点数評価 | 85点 |
クリア時間 | 1時間49分39秒 (IGT,初回プレイで本編クリア) |
プレイ状況 | とぐろ島の神髄をクリア (もっと不思議相当) |
プレイ時間 | 約20時間 |
発売日 | 2024年1月25日 |
対応機種 | Switch |
プレイ機種 | Switch |
開発元 | スパイク・チュンソフト |
発売元 | スパイク・チュンソフト |
ジャンル | 1000回遊べるダンジョンRPG ジャンルの考え方 |
ネタバレ | 無し |
『不思議のダンジョン 風来のシレン6 とぐろ島探検録』は、同作のシリーズが風来のシレン3以降の汚名を返上するには十分な出来栄えの作品である。本作は初代風来のシレンを彷彿させつつも、ターン制RPG式のローグライクである不思議のダンジョンシリーズの面白さを令和の時代に合わせて洗練したような仕上がりになっている。また、14年ぶりの完全新作ということもあり、まずは初心者レベルの腕前のプレイヤーを徹底的に叩き直すというレベルデザインも好感だ。予算の都合による玄人向けコンテンツの不足や、モンスターデザインの流用なども見て取れる点で評価を落としているものの、風来のシレンシリーズはこんなところでは終わらないと期待させてくれたのは、シリーズのファンとして本当に嬉しい。今後はDLCを出すのか、風来のシレン7を作るのかは分からないが、これからも本シリーズを応援したい。
【総合評価】 | |
革新性 | |
ユーザビリティ | |
ビジュアル | |
サウンド | |
プレイ継続性 | |
コストパフォーマンス |
『不思議のダンジョン 風来のシレン6 とぐろ島探検録』は、風来のシレンシリーズ14年ぶりの完全新作である。ゲーム内の時系列としては、ゲームボーイで発売された風来のシレンシリーズ2作目である『不思議のダンジョン 風来のシレンGB 月影村の怪物』の数か月後となっている。海賊のお宝が眠るとされる「とぐろ島」に挑むという設定で、従来作品と同様に“1000回遊べるダンジョンRPG”を謳った作品となっている。
クリア後に挑戦できる、「とぐろ島の神髄」の攻略記事は以下のリンク先を参照。
過去の失敗を活かした令和最新の『風来のシレン』
まず、『風来のシレン6』を語るには、風来のシレンシリーズの凋落の歴史を知らなければならないだろう。
風来のシレンシリーズは、倒されると全てを失いレベル1からやり直しとなる制約の元、ランダム生成ダンジョンを満腹度というリソースを管理しながら探索する、ローグライク形式のダンジョンRPGとして余りにも有名だ。しかし風来のシレンシリーズは、シリーズ存亡の危機に瀕していた。
風来のシレンの歴史を遡ると、シリーズ1作目が発売されたのは1995年だ。『トルネコの大冒険 不思議のダンジョン』の続編という位置付けで、『不思議のダンジョン2 風来のシレン』として発売され、その後はゲームボーイ、NINTENDO64とハードを渡り歩きながらシリーズを重ね、2002年にドリームキャストで発売されたシリーズ5作目『風来のシレン外伝 女剣士アスカ見参!』までは順風満帆で評価も上り調子であった。
しかし、2008年に発売された『風来のシレン3 からくり屋敷の眠り姫』では、理不尽なゲームオーバーに繋がる属性の投入や、仲間を倒されるとゲームオーバーという遊び辛さによって多くのファンは失望することになった。更に前作から6年というブランクが発生している状態にもかかわらず低クオリティな作品となってしまったため、新規プレイヤーは定着せずにファン層の高齢化を招いている。
そして、2010年2月に『風来のシレン4 神の眼と悪魔のヘソ』、同年12月には風来のシレン4を使い回す形で『風来のシレン5 フォーチュンタワーと運命のダイス』を発売するも、レベルが上がるとHPの回復速度が遅くなる仕様、管理が面倒な昼と夜のシステム、ネーミングが最低な技などなど、風来のシレン3と比較して幾分かはマシにはなったものの、新要素から滲み出る開発陣のセンスの無さだけがひときわ目立つ凡作となった。
