【Neon Abyss】レビュー: ネオンに彩られた奈落は斬新で、ローグライクアクションとしての完成度も非常に高い – ネオン・アビス

点数評価90点
プレイ状況ノーマルでクリア
トロフィー38%
プレイ時間約14時間
発売日2020年7月14日
対応機種Switch/PS4/Steam
Xbox (Gamepass)
プレイ機種PS4
開発元Veewo Games
発売元Team 17
ジャンルアクションシューティングゲーム
ジャンルの考え方
総評/評判/感想

一言で表現すれば射撃メインのダングリードであり、膨大なアイテムから武器を取捨選択し、ユニークなペットを連れ回し、それらのシナジーを楽しむローグライクアクションだ。プレイアブルキャラクターが多く、解放要素も多数用意されており、組み合わせの幅の広さは相当の物。ローグライクアクションの楽しさが凝縮された一作と言える。強化の到達点は似たような物になりがちだが、シナジーを考えることが実に面白く、ローグライク狂なら絶対に遊んでおきたい。

総合評価
 (5)
革新性
 (4)
ユーザビリティ
 (5)
ビジュアル
 (5)
サウンド
 (4)
プレイ継続性
 (4.5)
コストパフォーマンス
 (5)

Neon Abyss(ネオン・アビス)は、復讐のために現代の新たなる神々やその管理者と戦うというストーリーが設定されているものの、ゲーム内ではその設定に殆ど触れられることはなく、ゲーム内容の90%はアクションシューティングが占めているという潔い設計の作品だ。残り10%がストーリーという訳でもなく、ダンジョン内で出会うミニゲームやスキル(ルール)ツリーの解放であり、ストーリー部分は1%未満だろう。

大部分を占めるアクションシューティングは、ネオンサインで彩られたアビス(地獄,奈落)で繰り広げられるのだが、アビスに一度入るとボスを討伐するか、死ぬまで外に出ることは出来ない。また、外に出ると全てのアイテムを失い、アビスは入る度に姿を変えるため、クリア出来るかどうかは自分の腕と運次第。つまり、ゲームのスタイルは良くあるタイプのローグライクである。

目標に向かう以外の無駄な寄り道が完全に排されているうえに、ローグライクゲームとして非常に中毒性の高い作りになっているため、一度ハマると止め時を失ってズルズルと長時間プレイしてしまうだろう。

ストーリーはほぼ無いに等しいが、インパクトの強い作品

Neon Abyssのストーリーは、世界を支配しようとするタイタングループに復讐を誓う主人公に、力を奪われたハデスが協力して、現代に生まれた神々に挑むという、正直良く分からないものだ。前述の通り、ゲーム内でこれ以上は殆ど情報を与えられないのでストーリーは無いに等しいが、このゲームの個性は強い。

現代の神々として出て来るのは、ファストフードの神、薬剤(ドラッグ)の神、銃の神、ネットアイドルの神、ダークネットの神などなど。ハデスがギリシャ神話の冥界の神(古い神)に対して、敵は現代社会で人々に何らかの悪影響を及ぼす物から新しく生まれた神であることが分かってくる。

舞台は現代社会なので、プレイヤーの待機エリアはダンスホール付きのバーだ。如何にも現在風な煌びやかなエリアで、操作キャラクターの選択やルール(ダンジョンに新しい変化を与えるパッシブ要素)の開放などの準備が可能となっている。

ダンスホールで30分躍るとトロフィーが貰える。

派手なダンスホールを抜け、いざダンジョン(アビス)に飛び込むと、そこもやはりネオンサインに彩られている。背景や進行方向などにもネオンサインが施されており、正にゲームタイトルにあるように“ネオン・アビス”である。

スタート地点が既におしゃれ

幾つかの連続した小部屋で構成されたランダム生成ダンジョンは、ローグライクゲームにありがちだ。しかし、特定の条件を満たすと、ダンジョン内にダンスルームやクレーンゲームが登場して、アビス内でちょっとしたミニゲームをプレイ可能になる。ミニゲームはダンジョンを拡張するパーマバフの要素であり、例えばダンスであればタイミング良くボタンを押すことでアイテムを入手できるし、クレーンゲームであれば名前の通りアイテムをキャッチできればプレイヤーを強化できる。現代人の娯楽がダンジョン内に出現するというのも、Neon Abyssの世界観に合致していると言えるだろう。

