点数評価 | 75点 |
プレイ状況 | クリア トロフィー:37% |
プレイ時間 | 約16時間 |
発売日 | 2021年4月28日 |
対応機種 | PS4/PS5/Xbox/Steam Switch(2023年11月30日) |
プレイ機種 | PS4 |
開発元 | Experiment 101 |
発売元 | THQ Nordic |
ジャンル | オープンワールドアクションRPG ジャンルの考え方 |
バイオミュータントをプレイした第一印象は、“クソゲー”という程では無いが“やや地雷”である。様々な欠点が目に付き60点程度の評価だったが、独自の世界観は素晴らしく、組み合わせや素材のやりくりに頭を悩まされる装備強化や、超巨大なワールドイーターと呼ばれるモンスターとの戦いは楽しかった。その結果、最終的には★3(嗜好が合えば楽しめる,時間あるなら手を出しても良い)の75点という評価に落ち着いた。意味の分からない翻訳については、パブリッシャーがストップをかけるべきだったのだろう。単純に流通さえすれば良いという、甘い考えのパブリッシャーが付いた悪い例である。
人類が居なくなり、荒廃して終末感の漂う世界を、自由にカスタマイズした可愛い?ケモノで自由に歩き回るオープンワールドゲームとして注目を浴びたバイオミュータント。ポストアポカリプス(終末物)×ケモノという新しい試みが好感視され期待度が高まっていたが、発売が迫り情報が開示される度に、翻訳の怪しさや戦闘中に表示されるクソダサフォントが指摘され、その評価の行き先には暗雲が立ち込めていた。
バイオミュータントの登場人物は、人間によって取り返しのつかないレベルまで汚染された世界で産まれたミュータント達だ。この世界の人間たちは随分と昔に地球を脱出しており、過去の文明は自然に飲まれ朽ち果てている。主人公は文明の名残を利用しつつ逞しく生きるミュータントの一人であり、トライブと呼ばれる部族間の抗争や、世界を支える生命の樹を食い尽くそうとするワールドイーターとの戦いに身を投じていく。
汚染から生み出されたミュータントと聞けば、誰もが思いつくのは遺伝子の変異だろう。ゲームを開始して最初に行うキャラメイキングでは、遺伝子を操作して生命力や知力などのステータスを決定するのだが、その決定画面が実にユニークだ。ステータスの伸ばし具合によって、主人公の体格や顔つきがリニアに変化するので、数値を弄っているだけでも愉快だ。特に一部のステータスに極振りした場合には、ブサイクながらもステータスの特徴を捉えた容姿が出来上がる。
ちなみには筆者は、“オープンワールド=移動力が命”という判断で、俊敏性に全てのポイントを割り振ったうえで、クラスは銃撃戦が得意なデッドアイを選んだ。しかし、ゲーム開始早々に乗り物が手に入り、俊敏性の価値が一気に失われてしまった。
俊敏性に全振りして失敗した次は、アイテムを拾う回数が多い=運のステータスが活きると判断し、レベルアップで得られるステータスボーナスは運に極振りすることにした。
バイオミュータントは建築要素は無いものの、Falloutのように素材アイテムをひたすらに集めまくるゲームである。新たなロケーションに到達したらまずはチェスト類を片っ端から開けていく。素材が一定数まで集まったら、その中から使えるアイテムを選別して武具をクラフトし、使わなかったアイテムは解体してスクラップ化する。そして、スクラップを使ってクラフトした装備を強化するという作業を延々と繰り返すことになる。
素材集めからの新しい武器作りは、性能の他にも見た目にも拘ることが出来て楽しい。ただし、運を上げまくってレアアイテムを集め、それらを使った強力な武器を作ったとしても、腕力や生命力が規定値に達していないと装備できないことが多い
そのため、結局は後から俊敏性と運以外の他のステータスにも振ることになった。何でもバランスが重要なのだ。なお、運を上昇させると攻撃のクリティカル率も上昇するので、決して無駄では無かったことは追記しておく。手数の多い武器を利用している場合は恩恵が大きいので、運に極振りでも進行不能になるほどに苦戦することは無いだろう。
バイオミュータントの世界観は、事前の期待を全く裏切っていない。
廃墟×ケモノ×ファッション=フォトモードが止まらない
である。
