点数評価 | 65点 |
プレイ状況 | 月風魔でノーマルクリア |
プレイ時間 | 約7時間 |
発売日 | 2021年2月10日 |
対応機種 | Switch/Steam |
プレイ機種 | Switch |
開発元 | ぐるぐる |
発売元 | KONAMI |
ジャンル | 浮世絵風ローグライク剣戟アクション ジャンルの考え方 |
GetsuFumaDen: Undying Moonのジャンルは、“ローグヴァニア”ではなく“浮世絵風ローグライク剣戟アクション”である。従って、Dead Cellsとの比較をするべきでは無いし、Dead Cellsのことは一旦忘れてプレイしたい。Dead Cellsに引っ張られさえしなければ、高難易度のアクションとしてのやり応えは抜群。武器製作と技能解放は素材の要求数が異常なので、どうしてもクリア出来ない時に、武器のランダム性に左右されにくくする為のバフだと割り切って無視しよう。ステージを作りかけでリリースされたようだが、その形跡は消して欲しかった。
GetsuFumaDen: Undying Moonは、1987年に発売された同名タイトル 月風魔伝の世界観をベースに、全く別ジャンルのゲームとしてリブートした新作。プレイヤーは、地獄の監視者である月氏一族当主である月風魔(げつ・ふうま)となり、地獄の最深部を目指す。ジャンルは“浮世絵風ローグライク剣戟アクション”となっているが、発表当初は“ローグヴァニア”として宣伝されていた。ローグヴァニアは、ローグライクと探索型の俗称であるメトロイドヴァニアを融合させたことを意味しており、2018年8月に発売されたDead Cellsにて提唱された新ジャンルだ。
GetsuFumaDenは、間違いなくDead Cellsから多大な影響を受けており、ローグヴァニアのフォロワー的な作品として期待されていた。Dead Cellsをベースに和風な世界で、独自要素を詰め込んだゲームが出来上がると予想していたが、途中で方向転換があったのだろうか、その試みは余り上手く行かなかったようである。
実はローグヴァニアでは無かった
GetsuFumaDenを語るには、本作のステージ構成について理解しておく必要がある。
GetsuFumaDenはローグライクゲームだが、マップは完全なランダム生成という訳では無く、幾つかのパターンの組み合わせにて広大なマップが生成されている。
ローグヴァニアの“ヴァニア”部分に相当する探索型ゲームでは、移動系のスキルを手に入れることで、高台に登ったり壁を壊したりして探索範囲が広がって行く。しかし、GetsuFumaDenには、Dead Cellsのルーンに相当する移動系スキルは用意されていない。恐らく、自称するジャンルが“ローグヴァニア”から、“浮世絵風ローグライク剣戟アクション”に変更された理由は、移動系スキルを実装しきれなかったからだろう。
ざっと遡った限りでは、2021年4月15日に各種メディアから発表された情報では、ジャンルは“ローグヴァニア2Dアクション”になっていたことを確認済みである。
移動系スキルで探索範囲が広がらないのであれば、探索型の要件を満たしていない。単純にマップが広いサイドビューの2Dアクションだ。
GetsuFumaDenは全6ステージで構成されており、2~4ステージはプレイヤーの選択によりルートが分岐する。プレイ開始当初は選択肢が無く一本道だが、道中にて鍵を手に入れることが出来れば、ボス戦後にステージを選択可能だ。次のステージに繋がる入り口である鳥居の設置状況を見る限り、当初はステージを3つの候補から選べたはずのようだが、2月10日の時点では2つしか選択出来ない。今後のアップデートで追加されるのかもしれないが、未完成品がリリースされているとしか言いようが無く、非常に印象が悪い。
鍵は宝箱からランダムに入手でき、一度入手する次回からは不要となる。ランダムな入手性と永続効果は完全にミスマッチであり、何故このような仕様にしたのかも甚だ疑問だ。
本来であれば、移動系スキルを利用することで隠された場所に設置された鍵を入手することが出来て、その周回ではステージ選択が可能になる仕様の方が自然では無いだろうか。開発の途中でジャンルの“ヴァニア”相当の部分が無くなったことで、歪な仕上がりになったのではないかと推測する。
