点数評価 | 80点 |
プレイ状況 | クリア トロフィー:55% |
クリア時間 | 約8時間 |
プレイ時間 | 約8時間 |
発売日 | 2022年8月11日 |
対応機種 | PS5/PS4/Xbox/Switch/Steam |
プレイ機種 | PS5 |
開発元 | Massive Monster |
発売元 | Devolver Digital |
ジャンル | ローグライクアクション ジャンルの考え方 |
ネタバレ | 無し |
Cult of the Lamb (カルト オブ ザ ラム)の魅力は、可愛い動物に残酷な宗教儀式を行わせる背徳感に他ならない。子羊がニコニコと笑顔で狂気を振りまく様子には、奇妙な魅力を感じる。可愛い動物というフィルターを通して、倫理観の欠落した行動を楽しもう。ローグライクアクション、コミュニティーを管理するシミュレーションとしては浅く、そこまで新しい体験を得ることは出来ないが、繰り返しプレイを想定したものではないので及第点には届いていると言える。
Cult of the Lamb (カルト オブ ザ ラム)は、プレイヤーの分身である子羊が、とある教団の生贄として処刑されるシーンから始まる。斬首される瞬間、謎の空間で未知なる存在に新たな命を与えられた子羊は、自身のカルト教団を立ち上げて古き教祖達を打ち倒す使命を与えられる。今までに無い尖りまくった設定が魅力な、ローグライクアクション兼教団運営シミュレーションゲーム。
可愛い動物で罪悪感ゼロ
Cult of the Lambは、古き教祖達を抹殺するべく冒険するアクションパートと、自らの下に集った信者たちの世話をする教団運営シミュレーションパートの2部構成になっている。アクションパートにて、子羊と同様に生贄にされそうになっている動物達を救出するれば、その後は信者として拠点で作業に従事してくれる。
拠点に集った動物の信者たちは、鉱山からの採掘や森林の伐採などの雑務をこなすことで、教団運営に欠かせない資源を集めてくれる。また、拠点で怪しげなトーテムに祈りを捧げることで、新しい教団設備をアンロックしてくれる。プレイヤーは集まった資源を投入して、現在の教団に必要とされている設備の増強を図る。このように信者の力でアンロックと設備増強を繰り返すことで、教団が徐々に大きくなっていく。
さて、Cult of the Lambは、“カルト教団を立ち上げる”などという物騒なテーマのゲームだが、スクリーンショットから分かる通り、登場するキャラクターたちは“ちいさくてかわいい”見た目をしており、ほのぼのとした雰囲気を醸し出している。信者に話しかける教祖の表情や、みんなで御馳走を食べるシーンだけを見ると、海外デザインセンスな“どうぶつの森”のようなゲームだと勘違いしそうな絵面だろう。
小さくて可愛い見た目とは裏腹に、荒れ地を開拓して教団を大きくするには困難がつきものだ。信者達には寿命が設定されているので、日数が経過すると死亡する。倒れた信者を放置すれば教団内には病気が蔓延し、労働力の大幅な低下を引き起こす。寿命が尽きた信者以外にも、食事による排泄物や、病気による吐瀉物が教団内に放置されるので、プレイヤーはひっきりなしに施設内を駆け巡り、墓穴を掘って埋葬したり、施設内を清掃して回らなければならない。
教団の運営を進めていると、やれ教団の周囲が汚いから掃除しろだの、やれ寝袋が壊れたから新しい寝床を確保しろだのと、次から次へと要望が到来する。その程度のことは自分でやってもらいたいのだが、信者たちは導いてもらわなければ何もできない。どうぶつの森のように、都合の良いことばかりを楽しむことは出来ないのだ。
プレイヤーが走り回るにも限界があるので、信者が蓄積した祈念を使い、寝袋、トイレ、清掃設備などをアンロックし、教団の生活水準を向上させていく。また、人が増えれば食料の消費も激しくなるので、畑を作り種や肥料の貯蔵庫を作り、畑を荒らされないように案山子を立てたりと、教団を維持するためにこなさなければならない課題は山積みだ。
信者を生贄に悪魔を召喚するような設備は後回し。地道に生活基盤を整える所からスタートするのである。
いざ、設備をアンロックし、それらの建設をやらせてみると、今度は信者達の作業速度が非常に遅いという問題に直面する。小さくて可愛い信者達が健気に頑張っているのを見守るのも良いが、直ぐに設備を稼働させたいのであれば、結局は教祖自らが建設を主導する必要がある。教祖として信者を使役しているつもりが、可愛い動物に使役されているかのような状況が続き、果たしてこれがカルト教団の運営なのか・・・と、当初想像していたプレイ内容との違いに困惑することだろう。
ワンオペで疲弊し続ける子羊教祖もやられてばかりではない。教条という労働、所有物、死生観に関する教団の方針を決定し、儀式を執り行うことで洗脳し、不平不満を言わさずに連続労働を強要したり、お布施を巻き上げたりすることもできる。時には信者を怪しげな儀式の生贄に捧げて始末することも可能だ。
子羊の下に集った信者たちは、永遠に盲信し続けてくれるという訳ではなく、プレイヤーがとった行動用によっては信仰心を失うことになる。例えば、雑草で料理を作る、労働のサボりを咎める、寝ている時に話しかけるなどをすると、不機嫌になって僅かばかりの信仰心が失われる。また、死亡した信者から肉をはぎ取る、その肉で料理を作る、死んだ信者を蘇生させるなど、非倫理的な行動を目の当たりにすると信仰心は大きく低下する。
信仰心を失うと一定確率で離反者が発生し、放置すると別の信者にまで悪影響を及ぼしてしまう。離反者は首枷に投獄して考えを改めるまで再教育するといった処置が必要になるので、節度を保って信仰心が失われないように行動しなければならない。
