【ケイデンス・オブ・ハイラル: クリプト・オブ・ネクロダンサー feat. ゼルダの伝説】レビュー: ネクロダンサーのファンは概ね満足するが、ゼルダの伝説ファンの意見分かれる

点数評価90点
クリア時間約10時間
プレイ状況DLC含め全クリア
プレイ時間約20時間
発売日2019年6月14日
対応機種Switch
プレイ機種Switch
開発元Brace Yourself Games
発売元スパイク・チュンソフト
ジャンル探索×リズムアクション
ジャンルの考え方
ネタバレDLCのネタバレあり
総評/評判/感想

ビートを刻まなければ生き残れない異色のローグライクゲーム、クリプト・オブ・ネクロダンサーとゼルダの伝説がコラボした作品。ネクロダンサーは知名度こそ低いが、紛れも無く神ゲーである。現代の神ゲーと、SFC時代の神ゲーであるゼルダの伝説 神々のトライフォースを掛け合わせ、つまり神×神の異種配合の結果は、残念ながら神ゲーでは無かったのだが、良質な作品であることは間違いない。謎解き部分をノービートではなく、完全にネクロダンサーに落とし込めれば神ゲーだった。

総合評価
 (4.5)
革新性
 (4)
ユーザビリティ
 (4)
ビジュアル
 (4)
サウンド
 (5)
プレイ継続性
 (4.5)
コストパフォーマンス
 (4)

ケイデンス・オブ・ハイラルは、2015年4月23日に発売された神ゲー、Crypt of the NecroDancer(クリプト・オブ・ネクロダンサー)とゼルダの伝説のコラボゲーム。筆者はダウンロード版で本編をクリア済みだったが、DLCは未プレイだったので改めてパッケージ版を購入。無料DLCオクターヴォ編、有料DLCスタルキッド編全てをクリアしたので、ネクロダンサーとは何か?という説明を踏まえてレビューする。

クリプト・オブ・ネクロダンサーとは何か?

まず、ケイデンス・オブ・ハイラルのベースとなっているCrypt of the NecroDancer(クリプト・オブ・ネクロダンサー)とは、倒されると全てを失うローグライクゲームと、テンポ良くボタンを押すリズムゲーム(音ゲー)を組み合わせた異色の作品である。

ターン制のローグライクゲームの基本要素である、“自分が動けば相手が動く”をアレンジし、

自分がリズムを外せば、敵だけが動く

という、今までのローグライクでは体験した事の無い仕様が組み込まれている。

クリプト・オブ・ネクロダンサーのゲーム画面の下には、音ゲーのようなノーツ(上から出てきて叩かれるやつ)が流れてくる。プレイヤーは任意のタイミングでキー入力にて移動可能なのだが、ノーツが判定の中心付近に来たタイミングで入力しなければ、キャラクターを動かすことが出来ない。

音ゲーで言うところの、バッドやミスに相当するテンポを外したキー入力をした場合、1ターン丸々何もできずにその場で待機することになる。加えて、敵モンスターはテンポを外すことなく動き続けるため、ダンジョン系ローグライクでは定番の“こちらが動かない限り敵が動かない”は通用しない。当然ながら曲によってテンポは異なるので、曲に合わせたリズミカルなキー入力を求められるわけ。

つまり、プレイヤーには長考が許されず、敵の攻撃パターンを瞬時に見極めて、タイミング良くキー入力を求められるため難易度は高い。クリプト・オブ・ネクロダンサーPS4/PSV版では、本編クリアのトロフィー取得率は当記事を投稿した時点でたったの9%である。

ステージによって曲調が違う以外にも、テンポのアップ/ダウンが発生する罠が設置されていたり、ステータス異常の一種として、強制的にBGMをミュートにして調子を狂わせる敵も出現するため、一度リズムを覚えたら終わりではなく状況に応じて音楽的な対応能力が試される。

なお、常にリズムに乗って動くゲームなので、ダンジョンに潜っている間にアイテムを使用したり装備を変更するといった、一般的なRPGのコマンドメニューは設けられていない。ダンジョン内では、装備に触れれば自動的に取得して持ち替え、消費アイテムは対応したショートカットボタンに自動的に割り当てられる。

また、音楽を題材にしているだけあり、流れる曲はどれも素晴らしいものばかり。サントラはデジタル配信とLPレコードが発売されており、CDは発売されていない。サントラはアマゾンミュージックで配信中なので、まずは曲を聴いてみて気に入ったらプレイするのもありだろう。気に入った曲のステージはプレイヤーもノッてくるので、ハイテンションで気持ちよくプレイ出来るだろう。

特に、プレイヤーが曲にノッてくるという体験は非常に重要で、テンポを外さずに敵の行動を完全に読み切って、ノーダメージで強力な敵を撃破出来た時の達成感は是非とも味わってもらいたい。クリプト・オブ・ネクロダンサーは、単純にローグライクと言っても、他作品と比較の出来ない唯一無二の存在だ。

ゼルダの伝説をネクロダンサーに落とし込んだらどうなる?

