ドラゴンクエスト アイランド 大魔王ゾーマとはじまりの島(DRAGON QUEST ISLAND)は、2021年5月15日にオープンした、株式会社パソナグループ傘下の株式会社ニジゲンノモリが運営する、屋外型のフィールドRPGアトラクション。
ドラゴンクエスト アイランドの評判は上々で、トラベル系サイトのクチコミ評価も高い(Googleマップの口コミ評判は、レビュー投稿数400件以上で★4.8という稀に見る高評価)が、エリア面積約8000㎡を使った“屋外型のフィールドRPGアトラクション”と聞いても、具体的に何をするのかピンと来ないだろう。
分かり易く簡単に説明すると、ドラクエアイランドとは、
JRPGにおける“たらい回し系クエスト”を実体験するアトラクション
である。
たらい回し系クエストとは、✕✕を倒して来い、〇〇を取ってこい、△△に持っていけという、時間を消費するだけで内容の伴わない、JRPGの悪しき風習のことである。2021年9月現在、生産性の無いお使いを当たり前のようにやらせる新作ゲームは、ドラゴンクエストシリーズ以外に存在せず、最早“たらい回し系クエスト”はドラクエが誇る伝統芸能と言っても過言では無いだろう。そのような古き良き“たらい回し”を、リアルで体験できるアトラクションが、ドラゴンクエスト アイランド 大魔王ゾーマとはじまりの島である。
ネガティブなイメージの“たらい回し系クエスト”だが、実際にリアルで体験した感想としては“意外と面白い”である。約3時間に及び町中を歩き回り、村人/モンスター/宝箱などに対して、黙々とインタラクトし続けるだけなのだが、何度も往復させられる勇者一行の苦労や、思いがけない場所でアイテムを見つける喜びを、完成されたドラゴンクエストの街並みの中で実体験することは、まさにドラクエ世界の冒険者としてのロールプレイであり、実に満足度が高かった。
2021年9月になり、事前予約の埋まり具合から混雑は解消されたように見えたので、ドラゴンクエスト アイランドへ行ってきた。以下では、入場から退場まで順番に感想を交えて紹介する。
ドラゴンクエスト アイランドへのアクセスおよび入場
ドラゴンクエスト アイランドへのアクセスは非常に簡単で、車で淡路島ICを下りた後にニジゲンノモリのF駐車場へ向かえば良い。F駐車場にさえ着けば、後はもう何も迷うことは無い。入場すれば直ぐにお馴染みのテーマ曲と共にスライムが見えてくる。淡路島ICを下りずとも、淡路島SAから繋がっているハイウェイオアシスに向かい、そこから歩いてニジゲンノモリに入場も可能だ。(この場合は歩く距離が少々長い)
アトラクションは一番早くて10:00スタート。混雑緩和のために1時間毎の入場人数が決まっているので、現地でチケットを買っても良いが、事前に予約しておいた方が無難だろう。9月11日土曜日に参加したが、幾つかの時間帯は予約で埋まっており現地購入は不可となっていた。
施設の隣にはルイーダの酒場と、グッズショップが軒を連ねている。こちらはドラゴンクエスト アイランドに入場しなくても利用可能となっている。
アトラクションには、ゾーマ討伐を目指すメインクエストと、カンダタ盗賊団の入団試験というサブクエストが用意されており、メインクエストだけなら約2時間、サブクエストもプレイすると約3時間のボリュームとなっている。今回はメイン+サブどちらも遊び、途中で休憩のためにルイーダの酒場に寄って約3時間半だった。お土産の吟味も考慮すれば、約4時間の半日コースだと考えておけば良いだろう。
メインクエストのチケットを購入することで、クリアファイル、冒険の書、ホミロット(CV.小澤亜李)のバッジが貰える。
また、プレイヤーであることを示すリストバンドと、ゲーム進行やアイテム取得でインタラクする際に必要となる、“ロトのしるし”を模したストラップも渡される。冒険の書には、地図とメモ書き欄が用意されているので、必要に応じて書き込んで行けば、より没入感が増して楽しめるだろう。
サブクエストの参加権利も購入している場合は、討伐依頼と称したホログラム仕様の栞が3枚が貰える。
没入感の高い“オノコガルドの町”の探索
城門を潜って入場すると。そこにはドラゴンクエストの町並みが再現されている。
規模としては大きな城下町では無く、冒険の最序盤に訪れる小さな町と言ったところだろう。空き家とカンダタの家も含めて14戸に入場可能。この程度の数であれば、ゲームなら30分も掛からずに直ぐに見て回れそうなものだが、リアルで歩いて調べるとなると想像以上に時間も掛かるし、暑い季節であれば相当に疲れる。パーティメンバーの体力には注意して探索しよう。幸い、今回は天候には恵まれたが、家への出入りが多いので、雨が降っている際には傘では無くレインコートの方が良いだろう。
