点数評価 | 100点 |
プレイ状況 | 真エンドまでクリア 実績575/1000 |
プレイ時間 | 通常エンド約7.5時間 ⇒真エンド約10時間 |
発売日 | 2021年11月23日 |
対応機種 | PS4/PS5/Switch/Steam Xbox (Gamepass) |
プレイ機種 | Xbox Series X |
開発元 | Acid Nerve |
発売元 | Devolver Digital |
ジャンル | アクションアドベンチャー ジャンルの考え方 |
Death’s Door (デスドア)は、革新性を持ち合わせていないが、ゼルダライクなアクションゲームとして、何一つ間違ったことをしていない作品だ。シンプル故にアクションゲームとしてのバランスは完璧に近い。ステージ構成はソウルライクなショートカット開通と、ゼルダライクな謎解きが融合しており秀逸。ストーリーはシリアスとユーモアの緩急が愉快で、温かみは無いが特徴的な質感の3Dモデルや、美しくも儚さを感じるBGMも高く評価したい。また一つインディーゲームの可能性を感じさせられた作品であり、アクションゲーマーであれば必修。真エンドはオマケ程度。
アクションゲームとしての目新しさは無いが、非の打ち所も無い
Death’s Door (デスドア)は、一羽の死神カラスとして死者のソウルを刈り集めるアクションゲームだ。ゼルダライクなオーソドックスなアクションに、少しダークでユーモアたっぷりな世界観がミックスされている。Death’s Doorはゲームとしての革新性は一切持ち合わせていない。そのため、神ゲーには分類しなかったが、この手の見下ろし型のアクションゲームとしては完璧に近く点数は100点を付けた。シンプルイズザベストという言葉が、これほどまでにしっくり来るゲームは珍しい。
Death’s Doorにおける主な攻撃手段は、剣による近接斬撃だ。剣以外には槌やナイフなど全5種類(実質4種類)の武器が用意されているが、何れもスイング(コンボ)回数、ダメージ、射程、攻撃速度が変わるだけで劇的な性能差はない。また、武器の使い方としても、攻撃ボタンを押せば剣を振る、長押しでチャージ攻撃、緊急回避後にチャージ攻撃の3種類しか無く、派手なスキル攻撃のようなものは存在しない。
次に、遠距離攻撃としては、矢、ボム、フック、炎の4種類が用意されており、なんともゼルダ的で馴染み深い。これらは当然攻撃に使えるが、どちらかといえば遠くのスイッチを押したり、壁を破壊したりするために使用することの方が多いだろう。
そして、これらの遠近の攻撃手段は、敵を倒して集めたソウルを消費することで強化可能だ。しかし、スキルツリーのような悩ましい選択肢が用意されている訳では無く、4項目から選んで強化するだけで単純明快となっている。用意されている項目は、近距離攻撃力,攻撃速度,移動速度,遠距離攻撃力だけなので、余り深く考える必要は無いだろう。どうしても悩むのであれば、移動速度アップをオススメしたい。後述するが、ファストトラベルポイントは多いものの、歩き回る時間も比較的長いので、移動速度が上昇する恩恵は大きい。
このようなシンプルなアクションゲームが、何故面白いのかというと“キレのあるシャープな戦闘”を楽しめるからである。この、“キレのあるシャープな戦闘”という言葉は、パブリッシャーがニンテンドーストアに記載している、ゲーム紹介文からの引用であるが、この言葉に嘘偽りは全くない。主人公は働き者の死神カラスであり、そのキャラクター像から受ける印象通りのキビキビとした動きは快適だ。やや早めながらも、決して早すぎる事の無い戦闘スピードで、気持ち良く斬撃が決まっていく。
残念ながら、主人公はカラスにもかかわらず飛ぶことは出来ない。あっさりと高台から奈落に転落したり、池に溺れたりしてしまうので、エリア端や狭い足場では慎重に動くことを意識しよう。動きながら緊急回避してそのまま落下という場面は多い。
次に、本作の優れたレベルデザインを大きく評価したい。まさに“適度なストレスが心地良い”という状態が、ゲームの最初から最後まで続くのである。