プレイヤーには数少ない情報しか与えられないが、プレイすることで独特な世界観が何となく伝わってくる。彩り豊かなアビスで悪しき八百万の神と戦うゲームというイメージだろうか。

一言で表現すれば、射撃主体のDANGREED

Neon Abyssをプレイして真っ先に感じた事は、

銃火器専門のDANGREED

である。

DANGREEDはファンタジーな世界観なので剣や盾を振るうことが多かったが、Neon Abyssはアクション“シューティング”であることから、大半の武器は重火器である。DANGREEDとは細かい仕様の差異はあれど、ダンジョン内でボスを倒すとその先のエリアが解放され、次のプレイでは倒したボスをもう一度倒したうえで、次のボスに挑めるようになるというスタイルも同じだ。

ダンジョンを構成する部屋に入ると逃げることができない戦闘が始まり、敵を全滅させると他の部屋に移動可能になるのも同じである。そして、ワープポイントをアクティブにすれば同じフロア内は自由に移動可能という仕様も踏襲されている。

このように、Neon AbyssとDANGREEDは基幹となる探索要素が非常に似通っており、DANGREEDをプレイ済みであれば受け入れやすいだろう。DANGREEDを楽しめた人なら、Neon Abyssもほぼ間違いなく気に入るはずだ。

弾幕系DANGREEDといったところか

探索要素は似通っているものの、当然ながらNeon Abyssならではの要素は複数存在する。

とにかくアイテム数が膨大

Neon Abyssは68種類の武器と、286種類もの強化アイテムが登場する。

1度クリアしただけでは1/3も埋まらないだろう

装備出来る武器は一つだけだが、強化アイテムはダンジョン内で見つけた物を幾らでも装備出来る。強化アイテムの効果は、単純に攻撃力をアップさせたり、ジャンプ回数やライフを増やして身体能力を強化するようなシンプルなものから、敵がドロップしたコインが3秒で爆発したり、コインドロップ数が増えるような、シナジー効果を発揮させると少々危険なものまで多岐に渡る。

クリア時に取得するアイテムはだいたい30~40種類程度

時折、アイテムを幾つか提示されて、その中から一つだけ選択するという場面に遭遇する。一部の例外を除いて強化アイテムは取得するまで効果を見ることは出来ない(勿論攻略サイトを見れば分かるが)ので記憶力が勝負になる。一通りの効果を経験するまでは一喜一憂せずに、余り深く考えずにアイテムを使っていこう。とにかくアイテムの種類が多いので、何よりも繰り返し遊んで経験することが重要な作品だ。

シナジー効果のあるアイテムを選びたいところだが・・・
Sara
Sara

うっかり使い難いアイテムを取ってしまい、順調だった冒険が台無しになること。

ユニークなペットの活用

Neon Abyssにはユニークなペットが登場する。ダンジョン内で拾った卵を暫く携行するとペットとして孵化し、ペット達は自動で敵を攻撃してくれたり、アイテムを拾って役に立つアイテムに変換してくれたりなど、様々な効果をもたらしてくれる。

拾った卵や孵化したペットは、フワフワと操作キャラの後ろを付いて来るので、見た目は少々間抜けだが心強い味方である。

卵はどれだけ持てるのだろうか。上限は分からない。

冒険の終盤にはプレイヤーのメイン射撃の強化されていくため、攻撃系のペットは存在感が無くなってくるが、一方で防御やアイテム変換系のペットの有難味が増してくる。また、タマゴを爆発させてブロックを壊したり、ペットの数だけプレイヤーが強化されるなど、ペット起点に効果を発揮する強化アイテムも多数存在する。そのため、カギや爆弾といった消耗品を使ってまで卵を取るかどうかの判断が重要になってくる。どのペットが手に入るかは当然ながらランダムなため、運用を完全にコントロールすることは難しいが、アイテムと上手く絡めて強力なシナジーを発揮していきたい。