家の中に入り、ロトの印でインタラクトすればモニターにイベントが流れる。基本的には、依頼されたお使いを延々と繰り返すだけだが、前述の通りドラクエの町並みでそれをやることが実に楽しい。混雑している時は、家の外にもモニターが用意されているので、そちらを利用しよう。なお、モニターに表示されるイベント内容は撮影禁止となっているので注意。
町の中には、如何にもドラクエらしい要素が隠されているので、イベントをこなすついでにそれらを探して楽しもう。
例えば、ドラゴンクエストの収集要素の代表格である”ちいさなメダル”がその一つだ。メダルおじさんの家が用意されていることから分かると思うが、メインクエストの進行上、ある程度の枚数は小さなメダルを収集することになる。しかし、必要枚数以上に小さなメダルが隠されているので、それらを探すのも楽しいだろう。全12枚隠されており、収集状況は常々モニターで表示される。
注意力が散漫だと見つからないものも幾つかあるので、見つからなければパーティメンバーで手分けして探すのも良いだろう。パーティの誰か一人がインタラクトすれば、取得状況は共有される。全12枚を集めなくてもクリアに支障は無いが、競争心の高い人は集めておいた方が良いはずだ。(ネタバレでは無いがお楽しみ)
宝箱も至る所に置いてあるので、しっかりと見て回ろう。最初は開けることが出来ず、後から開けることもあるので、冒険の書の地図に印を付けて冒険者に成りきっても良いだろう。宝箱は小さなメダルよりも見つけやすいが、物陰に隠れている場合もあるので、空き家でもしっかりと見て回ろう。
なお、サブクエストの権利を購入していなくても、カンダタのアジトには入場可能。折角なので一度は訪問してみよう。
町の探索が一通り済むと、町の入り口を抜けて北の森に行く事ができる。町と森は目と鼻の先だが、一旦アトラクションエリアから抜けて移動することになる。エリアを抜ければルイーダの酒場で休憩もできるので、歩き疲れたら適宜休憩しよう。
なお、町の中でも屋台でポップコーンが、道具屋ではスライム饅が売られている。水も売られているので、軽い飲食なら可能。
戦闘は町の外のエリアで
オノコガルドの町を出て、北の森へ入るとモンスターが待ち受けている。
モンスター像の隣にモニターが設置されているので、パーティメンバー全員でインタラクトすれば戦闘が開始する。戦闘と言っても自動進行なので、プレイヤーが特に介入することは無い。ノリを重視するのであれば、画面指示に従ってポーズを決めても良いだろう。時には、オリジナルモンスターの”たまねぎスライム”や”たまねぎキング”と、エンカウントすることがあるだろう。たまねぎスライムは、被ダメージで皮が剥ける演出がしっかり用意されている。なお、戦闘シーンもモニター映像なので撮影はNGだ。
モンスター像はどれも出来が良いので、記念撮影をしたい。やはり混んでくると記念撮影にも時間が掛かるので、沢山写真を撮りそうな人は10:00スタートを予約しよう。
戦闘時には、「戦士」「武闘家」「盗賊」「魔法使い」から、入場時に選んで登録した自分のアバターが表示される。装備やステータスはアトラクションの進行状況によって変化するのだが、サブクエストの報酬でも装備が貰えるので、アバターの見た目も気にする人はサブクエストの権利も購入した方が良いだろう。また、最後の記念撮影時には、自分のアバターも最終装備の見た目で載せてもらえるので、サブクエストをクリアした方が記念写真が華やかになる。
装備にはDQ10以降の体系が採用されている。プレイヤーの装備は最初こそ貧弱だが、お使いの報酬でゴールドを得ることで、超ベストセラーの無法者シリーズや、タンク職の定番だった凱歌シリーズなど、DQ10経験者にはお馴染みの装備に着替えることが出来る。(武器屋に行けば自動で用意してくれる)
特技はDQ9以降の体系が採用されているが、この特技に関しては詰めが甘く不満があった。例えば、「武闘家」が使うタイガークローが多段ヒットせず1回ダメージだったり、「盗賊」は必ず短剣で毒特攻のタナトスハントを使った後に、毒付与のヴァイパーファングを使うという、見ていてモヤモヤする順番で特技を放つ。敵とこちらの強さに応じて、決まった戦闘パターンを表示しているだけなので、多段ヒットは我慢するにしても、せめてタナトスとヴァイパーの順番ぐらいは逆にして欲しかった。
特技の不満はさておき、意外と楽しいたらい回しを2時間(サブクエ込なら3時間)堪能すれば、後はゾーマとの対決である。どのような結末を迎えるかは自分の目で確かめよう。ゾーマの声優は脱出ゲームから引き続き、大塚明夫が担当。
ルイーダの酒場にもしっかりとネタが仕込まれている
アトラクションの紹介は以上だが、ルイーダの酒場も手が込んでいるので見落とさないようにしよう。
発券機にはルイーダが出て来るし、壁には冒険者向け掲示板が用意されている。
