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【カーブノア】レビュー: コンシューマ向け和製ローグライクゲームの始祖

クリア時間約2時間
プレイ状況クリア
プレイ時間約3時間
発売日1991年4月19日
対応機種GB
プレイ機種レトロフリーク
開発元コナミ
発売元コナミ
ジャンルRPG
ジャンルの考え方
ネタバレ無し

カーブノアは、1991年4月19日にコナミから発売されたゲームボーイのRPGだ。

ジャンルの大分類としてはRPGだが、冒険の舞台はランダム生成ダンジョンである。ダンジョン内で力尽きると全てのアイテムを失い、プレイヤーとモンスターが交互に動くターン制が採用されていることから分かるように、つまりはローグライクゲームである。

ローグライクとはランダム生成、全ロスト、ターン制、食料問題などから幾つかの要素を持っているゲームの総称だ。元々はこれらの要素を持つRPGの意味だったが、現在ではRPGとしての意味は薄れており、要素を全てを揃えていなくてもローグライクと称される。ローグライクの後ろにゲームの基礎となる大分類を付けて、ローグライクRPG、ローグライクアクションなどのように使われる

今でこそローグライクという言葉はそれなりに定着しているが、カーブノアはそのような言葉が生まれる前の作品だ。ローグライクゲームの知名度を国内で一気に押し上げることになった、トルネコの大冒険(1993年9月19日発売)よりも2年5ヶ月前に発売されている。

話は逸れるが、最近は大分類がRPGではない場合、“ローグライト”などと別分類する事例が散見されるが、あれらは全てローグライク***と同義である。前述の通り、ローグライク自体が既にRPGの意味を失っており(要素だけの話)、後ろに大分類を付ける事が一般的になっているので、態々ローグライトなどと分類する意味は無く、ゲーム分類に置いて混乱を招くだけである。探索型アクションを“メトロイドヴァニア”などと称して、知識が無い者が困惑する名付けをして悦に浸っている悪例と同じでなので注意してもらいたい。

ローグライクの基礎は抑えつつも内容はシンプル

カーブノアは、発売が1991年なのでゲームボーイ作品としても古い部類である。ゲーム内容もシンプルかつ調整も大味で年代相当。コツを掴めば2時間ほどでクリアできる。

ストーリーは一応用意されているが在って無いようなもの。新米冒険者である主人公(デフォルトネーム:コナミ タロウorコナミ ハナコ)が、4つのテーマ別ダンジョンをクリアして冒険者メダルを集めるだけである。4つメダルを集めれば、冒険者ギルドに登用されてエンディングを迎える。

ゲームは徹底して単純化されており、町と言ってもダンジョンの選択画面しか存在しない。(中心にギルドがあるが、特に何かできる訳ではないし、選択もできない)

ダンジョンには規定数〇〇しろというお題が設定されている。レベル1のダンジョンからスタートし、クリアするとレベルが一つ上がり規定数も増加するので、次からは探索時間が長くなり難易度がアップするという仕組みだ。レベル6までクリアするとメダルを貰える。

各ダンジョンに設定されているお題は以下の通りだ。

カーブノアの4つのダンジョンのお題
  • モンスター討伐:
    規定数モンスターを倒せばクリア。
    低レベルの内は片っ端から倒せば即クリアできる。
    高レベルになると、HPの回復手段に乏しいゲームなので迂闊に戦闘を出来ない。
    まずは逃げ回って武器を探したり、攻撃or回避アイテムを探す必要がある。
  • ゴールド回収:
    規定数ゴールドを拾えばクリア。
    ゴールドは時々地面に落ちている。
    拾える額は変動するので、運が悪いと探索時間が伸びる。
  • オーブ回収:
    規定数オーブを拾えばクリア。
    オーブはアイテム欄を圧迫するので、ダンジョンレベルが上がって回収数が増えれば、武器やアイテムの持てる量が減って行く。
    アイテム欄は最大で8個なので、レベル6でオーブが6個必要になるとアイテムは2個しか持てなくなる。
  • フェアリー救出:
    規定数フェアリーを助ければクリア。
    ランダムに出現する檻と、同じくランダムに出現するカギを拾う必要があり。
    フロアを探し回ることになる。

1フロアは1~5個の部屋で構成されており、階段を下りれば次のフロアへ進むことが出来る。行く手を遮るモンスターは、お馴染みのターン制で主人公とモンスターが交互に攻撃しあう。

本作にはレベルの概念が無いので、敵を倒しても主人公が強化されることは無い。レベル制で主人公が強化されないので、モンスター討伐のダンジョン以外はモンスターと戦うメリットは無い。さらに、主人公の継戦能力は非常に低く設定されており、最弱モンスターであっても連戦すると2体倒すことがやっとだ。加えて、序盤から即死級の攻撃をしてくる4マスや2マスの大型モンスターが頻出するので、不要な戦闘は極力避ける前提でバランス調整されている。

