点数評価 | 90点 |
プレイ状況 | クリア(神々の力未使用) |
プレイ時間 | 約8時間 |
発売日 | 2021年7月29日 |
対応機種 | Switch/PS4/PS5/Steam Xbox One/Xbox Series |
プレイ機種 | Switch |
開発元 | Fallen Flag Studio |
発売元 | H2 INTERACTIVE |
ジャンル | アクションRPG ジャンルの考え方 |
ダークソウルの出現以降、ライトゲーマーでは音を上げてしまうような高難易度のゲームが人気であるが、それも多様化してきている。高難易度ゲームと言っても、それらの多くのゲームは、ガード,回避,パリィなどの防御技を駆使しながら、隙を見て回復すればクリアできるものが多いが、Eldest Souls (エルデストソウル)の回復手段は攻撃である。まさにバーサーカーとして攻めたてる体験を出来るアクションRPGであり、死にゲーとしての新しい在り方を感じることが出来る。
【総合評価】 | |
革新性 | |
ユーザビリティ | |
ビジュアル | |
サウンド | |
プレイ継続性 | |
コストパフォーマンス |
Eldest Souls (エルデストソウル)は、開発者インタビューによると、ダークソウルシリーズや漫画『ベルセルク』から大きな影響を受けた作品であることが公言されており、いわゆる死にゲーに分類される高難易度ゲームだ。大剣を背負った主人公が痛々しく一人で神々に戦いを挑む様は、正にベルセルクを彷彿させるだろう。
アクションゲームであると同時にボスラッシュゲームを称しており、本作にはザコ戦が用意されていない。戦闘は手強いボス9体のみという潔い作りとなっている。インディゲームの値段相応のボリュームでクリアまでは約6.5時間だったが、高難易度アクションに不慣れな人は数十時間のチャレンジが必要になるだろう。
なお、ボスラッシュとは言うものの間髪入れずにボスと連戦する訳では無く、ボスとボスの間には小規模な探索が用意されている。繊細なドット絵で描かれた荒廃した世界を歩き、遺物から世界観を把握することが出来る。またボスを倒す度にスキルによるキャラクタービルドを行うことも出来る。
Eldest Soulsを簡単に説明すれば、“見下ろし視点型のボス戦限定ダークソウル(大剣縛り)”とでも言ったところだろうか。
攻め以外の手は無い、絶望の超高難易度アクション
死にゲー、あるいはソウルライク。それらは、2009年2月5日に発売されたデモンズソウル以降、ゲーム業界に定着した“退廃的な世界で繰り広げられる高難易度アクションゲーム”のサブジャンルだ。Eldest Soulsも名前にソウルを冠するアクションゲームであることから、何となく想像が付くだろうが死にゲーである。
一般的なライトゲーマー(ボリューム層)からすると、序盤で投げそうなゲームが総じて死にゲーと呼ばれることから、一口に死にゲーと言っても、その難易度はピンからキリまで振れ幅がある。今回レビューするEldest Soulsは、甘いか辛いかで例えれば、間違いなく火が吹くほどの“激辛”だ。
何がEldest Soulsを難しくするのかというと、それは体力回復の仕様である。 同じ死にゲーであっても、本家ソウルシリーズであれば、瀕死になったとしてもスタミナの限り連続でローリングして敵から距離を取り、回復薬をガブ飲みしてから仕切り直しができた。しかし、本作には回復薬は存在しない。
では、どうやって体力を回復するかというと、それは大剣による攻撃である。本作における主な回復手段は、溜め攻撃を当てた際に得られるバフ効果“血飢え”の状態で、敵を攻撃することだ。“血飢え”の状態になると、与ダメージアップ,移動速度アップ,攻撃速度アップ,攻撃の度に体力回復というバフ効果が発生する。つまり、体力が減ったのであれば、1発で昇天しかねない攻撃を掻い潜って溜め攻撃を当てたうえで、さらにそこから軽攻撃を重ねなければならない。仕切り直しなどできず、生きるために敵を切るというバーサーカーじみたの戦い方を求められる仕様だ。
メニュー画面を開いてもボスの攻撃は止まらない!ボス戦は休憩不可!
