点数評価 | 75点 |
プレイ状況 | 4キャラ全て初期難易度クリア |
プレイ時間 | 約10時間 |
発売日 | 2021年2月16日 |
対応機種 | Switch/Steam |
プレイ機種 | Switch |
開発元 | Smokingbear Studio |
発売元 | Thermite Games |
ジャンル | カードゲーム ジャンルの考え方 |
森久城物語は、Slay the Spireを和風にして、独自要素を幾つか加えた作品である。Slay the Spireの信奉者達がこぞって悪評を付けると思われるが、及第点には届いている。序盤から難易度が高いが、令旗を惜しまず使い、ショップの品揃えをあらかじめ見たうえで、天賦も意識しつつ戦闘報酬のカードを選択すれば、十分に許容範囲内であると考える。終盤はプレイヤーが強化され過ぎてバランスが崩壊していくが、デッキビルドの妙を容易に楽しめるゲームだと考えればあり。クリア後は本家同様に難易度が次々と上って行くので、深くやり込めばまた評価が変わってくるかもしれない。が、そこまでやり込むならSlay the Spireをプレイした方が良い。安さは魅力的。エラー落ちが10時間で3回発生したのでマイナス5点している。(オートセーブで被害は少ない)
【総合評価】 | |
革新性 | |
ユーザビリティ | |
ビジュアル | |
サウンド | |
プレイ継続性 | |
コストパフォーマンス |
森久城物語は、一目見ただけでSlay the Spireを連想させる、デッキ構築型のローグライクカードゲームだ。基本的なゲームシステムやUIは完全にSlay the Spireと同じなので、Slay the Spireを遊んだことがある人であれば、一切迷うことなくプレイ可能である。
慣れるまではSlay the Spireより難しい
森久城物語には、数々のシナジー効果を持つ300枚以上のカードが登場し、デッキの豊富さは本家Slay the Spireにも引けを取らない。更にスキルポイントによるプレイヤーの強化や、令旗という使用回数に制限が設けられた補助スキルの導入などで、本家と差別化を図っている。
主なSlay the Spireとの違いは以下の通りである。
- ルートは1本で、1マス毎に複数候補から行先を選ぶ
- ランダムなボスは事前に確認できない
- 1マス毎にスキルポイントを入手
- スキルポイントを振って強力なバフ(天賦)を入手
- 令旗(使用回数制限のあるスキル)をステージ毎に習得
- ショップはいつでも利用可能
- 消費アイテムも手札扱い
- HP回復や体力吸収の手段が豊富
- 重ね掛けすることで効果が変化するバフ・デバフが豊富
本作ではプレイヤーは、各職業(クラス)のスターターデッキを持ってゲームをスタートし、デッキを構築しながらボスを目指してマスを進む。戦闘マスに止まればデッキから手札に配らたカードを行動力(コスト)の範囲内で展開するという、お馴染みの戦闘が始まる。戦闘シーンだけを見ると、Slay the SpireのDLCか?と考えてしまうほどに酷似している。
戦闘以外には、バフ効果を得る宝蔵(レリック)を入手する宝箱マス、体力回復かカード強化の2択から選ぶ休憩マス、ランダムイベントが発生するマスなどが用意されている。レリックの効果やイベント内容は違えど、用意されているマスはSlay the Spireと全く同じである。
Slay the Spireといえば、全3ステージで予め開示されたボスに合わせてデッキを構築していくゲームだ。また、スタート地点からボス到達までに、どのようなマスが用意されているかも予め確認できるため、待ち受ける敵や休憩ポイントからルートの分岐先を検討することも楽しみの一つだった。
それに対して森久城物語のルートは一本道で、ランダムに提示される候補から毎回プレイヤーがマスを選ぶことになる。直近で発売されたゲームであれば、“デュエルプリンセス”と同じスタイルだ。また、複数用意されているボスの候補から、どれが出現するかは事前に開示されていない。
Slay the Spireで事前にボスが分からず、ルートにどのようなマスが用意されているか確認出来ない場合はどうなるだろうか?答えは簡単で、“難易度が大きく上昇する”である。Slay the Spireは達人レベルのプレイヤーなら兎も角、一般的なプレイヤーであればデッキタイプとボスの相性確認は非常に重要だ。森久城物語の場合は、実際に戦ってみるまでボスが分からないので、デッキと相性が悪いと大いに苦戦する。
初回プレイでは、ボスの回復力に攻撃が追い付かずゲームオーバーだった。
また、Slay the Spireの場合、体力に余裕があれば途中でエリートと戦ったり、休憩ポイントで回復を取らずに強化を選ぶなどの判断ができる。しかし、森久城物語の場合は、どのようなマスが出現するかはランダムなため、回復マスが肝心のタイミングで出て来るとは限らない。従って、積極的にエリートに挑みにくく、エリート戦はリターンよりもリスクが大きくなっている。
初めて森久城物語をプレイするとステージ1の難易度の高さに驚く訳だが、天賦と令旗というシステムについて理解が進めば実はそこまで難しくないことに気が付く。
森久城物語では、1マス進む毎にスキルポイントが1付与される。このポイントを振ることで、プレイヤーは恒久的なバフである天賦を得ることが出来る。4階層のスキルツリーのようなものが用意されており、ツリーに配置される天賦の内容もプレイ毎にランダムに変わる。デッキタイプに合わせた天賦を取ればシナジー効果の発動が容易になるので、一通りカードを把握できるとデッキの強化速度は一気に上がる。
次に、森久城物語では、令旗と呼ばれる補助スキルを習得可能だ。令旗は3回だけしか使えないが、自分のターンであれば行動力に関係なく発動出来る。そして、令旗の多くは戦況を一変させるような強力な効果を持っており、ピンチで惜しまず使えばステージ1で負けることは殆ど無くなる。攻撃系の令旗があれば、序盤でもエリートを容易に撃破出来るだろう。なお、令旗はステージ毎に新しく1つ貰えて、温存した令旗はそのまま次のステージに持ち越される。
