【ブレイジングビークス】レビュー: 何故か武装したトリ達が主人公で、見かけに反して超硬派なローグライクアクション

点数評価80点
プレイ状況ループ1周目までクリア
プレイ時間約10時間
発売日2020年8月7日
対応機種Switch/Xbox /Steam
プレイ機種Switch
開発元Applava
発売元QubicGames
ジャンルローグライクアクション
ジャンルの考え方
総評/評判/感想

ブレイジングビークスは見かけに反して非常に難しい。キャラクターを強化するには一時的に弱くなる必要があり、弱く成れば成るほどに後から強くなれるという変わったシステムが最大の特徴。プレイヤーは背負えるデメリットを見極める力を試される。ローグライクゲームと言えば、プラス効果を積み上げたシナジーが重要になるが、ブレイジングビークスの場合はマイナス効果にもシナジーが用意されている。見かけによらず硬派で頭を使うゲームだ。頻繁にセールで格安になるので、手強いローグライクゲームを探しているならオススメしたい。

【総合評価】
革新性
ユーザビリティ
ビジュアル
サウンド
プレイ継続性
コストパフォーマンス

別ゲームのレビューでも書いたが、時は“ローグライクアクション戦国時代”である。インディーゲーム市場に無数に投入され続けるローグライクアクションゲームを片っ端からプレイしていくとキリがないので、当初はブレイジングビークスを購入するつもりは無かった。しかし、2021年3月のセールにて1500円⇒170円という衝撃の安さになっていたため、インコを3羽飼っている程にトリが好きな筆者は、“武装したトリが主人公”という良く分からない設定も気に入って購入。

ブレイジングビークスは頻繁に90%OFFの激安セールをするので、こまめにストアで確認してもらいたい。

ブレイジングビークスはドット絵で描かれる緩い雰囲気の世界で、可愛げなトリ達が主人公なので、サクっと数時間でクリアできるだろうと考えていた。しかし、見た目に反してその難易度はかなり高かった。ブレイジングビークスは、ローグライク“アクション”と言ってもツインスティックシューターであり、爽快感に溢れた無数に弾幕を張れるタイプではなく、精度の高い射撃を求められる硬派なシューターである。

Sara
Sara

適当に撃っているだけでは当たらないタイプのシューター。

ブレイジングビークス 戦闘風景
敵も味方も見た目は緩いが・・・

リスクとリターンの管理が重要なアーティファクトシステム

ブレイジングビークスは画面スクロールが無く、1エリアが1画面で完結しているタイプのツインスティックシューターだ。エリアに設置された扉を通過すれば次のエリアへ進むことができ、ローグライクゲームなので通過の度に異なった敵や地形が配置される。

“敵を全滅させる”⇒“扉をくぐる”を繰り返しているとボス扉が登場するので、見事ボスを倒すことができれば次のステージへ進むことができる。ボスに挑戦せずともエリアを潜り続けることが出来るが、概ねどのステージも10エリア目には強制的にボス戦となる。

Sara
Sara

ボス戦を後送りにするとボスのステータスが上昇する!

ザコ敵を倒すと一定の確率でアーティファクトと呼ばれるアイテムをランダムにドロップする。一般的なローグライクゲームであれば、ドロップアイテムを収集する事で徐々にキャラクターのステータスが上昇していくが、ブレイジングビークスにおいては、アーティファクトを取得すると例外なく何らかのデメリットがプレイヤーに付与される。

デメリットも種類はさまざまで、命中精度や移動速度のような純粋にステータスがダウンするものから、エリア内にダメージを受ける爆弾が配置されたり、即死ギミックが追加されるものまで種類は豊富だ。

ブレイジングビークス アイテムの取得
弾が真っ直ぐに飛ばなくなるだけならマシ。
ブレイジングビークス 強力なデバフ
一撃死のリスクを負う危険なアイテムも。

デメリットしかないアーティファクトだが、当然ながらこれらを集めることで後々メリットが発生する。アーティファクトを集めると、背負ったデメリットに応じてリスクポイントという数値が上昇していく。各エリアには稀にショップが出現するので、ショップに駐在しているコレクターにアーティファクトを渡せば、デメリットを解消したうえで、それまでに貯めたリスクポイントに応じてステータスアップアイテムを貰うことができる。つまり、キャラクターのステータスをアップさせるには、まず先にステータスダウンのリスクを背負うというシステムなのだ。