体力が減ったら、溜め攻撃を当ててから殴る。
回復行動を文字で表すと僅か1行。しかしこれが難しい。溜めに要する時間は1秒程だが、苛烈なボスの攻撃の前ではこの1秒が何とも長くもどかしい。そして、渾身の溜め攻撃も必中という訳では無い。後一撃で倒される状況において、集中力を切らさずに冷静に、安全な溜め位置と発動タイミングを考えることが実に難しい。また、当てたからと言ってそこで終わりでは無く、そこからはバフ効果が切れるまでに軽攻撃を当てて体力を回復しなければならない。ここで焦ってボスを迂闊に殴り続けようものなら、手痛い反撃を喰らい回復した分以上のダメージを喰らうだろう。
そして、体力を回復するために“軽攻撃”を当てるとは言うものの、主人公の得物は身丈程もある大剣である。つまり、軽攻撃と言えども、発動速度はその言葉のイメージよりも遅い。武器種は存在せず大剣以外は使えないため、どのような状況であっても大剣を振り回してHPを回復していくしかない。絶望的な逆境においても大剣を振り続ける戦い方は、まさにベルセルクだ。
なお、Eldest Soulsにはキャラクターレベルは存在しないし、協力プレイも用意されていない。唯一イベントで攻撃か防御のどちらかだけを1回限り強化できるが、それ以外にステータスの底上げは不可能である。勝てるまで現環境でトライ&エラーを繰り返すことになる。それを9回行えばゲームクリアだ。
ボスは最初から最後まで難易度が高く、特にまだゲームに慣れていない時期にも関わらず、多彩な攻撃を繰り出してくる3番目と4番目のボスが鬼門になる。
クリアまでのボス戦を料理に例えると、フランス料理のフルコースにて、前菜からデザートまで全てでメインディッシュ級のカロリーの塊が出て来るようなイメージだろうか。なにせボス戦しか存在しないゲームなので、胃もたれするよう高難易度が続く。従って本作は、死にゲーやソウルライクの絶望を糧に生きている、高難易度指向を好むゲーマーにしかオススメできない。
なお、ラスボスまで到達することが出来れば、クリア出来る可能性が非常に高いことを記載しておく。ラスボスはそこまでに登場したボス達のおさらい、あるいは複合的な要素が強く、ここまでの死線を乗り越えて来たプレイヤーなら“体が覚えている”という感覚でクリア出来るだろう。筆者の場合、3~8番目のボス>ラスボス>2番目のボス>1番目のボス という難しさに感じた。
いずれのボスにも言えることだが、最も効果的な攻略方法は、繰り返しトライしてパターン毎の対応を体に叩き込むことである。他人のプレイ動画を見たとしても、咄嗟の判断力は見に付かない。特に、溜め攻撃後に反撃を貰わずに何発軽攻撃を繰り出せるか?あるいは、“血飢え”ゲージを消費して繰り出す大攻撃である“血液爆裂”を安全に繰り出せるか?という見極めが重要だ。これらを見に付けなければ、知識だけではクリアは難しいだろう。
多彩で何度でもやり直しが出来るキャラクタービルド
Eldest Soulsには、レベルも無ければ武器の切り替えも無いが、ボスを倒す度にスキルポイントを入手できる。3種類の戦闘スタイルから好きなものを選びスキルポイントを振ることで、特殊攻撃を使えるようになったり、特定条件でプレイヤーに有利なバフ効果が発生するようになる。なお、戦闘スタイルには、素早い移動攻撃や自動攻撃を出せる“風のスライディング”、攻撃力を強化できる“狂戦士斬り”、反撃や一時的なシールドを得ることができる“カウンター”の3種類が用意されている。
同じ戦闘スタイルの中にも系列が2種類存在し、さらにスキルのルート分岐も用意されている。そのため、スキルポイントの振り方によって戦い方は全く変わってくる。武器は大剣1種類しかないが、スキルビルドの幅はかなり広いため、プレイヤーの性格に合致するビルドが見つかったり、ボスの行動パターンにハマる組み合わせを見つけることが出来ると、ダメージ効率を大きく上昇させることが可能だ。
また、ボスを倒す度に、ボスの欠片というアイテムを入手できる。それを用意されたスロットにセットすることで、何らかのバフ効果が得られるようになる。例えば、2番目のボス撃破で入手できる“腐敗の掌握”は、アビリティスロットに注入すると、クールタイム制の射出攻撃が使用できる。溜め攻撃のスロットに注入すると、溜め攻撃後に継続ダメージを与える設置型のトラップが発生するようになる。
なお、スキルポイントの振り分けと、ボスの欠片の注入は、どちらも無制限にやり直し可能である。ボスに何回も倒され続けたとしても、おのずとカウンターするべきなのか、移動速度を上げるべきなのか、力で押し切るべきなのか見えてくるはずだ。
ボスが倒せない時は、ビルドの見直しが基本!