次の動画は、敵5体が威力8の攻撃を繰り出そうとしているシーンだ。そのまま受ければ合計40ダメージとなり、このシーンでは最大HPが60しか無いのでかなりの痛手だ。当然ながら防御系カードでアーマーを得たいが、手札事故で見事にスキルカードしか手元になく打つ手が無い状態。しかし、慌てずに小早川秀秋の令旗を使うことで、敵に1ターンの間同士討ちをさせる効果を得てノーダメージにて乗り切れている。
迷ったら防御系の令旗。後半まで温存しておけば、手札事故が発生してもリカバリーが容易。
このように、ボスやルートが開示されていない分、森久城物語はSlay the Spireよりも難易度が高く見える。しかし、実際には天賦と令旗を活用することで丁度良いバランスになっている。ただし、適度に遊べるのはステージ2までで、最終ステージではバランスがプレイヤー優位側に崩壊する点は残念である。
理想のデッキを作り易いが故に、後半はバランスが崩壊
森久城物語は、ステージ2まで天賦と令旗で乗り切れば、最終のステージ3は容易にクリア出来ることが多い。全4クラスをクリアするまでに合計12回挑戦したが、失敗した8回の内5回はステージ1で倒され、残り3回はステージ2の序盤で倒された。ステージ3で失敗したことは無い。何故なら、ステージ3に到達する頃には、何一つ負ける要素を感じることが無いぐらいに、完成度の高いデッキが出来上がるからだ。
その理由としては、ショップをいつでも利用できることの恩恵が最も大きい。Slay the Spireとは異なり、森久城物語ではマップ上で無制限にショップを利用できるので、手札の増強や除去が任意のタイミングで行える。また、お金が無くてもショップの品揃えを事前に確認できるということは、戦闘後のカード3択へ非常に有利に働く。何故なら、後からカードを買うことを前提に、シナジー効果を期待できるカードを選択出来るからだ。当然ながら天賦とのシナジーも得やすい。
更に、天賦や宝蔵にもお金にまつわるものが多く、敵のHPを丁度0にしたら資金ボーナス、宝箱を開ける度に資金ボーナス、ショップ全品20%OFFなどが用意されている。天賦や宝蔵の取得が進む(=ステージが進む)ほどに、買い物が有利になって行くので、ラスボス到達時には理想に近いデッキが高確率で完成する。
Slay the Spireでもそうだが、理想に近いデッキとは、敵からすればハメのような状態に陥るデッキのことだ。Slay the Spireでは、1ターンで何十枚もカードを使用したり、ノーリスクで高火力カードを使用するような、完全にバランスが崩壊したハメデッキを、毎回のように作り上げることは難しい。しかし、森久城物語では、カードの知識さえ揃えばあれば、ラスボス到達時にハメデッキが完成しない方がレアケースだ。
次の動画は、行動力を消費せずに使える攻撃カードを複数枚と、それを捨て札置き場から回収する手段が複数揃ったシーン。30秒しか保存できないので途中からだが、延々と自分のターンが続いている。
また、次の動画は、自傷するが高性能な諸刃の剣的なカードと、敵のHPを吸収できるカードを併用するシーンだ。ダメージを受けると1ドローの天賦と合わせて、自傷で手札を増やしつつ複数回動き、最後はドレイン効果で体力を回復してターンエンドを考えたが、他にもシナジー効果が重なり過ぎて想像以上にダメージが出てオーバーキルしてクリアしている。
Slay the Spire経験者からしてみれば、デッキ構築の容易さはバランス崩壊以外の何物でもない。しかし、序盤の高難易度さえ乗り切れば、お手軽にカタルシスを味わえる森久城物語は、カードゲームやデッキ構築型ゲームの初心者には、入門用として丁度良いのではないかと考える。
神ゲー“Slay the Spire”を超えるには、どうすれば良いのか
結局のところ、Slay the Spireは完成され過ぎたゲームなのだ。そこに幾ら新しい追加要素を加えても、蛇足となることは必然である。ワンステップフロムエデンのように構築システムだけ真似をした、別ジャンルのゲームで勝負することが正しいのだろう。
そんなSlay the Spireを超えられなかった森久城物語だが、Slay the Spireには無いタイプのデッキを組めば、デッキ構築型カードゲームとしての新鮮さを感じることが出来るだろう。特に、クラスの中でも最後に解放される忍者は、下限と上限の振れ幅を持った攻撃、一つ前に使ったカードで効果が変わる攻撃、弱点の積み上げからのターン飛ばしなど、Slay the Spireには存在しないタイプのカードが多いので、最もオリジナリティを感じることが出来た。手裏剣増殖、カードを捨てることで効果を発動なども出来るので、Slay the Spireのサイレントの亜種のようなイメージでもある。
また、どのクラスにも言える事だが、HP回復や敵に与えたダメージを吸収などの手段が多数存在し、積み上げると効果が変わるバフやデバフも幾つか用意されている。それらを軸にデッキを組めば、Slay the Spireとは一味違った楽しみ方を見出せるはずだ。
森久城物語は、Slay the Spireを愛するプレイヤーからは低評価を付けられるだろう。しかし、決して森久城物語が面白く無い訳ではなく、相対評価として低く見られてしまうだけである。1,450円という低価格を考慮すれば、これだけ遊ぶことが出来れば十分では無いだろうか。Slay the Spireも2,570円と安い部類なので、本気でデッキ構築型カードゲームを遊びたいのであれば、最初からSlay the Spireを遊んだ方が良いことも事実である。
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