点数評価 | 90点 |
プレイ状況 | 最高でWave186まで (早期アクセス THE ENEMIES 2.0) |
プレイ時間 | 約15時間 |
発売日 | 2019年3月27日(早期アクセス) |
対応機種 | Steam |
プレイ機種 | PC |
開発元 | Chimeric |
発売元 | Pixeljam |
ジャンル | ローグライクシューティング ジャンルの考え方 |
Nova Drift (ノヴァ ドリフト)は操作が非常に難しい360度シューティングゲームだ。不慣れなうちは、自機を迂闊に加速させて慣性を制御できずに即ゲームオーバーの繰り返しだろう。しかし、操作に慣れてくるとドリフト感の溢れる操縦が可能となり、爽快感が一気に飛躍する。ローグライクとしてのビルドの可能性は相当に広いが、ランダム性は低めに抑えられている。そのため、失敗の改善が比較的容易であり、後一回のプレイを止められない絶妙なバランスとなっている。今回遊んだのはアーリーアクセス版だが、既にこの時点で神ゲーに分類しても良いと思える傑作だ。
【総合評価】 | |
革新性 | |
ユーザビリティ | |
ビジュアル | |
サウンド | |
プレイ継続性 | |
コストパフォーマンス |
Nova Drift (ノヴァ ドリフト)は、全方位から敵が迫りくる、ラジコン操作タイプのトップダウンビューシューティングゲームだ。自機のパワーアップはランダム性を持っており、パワーアップの組み合わせで強烈なシナジーが発揮され、さらに繰り返し遊ぶことでビルドの幅が広がるといった、ローグライクゲーム的な要素も持っている。
果てしない組み合わせの探求へ
Nova Driftはローグライクゲームである。ローグライクと聞いた時点で手を出さないと決めている人も多いと思うが、シューティング×ローグライクは良くあるようなRPG系のローグライクとは趣向が異なっているので、自機を操作するタイプのシューティングゲームが好きであれば、まずは興味を持って欲しい。
ローグライクゲームの定番と言えば、倒されると全てを失って一からやり直しとなるパーマデスだ。これはローグライクが敬遠される要素の一つだが、Nova Driftにおいてはパーマデスと聴いても身構える必要はない。何故なら、縦・横・360度とタイプを問わず、自機を操作するタイプのシューティングゲームは、ゲームオーバーになれば最初からが当たり前だからだ。(コンティニューは用意されていないが)
では、Nova Driftにはどのようなローグライク要素が採用されているかというと、プレイを重ねる毎にアンロックされる新しいMOD(能力)、レベルアップ時に選択できるMODのランダム提示、MODの組み合わせによる爆発的なシナジー効果である。
シューティングゲームと言えば古今東西例外なく、敵機を撃破してパワーアップアイテムを取得していくだろう。そして、パワーアップにはある程度の自由度が設けられており、ショットパターンや機体特性を好みに変化させていくことが多い。Nova Driftも例に漏れず、敵機を倒してパワーアップを繰り返していくのだが、用意されているMOD(能力)の種類が尋常ではない。
まず、ゲーム開始時点でMODは64種類用意されている。その後、48種類のMODが解放され、特定の条件下においては、追加で60種類近い不可測MODとスーパーMODと呼ばれるものが選択候補として出現する。150種類以上のパワーアップが用意されているシューティングゲームと表現すれば、その規模の大きさを実感できるだろう。
MODには、同時発射弾数を増やす,弾速を上げる,弾の誘導を強化する,弾体を大きくするといった攻撃系の他にも、タレットを設置したりドローンを従えるといった支援系や、シールドや機体の耐久値を上昇させる補助系などが用意されている。弾が増えたり大きくなる程度であれば、他のシューティングゲームでも良く見かける光景だ。しかし、Nova DriftはMODが弾に及ぼす影響が桁違いに大きく、組み合わせによっては同じ武器とは考えられないほどに特性が変化する。
また、一般的なシューティングゲームであれば、パワーアップアイテムは取れば取るだけ得をすることが多いが、Nova DriftのMODは一長一短だ。例えば、弾体を大きくすれば発射レートが低下したり、誘導を強化すれば弾速が低下するなど、多くのMODにはマイナス効果も用意されている。MODが及ぼす影響が大きいのは短所も同様なので、取捨選択を誤ると一気に弱体化することもあり注意が必要である。
圧倒的なMODの種類,MOD一つ一つの大きな影響力,トレードオフな関係性の性能の相乗効果により、従来のシューティングゲームでは類を見ない程に、パワーアップの組み合わせの幅が広くなっている。
そのようなMODの影響を受ける武器は12種類も用意されており、更にバリアとボディの選択によっても戦い方は細かく変化する。自力で強力な組み合わせを探っていくのであれば、試行錯誤は間違いなく数十時間では終わらない。ショット特性の全容解明にここまで時間を要するシューティングゲームは他に存在しないだろう。