このように新規ファンも獲得できず、既存のファンも満足できない状況が長年続いていたため、いよいよ風来のシレンシリーズも終焉かと思われていたが、風来のシレン5をDS⇒PSP⇒Switch及びSteam⇒スマートフォンと移植を繰り返したことにより、何とかラストチャンスとして『風来のシレン6 とぐろ島探検録』の発売に漕ぎ付けたようである。そして、このチャンスを活かしてシレンシリーズを存続させるには、最高傑作とまでは言わないがシリーズ第5弾以前の作品に匹敵する高評価を得ることが絶対条件であることは疑う余地が無い。
そのような背水の陣で開発された本作は、原点回帰を強く意識し華美さは感じ無いものの、初代風来のシレンを令和の時代に合わせてブラッシュアップしたような仕上がりになっていた。またそのうえで、14年ぶりの完全新作であることから、不思議のダンジョンにおける立ち回りの基礎をプレイヤーに叩き込むことを意識した作りとなっている。
以上を念頭に置いて、以下のレビューを読んでもらいたい。
初心者に立ち回りの基礎を叩き込む仕組み
まず、本作をプレイして真っ先に気が付くことは、敵モンスターの攻撃力の高さだろう。拠点から冒険を開始した直後の最序盤から、敵モンスターの攻撃によって思いのほかHPを削られて度々瀕死の状況に陥るはずだ。敵モンスターの攻撃力の高さは間違いなくシリーズ最高である。特に3階から出現する「パコレプキン」の攻撃力は非常に高く、ちょっとした性能の盾を拾っていたとしても2発で倒される威力だ。
このように敵モンスターの攻撃力が高い一方で、本作の主人公であるシレンのHPの回復速度も非常に早く設定されている。そのため、高威力の攻撃を受けたとしても数歩下がれば継続戦闘できる状態まで回復するので、慌てることなくHP管理をすることが重要となっている。次の動画は、実際に敵から距離を取りながら戦っている様子だ。
一見すると大味な戦闘でバランスが悪いように見えるかもしれないが、これは以下に示すような不思議のダンジョンの基本をプレイヤーに対して徹底的に教え込もうとしていると、好意的に受け取ってもらいたい。
- 絶対に敵に先制されるな
- 下がりながら回復しろ
- 空振り前提で動け
- 挟まれないように余裕見ろ
- アイテムは惜しみなく使え
攻撃を連続でミスしたから運が悪いとかは、ゲームオーバーの言い訳にはならない。次に攻撃をミスすれば倒される状況にもかかわらず、敵から逃げてHPを回復したりアイテムを使うという選択を取らなかったプレイヤーの責任だ。
このようなレベルデザインは多くの誤解を招くかもしれないが、今までであれば基礎が出来ていないプレイヤーが3ターンで倒されていたところを、2ターンで倒されるように調整しただけと考えると納得がいくのではないだろうか。もう少し言い方を変えると、敵から逃げたりアイテムを使うという判断が必要となる場面が1ターンが早まっているだけだ。基礎が出来ていないプレイヤーを1ターン延命したところでゲームオーバーになる結末は変わらないため、再教育は早ければ早いほど良いだろう。
俗にシレンジャーと呼ばれるシリーズファンの大半は、本作も1回目の冒険でストーリーを余裕でクリアできる。
本作の序盤を補足すると、最序盤の強敵である「パコレプキン」は決してバランスブレイカーではない。正面から戦えば1回のミスで命取りだが、被ダメージの度に下がりながら攻撃すれば負けることが無いうえに、「パコレプキン」は一定確率でシレンを攻撃せずに無駄な行動を取るという特性を持っている。この特性は、不思議のダンジョンシリーズの初心者が雑な行動を取った際にも、一定確率で見逃してくれるという優しさである。
