダム作品”という符号だけですね。
BGM集をアップした人は、音楽と動画のキャプチャ画像の為に最後までプレイしたようですが、本当に苦行だったと思います。
BGM集の最後にも収録されていますが、逆襲のシャア編の開発も予定されていたようです。流石にこの出来じゃあ続編でないよね・・・。
ミスティックアークのサントラ再販されないかなー。