ローグライクと言えばランダム性が売りであり、シナジーは上振れ・下振れするものだ。ランダム性を与えられた状態ではビルドの探求が進まないと考えるかもしれないが、Nova Driftにはリロールというシステムが用意されており、レベルアップ時に提示されたMODを再抽選できる。さらに、リロールするためのアイテムは頻繁にドロップするので、リロールを実行する敷居は低い。そのため、100%思い通りのビルドは不可能だが、70%ぐらいは最初から予定していたビルドを構築することができる。
この7割程度は思い通りになるという匙加減が絶妙で、ビルドの探求中に思い掛けない組み合わせが見つかり大きな喜びに繋がることが多い。また、スコア狙いであれば、“後少しリロール運が良ければハイスコア更新できた”という気になり、もう一回プレイしたくなる動機付けに繋がるのだ。
ちなみに、Nova Driftはパワーアップが進むにつれて画面が派手になるが、自機も敵機も幾何学的模様のようなシンプルデザインのため視認性は悪くない。敵機共の攻撃特性は色で決まっており、激しい弾幕の中でも直感的にどのように避けるべきか分かるのも良い。自機のアップグレードに関しても、MODのアイコンが強化系統ごとに色分けされているので分かり易い。 理性的に考え込まれたシナジーと、本能的に訴えかけるデザインが融合した素晴らしいゲームだ。
慣性に振り回される高難易度ラジコン操作
Nova Driftのような360度方向から敵が迫ってくるトップダウンビューのゲームは、宇宙を舞台にしたシューティングに限定せずとも、ツインスティックを利用した操作体系が採用されることが多い。つまり、コントローラー操作の場合は、左スティックで自機を360度自由に動かしつつ、右スティックで正面方向を調整する操作方法だ。しかし、Nova Driftの操作方法はツインスティックタイプではなく、加速キーを押すと指定した方向に一直線に進み続ける、俗にいうラジコン操作タイプが採用されている。
このラジコン操作はハッキリ言って非常に難しい。選択したボディや取得したMODによって自機の移動速度は多少上下するが、どのような組み合わせでも、加速を続ければ数秒でたちまち制御不能な速度に到達する。一部のMODを除いてブレーキ操作は用意されていないので、停止するには逆方向に加速して慣性を相殺するしかない。この操作に慣れるまでは、ロクに敵に照準を合わせることもできず、漂うデブリに圧し潰され、慌てて回避するために加速するも敵にぶつかりピンボールの如く弾かれ、度々ゲームオーバーになるだろう。人によっては面白さを理解するに至る前に投げるかもしれない。
しかし操作に慣れてくると、ゲームタイトルにある通りまさに“Drift”感のある操作が出来るようになってくる。画面は上下左右が繋がってループしているので、進行方向を阻害されることは無い。そのため、超加速しながら戦場を縦横無尽に駆け巡り、好みのMODビルドで敵を倒せるようになると爽快感抜群だ。
調子に乗って爆散するまでがお約束!
Steamで公開されている公式PVを見ると、ノンストップで戦場を駆け巡り強烈な一撃を叩き込む様子を見ることができるが、あのような技術の習得は一筋縄ではいかない。そうなると、黙々と高速ラジコン操作を練習しなければならないのかというとそうでもない。幸いにも、停止することでメリットを得ることができるMODが多数用意されているので、まずはそのようなMODのシナジーで遊んで慣れていくと良いだろう。
例えば、加速を止めるとステルスを機能を得るスペクターというボディに、停止中に自機の再生効率アップや、射撃停止すれば弾の拡散が軽減されるキャリブレートのMODを積み、武器には貯めるほど同時発射数が増えるサルヴォという追尾ミサイルを選択、おまけに自立型支援機も搭載する。そうすれば、ピンチに陥った際には支援機を囮にステルスで隠れ、回復しつつも反撃に備えるという戦い方が出来るようになる。
次の動画は、Wave100のボス戦でまさに上記の例のように戦っている様子である。公式PVとは程遠い戦い方だが、まずはこれぐらいから徐々に上手くなっていけば良いはずだ。
照準することもそれなりに難しいので、広範囲に影響を及ぼすグレネードを誘導弾にして確実当てるのも良い。完全に近距離戦用のビルドを用意して、照準を調整することすら不要にしても良いだろう。手強い操作性もビルドを工夫して何とか乗り切ることができる、大変奥深いゲームだ。
2022年7月現在ではアーリーアクセス中
Nova Driftは2019年3月27日にアーリーアクセス版が公開され、当レビュー記事を投稿した時点で既に3年4か月が経過しているが、正式リリースには至っていない。しかしながら、地道なアップデートが繰り返されており、徐々にフルリリースに近づいているようである。
現状では無限に戦い続けるエンドレスモードしか用意されていないが、正式リリースではキャンペーンモードが追加されるようである。エンドレスモードしか遊べないとはいえ、MODの組み合わせ探求がメインコンテンツと言えるゲームなので、アーリーアクセス版であっても価格分は確実に元を取れる。それどころか、熱中し過ぎに注意しなければならないレベルで遊べることを保証したい。
最終的にはPS、Xbox、Switchといった家庭用機でもリリースが予定されているので、今後の動向が気になる作品である。
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