点数評価 | 60点 (ヨコオ信者なら+10点) |
プレイ状況 | 本編クリア |
プレイ時間 | 約7時間 |
発売日 | 2021年10月28日 |
対応機種 | Switch/PS4/Steam |
プレイ機種 | Switch |
開発元 | エイリム |
発売元 | スクウェア・エニックス |
ジャンル | 脳内再生 RPG ジャンルの考え方 |
構成する世界観全てをカードで表現し、ヨコオタロウのブランドイメージでゴリ押しした作品。TRPG(テーブルトークRPG)に興味が無ければテンポの遅さにイライラさせられることは間違いない。また、体験版で得られる感想が概ね全てであり、本編でもその域を超えてこない。従って、まずは体験版を遊ぶことをオススメしたい。テキストの出来は総じて良いものの、同じネタの擦り続けは人によっては受け付けず、つまらない・クソゲーという評価を下す人も少なからず居るだろう。
Voice of Cards ドラゴンの島は、世界観の全てがカードで表現され、テーブルトークRPGのようにゲームマスターのナビゲーションにより進行する、一風変わったコマンド式RPGだ。また、フルボイスではあるものの全てが状況説明となっており、キャラクターボイスには安元洋貴だけが採用されている。
Voice of Cards ドラゴンの島は、製品版の前日譚として体験版が配信されている。体験版⇒製品版とクリアまで遊んだが、まずは体験版をプレイすることを強くオススメしたい。何故なら、ストーリー以外のゲーム性に関する評価は、本編をプレイしても何一つ変わらないからだ。体験版を遊んで面白いと感じたのであれば、製品版も満足するだろう。一方で、製品版を遊んで合わないと感じたのであれば、確実に低評価となる。
当記事はドラゴンの島 本編のレビューだが、まずは上記リンクから体験版のレビューを読んでもらいたい。以下に体験版のおさらいを示すが、当記事は、体験版をプレイ済みor体験版のレビューを読んだ前提で書いているので注意してもらいたい。
体験版と本編のレビューで一つの記事に近い。
続編、Voice of Cards できそこないの巫女及び、囚われの魔物のレビューは以下を参照。
- カードゲーム風なだけで、完全にコマンド式JRPG
- カードの絵柄は動かないが、カードそのものが動く
- 全ての演出が遅く、テンポが悪い
- カードは低予算でゲームを作るための手段
- ヨコオタロウのネームバリューだけで、どれだけ売れるかを試験するための作品
- ミニゲームは奥深さを感じる
なおゲーム本編は、体験版クリア直後、体験版で操作した白の教団の3人を含め、冒険者たちがドラゴン討伐に志願するシーンから物語が始まる。
体験版で悪かった部分はあまり改善されていない
ドラゴンの島は、体験版のレビューで示した通りとにかくテンポが悪い。何をするにしてもカードを捲る演出が入り、時間が掛かる。加えて、大した情報量では無いはずだが、パーティメニューを開くだけで1秒程度のロード時間を要し、メニュー内の各項目の切り替えのレスポンスもやや遅い。
体験版のレビューでは、
体験版をクリアした段階で早くも演出が鬱陶しく感じる。
と、評したが、本編でも1時間もプレイすれば各種演出に辟易としてくる。つまり、何一つ改善されていない、もしくは効果を感じることがないレベルでしか改善されていない。
体験版はフィードバックを得るためでは無く、プレイヤーの振るい落としが目的だったようだ。
本作のフィールドやダンジョンで延々とカードを捲る作業は、敵とのエンカウント率の高さと相まって、非常に面倒くさく感じる。そのため、途中から効率厨になりきって、常に最小限の動きでカードを捲りきる方法を考えた方が良いだろう。適当にカードを捲っていると、無駄な移動回数が増えてエンカウントする可能性が高くなるので、一旦手を止めてでも最高効率のルートを探すべきである。
特に、解放済みのカードに対しては、積極的に右スティックのワープ移動を利用するべきだ。短距離であっても十字やL字にカードが並んでいる場所では、基本的に交差部分へ足を踏み入れることなく、斜め先の解放済みカードへワープして2歩掛かる所を1歩で移動していきたい。面倒に感じるかもしれないが、この1歩の積み重ねが大幅な時間短縮につながる。