Dead Cellsのことは一旦忘れて遊びたい
GetsuFumaDenはDead Cellsと同様に、近接用の2種類の主武器と、遠距離用の2種類の副武器を利用して戦うゲームだ。主武器は刀,戦傘,槍などの7種類、副武器は弓,火薬弾,苦無などの6種類が用意されており、それぞれに主武器には5つ、副武器には9つのバリエーションが存在する。
そして、ローグライクゲームなので、ランダムに出現する35種類の主武器と54種類の副武器から取捨選択し、状況に応じて使い分けて戦うことになる。このように書くと、遊び方の幅が広くて面白そうに感じるが、武器の解放が余りにも苦行過ぎる。
GetsuFumaDenはDead Cellsと同様に、新しい武器を使うためには敵を倒して図面を手に入れる必要がある。更にオジナル要素の武具鋳造というシステムで、各武器に攻撃力アップや、一部種族への特攻などの追加効果(技能)を解放することが出来る。
Dead Cellsの場合、武器を解放さえすればランダムな性能・能力の武器が出現した。しかし、GetsuFumaDenの場合は、ランダムな性能は段位で表現されているが、ランダムな能力(技能)は固定であり、上位のレアリティにのみユニークな能力が一つ付与される。
次のスクリーンショットは、2種類の“毒牙の苦無”の比較だ。左は朱血(出血),右は吸魔(ドレイン)という能力が赤色のアイコンで付いているが、心得や神髄という項目に差異は無い。
少々分かり難いので、GetsuFumaDenの武器に関する流れをまとめると以下の通りだ。
敵から武器図面を入手する
⇒武器の欠片という素材を集める
⇒武器を製作する
⇒牙や目玉などの素材を集める
⇒武器の技能を解放する
このように、図面入手からの武器製作を経て技能解放という、2段構えのアンロックを乗り越えてようやく能力の高い武器を利用可能になる。なお、ここでいう素材とは、Dead Cellsのセルに相当する。
Dead Cellsの場合、素材がアンロックに必要な数に到達していなくても、ボス戦毎に素材を納入出来て、次回はその続きから納入することが出来た。しかし、GetsuFumaDenは途中までの素材納入が出来ず、当然ながらゲームオーバーになれば道中で入手した素材は全て失われる。そのため、素材を確実に揃えるためには、序盤の簡単なステージを一つか二つクリアしては拠点に戻るを繰り返すしかない。加えて、要求素材が余りにも多過ぎて、例えば新しい刀を解放するには、ステージ1であれば15回程度の周回が必要になる。
これがメイン武器だけでも35種類だ。全武器を開放するには想像を絶するプレイ時間が必要となる。素材を納入しながら、低リスクで未知のエリアに挑戦できる、Dead Cellsの方式を何故採用しなかったのか理解に苦しむ。
面倒くさ過ぎて、クリアまでに新武器は一つも作らなかった。
なお、技能解放は、あくまで新しい技能を利用可能な権利を得るだけである。実際に技能を使うためには、道中で“魂の記憶”という素材を集めて、それをショップで消費して技能を活性化しなければ効果を発揮しない。これまた面倒臭い仕様だ。
遅々として進まない武器製作と技能解放だが、ノーマル難易度でクリアするだけなら、実のところ武器製作は不要だ。技能解放をするに越したことは無いが、ドロップが良い場合は解放が進んでいなくてもクリアできる。
また、製作していない武器であっても、低確率ながら“未解析”と称してドロップすることがある。武器の名前は分からないが、能力や技能は全て確認できるので、武器としての運用には問題無い。前述の通り、ドロップした武器はレアリティが設定されており、それに応じて技能が活性化した状態で手に入る。高レアリティの武器であれば、解放していない技能も多数活性化した状態で出現する。
次のスクリーンショットは、まだ作った事の無いハンマー(鈍器)が出現した様子だ。金枠でレアリティが高めなので、11個の技能の内6個が活性化している。
つまり、GetsuFumaDenは、ランダム出現の武器で戦うローグライクアクションがベースであり、武器製作と技能解放はランダム性に左右されにくくするバフのようなもの。と、考えた方が良いだろう。本来であればあらゆる武器を製作して、出現率を上げて楽しみたいところだが、一体どれだけのプレイヤーがこのゲームをそこまでやり込むかは疑問だ。