その後に登場する高火力モンスターの「中チンタラ」は、特殊能力こそ持たないが無駄な行動を一切しないので、プレイヤーが安易な行動を取れば確実にトドメを刺してくる。「パコレプキン」は優しい教育係だが、「中チンタラ」は厳しい教育係といったところだ。基礎が出来ていなくても「パコレプキン」が出る階層であれば見逃すこともあるが、「中チンタラ」が出る階層でもまだ習熟が足りないプレイヤーはやり直しが必須という、開発者からのメッセージと考えるべきである。
なお、「パコレプキン」及び「中チンタラ」はアイテムを使って打開することができるが、今回はそこそこの攻撃力を持ちつつ飛び道具を無効化する「3割バッター」というモンスターが登場する。このモンスターはアイテム打開が難しいため、複数に囲まれるとお手上げになるのだが、これは先を考えて動くことの重要性を説くポジションのモンスターと言えるだろう。
本作は従来作品と比較して、アイテムの所持上限を増やすための「保存の壺」が出にくくなっている。そのため、フロアを回ってアイテムを収集していると、早い段階でアイテムの取捨選択を迫られることになる。
これについては、アイテムは安心感を得るために持つものではなく、率先して使うものであるというメッセージの現れだろう。例えば、次の動画のような複数のモンスターが並んで歩いてくるシーンにおいては、過去作品であれば「特殊能力持ちのモンスターは近接戦闘に弱いので順番に殴れば良い」と思うかもしれない。しかし本作においてはそのような考えは無謀である。 本作は嫌らしい能力を持ったモンスターは近接戦闘も強い傾向にあるので、しっかりとアイテムを使って対処しなければならない。
また、入手することで武器や防具を格段に強くできる「合成の壺」や、全てのアイテムを持ったまま拠点に帰還できる「脱出の巻物」、敵を一定時間身代わりにして同士討ちさせる「身代わりの杖」といった強力なアイテムは、サイドストーリーをある程度進めたうえで特殊なダンジョンをクリアしなければ解禁されない。これについては、合成や拠点戻りによって装備品が強化されたりアイテムが充実したりすることで、プレイヤースキルが伴わない内にストーリーをクリアしてしまうことを回避するための施策だと考える。
救済策としての救助システムは存在するので、クリアそのものは難しくない。しかし、救助を使ったことで半人前であるという自覚を持たせるのは良い仕組みだ。
なお、風来のシレンシリーズに限ったことでは無いが、ローグライク作品はどうしても“運ゲー”という誤った認識がされがちだが、本作はHPが0になってもリカバリーできる「復活草」が大量に出現するため“不慮の事故でクリア出来なかった”という言い訳は出来なくなっている点には注意してもらいたい。
余談になるが、本作から登場した「ボヨヨン壁」という投げたアイテムを反射するギミックを使えば、アイテムを分裂増殖させることができる。このようなギミックに出会うと初心者は復活草を増やしがちだが、それは間違いである。復活草に頼るようなシーンに遭遇するのは基礎が出来ていないことの現れであり、遅かれ早かれゲームオーバーは近い。復活草は不慮の事故の対策として最低限だけにして無敵草や白紙を増やそう。
シンプルながらもリソース管理に絡めた新要素
風来のシレン6では、過去作に登場した“昼と夜”や“武器成長”、“スーパー状態”といった管理が煩雑で賛否両論だったシステムは全て排除されている。その代わりとして、シレンの満腹度によって発動する“ドスコイ状態”と、討伐困難な巨大な敵である“デッ怪”が追加されている。
これら二つの新要素は共にリソース管理、つまり満腹度に関係したシステムとなっている。ローグライクの重要な構成要素であるリソース管理に新要素を絡めたことで、新鮮なプレイ感であると同時にプレイヤーにとってもシンプルで分かりやすいものになっている。
