点数評価 | 90点 |
プレイ状況 | 真エンディングまでクリア トロフィー:48% |
クリア時間 | 約12時間 |
プレイ時間 | 約18時間 真エンディング到達 |
発売日 | PS5:2021年4月30日 Steam:2023年2月16日 |
対応機種 | PS5/Steam |
プレイ機種 | PS5 |
開発元 | Housemarque |
発売元 | ソニー・インタラクティブエンタテインメント |
ジャンル | ローグライクTPS ジャンルの考え方 |
ネタバレ | 項目6にストーリー考察あり |
Returnal (リターナル)は、TPSとローグライクを融合させるという発想を、高次元で成功させた神ゲーである。見た目こそ弾幕系TPSだが、ローグライク要素は非常に強い。今まではTPS×ローグライクという異種ジャンル混合のゲームが存在しなかったので、見た目から高難易度のTPSだと勘違いして挑んだプレイヤーは悉く返り討ちに合うだろう。TPS的な反射神経だけではクリアは困難であり、ローグライクに対する認識をある程度まで深めなければ、ステージ4以降は大きく足踏みする。どちらかといえば、TPSファンよりもローグライクファンの方が楽しめるゲームである。なお、救済要素も幾つか用意されているので、ローグライク初経験でも粘り強くプレイを続ければそのうちクリアできるはずだ。
美しくも高難易度な弾幕系TPS
Returnal (リターナル)は、“ホラー系ストーリーでオバサンがデスループするTPS”という、キャッチーな特徴に話題がフォーカスされがちだが、TPSにローグライクの様式を忠実に取り入れられた作品である。TPSとサイドビューアクションで違いはあれど、ローグライク要素については、ネオンアビスやダングリードといった名作ローグライクに負けない仕上がりになっている。
ゲーム開始時には、“意図的に難易度を高くしてある”と警告が表示されるのだが、実際にTPSとしてはかなりの高難易度だ。実際にノーマルエンド(チャプター2クリア)のトロフィー取得率は、筆者が約12時間でクリアした時点では2.8%しかない。最初のボス討伐トロフィーも45%程度しかなく、いわゆる死にゲータイプの難易度であることが分かる。(協力プレイは存在しない)
“オバサンデスループ”と”高難易度”ばかりが注目されがちで、ローグライクとしての本質的な面白さは余り語られていないが、ReturnalはPS5を買って良かったとようやく思えたゲームだ。
ReturnalのTPSとしての特徴は、画面を埋め尽くすほどに広がる美麗な弾幕だ。
敵の弾幕は、フワっと広範囲に弾を撒くタイプが多く、視覚的な圧迫感がかなり強い。一方で弾速は全体的に遅めなので、その見た目に反してプレイヤーが回避パターンを思考する猶予時間はやや長目だ。Returnalはローグライクなので、死亡した場合に収集アイテムを全ロストするため、“最初からやり直し”の恐怖に怯えながらも、長めの猶予で冷静に弾幕を見極めて安全地帯を探すというプレイフィールは新鮮だ。
特にステージのボスは膨大な数の弾をプレイヤーに向けて発射してくる。塊として発射された弾は、プレイヤーに到達する頃には拡散し、何カ所かだけ僅かな隙間ができるので、そこをすり抜けるという縦シューティングゲームのような展開となる。一見、絶望感に溢れる弾幕の風景だが、主人公は無敵のダッシュを数秒に1回使用できるので、意外と無傷で突破できることが多い。また、最初から最後まで一貫して、弾幕のダメージはさほど大きくないので、意外と長時間耐えることが出来る。
無敵奪取のクールタイムは強化状況によって変わる。弾幕よりも近接攻撃が大ダメージで怖い。
Returnalのボスは、最序盤から容赦なく弾幕を撒き散らして画面を埋め尽くしてくる。そして当然ながら、ステージが進めば進むほどに弾幕は強化されていく。終盤になってくると、無敵ダッシュでも抜けることが出来ない紫色のビームが入り混じって飛んでくることになる。
前述の通り、敵の1発1発のダメージは大きくないのだが、ボスの体力が高く長期戦になりやすい。そのため、疲れたり焦ったりして操作ミスをすると、全ロストが頭の片隅にちらついてしまい集中力を欠き、連続で被弾してしまうということもある。弾幕だけではなく、精神的にもプレイヤーを追いつめて来るTPSと言えるだろう。
