点数評価 | 80点 |
プレイ状況 | 戦士を6までクリア 他を3までクリア |
プレイ時間 | 約5時間 |
発売日 | 2019年8月13日 |
対応機種 | Switch/Steam/PS4/PS5 Xbox (GamePass) |
プレイ機種 | Xbox Series X |
開発元 | Distractionware |
発売元 | Distractionware |
ジャンル | デッキ構築型バトルゲーム ジャンルの考え方 |
ネタバレ | 無し |
1プレイの質より量(多様性)で満足度を高めたデッキ構築型ローグライクゲーム。一般的に、デッキ構築型ローグライクゲームは熟考を重ねて1ゲームが長くなりがちだが、Dicey Dungeons (ダイシーダンジョンズ)は非常にシンプルな作りでサクサクと遊ぶことが出来る。シンプルとは簡単を意味する訳では無く、遊びやすさ・ルールの覚えやすさのことであり、難易度的にはそれなりに手応えのある内容になっている。6種類のプレイアブルキャラクターと、6種類の特別なルールが適用されるダンジョンで、合計36回パターンもの遊びが用意されている。ベースはサイコロ勝負なので、どうしてもプレイヤーの技量でコントロール出来ない場面もあるが、1プレイが短くサクっと遊べるので許容の範囲内だろう。
【総合評価】 | |
革新性 | |
ユーザビリティ | |
ビジュアル | |
サウンド | |
プレイ継続性 | |
コストパフォーマンス |
シンプルで分かりやすいデッキ構築型ローグライク
Dicey Dungeons (ダイシーダンジョンズ)は、デッキ構築型ローグライクにサイコロの出目による運勝負をミックスしたターン制バトルゲームだ。サイコロの出目は完全に運という訳では無く、リロールやスキルによる数値の足し引きが出来るので、プレイヤーはサイコロの出目を有利に調整しながら戦闘を進めていく。
デッキ構築型ローグライクゲームというと、一般的にはルールが難解なうえに、多種多様なシナジー効果やコンボを覚える必要があるため、親しみを持ち難いというイメージがあるかもしれない。しかしDicey Dungeonsは、デッキ構築型ローグライクゲームながらシンプルで理解が容易な作品だである。
デッキ構築型ローグライクゲームといえば、ルート分岐の選択が非常に重要だ。しかし、Dicey Dungeonsは分岐を殆ど考える必要が無い。ダンジョンは1層ごとに次のスクリーンショットのようなシンプルな構造をしており、サイコロ人間を階段まで動かせば下の層に降りることができ、道中でモンスターとぶつかれば戦闘になる。
申し訳程度に分岐があり、敵と戦う・避ける、ショップに寄る・寄らない、体力に余裕が無ければリンゴ(体力回復)を取る程度の選択肢はある。しかし、ボス戦には挑むに必要なレベルは殆どの場合で4か5なので、倒す敵の数も大体は固定されている。
Dicey Dungeonsは敵味方共に、サイコロ運によってダメージ量が上下する。デッキ構築型ローグライクゲームというと、シナジー効果でダメージに補正が掛かりまくって想定外の大ダメージが出ることがお馴染みだが、Dicey Dungeonsおいては打点が劇的に跳ね上がることは無いので安心だ。
気が付かずにシナジーが爆発して大ダメージを与えるようなハプニングは存在しない。
サイコロの出目がダメージ量に直結するのだが、装備によって何らかの効果が付与されたり、効果の発動に制約が設けられている。例えば次のスクリーンショットに示すスパイクシールドの場合、出目が偶数ならその分だけダメージを与え、奇数ならその分だけ防御力がアップするという、攻守ともに使える装備になっている。バトルアックスであれば出目の2倍が与ダメージとなるが、1~4の目しか使えず、せっかく最大値の6が出ていても使用できない。雪玉+の場合は、5か1の目しか適用できないが、どちらでも6ダメージと凍結のデバフを付与できて、効果だけを見ると非常に魅力的になっているなど、装備によって使える目と効果が決まっている。
1ターンで振れるサイコロの数は、プレイヤーのレベルアップによって追加されるので、レベルが上がるほどに選択の自由度が高くなる。安易に一つの攻撃手段の最大ダメージだけを追うのではなく、サイコロが余らないように、最大効率を目指してサイコロの出目を装備に適用することが重要だ。
デッキ構築型ローグライクゲームは一般的に、攻撃手段のシナジーが重要であり、1プレイの内に悩みに悩んだ取捨選択を何度も繰り返す。しかしDicey Dungeonsは、1プレイ30分~45分程度と短く、装備を新たに手に入れる機会はさほど多くないうえに、そもそも装備間のシナジーも希薄だ。そのため、プレイヤーは取捨選択で頭を抱えることはまず無い。