まずドスコイ状態とは、満腹度が150%を突破した際に発動するシレンの強化状態だ。シレンの最大HPや攻撃力が上昇し、その体重の重さから罠を踏んだとしても破壊して無効化する。さらにはツルハシを使わずとも壁を掘れるようになる。その代わりに満腹度の減る速度が2倍になり、満腹度が120%を下回った際に自動解除されて最大満腹度も5%低下するというデメリットも用意されている。
シレン5でもスーパー状態というシレンが強化される要素はあったものの、発動条件はマスクデータになっており管理が難しく、さらに発動後は罠を踏んだり瀕死のダメージを負う度に解除される可能性があった。つまり、シレンの性能そのものは強化されるものの、それを維持したいがために素振りによる罠チェックを筆頭に慎重な行動が必要となり、プレイヤーは逆にストレスを感じるという仕組みであった。
それに対して今回のドスコイ状態は、単純に維持できるターン数だけを見るとスーパー状態よりも短くなっているものの、罠を恐れず探索が出来るようになり、壁を削りながらショートカットができたりと、とにかく快適性が抜群でありスーパー状態の不満点が完全に解消されている。
また、短いターン数については、いわゆるニギライズと呼ばれるおにぎりを量産して最大満腹度を上げるような、プレイヤー側のテクニックである程度は解消できる。ニギライズはシレンシリーズ定番のテクニックであり、このような伝統が重要視されている点も嬉しい所だ。
ドスコイ状態は最大HPが増えるので、深層においてドラゴンシールドや耐熱耐爆のお香を準備できなかったような場面でも生存確率が上がるので、発動のタイミングを上手く調整したい。
ちなみに、ドスコイ状態で壁を掘れるようになったことから、全方位が壁に囲まれた店が出現するようになっている。過去のシリーズ作品にも出現した、いわゆる埋蔵金部屋のように店が隠れているので、怪しい空間があれば満腹度と相談しながら掘り進むという遊び方も楽しみたい。
なお、武器成長が無くなった代わりに、基礎攻撃力が底上げされてランダムな能力が合成済みの「神器」と呼ばれる武器が出現するようになっている。店売りされている武器は神器になる確率が比較的高く設定されているので、隠された店を探し出すメリットは大きい。単にドスコイ状態という新しい要素が追加されただけではなく、それを起点として幾つもの仕様が繋がっている点が非常に好印象である。
次に同じく新要素として追加された“デッ怪”だが、こちらはワームホールのような“デッ怪ホール”と呼ばれる特殊地形から定期的に出現しては一定ターンで自動消滅する、3×3の9マスに跨る巨大モンスターだ。動きは鈍重で2ターンに1回しか行動しないが、後方3マス及び中心1マス以外は無敵であり、状態異常も無効化するという性質を持っている。
デッ怪の攻撃力は非常に高く、シレンが直接攻撃を受ければ殆どの場合は即死してしまう。倒しても得られる経験値は微々たるもので殆どメリットはないが、全部屋を踏破することによりデッ怪が出現するデッ怪ホールは消失し、その際に回復に非常に有益な「背中のツボ」や、一気に満腹度を150%まで上昇させてドスコイ化できる「ちゃんこおにぎり」など、プレイヤーに有益なアイテムが必ず出現する。
デッ怪ホールは全部屋を探索することでしか消せず、プレイヤーの攻撃などで消すことは出来ない。そのため、前述のターン経過による満腹度の消費量が多くなるドスコイ状態では、デッ怪を避けながらの回り道の探索でいつも以上に腹が減って都合が悪い。つまり、新要素同士は相性が悪いのだが、この相性の悪さこそが良いバランスとなっており、新要素同士が重なり合ってプレイヤーが過度に強くなることを防いでいると言えるだろう。ドスコイ状態でなければ粘り強く探索して強力なアイテムを狙い、既にドスコイ状態になっているのであれば、その階層はさっさと次に進むという選択を取れば良い訳だ。