なおボス以外のザコ敵については、2ステージ目までならあまり苦戦することは無いだろう。しかし3ステージ目からは、“これまではチュートリアル”だと言わんばかりに、尋常ではないほどに難易度が跳ね上がる。また、5ステージ目からは、ロケットランチャーを撃って来るドローンと、ワープ近接攻撃をしてくる人型が連携して攻撃してくるのだが、そこが多くのプレイヤーにとってクリアまでの鬼門となるだろう。そして最終盤には、ザコ敵が序盤のボス以上の弾幕攻撃をしてくる。
苛烈な弾幕以外にも、故障というデバフを付与してくる敵の存在も厄介だ。故障のデバフを3個まで積み上げられると、それまでに取得したアーティファクトという強化アイテムがランダムに破壊されてしまう。ジャンルは違うが同じくローグライクで例えると、シレン・トルネコの“印剥がし”に近い悪行である。故障は単体ではデメリットは薄いのだが、だからといって安易に2個目まで貯めていると、不意に3個目を付与されて手痛いダメージを追ってしまうこともある。
Returnalは死にゲーと言えるレベルの難易度の高さであり、さらに協力プレイが用意されていないので、TPSが好きと言うだけではラスボスまで攻略できる保証は出来ない。TPSの腕前に自信が無い人は良く考えて手を出した方が良いだろう。
なお、Returnalは、PS5のデュアルセンスのアダプティブトリガーを活かした射撃スタイルが採用されている。射撃にはメイン射撃とは別に、クールタイム式サブ射撃的なものが用意されているが、これらはメインはL2トリガー半押し+R2、サブはL2全押し+R2で切り替えることができる。ボタン操作レスで射撃モードを切り替えることが出来るのは大変便利であり、アダプティブトリガーの良い活用事例と言えるだろう。難しいゲームながらも、操作レスで撃ち分けて立ち回る爽快感は是非体験してもらいたい。
Returnalの基本は、敵の殲滅とアイテム入手の繰り返しだ。弾幕をくぐりぬけて迫りくる敵を見事撃退できれば、そこには大量のアイテムが残される。一息つきながら激闘を振り返りつつも、手に入った新しい武器の性能の試し、新しいアーティファクトで強化されたステータスを確認するという作業からは、大変大きな達成感を得ることができるだろう。
なお、敵からダメージを受けずにキルストリークを重ねると、アドレナリンボーナスという、近接攻撃力アップや入手オボライトアップなどのバフ効果を得ることが出来る。このシステムは、主人公セレーネの闘争心が刺激されている様子を表しているのだが、上手くノーダメージで弾幕を回避していると、間違いなく実際のプレイヤーも大きな高揚感を得ることが出来る。理不尽に見えるボスの弾幕を回避し、非情なドローン集団を上手く捌けた結果、膨大なオボライトを手に入れることが出来た際の喜びはひとしおだ。
難易度は高いが、達成感を目当てに遊ぶのもアリ。
高難易度だが救済措置も多い
Returnalは、高難易度で協力プレイも存在しないが、実は救済要素が複数存在する。
エレクトロパイロン、特に弾を5発同時発射するウェブのスキルを持ったこの武器は、TPS初級者救済のアイテムである。下に実際にこの武器を使用している動画を用意したので見て欲しい。一度当てれば一定時間に渡って継続ダメージを与え続けるので、封鎖エリアでなければ当ててから別の部屋に移動しているだけで全ての敵を倒せる。封鎖エリアでも当てて逃げ続ければ勝てる。
与ダメージ時にランダムで体力を回復する“ドレイン・ラウンド”が付いたタキオマティック・カービン銃も便利だが、エレクトロパイロンは異次元の強さだ。
チャプター1の最初(ステージ1)と、チャプター2の最初(ステージ4)は、実はスペースシャトルのベッドで眠ることができ、スーツの耐久値(体力)を回復できる。しかも使用回数に制限はない。
耐久値が最大の際に回復アイテム(シルフィウム)取れば、自動的にシルフィウムがシルフィウム・レジンに変換され、耐久値の最大値を上げることが出来るため、少々面倒だがシルフィウムを見つけるために宿戻りすれば、序盤から耐久値を大幅に向上させることができる。
Returnalは弾幕が厳しい一方で、即死級の攻撃は一切存在しない。そのため、耐久値の最大を上げたうえで、防御力常時アップや、オーバーロードで防御力アップ、瀕死で防御アップなどのアーティファクトを積極的に取得し、さらに瀕死で耐久値を自動回復や、死亡を1回無効のパラサイトなどを組み合わせて生存能力を積み上げることができれば、弾幕の回避に自身が無くてもクリア可能だろう。運が良ければ、パラサイトの効果を倍増させるアーティファクトで更なるシナジー効果も狙える。