一部のモンスター以外は積極的に主人公を追ってくることはなく、上下左右の反復行動や、地形に沿う,斜め移動など固有の行動パターンを持っている。そのため、アイテムを使って透明になってやり過ごしたり、岩を召喚して動きを阻害して戦闘を回避していく。

ファイアとファイガーという攻撃アイテムが手に入れば、安全に倒せるので、どうしても回避できないモンスターはそれらを使って倒していく。お題クリアとなる規定数と達成済み数を鑑みて、どのアイテムを切って(あるいは温存して)目の前の危機を脱すれば良いか、プレイヤーの判断力が試されるのである。

一応、武器や盾を拾えばステータスアップすることが可能だが出現率が低く、装備したとしても大型モンスター相手には適わないことが多い。また、最大HPとラッキー(運の良さ)が上昇するアイテムも出現するが、かなりの低確率なので逃げが基本のゲームだ。

ジャンルはRPGとして発売されて、逃げることに重きを置いているレトロゲームは珍しいのではないだろうか。ローグライクRPGというよりも、実際のプレイ感としては、ローグライクパズルゲームといったところだろうか。主人公を強化して強敵を正面から殴り合いたいという人には不評かもしれないが、敵の移動パターンを考えて、手持ちの消費アイテムから回避策を考えることに楽しさを見出すことが出来る人なら評価は高くなるだろう。

大型モンスターの行動パターンを読み誤ると即死するし、回復手段に乏しいため小型のザコの攻撃も積み重なると後から効いて来る。つまり、カーブノアは、スタート直後から操作ミスが許されないスリリングなゲームであり、レベル5以上は特にやり応えのある難易度となっている。

パッケージに反してコミカル絵面

カーブノアのパッケージには格好良いドラゴンと剣が大きく描かれており、ファンタジー物としての想像を掻き立てられるが、実際にプレイしてみるとコミカルな場面が多い。

ダンジョンをクリアすると、主人公は大の字になったり、片足立ちでバランスを取ったりと、可愛らしいポーズを決める。

アイテムを使った時の演出も微笑ましく、回復薬を使えば背丈ほどもある瓶を取り出して中身を一気飲みするし、武器を拾えば身長の2倍はあろうかと言う大剣を片手で高速に上下させる。(僅かながらアニメーションする点が面白さを倍増させる)

ダンジョン内では淡々と戦闘続ける主人公だが、壁にぶつかった際にはムンクの叫びのような顔芸を披露してくれる。ゲームの性質上、隠し通路を見つけるために頻繁に壁にぶつかることになるので、この変顔は飽きる程に見ることになる。

また、ゲームをスタートした時だけ見ることが出来るギルドのおじさんは、何となくニワトリっぽくて憎めない。

気合の入ったパッケージに、当時の技術力が追い付いて来ないのは、レトロゲームあるあるネタだ。レトロゲームはそれも含めて楽しむものだが、カーブノアは想像以上にキャラクターがコミカルで思わずツッコミを入れたくなるだろう。

厳しい部分もあるが、ローグライクの古典に触れる価値は感じる

カーブノアは運要素が強く、特にクリア後のレベル7以降になると運の影響が大きくなり、最終のレベルM(マスター)になるとプレイヤーの努力ではどうにもならない事態が多発する。

RETURNALのレビュー記事でも書いたが、ローグライクは決して運ゲーではなく、慣れたプレイヤーは運が悪くてもクリア出来て、運が良ければ楽勝でクリアできることが理想である。レベル7以降はクリア後要素ではあるが、それを差し引いても運要素が強すぎる。


特にランダムに渡される初期アイテムに、毒消しが無かった場合に事故率が高い。最初のフロアから毒攻撃をしてくるモンスターが出て来るので、毒消しが支給されなかった場合、冒険開始直後に毒を喰らうと解毒する術がなく、自然解毒待ちで5ダメージ、通常打撃で2ダメージ、合わせて7ダメージを喰らう羽目になる。最大HPが10しかなく、回復薬1個でHP5しか回復しない仕様でこの痛手は大き過ぎる。

また、地形的に接触不可避な位置に大型モンスターが出現することがある。例えば、次のスクリーンショットの場合、中心の島に階段があったり、逆にそこからスタートした場合はお手上げとなる。また、部屋を移動した際に、避けようの無い出会い頭の事故も発生する。

ダンジョンレベルが上がり、探索時間が増えれば増える程、このような事故に合う確率が上がって行くため、レベル7以降はプレイする必要はないだろう。流石に古い作品なので、この手の調整に甘さを感じることは否めない。

ローグライクファンにとっては、ローグライクの歴史に触れる価値を加味して★4だが、ローグライクに特に思い入れが無ければ★3という評価が妥当だろう。

ローグライクファンであれば是非箱説付きで入手して大切に保管しておいてもらいたい。(綺麗な箱説付きは、やや入手しにくい微レアなゲーム)

ちなみに、タイトルは“カーブノア”だが、綴りは“CAVE NOIRE”(=暗黒の洞窟)でフランス語。よって、“ノア”ではなく“ノワール”が正しいのだろう。この手のガバガバな外国語表記もレトロゲームの特徴として楽しみたい。

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