メニューだけではなく、食品サンプルで一通り確認可能。
グッズショップでは、ドラゴンクエスト アイランド専売品以外にも、メタリックモンスターズやパズルのような一般販売されている公式グッズも取り扱っている。
筆者は専売のドットアクリルキーホルダーを全4種類買おうと思っていたのだが、たまねぎスライム皮付きと、たまねぎキングは売り切れだった。悔しいので、それらはぬいぐるみを買うことにした。
以上のように、ドラゴンクエスト アイランド 大魔王ゾーマとはじまりの島は、精巧に作られたドラゴンクエストの町並みで、満足度の高い体験が出来るアトラクションだ。今まで様々なイベントに参加してきたような、歴戦のドラクエファンであっても、勇者一行の苦労を身を持って、しかも楽しく味わうなんてことは、ドラゴンクエスト アイランドでしか出来ない。唯一無二のアトラクションなので、遠方から訪れる価値があるだろう。
なお、アバター登録からゾーマ討伐までのクリアタイムが記録されるので、足腰を鍛えてたうえでリアルタイムアタックに挑む事も可能だ。サポート仲間加入イベントの時間が勿体無いので4人PTで入り、小さなメダルを分担で探して・・・と、空いている平日の気候が良い時にRTAに挑む猛者がそのうち現れるかもしれない。
ちなみに、ニジゲンノモリは敷地が広大なので、ドラゴンクエスト アイランドの拡張代がまだまだありそうだ。実際に、クリア後のアンケートの再来訪に関する項目で、”追加コンテンツが出来たら再度来たい”というチェック項目があった。これからのコンテンツ追加にも期待していきたい。(某神話編並にたらい回しされるのは勘弁したいが・・・。)
【追記】ドラゴンクエストコラボルーム「スライムのコクーン」が登場
ニジゲンノモリ内のグランピング宿泊施設「GRAND CHARIOT 北斗七星135°」に、2021年11月6日からドラゴンクエストアイランドとのコラボルーム「スライムのコクーン」が登場するようだ。
内装は可愛い方向でドラゴンクエストの世界を演出しており、更に専用の浴衣や、ルーム内で小さなメダル探しなども用意されており、ファンなら一度は泊まってみたい。限定一棟なので、気になる人は公式サイトをしっかりとチェックしよう。
もっとも、4名利用時でさえ50,518円~75,777円/人と高額で、そう気軽に利用できるものではないので、何かの記念日に検討してはどうだろうか。
参考 【ドラゴンクエスト アイランド】ドラゴンクエストコラボルーム「スライムのコクーン」10月23日(土)予約開始 – 【公式】ニジゲンノモリ【公式】ニジゲンノモリ
【追記】2023年3月4日『ドラゴンクエスト アイランド いにしえの魔神と導かれし冒険者たち』オープン
ドラクエアイランドがリニューアルし、2023年3月4日から『ドラゴンクエスト アイランド いにしえの魔神と導かれし冒険者たち』として生まれ変わるようだ。
サブタイトルは“大魔王ゾーマとはじまりの島”から、“いにしえの魔神と導かれし冒険者たち”となったが、既存コンテンツの設備は残しつつ装いを新たにするようだ。メインビジュアルに描かれるキラーマシンやキラーパンサーが続投することから置物関係はそのまま流用して、ディスプレイ内に登場する内容が刷新されるようである。アトラクションエリアの拡張や建物の建て替えは行われない。
現在でもドラクエアイランドは3時間近く歩き回るボリュームであり、既存コンテンツが残るにしても、追加コンテンツと合わせて1日で回るとなると少々ハードだ。上書き・追加にかかわらず、リニューアルまでにまずは1回遊びに行った方が良いだろう。
参考 『ドラゴンクエスト アイランド いにしえの魔神と導かれし冒険者たち』 2023年3月4日(土)グランドオープン!【公式】ニジゲンノモリ
ちなみに、いにしえの魔神とは、ドラゴンクエスト9の追加コンテンツで配信されたボスモンスターだ。本編や宝の地図に登場する、魔神ジャダーマや破壊神フォロボスの色違いモンスターなのだが、メインビジュアルに示された通り、いにしえの魔神=エスタークが登場する模様。地獄の帝王、災厄の王 に続いて、エスタークには3つ目の称号が与えられたことになる。
ドラゴンクエスト アイランド 大魔王ゾーマとはじまりの島を遊べば、JRPGにおける勇者たちの大変さが身に染みるだろう。地味な作業の繰り返しだが、宝箱や小さなメダルを見つけた時の喜びはゲームよりも圧倒的に大きい。町の作りや実物大?のモンスター像は見応えあり。ドラゴンクエストファンならば絶対に1回は体験したいアトラクションである。将来的にエリアが拡張され、プレイ継続性が高まれば言うこと無しだ。体験施設のレビューなので、小ネタに分類した。
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