まず、Death’s Doorの各ステージは、ソウルライクゲームのような構成をしており、少し進んではショートカットを開き、スタート地点近傍に戻ってくることを繰り返すことで探索が進行していく。ただし、ソウル感があるのは、ステージの繋がり方だけであり、戦闘の難易度はさほど高くない。また、嫌らしい初見殺しの即死級トラップが仕掛けられていることも無い。そして、一般的なソウルライクゲームのように、大半のザコ敵は無視してスルー出来るようになっている。
難易度がそこまで高く無く敵から逃げやすいのであれば、どこで戦闘を楽しむのかと言うと、ザコ敵との連続戦闘と大型の中ボスである。Death’s Doorでは、回避不可能な戦闘が多数用意されており、プレイヤーはそこで思う存分にアクションを楽しむように設計されている。
前述の通り、用意されているアクションがシンプルなので、プレイヤーが出来る事は、連撃を入れつつ敵の反撃を回避し、距離が空けば遠距離で追撃するだけだ。にもかかわらず面白い理由は、レベルデザインの秀逸さだろう。どのステージでも、正面からの攻撃連打で圧し切れそうで圧し切れない、絶妙としか言いようが無い難易度が用意されている。
気を抜いて雑なプレイをすれば返り討ちにされるし、かと言って息苦しくなるような緊張感が続く訳でも無い。回復や攻撃の消費アイテムは存在せず、完全に実力勝負なので一定水準のアクションゲームの腕前は要求されるものの、例え倒されたとしてもペナルティは無くリトライ性も高いので、プレイヤーは比較的容易に要求されるスキルを習熟することが出来て、ゲームに詰まることも無い。2,3回負けることはあっても、同じ失敗をしないように注意すればクリア出来る、少しの努力で報われるという一番プレイヤーが気持ち良い状態だ。
下の動画はとある連続戦闘の様子である。この手の戦闘が多く用意されている。このような連続戦闘や中ボスは、一部を除いて一度倒せば復活しない。そのため、倒しきることさえ出来れば、デスルーラ的な移動方法で帰ることが許されている点は親切だ。
Death’s Doorには、シンプルな武器選択と、シンプルなステータス強化しか用意されていないからこそ、一貫して優れたレベルデザインが可能だったのだと考えられる。派手な装飾が無くても、高い評価を受けるには理由があるのだ。
無駄を徹底的に排除したミニマルデザインは、ゲームにおいても非常に有効であることの証明。
幾らレベルデザインが良くても、シンプルな戦闘の連続であれば途中から飽きが来ると考える人も多いだろう。しかし、その点に関しては、ボス戦闘が良いアクセントとなっているため心配の必要は無い。ボスはノーマルエンドまでに全7体用意されており、純粋に攻撃を見切ってからの回避と攻撃を求められるボスもあれば、ギミックを利用しながら優位に立ち回るようなボスもいる。どれも特徴的で、攻略し甲斐がある内容となっている。ボス戦の難易度は連続戦闘や中ボスよりも当然ながら上だが、前述の通りにリトライ性が高いので苦にならないだろう。
次の動画は、ツボの魔女との一戦。このボスはシンプルに回避を求められるパターンだ。アクション面の難易度が心配な人は、この動画で自分も出来るかどうか判断してもらいたい。
次のスクリーンショットは、カエルキングというボスとの戦闘の一幕だ。このボス戦にはギミック系のステージが用意されている。ネタバレになるため動画は載せないが、今までのステージ攻略の知識が活かされるパターンである。
ゼルダ的な程良い謎解きと、難しい探索
Death’s Doorには、ゼルダの伝説で見かけたような、矢やフックを使った謎解きが多く用意されている。こちらも戦闘と同様に難易度が高いものはなく、解けないからとイライラすることはない。適度な頭の体操レベルの内容なので、気持ち良くクリア出来るはずだ。BGMも心地良いものが多いので、落ち着いた気持ちで謎解きに取り組むことが出来るだろう。
次の動画は、スイッチをオンオフして台座の高さを変化させ、全てのスイッチを押して扉を開く謎解きの様子である。仮にこの手のギミックが苦手だったとしても、適当にガチャガチャと動かしている内に解けるレベルのものが多い。