ニワトリの頭を装備するとタマゴの数だけ近接攻撃アップ

ちなみに、ペットは使い続けると進化して能力も変化する。強力なペットに進化した場合は、倒されないようにしっかりと守って一緒に戦おう。

ルールを解放して変化するアビス

Neon Abyssでは、ボスがドロップするアイテムを消費して、アビス内に新たなルールを解放することが可能だ。

ルールの追加によってキャラクターが強化されるわけではないが、アビス内に新たなアイテムが登場するようになったり、特殊なミニゲーム部屋が出現するようになったりするので、プレイの度に変化を感じることができるだろう。前述のダンスホールやクレーンゲームもルールのひとつだ。新しいルールは、概ねプレイヤーには有利に働くようになっているため、プレイ毎に全てを失うローグライクゲームにおける永続のバフ効果である。

ルールはスキルツリーのような形式になっており、幾つかポイントを消費すると次のページが公開されるようになっている。どのルールから解放するかはプレイヤー次第。

Sara
Sara

序盤に解放できるクレーンゲームは、最初は金だけ取られて景品が取れずに地雷のように見えるが、操作に慣れてくると深層クリアには必須級のお得なルール。

プレイアブルキャラクターが多い

Neon Abyssには8人のプレイアブルキャラクターが用意されており、それぞれが固有能力を持っている。(DLCを買えばさらに2人追加される。)

最初から使える二人は初期アイテムの違う程度だが、ルールでアンロックされるキャラクターはトラップを仕掛けたり、武器を2本持って切り替えれるなど、ゲーム性が大きく変わる能力を持っている。そのため、1度クリアしただけで終わりではなく、繰り返し遊ぶことが出来る。

繰り返し楽しみながら新しいルールを解放していき、最終的には難易度“ハード”の上の難易度“アビス”をアンロックし、ラスボスを倒せば真のクリアとなる。このように、アイテム、ペット、ルール、キャラの組み合わせは無限大で、まさにローグライクの醍醐味と言える、“遊ぶたびに違う”という経験を存分に味わうことができるだろう。

強化の到達点はやや単調か

Neon Abyssは一点だけ惜しい所がある。

前述の通り、このゲームの攻撃手段である銃は68種類も用意されている。特徴も豊富で、これだけあれば挑戦する度にガラリと変わるプレイスタイルを十分に堪能できる。

しかし、射撃の強化方法が、射撃orチャージ間隔短縮、威力アップ、同時発射数増加、射程延長の4種類しかない。そのため、強化が上手くいってゲームをクリア出来る際には、どれも似たような性能になってしまう。(大抵は扇方に広がるような弾幕を撒き散らす)

例1. 6wayのムチ状のビーム

例2. 4wayのゲロビ

このように、最初は全く違う性能のはずが、最終的には何となく大味な広範囲攻撃になってしまうのだ。チャージ式の狙撃銃であったとしても、最初は個性を感じられるものの同時発射数が増えてチャージ間隔が大きく縮まると、ゲロビ垂れ流しに近いものになってしまう。

1wayだとテクニカルな狙撃タイプも、8wayにもなる狙わなくても当たる

到達点が同じということは、どのような武器を拾ってもある程度強化できればクリアできることを意味しており、それはそれで良いことかもしれない。しかし、アビスの深層に行くほどに個性が失われていく点は残念であった。

Sara
Sara

特殊なものを除いて、殆どの武器がゲロビか弾幕のどちらかに集約する。

最も、この惜しい点は、Neon Abyss全体から考えると些細な事と言える。

敵の攻撃を避けながら画面を埋め尽くす弾幕を張ることは爽快感抜群で間違いなく楽しく、僅かなテキストとアートワークから十分に伝わってくる鮮やかな世界も素晴らしい。遊び方も無限大であり、Neon Abyssはローグライクアクションが好きなら間違いなくプレイすべき作品である。

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