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APEOUT(エイプアウト)【レビュー/評価】ゴリラがジャズにノってバイオレンスに大脱出する、いわば前衛的な芸術作品のようなゲーム

評価と感想
  • 5段階評価:★★★★★
  • 点数:-
  • 感想:これは芸術である
  • レビュー投稿時の進行状況:ノーマルでクリアまで。
  • プレイ時間:約3時間

APEOUT(エイプアウト)は、2019年2月28日にSwitch/Xbox向けに配信された、ゲイブ・クジーロが開発したアクションゲーム。

APEOUTは、配信タイトルでは良く見かける1500円という低価格なゲーム。そしてプレイ時間はクリアまで約3時間と短いためコストパフォーマンスには長けていない。ゲームとしてもドラマチックな展開がストーリーが待っている訳でも無く、革新的な技術が用いられている訳でも無い。しかし、抽象的なグラフィックと、ゴリラがジャズにノって、CERO”D”相当のバイオレンスを伴って檻から脱出するという特異なゲーム性から、プレイ後には前衛的な芸術作品を鑑賞したような印象を受け、最終的には文化的豊かさを向上させてくれたような満足感があった。そのため★5ではあるが、敢えて点数は付けないという評価にしている。

1.人間を盾に、遠距離武器にして戦うアクションゲーム

APEOUTは、トップビュー型のアクションゲームで、求められる操作は”移動”、”突き飛ばし”、”掴み”の3つのみである。ゲームの目的はタイトル通りであり、ゴリラ(APE)が研究所や動物園から脱走(OUT)すること。

スクリーンショットだけを見ると、上空からの視点と抽象的なグラフィックが相まって、一見どのようなゲームなのか想像が付かないかもしれないが、実際にプレイすれば特に迷うことは無いだろう。なんせ、人間から逃げてゴールに辿りつけば良いだけの単純で分かり易いゲームだ。

スタートはいつも檻の中

檻の中からスタートし、追いかけてくる武装した人間の攻撃をかわしながら移動して突き飛ばして攻撃。撃たれそうな時には人間を掴んで盾にする。ゴリラに掴まれた人間は手持ちの武器を正面に発射するので、人間を遠距離武器として利用することも可能だ。

ゴリラのパワーで突き飛ばされた人間は一撃で血飛沫と共に爆散する。幸いにも抽象的なグラフィックなので、ペンキを撒いたように見えるだけで特に気持ち悪くなることは無いが、なかなかに凄惨な場面である。

ショットガンナーを捕まえたゴリラの頼もしさ。

人間は次から次へと迫って来るが、ゴリラを発見してから発砲するまでには数秒の待機時間がある。そのため、意外と距離があっても詰めて攻撃することが可能だ。どうしても間に合いそうになければどこかに隠れる。隠れることが出来なければ、捕まえた人間を盾に弾を防ぎ、距離を詰めて反撃あるのみ。

ステージが進むと人間の装備も次第に強力になってくる。最初はせいぜい単発のライフルぐらいだが、ショットガンやアサルトライフルを持ち出してきたり、更には火炎放射器で追い詰めてくる。最終的には着弾後に爆発するロケットランチャーまで撃って来る。

掴みに行きにくい火炎放射器が厄介。

HPゲージの表示は無いが、パワーは有り余っているゴリラも、流石に何発か攻撃を喰らってしまうと死んでしまう。ゲームオーバーになると、ステージ内の進行状況とプレイヤーが通った道筋が表示される。もっとも、ステージ内のオブジェクトの配置はある程度ランダムに変化するので次のプレイの参考にはならないが、自分が逃げ惑ってウロウロした様を振り返るのも面白い。

参考になるようでならない軌跡

2.人間は打楽器である

APEOUTは前項の通り、ゴリラに相応しい原始的なアクションのみで構成されたゲームだが、そのBGMにはリズミカルなジャズミュージックが採用されている。

まず、ステージ選択の時点から音楽的な要素が取り入れられており、ステージはレコードのジャケットで表現されている。ステージにはA面とB面、つまりレコードの表面と裏面が設定されており、収録されている音楽のトラック名として、プレイエリアの名称が記載されている。

下のスクショのステージであれば、A面4曲B面4曲なので、8エリア逃げ切ればステージクリアとなり、次のアルバムが解放される仕組みである。エリアはA面とB面に別けられており、その間にはレコードの裏表を返す演出として、敢えてインターバルが設けられている。レコードを知らない人に取っては、何故ゲームが一時中断するのか不思議かもしれないが、重要な演出なのである。

何となく、曲名から敵の射撃がキツイことが想像付く。

レコード(=ステージ)は全部5枚用意されている。

APEOUTのなにより特徴は人間を打楽器にできることである。楽器にすると言っても特別な操作は必要なく、人間を壁に叩きつければ、ゴアに爆散するエフェクトと共に、シンバルを叩き鳴らしたようなサウンドが響き渡る。BMGのドラム、人間の発砲音、人間が潰れるシンバル音が入り混じり、最高にクールなサウンドが完成するという、他のゲームでは味わうことのできない体験を得ることができる。

敵が増えれば必然的に叩きつける機会も増えるので、難易度が上がって敵が増える程にサウンドの激しさも増していくのも斬新だ。

なお、ステージの状態によってもBGMは変化する。時折ステージ内の電源が落ちることがあるが、その際にはBGMが控え目になり緊迫感を演出する。人間のサーチライト、傷ついたゴリラが残す血痕、僅かな障害物の陰影のみで表現されたステージもなかなか秀逸。

照らされない様に忍び寄って突き飛ばすのだ。

3.ハードモードは鬼畜難易度

クリアまでは約3時間と比較的短いゲームだが、それはノーマルモードの場合の話。

APEOUTにはハードモードも用意されており、そちらは最初のステージから異常な難易度になっている。序盤から重武装の人間が多数出現し、脱走したゴリラを本気で始末しにくる。私はノーマルモードでは、最初のステージの全8エリアをノーミスで踏破できたが、ハードモードでは2エリア目で倒された。ノーマルとハードの間にもう一つレベルが欲しくなるような、難易度の急上昇である。

ハードモードは完全にマゾゲーマー向けな鬼畜難易度なので、チャレンジ精神旺盛なプレイヤーには一転してハイコストパフォーマンスなゲームに早変わりするだろう。

タイトルにあるように、APEOUTはバイオレンスで前衛的な芸術作品だと思ってプレイすると、実に満足度の高いゲームである。人を選ぶゲームだが、今までに無い異質なゲームを探しているコアゲーマーや、超高難易度なゲームを探しているチャレンジャーにオススメしたい。

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