注意:後のアップデートで宿戻りは使えなくなった。
探索を進めていくと、青い扉の先に“リコンストラクター”という装置を見つけることがある。予めこの装置でエーテルを6個消費しておけば、1回死亡しても蘇生してこの場所からリスポン可能になる。リスポンした場合、ボスの体力以外の進行状態は全て保存されているため、途中まで削った中ボスやザコ敵は弱ったままの状態でプレイヤーの再登場を待っている。もしボス以外に途中で倒されそうであれば、ファブリケーターで購入した回復アイテムや、道中で拾ったドレイン系アイテムを切らずに温存し、敢えて倒された後のボス戦までは温存すれば勝率は大幅に上昇するだろう。
なお、エーテルは貴重品だが、ステージ1クリア後からヘリオス内部で挑戦できるデイリーミッションで5個入手可能だ。デイリーミッションにはボスが居ないので、ザコを全無視でダッシュで駆け抜ければクリアまで5分も掛からない。
救済要素1~3を意識すれば、何とかクリアの可能性も見えてくるだろう。
ただし、エレクトロパイロンは射撃の爽快感が全く無いので、そこまでTPSが苦手でなければ、タレット召喚が2個付いたホロウシーカーを使い、敵の弾幕には弾幕でやり返すスタイルで楽しく攻略してもらいたい。
ローグライクの様式は一通り揃っている
Returnalの舞台となるのは、不時着した主人公セレーネ不時着した謎の惑星だ。攻撃的な生命体やトラップで溢れ返る異星人の遺跡を調査し、自身がデスループする原因を突き止める訳だが、その移動可能なエリアはかなり広い。
スクリーンショットだけを見ると一般的な探索型のTPSだが、ローグライクであるため死亡する度に謎の惑星は姿を変える。ただし、毎回変わると言っても、地形が完全に自動生成されるわけでは無く、幾つかの固定マップ(4種のアイテム生成装置やボス部屋)が存在し、それらを繋ぐマップがランダムに入れ替わるという仕様である。
倒されると最初からやり直しというゲームスタイルにしては移動可能エリアが広大で、慣れないうちは隅々まで念入りに探索を行うと1ステージ1時間はかかるだろう。幸いにも操作キャラの移動速度は早く、数秒でリチャージするダッシュも使えるため移動は苦にならない。また、ワープ装置が至る所に置かれているので、踏破済みフロア間の移動は容易である。
Returnalにおける、ダンジョン生成以外のローグライク要素は以下の通りだ。意外にも、ローグライク伝統的な様式を踏襲していることが分かるだろう。
- レベル:死亡でリセット
武器の熟練度がレベルに相当。
敵を倒せば熟練度が上がり、熟練度が高くなればなるほど、高性能でスキルを多く持った武器が出現する。 - アイテムロスト:あり
一部の恒久的なアイテムと、エーテル以外の消費アイテム、アーティファクト、パラサイトは全ロストする。 - 金(オボライト)ロスト:あり
ただし、一定数をエーテルに変換可能。 - アイテム持ち込み:不可
ただし、集めたエーテルを消費して、ランダムなアイテムを入手可能。
プレイヤーは、敵を倒して熟練度を稼ぐことで強い武器を手に入れ、拠点あるいはランダムに出現するファブリケーターというショップに相当する設備で貯めたオボライトを使用し、特殊効果を持ったアーティファクトや消費アイテムを購入する。
時には、アーティファクトと同様に有益な効果を発揮すると同時にランダムなデバフを付与する、ハイリスク・ハイリターンな寄生アイテム“パラサイト”を装備して操作キャラを強化していく。
唯一、次のループに持ち越せる通貨であるエーテルは、汚染された悪性コンテナの解放に使える。悪性コンテナからはランダムにアイテムを入手できるのだが、経験値減少や、アイテム拾ったらダメージなどのランダムな故障デバフを容認できれば、エーテルの消費無しで解放も可能となっている。故障は特定の条件(敵を20体倒す、寄生されるなど)を満たすか、故障解消アイテムで修理できるが、前述の通りに故障が3個貯まるとアイテムがランダムに破壊されるので注意しなければならない。