では次に、ゼルダの伝説をネクロダンサーに落とし込んだらどうなるだろうか?

結論から言うと、何の違和感も無い。

まず、グラフィックについては、本家ネクロダンサーがラフなレトロ調を採用しているので、SFC版ゼルダの伝説風のグラフィックとは親和性が高い。

次に、“リズムに乗って動く”という要素についても、名曲揃いのゼルダの伝説とコラボして悪くなるはずがない。耳にした瞬間に、“ゼルダの伝説”と“ネクロダンサー”、どちらの存在も感じ取ることが出来る、見事に調和のとれたアレンジに仕上がっている。サントラが欲しくなること間違いなしだ。が、近年のニンテンドーはサントラに力を入れていないので、残念ながらダウンロード専売タイトルのサントラが発売されることは無いだろう。

本家ネクロダンサーは単純にダンジョンを潜るだけのゲームだったが、ケイデンス・オブ・ハイラルではゼルダ風にマップをスクロールしてハイラルを旅することになる。マップには高低差の概念も追加されており、主に謎解き要素に使われるマップ上の敵をすべて倒しきればテンポに乗る必要は無くなり、自由に謎解きが出来るようになる。

ケイデンス・オブ・ハイラル 謎解きの風景
謎解き自体は面白いが、ノーテンポなのは残念。

テンポを無視して自由に謎解きが出来れば、それは最早ゼルダの伝説でしか無く、ゲームシステムと謎解き要素が噛み合っていない。折角なので、テンポに乗ったまま一定のアクションをこなして仕掛けを作動させるようにして欲しかった。一応、テンポを乱さず敵を全滅させたら開く宝箱はあるが、もっとネクロダンサーらしさを出しても良かったのではないだろうか。

ダンジョンに潜れば、ルピーとは別に倒されてもロストしない通貨であるダイヤや、同じくロストしない装備としてフック,ブーメラン,弓のような、ゼルダの定番アイテムを手に入れることができる。

ケイデンス・オブ・ハイラル ダンジョンの一例
もちろんダンジョンも健在
ケイデンス・オブ・ハイラル 墓森のステージ
墓守の幽霊もいる
ケイデンス・オブ・ハイラル ボスキャラ
ボスキャラは何らかの楽器モチーフ

初回プレイは、ネクロダンサーに慣れた人であれば、念入りにマッピングして5時間程度だろうか。シリーズ初めての人でも10時間あればクリアできるだろう。ストーリー付きDLC2種類は、それぞれ本編と同じぐらいのボリュームが用意されている。

なお、ローグライクゲームなので、当然ながらクリアしてからが本番だ。ノーマルモードであれば、倒されたとしても持ち越しされるダイヤを使って買い物をして、アイテムを持った状態でコンティニュー可能だったが、クリア後のハードコアモードでは倒されるとコンティニュー出来ず最初からとなる。従って、最終的には一度も敵に倒されずに通しでクリアすることが目的となる。

ネクロダンサーファンとゼルダファンで、意見は分かれる可能性が高い

ケイデンス・オブ・ハイラルの見た目は、まさにSFCのゼルダの伝説 神々のトライフォース風であり、さらにタイトルに“ハイラル”や“ゼルダの伝説”と入っているので、ゼルダがベースだと勘違いするかもしれない。しかしこのゲームは、あくまで“ネクロダンサー feat.ゼルダの伝説”なので、ベースはネクロダンサーであり、ゼルダの伝説の人物・事柄を特色として使ったものである。

そのため、ゼルダファンがゼルダの伝説本編と同様のプレイフィールを期待して購入すると痛い目に合う可能性がある。ローグライク+音ゲーで難易度が高めな上に、ハートは少なく(初期値は3)、連続でリズムを外すと一方的に攻撃を受けてゲームオーバーになる。

冒険をスタートした直後のマップで、ザコ敵のスライムやゴブリンに倒されてしまい、不満を持つプレイヤーも多いことだろう。実際に、“ケイデンス オブ ハイラル”で検索を掛けると、サジェストの上位に“つまらない”が出て来ることからも、ゼルダファンの苦戦を窺い知ることができる。