何故、幅の広いキャラクタービルドが用意されているかというと答えは単純で、ボスが多彩だからだ。
Eldest Soulsはボス戦に絞ったゲームであり、ボスは全9体しか居ないが、ボス毎にフィールドサイズも攻撃速度も違う。また、体力低下により例外なく行動パターンが強化される。強化前から十分に難しいので、強化後に瞬殺された際には“まだ戦闘能力が上がるのか・・・”と呆然することもあるだろう。つまり、強化後を見据えてキャラクタービルドを考える必要があるのだ。
次の動画は、とあるボスとの戦闘シーンである。体力を削り切ったと思ったら、そもそもボス自体が置き換わるという珍しいパターンも用意されている。
攻撃予兆を見てから反射で逃げるタイプのボスから、ギミックを理解して対処するタイプのボスに切り替わるため、どちらのボスに最適化したキャラクタービルドを用意するかはプレイヤー次第だ。負けると当然ながら第一形態からやり直しとなるので長期戦は必至である。
また、広いフィールドが用意され、ある程度は回避の選択肢をプレイヤーが持つことが出来るボスも用意されている。その一方で、極端に狭いフィールドで回避パターンを制限されるボスも用意されていたりと、難しさのバリエーションは豊富である。
このように、キャラクタービルド×ボス個性により、ボス戦で詰まる度に、最適なキャラクタービルドを求めて、戦闘スタイルを研究するのも楽しいはずだ。最も、楽しいだけでクリア出来る保証はないが、試行錯誤を好むアクションゲーマーであれば本作が気に入るはずだ。
世界観は全体的に分かり難い
ソウルシリーズと言えば、“語らぬことの美学”や“人よりも語るアイテム”で独自の世界観が構築されている。ソウルシリーズの影響を受けたEldest Soulsでも、似たような試みが散見される。ただし、ゲームボリュームはそこまで多くなく、エリア探索も用意されているが限定的なため、世界観を構築というレベルには達していない。“何となく分かる”程度である。
一応マルチエンディングらしく、キーアイテムを集めて古の神々の力の集めれば、最後に多少の分岐が用意(神々の力無しor神々の力3種類の、合計4種類の分岐)されているようだ。バフ効果が得られるので、最初は神々の力のエンディングに向かった方が楽だろう。筆者の場合、探索を疎かにした結果キーアイテムを見落として、神々の力無しのエンディングになったので、無駄に難しいルートを通ってしまった。
また、作業に没頭して条件が揃わないとロクにプレイヤーへ関心を持たないキャラクターや、定番の心が折れた兵士など、如何にもソウルらしい登場人物が用意されている。この辺りは影響を受けたと公言するだけあり流石だ。
クリア後には大幅に難易度が上ったニューゲーム+が用意されている。ボスの攻撃パターン追加,被ダメージ15%アップ,回復10%ダウン,ボス体力2.6倍と、尋常では無いほどの難易度の上昇なので、死にゲーに染まり過ぎて通常モードでは止まらない狂戦士でも満足出来るだろう。
以上のようにEldest Soulsは、世界観の構築にやや課題が残るが、攻めの姿勢を保ち続けることを強いられる難易度の高い戦闘と、気楽に組み替えられるキャラクタービルドが見事に調和した質の高い作品である。メインの開発者は2人だけで、更にこれが1作目とは驚きだ。もう1段階スケールの大きい作品に挑戦すれば、次回作は★5の100点が期待できそうだ。
ちなみに、プレイ中にはBGMなど気にしている暇などないが、サウンドトラックはAmazonMusicで配信されているので気になれば聴いてみると良いだろう。
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