【新SDガンダム外伝 ナイトガンダム物語】レビュー: JRPG路線を止めてシリーズを終わらせた問題作。劣化版“ゼルダの伝説 夢を見る島”としか言いようが無い。

クリア時間約7時間
プレイ状況クリア(クイックセーブ使用)
プレイ時間約7時間
発売日1994年9月9日
対応機種GB
プレイ機種レトロフリーク
開発元ピー・ソフトハウス
発売元バンダイ
ジャンルアクションRPG
ジャンルの考え方
ネタバレ無し

『新SDガンダム外伝 ナイトガンダム物語』は、1994年9月9日にバンダイからゲームボーイにて発売されたアクションRPGだ。

ナイトガンダムのゲームと言えば、ファミコンのナイトガンダム物語3部作や、スーパーファミコンの『SDガンダム外伝 ナイトガンダム物語 大いなる遺産』や『SDガンダム外伝2 円卓の騎士』が有名なのだが、実はこれらのゲームは1990年~1992年の3年間に集中して乱発されている。ゲームボーイのラクロアンヒーローズも合わせると、RPGのジャンルで3年で6本もナイトガンダムのゲームが発売されているのである。

SDガンダム外伝シリーズの一覧
  • SDガンダム外伝 ナイトガンダム物語:1990年8月11日
  • SDガンダム外伝 ラクロアンヒーローズ:1990年10月6日
  • SDガンダム外伝 ナイトガンダム物語2 光の騎士:1991年10月12日
  • SDガンダム外伝 ナイトガンダム物語 大いなる遺産:1991年12月21日
  • SDガンダム外伝 ナイトガンダム物語3 伝説の騎士団:1992年10月23日
  • SDガンダム外伝2 円卓の騎士:1992年12月18日

ゲームハードの移行期であったことを考慮しても、当時はSDガンダムが如何に稼げるコンテンツだったか、一目瞭然である。

そして、『新SDガンダム外伝 ナイトガンダム物語』は、そんな一世を風靡したSDガンダム外伝シリーズ最後の作品であり、唯一のアクション要素を取り入れたアクションRPGである。

SDガンダムのカードダス自体は根強いファンが一定する存在するため、2021年現在でも新しい設定が続々と生まれ続けているが、当時の人気は新SDガンダム外伝にて機兵が登場したあたりから下火になっている。

カードダスの新シリーズが始まってから人気が盛り返したのか、ゲームで一発当てて再起を狙ったのか不明だが、SDガンダム外伝シリーズとしては約2年ぶりに当作品が発売されている。最も、当作品の余りの出来の悪さが原因となったのだろうか、これ以降はSDガンダム外伝がゲーム展開されることは無かった。(2010年にどうでもいい携帯アプリは出たが)

JRPGが遊びたかったのにアクション化

SDガンダム外伝シリーズのゲーム作品と言えば、ゲームバランスはさておき、ナイトガンダムで遊べるJRPGとして一定の評価を得ていた。

魅力的なナイトガンダム達を操作して、ドラクエのような感じで冒険できるだけで満足度が高かった訳だが、新SDガンダム外伝 ナイトガンダム物語はジャンルが変更されてアクションが主体のアクションRPGになっている。そしてその内容は、1993年6月6日発売されて名作と名高い、“ゼルダの伝説 夢を見る島”の影響を受けたことが丸わかりである。

ハートと特殊アイテム表示がいかにも
特殊アイテムを切り替えて地形を踏破する仕組みも同じ

そして、このジャンル変更が決定的な失敗であり、ゼルダの伝説を標榜としたまでは良かったものの、何もかもがゼルダの伝説に遠く及ばない駄作となってしまった。

戦闘が常に苦行

本作はキャプチャ画像を見て分かる通り、画面サイズに対してキャラが非常に大きく(ゼルダの1.5倍ぐらい?)とにかく当たり判定が辛く設定されている。

敵に当たって壁際でノックバックすると最後、敵が自キャラにめり込んで接触ダメージを短時間に受けまくり、あっと言う間にゲームオーバーだ。道中でやられても大したペナルティは無く(次のレベルまでのEXP没収だけ)、進行状況も保存された状態で宿から再スタートなのは良心的だが、互換機のクイックセーブ機能が無いと投げたくなる難易度である。

特に、ゼルダを模した地形ギミックと、遠距離攻撃をしてくる敵が組み合わさっているステージになると、被弾が激しくハートが幾らあっても足りない鬼畜な難易度となっている。

激しい攻撃に対処するために回復アイテムが欲しい所だが、消費アイテムが全てカードダス扱いになっており、回復アイテムが欲しくてもカードダスは当然ランダム排出なので、任意の回復アイテムを必ず買えるとは限らない。そのため、カードを買う⇒要らない物を交換屋に持っていく⇒カードを買うの繰り返しが実に煩わしい。(なので無駄に被弾したら、アイテムを使わずにクイックセーブで巻き戻したい。)