謎解きは難しくない一方で、収集アイテムである“キラキラしたもの”や、体力の最大値や遠距離武器を使える回数を増やすアイテムの探索は、それなりに難易度が高い。これらを自力で100%集めてのクリアは至難の業だろう。爆弾で壁を壊して入る隠し部屋や、分かり難い場所に隠されたフックポイントなどを、全てを見つけるには相当の観察力を要するはずだ。このようにして、ストーリー進行に関係の無い部分では、しっかりと高難易度のやり込みが用意されているのも嬉しい。
ちなみに、体力は初期状態なら4(3発まで耐える)だが、体力アップアイテムを4つ集めること1上がり、最大で6まで上昇する。筆者の場合は、全てを見つけ出すことが出来ずに5で妥協した。攻撃の種類に関係なく、1発喰らえば体力が1減る仕様なので、体力の上限値を解放する恩恵は大きい。アクションが難しいと感じた人は、攻略サイトなどでアイテムの在りかを調べた方が良いだろう。
ちなみに、アイテム探索の難易度が上る理由は、エリアマップのような自分の位置を確認する機能が存在しないため、どこが探索済みなのか分かり難いからだ。Death’s Doorのプレイエリアはそれほど広くは無いものの、ステージの至る所でショートカットが開通するので、一回通っただけではステージの全容を把握しにくい。1回でエリアの隅々まで網羅しようとするのであれば、かなりの記憶力が無いと難しいだろう。
幸いにも、ファストトラベルポイントが豊富なことが救いではあるものの、クリア後に真エンディングを目指す場合は、インターネットで収集アイテムの位置を確認した方が無難だ。(筆者はギブアップして、クリア後の要素は調べた)
マップが無いので5点減点しようかとも思ったが、ファストトラベルが充実しているのでセーフとした。
シリアスとコミカルが混在する、独特な世界観
最後に本作の世界観にも触れておくと、当レビューのタイトルでも示したように、主人公のカラスは社畜感のある労働階級に属している。カラス達はソウルを刈るノルマを課せられ、出世競争に翻弄されているという設定だ。アクションゲームとしての新しさは無いが、世界観のインパクトは抜群である。
カラスが人間のように、せっせと働くというコミカルな設定から始まるDeath’s Doorだが、主人公はソウルを刈る死神であることを忘れてはならない。従って、倒したボスはソウルを刈り取られて死ぬことになる。ボスを倒せば墓守と葬儀のシーンが始まり、シリアスで感慨深い会話が挿入される。
Death’s Door登場人物は、ボスキャラクターもNPCも基本的にコミカルだ。例えばゲームの序盤に、頭を鍋にされた“ナベドタマ”というNPCと出合うが、彼は初対面のカラスに対して、頭の中身のスープを進めてくるお茶目なキャラクターだ。そんな彼だが、頭を鍋にされた理由は割と深刻で、更に祖母は長生きし過ぎた結果、ソウルを貯めこんで腐っているなどというシリアスな展開になる。
このように、Death’s Doorはコミカルとシリアスの緩急のついた展開が多い。根っこの部分はコミカルだが、大事なことを伝えようとする部分はシリアスになるという、死生感を扱った子供向けの絵本のようなノリに近いだろうか。
なお、この手のインディーゲームの界隈では、日本語翻訳が怪しいことが多々ある。しかし、Death’s Doorの翻訳は完璧なので安心して欲しい。しかも、悪乗りしたような長文テキストでも、しっかりと意訳して日本語に対応している点は非常に評価が高い。
以上のように、Death’s Doorはアクションゲームの原点に戻ったような、洗練された操作感と程良い謎解きに、緩急をつけた展開が面白い絵本のような世界観が合わさった、傑作のインディーゲームである。本編クリアまでの難易度はそこまで高く無いものの、全実績またはトロフィーを取得しようとすると、剣と比べて威力が半分しかない傘を使ってクリアという縛りプレイも必要となるので、熟練したアクションゲーマーも満足だろう。
縛りプレイはともかく、ゼルダライクなアクションゲームが好きであれば、確実にプレイしてもらいたい。ゲームパスであれば何と無料で遊び放題だ。
なお、本作のBGMはピアノの旋律が美しく、退廃的では無いものの少し暗めな世界観に絶妙にマッチしている。 ゲームミュージックファンであれば、サントラから入るのもアリだ。(サントラは定額音楽配信サービスに対応中。DL販売も行われている。)
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