その他にも、従来の作品ではアイテムとして重要度の低かった「石」が、デッ怪を安全な位置から一撃死させる攻撃アイテムとして機能するといった副次的な効果もあり、単に強力な敵を追加するに留まっていない。
従来通り石は矢タイプの罠を発動させて矢を稼ぐことに使える。特に今回は敵の攻撃力が高いので、相対的に毒矢の価値が高まっている。石は常にいつか保持しておきたい。
さて、リソースである満腹度に絡めたドスコイ状態とデッ怪という2大新要素の評価が高い本作だが、プレイヤーのリソース、つまりはプレイ時間に関係する部分についても新機能が充実している点も評価したい。
まず、本作ではモンスターの出現傾向を階層ごとに全て確認することができる機能が用意されている。この確認はいつでも行うことができ、次の画像のように出会ったことのあるモンスターが階層ごとに表示される。高難易度ダンジョンに挑む場合には、出現傾向を確認しながら稼げる階層を見極めることが重要であるが、それがお手製のメモや外部の攻略サイトに頼ることなくゲーム内で完結することは大変喜ばしい。
あくまで自身が出会った範囲に限定して情報が表示されるため、外部サイトを見ることで余計な情報を仕入れてしまい難易度の低下を招くリスクは無く、エクセルなどで管理表を作るような手間も無い。
また、アイテムに関しても情報が充実しており、使ったものが一覧として登録されるだけではなく、店における販売価格や買取価格まで網羅されている。アイテムの売買価格は暗記していくものだが、同じ価格帯のアイテム候補の記憶に不安がある場合はコマめに確認すると良いだろう。
アイテムの売買価格が分かれば店を利用して未識別アイテムの絞り込みが出来る訳だが、アイテム名に関してもサポート機能が充実している。自分で仮の名前を付ける以外にも、使ったことのあるアイテムの一覧から、識別済みや名付け済みなどといった管理まで出来て至れり尽くせりだ。
なお、14年ぶりの完全新作にもかかわらず、自分の腕前を過信して折角のサポート機能を使わずにプレイしていると、次の動画ように超不幸の種(レベル1までダウン,HPブースト抹消,満腹度2%まで降下)を飲むような失敗をしてしまうので注意してもらいたい。
頭が真っ白になる瞬間。このような罠アイテムが潜んでいるかもしれないというリスク確認を怠った代償。 こういう強烈な痛みを味わって風来人は強くなる。が、時間的損失が大きいので出来れば避けたい。
初代リスペクトを感じるが課題が残るクリア後ダンジョン
風来のシレンシリーズというと、ストーリー本編クリアはチュートリアルのようなものであり、クリア後には高難易度ダンジョンに挑んだり、様々なテーマ別ダンジョンに挑むことが定番だ。風来のシレン6においても、その定番の流れは踏襲されており、クリア後には17個のテーマ別ダンジョンに挑むことができる。そして、その中でも初代風来のシレンを意識したようなダンジョンが用意されており嬉しい限りだ。
本作では「桃まん」というアイテムを食べることでモンスターに変身でき、これは正に初代風来のシレンに登場した肉のシステムに似通ったものとなっている。敵を桃まんに変える手段についても、確定で変える杖と、確率で変える近接武器が用意されている部分も同じであり、懐かしさがこみ上げて来る。名前はそのままの「桃まんダンジョン」で捻りは無いが特に問題は無く楽しめるはずだ。
もちろん、単に懐かしいと言うだけではなく、モンスターに変身した状態で取れる行動も初代風来のシレンと比較してブラッシュアップされており遊びやすさは向上している。
また、プレイヤーが罠を活用できるダンジョンについては、罠を拾ってアイテムとして持ち運べるダンジョンだけではなく、罠をアイテムとして拾うことは出来ないが、罠を視認出来て敵モンスターも罠に掛かるという、初代風来のシレンと同様の仕様のダンジョンも別に用意されている。2種類の罠ダンジョンは、開発者のこだわりを感じることができるポイントだ。
