点数評価 | 40点 |
クリア時間 | 約30分 |
プレイ時間 | 約7時間 |
プレイ状況 | 各ロールでマルチをクリア |
発売日 | 2023年2月15日 |
対応機種 | Steam/Switch |
プレイ機種 | Steam |
開発元 | SUNSOFT |
発売元 | SUNSOFT |
ジャンル | 団結ローグライクアクション ジャンルの考え方 |
いっき団結はクソゲーである。昭和に発売されたオリジナルに恥じないクソゲーっぷりを、令和になってから味わいたいという奇特な人はプレイすれば良いが、そうでなければプレイする必要は無いだろう。ネタで自らクソゲーを名乗っているだけではなく、1回クリアすれば十分なマルチプレイ、多くのキャラクターでクリア不可能なシングルプレイどちらも本気で面白く無い。オンライン化しているとはいえ、この内容でヴァンパイアサバイバーズの3倍の値付けを出来る自身がどこから来るのだろうか。
追記:2023年9月1日、サンソフトが生配信を行った「SUNSOFT is back! 3」にて、Switch版の発売が発表された。Steam版とのクロスプレイも可能となっている。
ヴァンパイアサバイバーズのフォロワーとして復活
『いっき』と言えば、1985年にサンソフトから発売されたファミリーコンピューター向けの、シューティング要素を含むアクションゲームだ。長らく愛すべきクソゲーとして、手を変え品を変え様々なプラットフォームで配信されて来た『いっき』シリーズ。2010年の『いっき おんらいん』から10年以上の時を経て、新作である『いっき団結』が2023年に発売となった。
「一揆は1人や2人でするものではない」などと、弄られて来たクソゲー『いっき』だが、本作では遂に最大16人同時プレイで一揆を起こすことが可能となった。しかも、流行りのヴァンパイアサバイバーズのフォロワーとして作られたというから驚きだ。
ヴァンパイアサバイバーズというと、安価ながら豊富なプレイアブルキャラクターと、キャラクターの移動とアイテムの取捨選択しか行えないにもかかわらず中毒性が高いゲーム性が話題となり、2022年にローグライクゲームの期待の新星として正式リリースされた名作だ。
いっき団結は、ヴァンパイアサバイバーズと類似したシステムを採用し、オンライン協力プレイを実装したフォロワー的な作品だ。本家では選択したキャラクターによって初期武器こそ違えど、最終的にはどのキャラクターでも似たようなビルドに到達できた。しかしいっき団結では、制限なしに発動できる攻撃手段は、キャラクター固有のメイン武器1種類だけである。
いっき団結ではメイン武器の他に、クールタイムが経過する毎に自動発動するメインアイテム1種類と、リソースを消費して発動するサブ武器2種類を組み合わせて戦うことになる。攻撃範囲強化や発射数増加などのバフアイテムはサブアイテムのカテゴリーに属し、所持枠限界まで手に入れた後は、ゲーム途中に任意で入れ替えが可能となっている。また、特定条件を満たすことで発動できる必殺技である、団結スキルというものも用意されている。
恐らく本家との差別化として、“メインとサブ”や“武器とアイテム”に、カテゴリーを細かく分けたようだが、これは却って逆効果である。
サバイバーズ系はシンプルさが重要であり、何の説明も見ずにスタートしてもゲーム性を理解できるにもかかわらず、アイテムのシナジーは豊富で取捨選択は考えさせられるという仕様が受けていた。しかしいっき団結は、シンプルさが損なわれた割には、特定の組み合わせで出現する隠しアイテムや武器の進化なども存在せず、単純な劣化版のようになってしまっている点も残念だ。その一方で、何故かメインアイテムだけは、それぞれに派生能力が4種類も用意されているという良く分からない拘りようだ。
いっき団結に登場するメイン武器は、ヴァンパイアサバイバーズをプレイしたことがあるプレイヤーであれば、いずれも既視感を覚えるものばかりが用意されている。
例えば一揆の主人公である“権べ”のメイン武器は“こん棒”だ。投げて敵にぶつかると反射し、他の敵にも連続してぶつかるという性能は、ヴァンパイアサバイバーズの“モルタッチオ”の初期武器である“骨”と同じだ。序盤は弱いが、終盤になって発射数や画面内の滞在時間が育ち、敵の数も多くなると反射をさせやすく真価を発揮するという点も全く同じである。