怪しいキノコで洗脳してしまえば、一定時間は信仰心を下げずに蛮行も許される。が、後から副作用が・・・
やはりこのゲームの魅力は“ちいさくてかわいい”見た目と、“やっていることのブラックさ”のギャップだろう。「リソースと住民を管理しながらコミュニティを運営する」というゲームシステム自体には、それほど新しさは無いものの、見た目と行動内容の乖離には不思議な魅力を感じた。あれだけ世話をしてきた信者を、ニコニコと微笑みを浮かべたまま手を掛ける光景は間違いなく異常だ。しかし、愛くるしい動物のというフィルターを通すと、プレイヤーの罪悪感は大きく薄れてくる。可愛い動物にカルトなことをさせるという背徳感は、きっと人類にとって甘美なるものに違いない。
ルート分岐×探索のローグライクアクション
Cult of the Lambは戦闘パートには、見降ろし視点(トップダウンビュー)のアクションが採用されている。プレイヤーが取れるアクションは、近接用の通常攻撃、遠距離用の特殊攻撃、緊急回避だけとなっており、武器や攻撃方法の切り替えなどは用意されていないシンプルなものとなっている。
緊急回避はクールタイムが短く移動距離に優れている上に、全ての攻撃をキャンセルできるため、流れるように攻撃し続けることができる。激しい敵の攻撃を華麗に避けて連撃を入れる操作感は爽快の一言だ。
Cult of the Lambのジャンルはローグライクアクションということで、最近流行りのルート分岐型のステージ選択システムが採用されている。人のアイコンなら信者獲得、岩のアイコンなら石材資源獲得、剣のアイコンはバトルなど、それぞれにイベントが割り振られており、最終的にはどのルートを通ってもボスに到達する。
剣アイコンでは単に戦闘を行うだけではなく、複数の部屋が連なったフロア探索も用意されている。ランダム生成された部屋を巡り、ザコ敵を掃討すれば他の部屋へ移動可能になるという、ローグライクアクションゲームでは一般的なシステムだ。
全ての部屋を巡回する必要は無いが、フロアにはザコ敵以外にも、タロットカード屋や武器屋などが設置されていることもある。それらの部屋を経由しておけば、ボス戦で優位になる仕組みだ。また、ザコ敵を倒すことで手に入れた骨は、教団で儀式を行うリソースにもなるので、必要に応じて収集しなければならない。
プレイヤーにはレベルの概念は用意されておらず、道中で敵を倒してもステータスが強化されることは無い。代わりに、教団にて信者へ説教を行うことでポイントが貯まるので、それを消費すればパーマバフとして武器に付与される特殊能力がアンロックされる。また、サブイベントをクリアしたりショップで購入することで、道中に出現するタロットカードの選択肢を増やすことができる。
ルート分岐及びフロア探索はローグライクゲームの定番だが、これら両方が組み合わさったゲームは初めてだ。Cult of the Lambは、ローグライクゲームとしては物足りない(後述)のだが、この2種類を組み合わせても特にテンポが削がれることは無く、1プレイが短いゲームであれば“ルート分岐×フロア探索”の組み合わせもアリだという気付きを得れたことは大きいと言えるだろう。
教団運営・アクション共に深さが足りない
Cult of the Lambは、全体としては十分にプレイする価値のあるゲームだと判断するが、教団運営・アクション共に満足度はそこまで高くなかった。
ローグライクアクションとしては、ルート分岐型とフロア探索型を掛け合わせた面白い仕組みになっているが、プレイヤーが何かを選択する機会が少なく、ローグライクの醍醐味である、上振れ時の無双感を味わったり、下振れ時に如何に耐えて窮地を切り抜けるかという展開は無い。また、タロットカードによるバフ効果は単純な強化に留まっており、ビルドを考えるような遊びも用意されていない。見かけはローグライクだが、ほぼランダムに与えられた武器と特殊能力で腕試しするだけの単純なアクションゲームとなっている点は残念だ。
前項にて軽快な戦闘を褒めはしたものの、戦闘自体は単調なのでクリアした後も引き続き継続して遊び続けようという意欲は余り沸いてこない。4ステージ中3ステージ目をクリアした辺りで飽きを感じてきた。プレイフィールは選択した武器の攻撃速度に大きく依存するが、武器種が剣、短剣、爪、ハンマーの4種類しかない。せめて武器種が多ければ評価はもう少し改善しただろう。
教団運営に関しては、信者毎に特徴が設定されているのだが、それが殆ど活きていないことが気になった。例えば、病気にかかると信仰心ダウンや、労働が苦手で効率が低いなど、信仰心やリソースの管理に影響しそうな特徴があるものの、細かく調べてケアしたところで大勢に影響は無い。手間をかけたところで、その割いた時間分の採算を取ることは困難であり、何も調べずに適当に作業させておくことが最大効率となっている。戦闘はともかく、教団運営はもっと本格的にした方が良かっただろう。
以上のように、Cult of the Lambはローグライクアクションとしても、教団経営シミュレーターとしても物足りなさを感じる部分があるが、クリアまで10時間もかからないゲームなので許容の範囲ではある。(難易度を上げてやりこみも可能だが、そこまでプレイしようとは思わない。)
可愛い動物とカルト教団という組み合わせを楽しむことがメインなので、そちらに興味があれば是非遊んでもらいたい。
なお、インディーゲームながら、発売日初日からサウンドトラックがサブスクリプションサービスにて配信されているので、音楽が気に入った人はそちらも確認してはどうだろうか。
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