装備の変更もシンプルで、2×3の6マスに収まるようにタイルを設定するだけだ。タイルに装備を設定すると言っても、装備タイルの形状は2×1か1×1しか存在しない。念入りに宝箱を回収したとしても、初期装備を合わせて10個程度しか武器は出てこないので、何を装備するか迷うことも余りないだろう。
異なる仕様を沢山遊ばせることに特化した作品
前項で説明した通りDicey Dungeonsは、進行,戦闘,装備すべてがシンプルなデッキ構築型ローグライクゲームだ。“果たしてそのようなデッキ構築型ローグライクゲームが面白いのか?”という疑問を持つかもしれないが、これが意外と面白い。何故かというと、6人のプレイアブルキャラクターそれぞれに、6種類の特別なルールのダンジョンが用意されているので、毎回新鮮なプレイ体験を与えてくれるからだ。シンプルだがルール違いで覚えることは多く、またシンプルだから簡単ということもなく、特にゲーム後半にアンロックされる特性の異なったプレイアブルキャラクター達はなかなかの難しさである。
6人のプレイアブルキャラクターの性能は全く異なっている。基本となる戦士を余裕でクリア出来たとしても、同じような感覚で他のキャラクターに挑むと痛い目にあうだろう。
戦士は装備効果を2回発動する必殺技と、1ターンに3回までサイコロを振り直すことできる分かりやすい性能だ。それに対して2番目にアンロックされる盗賊は、小さな出目で戦うキャラクターだ。必殺技は出目が1のサイコロを4つ用意するという変則的なものになっており、その他にも出目が大きなサイコロを出目が小さな二つに分割したり、毎ターンランダムに敵から盗んだ攻撃手段を使うことも出来る。
その他にも、出目の合計が規定値を超えるまで何度もサイコロを振れるが、超えるとペナルティを受けるロボットや、サイコロを消費して魔法書をセットしてから強力な攻撃を行う魔女など、個性豊かなキャラクターが用意されている。
ダンジョンには6種類のルールが設定されており、クリアする度に難しいルールを持ったダンジョンがアンロックされていく。そして、そのルールはキャラクター毎に異なっている。
戦士であれば敵の体力や攻撃力上昇から始まり、バフ・デバフが通常とは異なる効果を発揮するアナザータイプとでも言うようなダンジョン,敵味方共に初手が2回発動するダンジョン,階層が進む毎に新しいルールが追加されるダンンジョンなどが用意されている。
他にも、発明家であれば全ての装備が4回使うと壊れるようになり、戦闘中に攻撃手段を失えば勝つことが不能になる特殊ルールが存在する。また、ロボットであればサイコロを1~6までそれぞれ1個使えるようになるが、50%の確率でエラーが発生してそのターンは特定の装備が使用できなくなるなど、キャラクターが変わればダンジョンに付与されるルールも全く異なってくる。
このようにDicey Dungeonsは、性能の全く異なるキャラクターと、ルールが全く異なるダンジョンの組み合わせで、6×6=36パターンもの冒険を楽しめることが最大の特徴なのである。ベースがシンプルなので36種類もあっても理解が早く、一方で難易度も十分なので、新鮮さを伴ったままに飽きることなくテンポ良く遊べることだろう。
ゲームをプレイしなくても、せめてサントラだけは聴いて欲しい
Dicey Dungeonsはローグライクゲームとしても面白いが、何よりも音楽の良さが際立っている。音楽は北アイルランド出身のミュージシャンChipzelが担当しており、中でもジャジーなチップチューン系BGMはクセになる魅力を持っている。
チップチューン系のゲームサウンドが好きであれば、ゲームをプレイする前にサントラを聴いて、そちらから入っていくのもありだろう。間の抜けたサイコロ人間や緩いタッチで描かれた世界観からは想像できない名曲揃いだ。
サウンドトラックはデジタル配信のみとなっているが、AmazonMusicUnlimitedでも無料で聴くことができる。ゲームミュージックを語る上では外したくない必聴のサントラだ。
評価ポイントのまとめ
Dicey Dungeonsは、遊び方の理解は容易だが難易度的に低い訳では無く、キャラクターとダンジョンの種類の豊富さから遊びごたえは十分。1プレイが短く手頃に遊べるため、デッキ構築型ローグライクゲームは気になるが長考は苦手という人でも楽しめるだろう。
長所
- 1プレイの短さ
- プレイアブルキャラクターの多さ
- ダンジョンの種類多さ
短所
- 時折、運ゲーを強いられる
- シナジーの構築は楽しめない
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