とにかく敵の遠距離攻撃が辛い本作だが、その一方で近距離攻撃しかしてこない騎士タイプの敵には困ることは無い。なんせ攻撃ボタンを押しっぱなしにすると、主人公が剣を前に突き出したままになるので、高の状態で棒立ちしているだけで敵が勝手にぶつかって倒れてくれる。ナイトガンダムが主人公にもかかわらず剣での戦いを楽しむ事ができない、とんでもない作品である。

槍を投擲するゴブリンザク?は鬱陶しい。

ゼルダのような見た目なのに謎解き無し

ジャンプする、見えない足場を表示する、時間を止める、岩を壊すなど、特殊アイテムで地形を踏破するなど、さまざまなゼルダのようなアクション要素が用意されているが、本作には肝心の謎解きは殆どない。単に移動の邪魔になるオブジェクトに対して使うアイテムが変わるだけである。

謎解きは、時間を止めてアイテムを盗むイベントぐらいか。

攻撃ボタンを押すだけの機兵バトル

本作は、カードダスが機兵バトルに移行して落ちた人気を持ち上げる役目を持っていたはずだが、肝心の機兵バトルが絶望的に面白くない。単純に操作キャラが機兵になり、敵も味方も当たり判定とHPが増えてタイマンになるだけである。

機兵バトルの難易度はさらに高くで、流石に開発陣もクリア出来なかったのか、唐突に場外から流れてHP回復用のE缶みたいなアイテムが流れてくる。これを如何に上手く取るかで勝負が決まる。(連続して敵に取られると大体負ける)

本作の主人公である魔竜剣士ゼロガンダムは、アニメのガンダムビルドファイターズトライでレディ・カワグチのガンプラとして登場したように、今でも根強い人気を誇っている。そんな人気キャラを使ったにも関わらず、開発力の欠片も感じないアクションゲームになってしまったのは実に勿体ない。素直にJRPGをリリースしておけば、些細な事は目を瞑って楽しめるレベルには仕上がったはずだ。

ストーリー設定自体は良い

本作のストーリーは、カードダス「最強の魔竜剣士」の前日譚+αといったところである。カードダスでは、主人公が持つサンダーソードの伝承候補者には余り触れられておらず、バトルオブナイツという別シリーズのカードダスに少しだけ出てきた程度だが、そんな候補者達との関係が分かる作品になっている。

ゼロ以外の伝承候補者達

ゼロは他の選ばれなかった候補者に海に落とされて記憶をなくしており、スペリオルドラゴンに導かれてサンダーソードを悪用しようとする他の候補者を成敗し、カードダス本編「幻魔王の挑戦」と「最強の魔竜剣士」を再現するという流れになっている。

「最強の魔竜剣士」までの再現なのでシリーズの最後まで描かれることは無く、バイスガンダムの正体がファルコガンダムであることが分かった時点までとなっており、ストーリー的には中途半端に終わってしまう。恐らく、本作の評判が良ければ続編が作られて、幻魔皇帝アサルトバスターに挑むまでのストーリーが描かれたのだろう。

ちなみにラスボス戦は、全体的に難易度の高い本作の中でも異常な難しさだ。クイックセーブを駆使して10回ぐらいやり直して何とかクリア出来たが、実機でプレイしていたら間違いなくギブアップしただろう。

難しいだけで楽しくは無い。

なお、ゲーム終盤に開催される、白金のハルバード争奪トーナメントは、イベントシーンのみのながら演出に努力の跡が伺える。しかし、これも路線変更せずに、この内容をJRPGでやっていれば戦闘有りで楽しめたはずだと考えると残念でならない。

滞在時間約1分のハロの国。存在意義が分からない。

唯一の良かった点は、ゼロのマントの由来

本作で唯一良かった点は、カードダスのエピローグで羽織っているゼロのマントの由来が分かったことだろうか。

このマントは本作の中盤で手に入る、ダメージエリアを抜けることが出来るようになる特殊アイテムである「マント」だ。特別な名前が付いている訳ではなく、そのままに「マント」という名前である。

砂嵐地帯を超える必須アイテム

ゲームのエンディングでもしっかりと羽織っている。

ゲームをプレイするにあたって魔竜剣士ゼロガンダムについて調べたところ、モチーフがシャッコーだと今になって知った。完全にオリジナルだと思っていたが、猛者になると肩のオレンジ色から連想するのだろうか。

以上のように、新SDガンダム外伝 ナイトガンダム物語は、ゲームとしての出来が悪く完全にファンアイテムである。箱説付きで買ってコレクションにするのは良いだろうが、中途半端にカセットだけ買ってプレイする価値は無いだろう。

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