ケイデンス・オブ・ハイラル ゼルダっぽいみたい目のステージ
見た目は如何にもSFCのゼルダの伝説だが中身は別物。

一方で、昔からのネクロダンサーファンは何の問題も無く楽しめる。オリジナルのネクロダンサーはダンジョンを潜るだけだったが、ケイデンス・オブ・ハイラルはマップを巡り、音ゲーの箸休めに謎解きをする楽しみが追加された続編と認識すればよいだろう。強いて言えば、もっと深めのダンジョンがもう少し欲しかったのだが、そのような要望が出ることを見越してか、ダンジョンだけを連続して遊べるモードも一応用意されている。

戦闘に関しては、敵の動きはゼルダに出て来る敵に合わせて調整されている。しかしながら、攻撃範囲の異なる武器を、敵や地形に合わせてピックする楽しさは、完全にネクロダンサーと同じ。弓やブーメランでも攻撃できるが、ネクロダンサーに慣れたプレイヤーならそれらに頼ることは殆どないだろう。

Sara
Sara

ゼルダ由来の武器は謎解き用に使う方が多い

また、DLCで追加された“嵐のようさい”は謎解きがメインになっており、ストーリー本編よりも難易度が更に高い。極端に狭い部屋の中で無数の敵をテンポを乱すことなく倒す必要があったり、フック,パワークラブ,ソマリアの杖といった補助アイテムもランダム出現になっており、それらを駆使して道を作ってゴールに向かう必要があるので、ゴリ押しでは絶対にクリア出来ないパズル特化ダンジョンに仕上がっている。攻略アイテムもプレイ毎に(シード値毎に)変わるのでクリアパターンも無数に存在し、繰り返し遊べる仕様にもなっている。

ケイデンス・オブ・ハイラル 嵐のようさい
スタルキッド編ではシンセ入手のためにクリア必須。

以上のように、ケイデンス・オブ・ハイラルのメインターゲットはあくまでネクロダンサーファンである。そのため、ゼルダの伝説の知識が無くても全く問題ないだろう。ゼルダファンであれば、音ゲーやローグライクが得意な人は手を出しても損は無い。

Sara
Sara

ネクロダンサーファンはプレイ必須だが、ゼルダファンは自分の得意ジャンルかどうかで見極めよう。

レビューは以上である。次の項からはDLCのネタバレを記載するので、これからプレイ予定の人はここまでで切り上げてもらいたい。

DLC2種類のネタバレ

以下に、DLCのラスボス戦の動画と、簡単なストーリーの結末を記載する。本編はプレイしたが、DLCまではプレイする気は無いという人は参考にしてもらいたい。

DLCオクターヴォ編 オクターヴォ オデッセイ

本編では敵として倒されたオクターヴォが主人公のアナザーストーリー。リンクとゼルダは眠らされたままで、オクターヴォがガノンを倒しに行くという世界線。

未来のハイラルに飛んでガノンドルフと対決・・・のはずが、待っていたのはオクターヴォ自身の成れの果てであるネクロダンサー。ガノンを倒した自分がネクロダンサーとなって(闇落ちして)、ハイラルを支配する未来が待っていたというオチ。ネクロダンサーを倒して現代に戻り、ガノンを倒す使命は他の者に譲ると決意してエンディングへ。

ケイデンス・オブ・ハイラル オクターヴォ編のラスト
自身の成れの果て、ネクロダンサーと対面。

以下はラスボスであるネクロダンサー最終形態戦の動画。

バリア装置2個壊したうえで、横から攻撃してノックバックさせた後に、奥のトライフォースを踏めばクリア。

DLCスタルキッド編 仮面交響曲

スタルキッド編は、オクターヴォ編でオクターヴォがガノンに負けた(=ネクロダンサーにならなかった)世界線。ラスボス直前にはガノンに負けたオクターヴォが倒れている。

ケイデンス・オブ・ハイラル スタルキッド編ラスト直前
ラスボス前で倒れているオクターヴォ

ガノンが健在なので、当然ながらラスボスはガノン。仮面の力を吸収してスカルガノンに。

ケイデンス・オブ・ハイラル スカルガノン
仮面の力でパワーアップしたガノン。

ケイデンスがリンクとゼルダを起こしてガノンまで到達するが、その時には既にガノンはスタルキッドが討伐済みという展開。この記事のアイキャッチ画像は、討伐済みのガノンに驚く本来の主人公達の図。

驚くリンク達

以下はラスボスであるスカルガノン最終形態戦の動画。

第1、第2形態はフレイルを使うと攻略しやすい。フレイルは移動先左右2マス攻撃のため、ガノンに隣接しなくて済むので便利。敵に囲まれて困ったら爆弾。(フレイル装備中は被爆無効)

3か所のトライホースを一定回数踏めばクリア。魔法と矢で攻撃してくる敵が鬱陶しいが、反射の松明を持ち込めれば棒立ちしているだけで勝手に自滅してくれるので楽勝。

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