宝箱を見せられるとリスクを覚悟で開けたくなるが、“マップ表示がおかしくなる”、“ダッシュのリチャージが遅くなる”といった、致命的なデバフを喰らうこともある。一方で、“近接攻撃で敵を数体倒す”や“コンテナを2個開ける”など、比較的簡単に達成できる故障解除条件が与えられることもあり、ハイリスク・ハイリターンなギャンブル要素が楽しい。
ローグライクは、何度も死んでプレイヤー自身が強くなるゲームだが、近年の作品は繰り返し遊ぶほどに新しい武器やアイテムが次々と解放され、ドロップテーブルに追加されて探索が楽になることが多い。Returnalにもその仕様が採用されており、アイテム間の新しいシナジー効果を探す楽しみ方もある。
また、ストーリー進行により恒久的な強化アイテムを手に入れれば、高所に登ったり、水中や特殊床でダメージ無効など、移動に関する強化を得ることが出来て、今まで取れなかったアイテムを取れるようになる。
恒久的な強化アイテムは、探索型のいわゆるメトロイドヴァニア形式のゲームに良く見られる、移動能力強化に相当する。
このような恒久的な強化を得ることが出来ると、当然ながら前の周回よりも立ち寄ることが出来るエリアが多くなり、更なるアイテムを手に入れることができ、多くのシナジーを発揮して強くなることができる。強くなれば慣れと相まって踏破速度も上がってくるため、死んで全てをロストしたとしても、そこまで面倒くささや理不尽さを感じることは無かった。
クリア出来ずに道半ばで死んだ場合、ステージ1あるいはステージ4から出直しとなるが、クリア済みのボスは次回からスキップすることができ、ストーリー進行に必要なキーアイテム集めも免除される。そのため、恒久的な移動能力の強化により広がった探索エリアにて、自分が納得できる強さになれたのであれば、ボスは無視して次のステージに進む事も可能だ。
また、ローグライクのお約束と言えば、シレントルネコのモンスターハウスに代表される、ハイリスク・ハイリターンな突発的戦闘イベントだ。Returnalにもしっかりとその要素が採用されており、閉鎖ゲートという大量に敵が出て来る部屋や、悪性変異した強敵との戦闘が用意されている。閉鎖ゲートはマップ上で金の扉で示されているため、レジェンド級のアイテムでも入っているのかと思い飛び込んで苦い経験をしたプレイヤーも多いのではないだろうか。
このような閉鎖ゲートや悪性変異を突破できれば、熟練度、オボライト、新しい武器などが大量に手に入る。装備やステータスに不安があれば部屋に入らず回避することも可能なので、プレイ開始直後であれば無視したプレイヤーも多いだろう。しかし、探索範囲が広がったことで強化が進めばこれらも突破可能となる。
ちなみに、マップはランダム生成なので閉鎖ゲートの先にキーアイテムや、無料でスーツ耐久値の最大値を上昇させる重要デバイスが配置されることもあり、渋々ながらも挑戦せざるを得ないことも多い。不思議のダンジョン系でいうところの、階段がモンスターハウスの中に在るというあの状況に近い。
キーアイテムなら避けては通れないが、ステータスアップだけなら回避もできる。リスクとリターンの判断に悩ませるのもまた一興。
このように、ReturnalはTPSながらも、典型的なローグライク要素が全て詰め込まれている。そのため、“ローグライク×他ジャンル”系のゲームが好きであれば、ローグライク×TPSという新感覚の体験が間違いなく気に入るはずだ。
筆者は、ノーマルエンド、真エンドに加えて、真エンドの条件達成のついでと合わせて、ラスボスを合計3回倒したのだが、周回を通じてReturnalは、ローグライクとして非常に完成度が高いと確信した。
まず、ローグライクを語る上で間違ってはいけない認識がある。それは、
ローグライクは運ゲーではない
ということである。
大前提として、ローグライクは運が悪くてもクリアできるように調整されなければならない。
運が悪くても試行錯誤すればクリアできるし、運が良ければランダム入手のアイテムのシナジー効果が爆発的に伸びて簡単にクリアできる。これがローグライクである。(ただし、チャレンジングな追加要素は除く。)
名作と褒め称えられるローグライクは例外なくこれに当てはまる。例えば、Returnalとは全くジャンル違うが同じローグライクである風来のシレンや、ロックマンエグゼ風ローグライクアクションのワンステップフロムエデンなど、高評価なローグライクは、プレイする度に運要素による難易度の差はあれど、慣れた人が100回プレイすれば間違いなく100回クリアできる。高難易度で有名なローグライクカードゲーム、スレイザスパイアであったとしても、やり込んでいる人は通常モードであればまず間違いなくクリアする。