なお、“ランダム性に左右されにくくするバフ”と考えたとしても、その恩恵を必要としている層は、素材を集めきる前に挫折する可能性が高い。難易度を下げても素材入手量はそのままらしいので、腕に自信が無ければ、最初から簡単なモードでプレイした方が良いだろう。
GetsuFumaDenはDead Cellsと比較して、敵も味方も攻撃速度が遅く一撃は重い。また、攻撃の途中で自由に緊急回避が出来るものの、移動距離は短い上に無敵時間も長くない。そのため、Dead Cellsの感覚でプレイすると、避けたつもりが引っ掛けられるという状況が多い。連撃で爽快感を得るタイプではなく、太刀を数発浴びせてから確実に離脱したり、パリィを決めて反撃するような戦い方を求められるゲームだ。
また、前述の通り主・副共に武器の能力は殆ど固定なので、ランダムに付与される効果でビルドを楽しむタイプのゲームでは無い。そのため、良ビルド(上振れ)に任せて圧し切るような事も無く、武器毎の特性をしっかりとプレイヤーが見極めて使い分けることが重要なゲームだ。
ここまでに散々“Dead Cellsでは~”と書いてきたが、結局のところ、GetsuFumaDenとDead Cellsは比較するべきでは無いのだ。しかし、初報が“ローグヴァニア”として出たために、多くのプレイヤーの頭にDead Cellsが浮かんでしまうことは避けられない。最初から“浮世絵風ローグライク剣戟アクション”として発表し、プレイした人が後から“Dead Cellsに近い”という感想を持つだけなら良かったのだが、Dead Cellsが提唱した“ローグヴァニアに挑む新作”と捉えられたことが評価の足枷になった印象だ。
ジャンル設定の一つで大きく印象が変わってくる良い事例。
なお、GetsuFumaDenでは、一部の強化されたザコ敵や大きな宝箱から魂を入手でき、それを消費することで、1つなら主武器、2つなら副武器、3つなら最大体力を強化できる。そして4つ消費すれば回復薬を一つ補充できる。回復薬を1個補充するだけで、4回も主攻撃の強化を諦めることなるため、被ダメージを抑えることが重要なことが分かるだろう。GetsuFumaDenはアクションが重めだが、動きを極めることが出来れば大きく成長できるシステムになっている。Dead Cellsをプレイ済みの人は、一旦頭をリセットして、全く別のゲームだと認識を改めてプレイしたい。全体的に難易度が高く、クリア後には更なる難易度も解放されるため、正確な操作と判断力が求められるゲームを探している人には間違いなく向いているだろう。
恐ろしくも美しい、浮世絵風のグラフィック
さて、システム面ではローグヴァニアのイメージ先行で評価を落としたGetsuFumaDenだが、グラフィック面では大きく評価したい。
地獄をはじめとする各種ステージは、浮世絵風に描かれており、時に美しく時に残忍で、プレイヤーの目を引く素晴らしい出来栄えだ。例えば第2ステージの“業火の断崖”であれば、獄卒たちが人間を張り付けたり窯で煮詰めたりと、責め苦を与えている様子が背景に描かれている。まさに浮世絵で見たことがあるような地獄が背景に広がっている。
地獄以外も、波が荒れ狂う海、一面が白く覆われた雪原、荒れ果てた遊郭などなど、各ステージのアートワークはどれもクオリティが高く、作中の雰囲気は抜群である。
また、ボスには日本人に馴染み深い妖怪が採用されており、ボス出現から1枚絵の表示までは、実に趣のある良質な演出となっている。一度見ると演出はスキップすることが可能だが、何度も見たくなる完成度の高さだ。
以上のように、GetsuFumaDenは、一旦Dead Cellsのことは忘れて遊べば、高難易度アクションとしてそれなりに面白い。ビジュアルも最高なので頭を切り替えて遊びたい。ただし、Switch版はフレームレートが低く、キャラクターを動かすとブレたような見難いグラフィックとなる。選択の余地があればSteam版を遊んだ方が良いだろう。または、PSかXboxへの移植を待つのもありだ。ヌルヌル動く性能のハードで遊ぶことを推奨したい。
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