リスクポイントの上昇値は、大きなデメリットを背負うアーティファクトほど大きい。即死級のデメリットを背負えば、一つのアーティファクトで複数のステータスアップアイテムを貰えることもある。しかし、ショップの出現率は高くないため、調子に乗ってアーティファクトを取り過ぎてしまうと、デメリットを解消する前にボス戦に到達して大苦戦することもある。一方で、リスクを背負わず進んだ場合は、序盤ステージのボスは楽に倒せるもののキャラクターが弱いままなので、終盤ステージのボスが厳しくなるという仕組みである。

つまり、自分の腕前や装備武器の性能と相談しながら、背負いきれるデメリットを見極める力を試される訳だ。大量のデメリットを背負ってからショップへ行けば、マイナスからプラスへのステータス振れ幅が大きく一気に戦闘が楽になるため、なかなかの満足感と開放感を味わうことが出来る。一度爆発的な強化を経験してしまうと当然ながら欲が出てくるので、次のステージではデメリットを背負い過ぎて自滅するのはお約束だ。

ローグライクゲームは倒される度にプレイヤーが成長していき、その成長が何よりも大きなバフとなる。ブレイジングビークスにおいてプレイヤーは、“一気に強化アイテムを手に入れたい!”という自身の欲望をコントロールし、“これぐらいのデメリットを背負ってもクリアできる!”と自分の腕前を過大評価しない術を磨くことが求められるのだ。“武装したトリ達が主人公”というギャグ路線な見た目にも関わらず、デッドラインの正確な見極めが要求されている作品だ。

次の動画は、ショップでアーティファクトを渡してパワーアップアイテムを貰っている様子である。デメリットが解消され、大量にアイテムを入手できた瞬間は快感だ。

ブレイジングビークスはHP制で、選んだトリによって数値は異なるが最大HPは4前後だ。HP4なら3回ミスっても良いという訳では無く、序盤から当たり前のように一撃でHPを2や3削られるので、最大HPの半分の回数程度しか被弾は許されないと考えた方が良い。そのため、HPの最大値を成長させることが急務である。HPの最大値を上昇させるために必要なアイテムの入手手段は、基本的にはショップでアーティファクトとの交換しかないので、序盤から積極的にリスクを負っていく必要がある。

ツインスティックシューターが苦手な場合、リスクを負えばエリア2の道中でザコ倒され、リスクを負わずにステータスアップしなければ、エリア2のボスに倒され、クリアを諦める可能性が非常に高い。

ブレイジングビークス ボス戦
エリア1のボスは弱いが、2からガチ仕様。

多くのローグライクゲームでは、ランダム入手アイテムの組み合わせ次第で強力なシナジーを得ることができるが、ブレイジングビークスもローグライクゲームの例に漏れず、そのような仕様が採用されている。

一つ例に挙げると、被ダメージで回復アイテムの“ハート”を25%でドロップする“くんしょう”と、ハートを拾うと稀にHPが回復せずに最大HPが上昇する“ぐうぞう”の組み合わせだ。この2個が揃えばクリア出来る確率は大幅に上昇する。HPに余裕がある時にわざとダメージ床や弱い敵に接触してハートを出し、それを拾うことでHP最大値アップを狙うことができるからだ。

ブレイジングビークス シナジー豊富なアイテム
ブレイジングビークス シナジー豊富なアイテムその2

“これは行ける!”と実感できる強力なシナジー効果を得られた場合には、デメリットを負うアーティファクトの取得はやめて、後は自分のシューターとしての腕前を信じてクリアを目指せば良いだろう。

なお、デメリットのアーティファクトにもシナジーは存在する。例えば、コイン(資金)を拾うことができなくなる“小さなさいふ”を入手した状態であれば所持金の増加には期待できないので、所持コインがゼロになってしまう“わな”を拾っても被害は最小限に食い止められる。また、マップ上の遮蔽物を全て消滅させる“くさかり”を拾ったのであれば、遮蔽物を破壊した際に即死ゴーストを出現させるアーティファクトも、デメリット無しで拾うことができる。もちろん、遮蔽物が無いので敵には囲まれやすくなるが、デメリット解消時のリターンは計り知れない。