他にも、キャラクターの前後に刀で斬撃を放つ“用心棒”は、明らかに“アントニオ”の初期装備である“鞭”であり、ランダムに雷を落とす“坊主”の独鈷杵は、“ポルタ”の初期装備である“雷の指輪”に酷似している。この他にも多くのキャラクターのメイン武器が、ヴァンパイアサバイバーズで見かけたことのあるものばかりとなっている。
“フォロワー”と言えば聞こえは良いが、メイン武器については最早“パクリ”であり、残念ながらオリジナリティが高いとは言い難い。クールダウンで発動するメインアイテムや、必殺技である団結スキルはあくまでサポート的なポジションなので、メイン武器にはオリジナリティが欲しかったところだ。特に、“メイン武器”を1個しか持てないという大きな制約があるからこそ、その1個を目立たせるために頑張って知恵を絞るべきだったのではないだろうか。
オフラインでシングルプレイを楽しむ分には関係ないが、キャラクターには攻撃型、探索型、強化型、回復型と4つの役割が与えられている。4種類のロールによってステータスには随分と差があり、使う武器の威力を上げるために要求されるステータスも、強さ(STR)と賢さ(INT)で異なっている。
オンラインでは経験値は全キャラクターで共有しており、マルチプレイの参加者全員が一斉に強化画面に入る。アイテムの選択には制限時間が定められているので、キャラクターの育成方針にあったサブ武器や料理を覚える必要がある。
理解者が居ないとクリアできないマルチプレイ
いっき団結は16人プレイを楽しむゲームだが、スタート直後から16人で戦う訳ではない。16人が4種類のロールで4人の1チームに編成される。イナゴ⇒イノシシ⇒クマと、第1章のボス3体を4人で倒した後に、第2章⇒第3章と続いて仲間と合流していき、最後に16人で代官を倒せばゲームクリアとなる。
この4チームが合流し、8人、16人と仲間の人数を増しながら大ボスである悪代官を成敗するというアイデアは面白い。しかし、いっき団結の“団結”が示す部分が上手くいかないためにクリアできないことが多い。特に、自身の役割を余り理解していないプレイヤーが強化型や回復型に当てられた場合は、クリア出来る可能性が著しく低下する。また、体力の高い攻撃型に割り当てられたプレイヤーが、壁としてボス敵の攻撃を受け止めてくれないような場合も、クリアが難しくなってくる。
クマが投げて来るサケは、体力が高いキャラが被弾覚悟で相殺しないと難易度が一気に高くなる。
つまり、理解者が一定数居ないとクリアできない、いわゆる“大縄跳び系”のゲームスタイルになってしまっており、カジュアルな装いから想像してしまう“お手軽でワイワイと楽しい体験”と実態は大きく乖離している。
公式サイトには、“単純なゲームだから、気軽に、みんなで盛り上がろう!”と書いてある。確かに操作体系自体は移動だけで単純ではあるが、とても気軽にプレイできるものではない。気軽に好き勝手な行動は取れない、まさに団結必須のゲームだ。
初心者がミスをすること自体は当たり前なので一向に構わないのだが、本来は一人で練習するためのシングルプレイが全くゲームとして成り立っていないことが大きな問題だ。特に強化型や回復型の場合は、一番最初に出て来るイナゴのボスにすら苦労するので、シングルプレイでは何一つ学ぶことが出来ない。(第3項参照)
いっき団結は、ある程度の理解者が参加していなければクリアが難しい。一方で、一定数の理解者が揃っていた場合、ボス戦で暫く離席しても問題ないぐらいに簡単になる。基本的には第1章のクマに勝てるのであれば、2章や3章で負けることは無く、後はダラダラと団体行動していればクリアできる。
複数人で戦っているため、一度強化が軌道に乗ってくると極端に難易度が低下しピンチに陥ることはない。特にヒーラーが成長してからは、回避行動さえ殆ど不要となる。偶にリソースが尽きてサブ攻撃を発動できなくなり、攻撃力がやや低下することもあるが、リソースはチーム全体共有しているため、16人も居れば歩いているだけで図らずとも取得して補充されていくので問題ない。只々、矢印の示す方向に進み、ボスを見つけたら棒立ちして画面を埋め尽くす滅茶苦茶なエフェクトを無心で眺めるだけの簡単なお仕事だ。
突発的イベントとして、過去ステージのボスとの再戦や、ザコ敵の大量沸きなどのお題が仙人から与えられることもある。(16人の中の誰が仙人に接触したか分からず、唐突にイベントが始まるので突発的と表現している)しかし意図的に敵にぶつかるなどしない限りは失敗しようが無く、報酬や経験値でさらに強化が進んで難易度が低下する一方だ。