つまり、ローグライクとは本来、仕様を理解して正しい立ち回りを出来るのであれば、運に左右されずに100%クリアできるものである。運に左右されてクリアできなくなるローグライクは、ローグライクとして失格なのだ。
では、Returnalはどうなのかというと、今となっては筆者は100回プレイすれば間違いなく100回クリアできると断言する。最初こそ苦戦したものの、理解が進めば負ける要素は無くなってくる。ステージ1(or4)で引きが良ければそのまま進めばいいし、悪ければ宇宙船に戻って回復を繰り返して最大体力を上げれば何とかなる。鬼門のドローン大群も、3周する頃には(真エンド目指す意気込みのある人は)ワイヤーアクション駆使しながら割と冷静に捌けるようになるはずだ。蘇生系アイテムが手に入れば、探索せずに強行突破で短時間クリアできないこともないし、武器が弱い場合には、深淵に出現するバリアを張ったタコが無限湧きさせる、突撃するイカを撃ち続ければ熟練度だけは幾らでも手に入り武器には困らない。(レベル30のトロフィーが欲しい人も使える。)
武器が弱すぎると、ラスボスとその手前の確定モンスターハウス的な場所で長期戦になって辛いので、タコで熟練度を稼げば良い。
結局のところ、雪山で死ぬからクソゲーとか、途中でセーブしてやり直せないからクソゲーなどと批判する人は、単純に腕が未熟なだけであり、ローグライクが何たるかを理解していないのだ。
繰り返しになるが、Returnalはローグライクとして優秀な部類である。
ストーリーと中断できない仕様は賛否両論
Returnalのストーリーは、怖さを感じることはないが、不気味でホラー寄りである。異星に突如として現れる不気味な自分の家と、神出鬼没な謎の宇宙飛行士に振り回されながらも異星を調査し、異星を脱出(ステージ3後)して地球に戻り、余生を過ごして死んだらまさかのデスループでチャプター2(ステージ4)が始まるという設定までは良かった。
しかし、その後スタッフロールが流れるまでストーリーを進めても、サッパリ理解が追い付かない。つまり、真エンドを見ることが前提のストーリーになっている。
エンディング後も、“まだまだ謎が隠されています。探してみましょう”ぐらいしか案内無く流石に不親切である。高難易度ゲームで真エンドの条件を探し回るのは骨が折れる作業なので、完全に自力で真エンドに辿りつきたい人にとっては苦行かもしれない。
エンディング後はさっさと条件を調べた方が無難。真エンディングを見てから考察に耽ろう。
Returnalは途中でゲームを休憩したくとも、ゲームを終了させることは許されず、レストモードで一時中断するしかできない。ゲームを終了するとそのループは失敗扱いになり、最初からやり直しとなる。しかし、PS5のレストモードには復帰に失敗してフリーズする危険が常に伴う。実際に筆者は4時間プレイした状態で、レストモード明けにフリーズして全ロストした。
1回フリーズロストを経験すると、そこからは怖くてレストモードを使用できない。本当に電源を切れるようにして欲しかった。
以上のように、ノーマルエンドだけはさっぱり分からないストーリーと、フリーズが怖いレストモードの2点が減点要素だが、ReturnalはPS5専売の新作ゲームでは、初めてのマストバイ作品であることには間違いない。ただし、合う・合わないは明確に現れるので、レビューを見て自分自身に合うかどうか見定めて欲しい。ローグライク狂なうえに、TPSが大好きな筆者にとっては最高のゲームだった。
注意:後のアップデートにて中断セーブ機能は実装された。
【追記】ストーリーとボスについてネタバレ考察
真エンディングまで到達するには、以下を達成する必要がある。
- チャプター2のラスボスを撃破する。(ステージ6クリア)
- ステージ1とステージ4の自宅イベントをこなす。
- 太陽の欠片を各ステージで合計6個集める。
- 自宅に行く。(車の鍵を手に入れ、イベント後は自宅が消える)
- もう一度ラスボスを倒して、水中のクルマをインタラクト
正直な所、ストーリーを完全には理解できないが、漠然と以下のように認識した。
セレーネ(プレイヤー)の他に、ヘリオス(セレーネの子供時代。ニックネーム?)、テイア(セレーネの母親)が、ホラーテイストの家パートで登場。