ブレイジングビークス ゴーストの出現
ゴーストは触れると即死

ローグライクゲームは数あれど、マイナス効果のシナジーを考える作品は珍しい。マイナスのシナジーとプラスのシナジーをしっかり考えて管理するシステムが、ブレイジングビークスの最大の特徴と言えるだろう。アーティファクト(マイナス)と強化アイテム(プラス)、どちらのシナジーも把握できるようなるころには、激ムズなダンジョンも攻略できるようになるはずだ。

プレイアブルキャラクターは多いが選択肢は乏しい

ブレイジングビークスには、プレイアブルキャラクターとして10種類の特性の異なるトリが用意されている。それぞれにメリット・デメリットが用意されているので好きなものを選べば良いのだが、どれもデメリットがシャレにならない。タイトル画面に出て来る主人公のようなアヒルとカモノハシも例外ではなく、前者は射程が50%ダウン、後者は初期HPが2しかないというデメリットを持っている。(メリットも持っているがそれに見合わない)

そのため、初回攻略を目指す場合には、走っている時に命中率が下がるだけで、射程が1.8倍になった上に時々敵を1撃で倒せるニワトリしか選択肢に挙がらないだろう。ブルーバードとオウムはまだマシだが、どちらもコインの入手性に難があり武器の買い替えに大きな制限が掛かる。

ブレイジングビークス キャラクター選択
暫くはニワトリで慣れるべきだ。

折角沢山のキャラクターが用意されているにも関わらず、ニワトリ以外のキャラクター達は縛りプレイに近い点は残念である。なお、各トリはそれぞれ異なる初期武器を持っているが、敵を倒して入手したコインを消費すれば、ショップで新しい武器を購入可能だ。ただし、どの武器も弾の発射レートは低めに設定されている。発射レートが高い武器でも秒間2発程度で、同時発射数は多い物でも3発。よって、アーティファクトを交換して発射レートを上げるアイテムが手に入ったとしても、弾幕を張るというスタイルには余程の条件が揃わない限り到達できない。つまり、ブレイジングビークスは、射撃精度が重要視されるゲームである。

ブレイジングビークス 武器屋
コインを貯めればショップで武器を購入可能。リロード1.0=1発/秒

武器はステージやボスに合わせて、出来るだけ最適なものを選択していきたい。が、ショップの出現・品揃えともにランダムなので、上昇したステータスとの相性も良く考えて選ばないとクリアは難しい。

ブレイジングビークス クライエリア
暗闇で先が見えないエリアなら長射程が必須。
ブレイジングビークス 素早いボス戦
動きが早いボスには発射レートが高い武器が無いと苦戦する。

まずはニワトリでクリアを目指し、クリアが出来た後はチャレンジ要素として、他のトリ達をプレイしよう。

クリア後は無限に遊べる

ブレイジングビークスは全5エリアなので、1500円という価格相応の小粒なボリュームだ。もっとも、購入者のどれぐらいが5エリア突破できるのかは不明だが、セールで安さと見た目の緩さに釣られて買ったものの、序盤で挫折してしまった人が多いことは想像に難くない。恐らくクリア率は低めだろう。(こういう統計情報の参考のために、Switchもトロフィーや実績相当のシステムを導入して欲しい所だ。)

ブレイジングビークス ラスボス戦
エリア5のデビルティールがラスボス。

ラスボスのデビルティールを倒した後に、倒れているボスに追い撃ちするとスタッフロールが流れてエンディングへ。そのまま放置するとボスが逃げて1面にループし、敵が強化・追加され、難易度がアップした状態でクリア時のステータスやアイテムを維持したまま再スタートする。後は自分との戦いで、何回ループできるかの挑戦が始まる。

ブレイジングビークス クリアリザルト
調子が良ければ20分ぐらいでクリアできる。

このように、ブレイジングビークスは難易度が高めで硬派なゲームだ。弾幕系では無く、照準スキルを求められる高難易度ゲームをプレイしたい人にはオススメしたい。ストイックに一人で何処までループできるか挑戦しても良いが、ローカルマルチプレイが可能なので、誰かと協力プレイをすればアーティファクトの取り方にも工夫が生まれて更に面白いはずだ。

なお、今回は170円のセール価格における評価である。定価の1500円なら75点ぐらいが妥当だと思ってもらいたい。

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