本家であれば、ゲーム終盤は画面中が敵に埋め尽くされ、集中して敵の隙間を縫って移動することが重要だった。しかし、いっき団結の場合、そのような手に汗握る状況に陥ることは無い。このような状況から得られるものは、公式がいう“気軽さ”ではなく、プレイする価値を見出せない“虚無感”である。
全くクリア出来ないか、異常なまでの簡単さでクリア出来るかの2択しかないので、16人が揃った際のカオスを一度体験した後は、本作に対する興味が急速に薄れていった。
筆者の場合、第1章のクマを倒せずにゲームオーバーか、何のピンチも無くクリア出来るかのどちらかしか経験していない。
そもそも、このような評価が低い状況に陥っている理由は、圧倒的なボリューム不足だ。ゲームに難易度や分岐などは存在せず、マップ上のスタート位置こそランダムだが、ゲーム展開としては1パターンしか用意されていない。新規キャラクターや新しい武器の解放や、恒久的なバフ効果の取得なども一切無く、オンライン協力プレイも一度クリア出来れば十分だろう。せいぜい、各ロールで1回か、MVPを取ることを目標にするぐらいが限界だ。
サーバーの維持費があるにしても、この内容で1,480円は正気を疑うところだ。ヴァンパイアサバイバーズの500円という低価格は、フォロワー的な作品を殺すためのダンピングまがいの行為なので、そこまで追従する必要は無い。しかし1回遊べば十分の内容で、本家の約3倍の値段という値段設定で販売したことには首を傾げるしかない。
ランダムマッチングしたプレイヤーの過去の戦績に応じて難易度が複数段階変わるなど、繰り返し遊びたくなるような仕組みが欲しかった。
ほぼクリア出来ないシングルプレイ
第1項で“オフラインでシングルプレイを楽しむ”と書いたが、実際にはシングルプレイを楽しむことは99%不可能だ。理由はシンプルで、第1章の最後に登場するクマが異常に強く、一人では倒せないからだ。
厳密に言うと、シングルプレイでもクマを倒すことは出来る。メインアイテムのクールダウン軽減や、メイン武器の発射数アップなど、強力なアイテムを高レベルで引き継ぎ、選択したキャラクターの性能にマッチした料理が茶屋で提供され、更にサブ武器の2種類に提灯やパチンコなど使い勝手の良いものが出れば勝つことが出来るだろう。
しかし引き継ぎアイテム2種類を育てる時点でかなりの時間が掛り、さらにそこからも運ゲーとなるため挑戦する意味は余りないだろう。もっとも、クマを倒せたところで2章以降はどうにもならないのでプレイする意味も無い。
なお、攻撃力が低い強化型や回復型のキャラクターや、敵を貫通しない武器を持ったキャラクターの場合、何をどう頑張っても制限時間内にクマを倒すことは出来ないので、挑戦するだけ時間の無駄だ。
クソゲーという自虐ネタを披露すること自体は一向に構わないのだが、クリアさせる気のないシングルプレイを用意するのは如何なものか。いっき団結がネタではなくガチのクソゲーたる所以は、まさにこのシングルプレイの在り方である。
評価ポイントのまとめ
いっき団結は、シングルプレイもマルチプレイも面白く無いので買わなくて良い。せいぜい、Youtuberが自身の信者を囲い込むために内輪で接待プレイをするぐらいしか用途は無いだろう。まさに令和のクソゲーであり、買う必要はない。
なお、サウンドトラックがAmazonMusicUnlimitedなどのサブスクリプションサービスで配信中だ。個人的にはそこまで気に入っていないが、妙に頭に残るサウンドなので人によってはヘビーローテーションしたくなるかもしれない。
長所
- サバイバーズ系のオンライン化は難しいという知見をゲーム業界が得た
- レベルアップ画面でステータスの詳細が分かる
短所
- ソロプレイでクリア不可な難易度
- 体勢が整うと負けようのないマルチプレイ
- キャラクターや武器の解放、恒久的なバフなど一切無し
- サバイバーズ系にあるまじき価格設定
アップデートでソロ一揆が緩和され、裏面も追加
3月2日、バージョン1.1.0がリリースされ、ソロプレイでも赤万屋から仲間を連れてプレイが可能になった。
また、3月24日に大型アップデートでバージョン2.0.0へ移行し、より高難易度な裏面が追加されるようである。裏面へ移行する条件は、通常ステージ中に誰かが「魔叉魅の鏡」(まさみのかがみ)を手に入れること。
ソロ一揆の緩和と難易度の追加にて、ようやくアーリーアクセスを抜けた程度の出来栄えになりそうだ。とはいえ、それでもプレイ内容が表と裏の2通りしかなく、コンテンツ不足が完全に解消されたとは言い難い。
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