何かとこだわりを感じるクリア後のダンジョンであるものの、残念ながら明確に評価を下げるポイントにもなっている。
まず、風来のシレンシリーズに登場したテーマ別ダンジョンの一部は、クリア後に深層が拡張されて、決して万人受けでは無い玄人好みの冒険が用意されていた。これは初代風来のシレンの時点でも採用されていた仕様であり、本作の「桃まんダンジョン」に相当する「食神のほこら」や、「カカ・ルーの神意」に相当する「掛軸裏の洞窟」も99階まで遊ぶことができていた。
しかし、本作ではクリア後にそのような深層までの拡張は用意されておらず、限定的な範囲でしか遊ぶことができない。ちなみに筆者は「カカ・ルーの神意」がお気に入りなのだが、このダンジョンは僅か10階でクリアとなってしまうので、長く遊べずに残念である。
僅か10階層に罠ダンジョンのエッセンスが凝縮されているので、決して面白く無い訳ではないが物足りない。次の動画は毒矢で弱らせた強敵を迂回する様子。
恐らくこれは、第1項の風来のシレンの歴史に示した通り、風来のシレン6の企画そのものが逆風にさらされた状況で了承されたものであるため、大きな予算が付かずに作り込めなかったのだろうと推測する。単純に99階や50階まで用意するだけで良いのであれば、初代風来のシレンのように大雑把なバランス調整で出せば良かったのであろう。しかし前述の通り、本作は高評価を取らなければシリーズ存亡の危機となる。そのため、雑なバランスで作品を世に送り出すことは出来ず、開発期間も限られていることから深層ダンジョンの実装は見送られたのであろう。
なお、予算の厳しさはダンジョン以外でも散見される。それは忍者系と山伏系のモンスター達の使い回しだ。厳密に言うと、忍者5系統と山伏5系統、つまりは10系統のモンスターが2種類のモンスターの色違いや、見た目の細部違いで作られている。
忍者系のモンスターには、部屋に面した水路に潜って隠れる,ギタンを投げてくる,丸太で吹き飛ばしてくるなど、非常に強い個性を持っている。そのため個性を活かしたモンスターデザインが幾らでもできそうだが、工数削減のために色違いの忍者として一括デザインし、抜け忍のサイドストーリーが用意された可能性が高い。
山伏に関しては、魔法の杖を振るカンガルー系のマイナーチェンジに相当するが、それに加えてモンスターの状態異常を回復したり、モンスターをシレンの近くにワープさせるという、全く趣の異なる能力までもが見た目の細部違いで統一されてしまっている。加速と暴走をまとめるまでは分かるが、せめて状態異常回復やワープについては別のモンスターを用意して欲しかったところだが、モンスターをデザインして3Dモデルで異なるモーションを作る予算が無かったのだろう。
楽曲についても、スギヤマ工房が権利を有する曲は一切使われていない。原点回帰をするのであれば懐かしのメロディーを聞きたかったが、使用料が高額な楽曲を利用するような予算は付いていないということだ。
このように、ダンジョンの深層が実装されて居なかったり、モンスターが使い回されているなど、明らかに作り込めていない部分は残念ながら評価を落とすポイントとなっている。
評価ポイントのまとめ
『不思議のダンジョン 風来のシレン6 とぐろ島探検録』は、シリーズ待望の新作であり出来栄えも上々であるため、購入を迷っているのであれば買って損はないだろう。モンスター使い回しについては解消が難しい所だが、深層ダンジョンについてはDLCにて改善できるので、是非とも検討してもらいたいところだ。
長所
- 初代風来のシレンを令和にブラッシュアップしたような作り
- 新要素が他の要素に波及効果を持つ
- サポート機能が充実
短所
- テーマ別ダンジョンの拡張が無い
- 一部のモンスターが使い回し
- 曲も原点回帰して欲しかった
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