過去に、テイアとヘリオスが乗った車が湖に飛び込み、テイアが下半身不随になる事故があった。これはヘリオスが白い影(宇宙飛行士)が見えるという妄想を、運転中のテイアに話しかけたことが原因。真エンドにて、セレーネ自身が謎の白い影である宇宙飛行士になり橋の上に立ち、テイアの車がそれを避けようとして事故が起きている。これはセレーネの子供時代の精神疾患による宇宙飛行士の妄想が原因で事故が起きたことを暗示していると思われる。
次に、セレーネはヘリオスという名の宇宙船に乗って惑星に不時着している。そして不時着の原因は、セレーネ自身が惑星からヘリオスを迎撃したからであることがイベントで分かる。別の自分が自分の宇宙船を撃墜するという意味不明な状況。これは、宇宙船=子供時代の自分(どちらもヘリオス)を撃墜することで、都合の悪い過去(自分が原因で事故が起きた)を忘れようとしていることを意味しており、太陽の欠片を探すという行為は、意図的に忘れていた子供時代(ヘリオスはギリシア神話の太陽神)の記憶の欠片を集めて修復することを意味している。
家の中には宇宙飛行士採用の落選通知があったり、精神疾患に関する薬のログもあることから、そもそもセレーネは宇宙飛行士では無く、RETURNALの舞台である惑星自体が存在しない。元々幼少期から異常をきたしているセレーネは、こじれた母親との関係や落選のショックもあり、頭の中で未知の惑星でデスループし続けるという現実逃避を開始する。そして、全てを思い出し正気に戻った(真エンド)としても贖罪のためにデスループを続けるという終わり方。
その罪とは恐らく母親殺し。真エンドにて、車の鍵を開けたら出て来る干乾びた人間は、車椅子に乗っていることから、これは間違いなく事故で体が不自由になったテイアだろう。家パートには終盤まで開けられない地下室があり、そこを開けると車椅子が出て来ることから、セレーネは介護の果てにテイアを地下に閉じ込めて干乾びるまで放置して死なせたと推測する。
ヘリオスのお気に入りはタコのぬいぐるみ。なので、それが色濃く反映されて惑星(妄想の世界)には触手系の異形達が徘徊している。恐らくボスはギリシャ神話を掘れば立ち位置が見えてきそうだ。
コメント欄でボスに関する情報を頂いたので、自分で考えていた内容も合わせて以下に反映。
5体のボスはギリシャ神話あるいはギリシャ語から採用されている。
- フリーキ:ギリシャ語で恐怖。
- イクシオン(イクシーオーン):ギリシア神話に登場する人物。血縁の人間を殺した最初の者。
- ネメシス:ギリシア神話に登場する女神。「義憤」(道に外れたこと対して発する怒り)の意味。
- ヒュペリオン(ヒュペリオーン):ギリシア神話に登場する神。「高みを行く者」の意味。
- オフィオン(オピーオーン):ギリシア神話に登場する神。踏みつけられた上に牙を抜かれ、地下に追放された。
これらのギリシャ神話及びギリシャ語と、Returnalの登場人物であるセレーネ(ヘリオス)とテイアを照らし合わせると、以下のような関係性を推測できる。
- フリーキ:恐怖⇒セレーネは母テイアに恐怖を抱いた
- イクシオン:血縁の人間を殺した⇒セレーネの母テイア殺し
- ネメシス:義憤⇒セレーネが妊娠後に中絶
- ヒュペリオン:高みを行く者⇒テイアは事故前までは可能性に溢れていた。及び、生まれてくる子供は可能性を持っていた。
- オフィオン:牙を抜かれ、地下に追放された⇒テイアは脊椎損傷で可能性を失い、更に地下室に閉じ込められて死んだ。及び、子供は可能性を摘まれて中絶された。
前半戦の3体はセレーネの行動(罪)が、後半戦2体は行動の対象及びその結果が現れたボスだろうか。
フリーキ(恐怖)については罪なのか?というと、後悔に近いかもしれない。後半のイベントでセレーネが、“テイアは大した人じゃなかった”と、萎縮していた自分の行動が間違っていたと認識するシーンがある。
真エンディングの車から出て来る干乾びたテイアらしきモノは、何故かは下腹部が膨らんで妊娠している。これについては、車から出て来た(セレーネが封印してきた記憶)を複合して表現した結果だと思われる。
誰か考察のネタがあれば、コメントかツイッターまで・・・。
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