どれだけ効率的な移動をしても、高いエンカウント率のお陰でそれなりの回数は戦わなければならない。戦闘自体が面白ければ戦闘回数が多くても問題ないのだが、残念ながらドラゴンの島の戦闘は、製品版でもそれほど面白く無い。
戦闘システムそのものについては、体験版レビューを参照してもらいたい。
ドラゴンの島では、敵は1体~3体の3パターンでしか出現しない。敵の同時出現数が少ないということは、範囲攻撃の大技が死に技になっていることは言うまでも無い。ジェムを溜めてからの大技は、演出を見るために1回だけ使って見るだけで良いだろう。そもそも、時間の掛かる戦闘演出を最低限に抑えるために、敵が3体出現した場合は逃げることを推奨したい。また、敵3体を相手にすると、必然的にダメージを喰らう可能性が増え、戦闘後に傷薬を使うことになる。傷薬を使うということは、反応の悪いメニュー画面を開くということであり、レスポンスの悪さから無駄なストレスを溜めることになるのだ。
敵3体とは戦わず、1体か2体を1ターンか2ターンでキルすることが大正義となるので、単体技でもジェムを3以上消費する技は使うことが無く、封印が安定となる。そして、先制でトドメを刺して相手にターンを回さないことが重要になるため、バッファー役のマッチョ(ブルーノ)と、タンク役のモンスター(メルブール)に出番は無く、パーティメンバーは主人公・リディ・クロエで固定となる。
そんな極端な考え方をしなくても良いのではないか?と思うかもしれないが、バッファーやタンクが用意されて居るにもかかわらず、一切使い所の無いゲームバランスになっていることが問題なのである。わざわざプレイヤーがゲーム効率を落とさないと使い所が無いというのは、ゲームシステムが破綻していると考えてもらいたい。
最適解を考えた結果、場面に応じてキャラクターの選択肢が変わるようなバランスがベストだ。
なお、筆者の場合は途中から、テンポの悪さとエンカウント率の高さに耐えきれず、敵1体出現以外は全逃げした。本来であれば、ボス戦はタンク役かバッファー役を入れた方が良いのだろうが、逃げるのでゴールドが溜まらず装備も満足に買えず、そもそもパーティ編成するには例によって重いメニュー画面を開く必要があるので、最初から最後までメンバーは固定で進めた。
しかし、それでも途中のボス戦・中ボス戦で苦戦することは無かったので、ドラゴンの島はコマンド式RPGとしては難易度は低い方である。ただし、ラスボスだけは非常に苦しい戦いとなった。スリリングでギリギリの戦いを楽しみたいのであれば、ラスボスにもバッファー役やタンク役を入れずに挑んでみて欲しい。
ウイットに富んだテキストは一見の価値あり
ドラゴンの島は、ゲームのテンポや戦闘の面白さは散々だが、安元洋貴の安心感のある声で読み上げられるテキストは、ウイットに富んでいて実に面白い。ゲームマスター視点の語り手だけで進行するという演出方法もアリだと感じた。
ドラゴンの島は、最終的には正解の無い選択肢を迫られる、ヨコオタロウらしさを感じる展開のゲームだ。また、ゲームの進行状況に応じて公開されていくキャラクター図鑑では、カードの裏側(2ページ目)には、意味を考えると恐ろしかったり、腹黒さが見えるような、如何にもプレイヤーが期待していたようなフレーバーテキストを閲覧できる。これらは実際にプレイしてのお楽しみということで、自分の目で確かめて欲しいのだが、ストーリー進行はギャグ寄りな展開が多いことに触れておく。
パーティメンバーは曲者揃いで、勇者を自称しつつも、締まりのない顔で直ぐにヨダレを垂らす主人公、大喰らいだが憎めない愛らしさのモンスター、バカな弓使い、バカな筋肉自慢、ドラゴンへの復讐心を滾らせる魔女となっている。魔女が一番マトモという有様だ。このメンバー構成ではシリアス路線で話を進めるのは到底無理な話である。
また、ドラゴンの島は、これは面白いと開発陣営が確信した渾身のネタを擦り続ける傾向にある。ウケたプレイヤーには評価が高くなるが、ウケなかったプレイヤーは一気に低評価を付ける諸刃の剣のようなやり方なので、評価は大いに分かれそうである。