残念ながら、フォトモードは凝った仕様では無く、カメラ移動と被写界深度のオンオフが出来るだけだ。しかし、ロケーションと装備を変えながらカメラを回せば、誰もが撮影に夢中になるだろう。探索する度に新しい撮影ロケーションが見つかるし、新しい場所からは大量にアイテムが見つかってオシャレの選択肢が増えて行く。そうなると、新しい服を着て、次のロケーションを探したくなる。
まさに、探索⇒撮影⇒着替え⇒探索⇒・・・の無限ループである。
多くのオープンワールドRPGでは、拾ったアイテムをステータス優先で装備していった場合、主人公が漏れなくクソダサなコーディネートになってしまう。しかし、バイオミュータントの主人公はケモノなので、適当な装備でも余り酷い見た目にならないことが嬉しい。サイバーパンク2077のように、撮影の度に着替えが必要になるほどの奇天烈過ぎる見た目とは無縁だ。
剣や銃もパーツ次第で見た目が全く異なるので、細部まで拘りだすと無限に遊べる。徹底して見た目とフォトに取り組みたいのであれば、ゲーム難易度はイージーを選択し、装備は完全に見た目で選んでも良いかもしれない。
通常戦闘の底は浅いが、ワールドイーター戦は工夫されている
バイオミュータントの戦闘は、端的に言えば底が浅い。バイオミュータントの主人公は、ワン・フーと呼ばれる近接戦及び銃撃戦を組み合わせた戦闘術を習得しており、更にミュータントの潜在的な能力であるバイオジェネティクス或いはサイキック(サイ能力)を組み合わせて戦う。
この設定自体は、小柄なケモノが銃を撃ちながらカンフーアクションを熟すようなコミカルさと、突然変異(ミューテーション)をパワーに変えるという世界観に合致した能力で魅力的だ。
レベルアップや探索でスキルポイントを入手できれば、ポイントを使って新しいスキルを覚えることが出来る。しかし、特に凝ったスキルツリーが用意されている訳でも無く、単にスキルを覚えるだけなので、プレイヤーごとにビルドの個性や工夫が大きく現れる訳では無い。
また、武器種は多いものの、武器毎に用意されている専用のアクションの数は少ない。新しい敵に出合ったら有効なスキルを探すことも楽しみの一つだが、敵の種類も少ないのであれこれと戦術を考えるような遊び方は余り期待できない。
従って、ワン・フーを自在に操るケモノをウリにしている割には戦闘は単調であり、アクション部分に期待していたプレイヤーは落胆するだろう。同じくポストアポカリプス系のオープンワールドであるFalloutも、常々戦闘の単調さが指摘されているが、バイオミュータントの方が“多少マシ”という程度の退屈さである。
幸いなことに、“ケモノ系”というアドバンテージを活かしたフォトモードは、戦闘中が最も活躍する。戦闘中も積極的にフォトモードを起動すれば、幾分は落胆した気分も和らぐはずだ。
通常戦闘がイマイチな一方で、生命の樹を喰らおうとするワールドイーターとの戦闘は、専用の特殊ルールが用意されているので楽しめる。
ワールドイーターと戦う際には、メクトンと呼ばれる外骨格型のマシンに乗り込んだり、騎乗できるケモノ“ムート”を駆ることになる。特定のギミックを発動させなければワールドイーターにはダメージが通らないのだが、主人公の何十倍もの大きさのワールドイーターから逃げながら、ギミックを発動させて弱点を攻撃する戦闘シーンには迫力があり、単調な戦闘に飽き飽きしてきたプレイヤーにとっては一服の清涼剤となるはずだ。
次の動画はイカ型の潜水マシンに乗り込んで水中戦も繰り広げる様子だ。このように、ワールドイーター毎に特徴的な戦闘が用意されていることは好印象である。
また、ワールドイーターと戦う頃には、武具のクラフトやスクラップ素材による強化にも慣れてきているはずだ。そうなると、ザコ戦は新しい武器の試し切りの場となる。レア度の高い素材を組み合わせて武器性能が大幅にアップすると試し甲斐もあるので、後半になって武器の更新頻度が上がってくると退屈さも緩和される。
なお、序盤のトライブ間抗争に登場するボスは主人公と似たサイズのケモノ。よって、ボス戦と言ってもザコ戦の延長のようなものなので余り面白くない。選択肢によって、光と闇のルート分岐があるが、光のルートで早々に和平を結んでトライブ間の抗争を終わらせた方が良いだろう。徹底抗戦した場合は、各トライブ制圧途中に飽きてプレイを止める可能性が高い。
翻訳の悪さがオープンワールドの欠点に拍車をかける
バイオミュータントは翻訳が酷い。ローカライズに際して、日本人が監修をしていないことは明らかだ。さらに、英語から日本語に機械翻訳しただけではなく、英語⇒中国語⇒日本語と、機械翻訳を2回通したのでは無いかと疑われるレベルの酷さである。長文の場合は意味不明な部分があっても、その前後の可読範囲で意味を汲み取れるのだが、短文の場合は全く意味が通らないことがある。
次のスクリーンショットは、旧友のモグラ?と話を終えた後に、右に出ている光の妖精のようなものが、“炎をあおれ!”と主人公に問いかけている場面。それに対する回答の選択肢が、“これでいい。”と“遠い過去だ。”になっており、何を聞かれて、何を答えているのか理解しがたい。
次のスクリーンショットは、とある武器を手に入れた場面。“若者向け武器”とは一体・・・。
また、ストーリー進行のナレーション(バッタのオートマトン)には声優が付いているのだが、律儀にも意味不明な文を淡々と読み上げてくれる。ガバガバな翻訳を音声で聴かされ続けることは苦痛なので、途中からは音声を英語に変えて、字幕を日本語に変更した。
メインクエスト以外にも、無数のサイドクエストが用意されているが、翻訳文を脳内補正しながら理解することがストレスなのでクリア意欲が沸かず大半を放置してしまった。次のスクリーンショットは世界地図だが、それの水色のシンボルマークは全て未クリアのサイドクエストだ。メインクエストの通り道にあるサブクエストだけをクリアするスタイルでプレイしたので、クリア時間は16時間だったが、恐らく全てをクリアしていけば50時間ぐらいのボリュームだと思われる。
世界の各地には、バイオハザードや低酸素濃度などの悪環境エリアが設置されている。環境から受けるスリップダメージを無効化するためには、各種の耐性スーツをサイドクエストで手に入れなければならない。しかし、上手く最短ルートで移動することが出来れば、これらは一つも取らなくてもクリア可能だ。実際に筆者は一つも取らなかった。
メインクエストは基本的に〇〇に行って△△を取ってこいというお使いが大半。オープンワールドゲームは移動すること自体が楽しみの一つなので、お使い自体は良い。しかし、バイオミュータントは人間不在の新しい世界なので、固有名詞も独特の物に置き換わっている。例えば、銃火器は“ピューピュー”と呼ばれているので、銃火器店は“ピューピューショップ”だ。
“〇〇に行って、△△を取ってこい”という指示でも、地名の〇〇は初めて聞く言葉で、△△は独自言語で現物を見るまで何か不明。更に前後の文の翻訳が滅茶苦茶なので、本気で何を言っているのか分からない。プレイ開始直後はそれもまた一興なのだが、ボリュームのあるオープンワールドゲームでこの状態が続くとなかなかに辛く、プレイ意欲が失われる原因の一つとなっている。
発売を約1か月後に控えた頃に突如出現し、バイオミュータント購入予定者を震撼させたクソダサフォント(通称“ツルダンス”事件)だが、特に改善されることなく製品にも採用されている。特定のコマンド入力を行うことで発動するワンフーアクションには、漏れなく技名がカタカナで表示されるオマケ付き。強引に好意的に表現しようとしても、“ダサさが妙に癖になる”ぐらいが限界だろう。誰がどう見てもダサく、これを格好良いと言い切ることは難しい。
次の動画は、迫真のヒドゥンスラムからのツルダンス、そしてもう一度ヒドゥンスラムで〆という動きだ。飛び出るフォントのお陰でとにかくダサい。
技名は律儀に日本語に直してくれているにも拘らず、敵に表示される効果音は英語のままだったりと中途半端さも目立つ。全て英語表示に統一してくれた方がまだマシだった。最も、英語であってもマシなだけで、技名が飛び出る演出自体が不要だったと考える。
以上のように、バイオミュータントは発売前の期待値に届くことは無かった。それでも世界観の出来の良さは確かなものであり、クリア後もゲームを起動して未踏破エリアを探索し、写真を撮りたくなる作品だ。最もそれは、諸手を挙げて褒めることが出来るのは世界観だけという意味でもあるが、ケモノや廃墟が好きで、Falloutのように長時間の探索を楽しめるゲームを探しているのであればプレイしても良いだろう。
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