ドラゴンの島は、期待通りのヨコオ節とリスキーなネタの擦り続けという、極めて異例な組み合わせの作品である。★★★☆☆:人を選ぶ という評価になって当たり前だろう。
伝説のハッサンのハッスルダンスが・・・
ドラゴンの島に採用されている唯一の声優である安元洋貴は、ドラゴンクエスト6で初登場したハッサン役や、ニーア オートマタのポッド役で、スクウェア・エニックス作品に採用された実績を持っている。スクエニ作品との縁故から、ドラゴンの島ではゲームマスター役として採用されている訳だが、前述の通りギャク展開の多いドラゴンの島では、ドラクエ6のハッサンネタをしっかりと仕込んできている。
ドラゴンクエストファンの間でハッサンと言えば、ハッスルダンスが超定番のお笑いネタだ。それを理解している公式が、セルフオマージュとして、ハッスルダンスならぬマッスルダンスという技を、ボイス付きで登場させている。しかも、戦闘中に技に合わせてボイスが入るのは、このイベント戦闘ただ1回だけである。
ドラゴンの島で全編を通して一番盛り上がるシーンは、間違いなくマッスルダンスだ。
以上のように、ドラゴンの島が特徴として前面に押し出した、カードで構築された世界を踏破するシステムや、カード風コマンド式RPGの出来は、残念ながら余り良くない。各種のギャグネタでニヤリと出来る人や、ヨコオタロウ信者向けである。そうでなければ、プレイは控えた方が良いだろう。イラストは設定資料集が発売されれば欲しいし、音楽はサントラでもデジタル配信でも良いので聴けるようにして欲しいと思う位に良いが、如何せん、ゲームの本質的な部分に問題が在った。
TPRG風な演出を重要視するのは結構だが、演出速度変更や演出スキップ機能などを用意しておくべきだっただろう。最もそうなると、ただでさえ短いクリア時間が更に短縮されることになる。それでも、長々と拘束されてストレスを溜め続けるよりも、短くてコスパ悪かったなと思われる方がまだ健全的である。
どうしても遊ぶ場合は、各所で貰える不思議なカードを必ず全て集めて、1回目から真エンディングを迎えよう。2周目をプレイしたいと思うようなクオリティの高さでは無い。
ちなみに、ドラゴンの島と同様に、試験的な意味合いが強いダンンジョンエンカウンターズというRPGが、スクウェア・エニックスから2週間の差で発売されている。こちらも人を選ぶ作品だが、ハマる人にはドストライクなので、興味があればそちらのレビューも参照してもらいたい。筆者としては100点のゲームであり、スクエニのDL専売試験タイトルムの対決は、明暗を分けた結果となった。
一応、プレイ速度に関するアップデートは予定されているようだが、大半のプレイヤーが1回しかプレイしないゲームなので、時期は未定などと悠長なことを言わずに急いでもらいたいところだ。スクエニにQA部門があるのか知らないが、QA部門がまともに機能していれば、スピードオプションが用意されるまでリリースは延期を指示したはずだ。
【追記1】Original Soundtrackが配信開始
唯一の評価ポイントであった音楽が、オリジナルサウンドトラックとして、2021/11/12に配信開始された。作曲を担当した岡部 啓一は、NieRシリーズで大きな評価を受けており(『ニーア オートマタ』はThe Game Awards 2017で「Best Score/Music」部門賞を受賞)、ドラゴンの島でもその才能を遺憾無く発揮している。
折角なのでCDを出して欲しかったが、残念ながら今のところは配信限定のようだ。配信限定であってもMusicUnlimitedに登録されれば嬉しかったのだが、1800円の買い切りのみに対応している。なお、公式サイトによるとCD版の発売も検討しているらしく、続報に期待したい。
【追記2】ゲーム速度変更機能が追加される
2021年12月22日に待望のゲーム速度変更機能が追加された。ゲーム速度に対する不満はデモ版の時点で既に出ていたので、速度変更機能を実装してから発売すれば、評価が上がった可能性があり勿体無い。もう一度最初からプレイする気は無いので評価は据え置く。
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