点数評価 | 100点 |
クリア時間 | 約9.5時間 |
プレイ状況 | 本編クリア |
プレイ時間 | 約10時間 |
発売日 | 2023年11月17日 |
対応機種 | Switch |
プレイ機種 | Switch |
開発元 | 任天堂 |
発売元 | 任天堂 |
ジャンル | RPG ジャンルの考え方 |
ネタバレ | 無し |
スーパーマリオRPGは、ほぼ完璧なリメイク作品である。3D化に伴う違和感は全く無く、何一つ過去の雰囲気を損なっておらず表現の改変も無い。一方で、ボリューム不足であったり、結構しんどい隠し宝箱探し、クォータービューで距離感をつかみづらい一部のステージなどもそのままだ。幸いにも、戦闘に関しては幾つかのテコ入れが行われて奥深くなっているため、逆にボリュームの少なさを活かして2週目,3週目とやり込んでも良いかもしれない。オリジナル版に思い出を持っていたり、JRPGに興味があれば買って損は無いが、思い入れが無ければそこまで強くは勧めようとは思わない作品。
【総合評価】 | |
革新性 | |
ユーザビリティ | |
ビジュアル | |
サウンド | |
プレイ継続性 | |
コストパフォーマンス |
懐かしさ溢れる百点満点のリメイク
2023年11月17日にニンテンドーSwitch向けに発売された『スーパーマリオRPG』は、約27年前の1996年3月9日にスーパーファミコン向けに発売された同名タイトルのリメイク版だ。
本作のオリジナル版は、JRPG全盛期に任天堂とスクウェアがタッグを組んで開発したということで話題を集め、「ロールプレイングゲームをやりつくした人も満足させる」と歌うパックンフラワーのキャッチーなCMや、スーパーファミコンが4000円安くなるクーポン券が同梱されるなど、ゲーム外でも何かと目を引いた超話題作だった。そして、JRPGに上手くマリオのアクション要素を取り込んだ結果、スーパーファミコン史に残る名作として大成功を収めた。
そして年月が経過し、ようやくファン待望のリメイク版が発売された訳だが、結論から言うと、SFC版を遊んでいない若い世代や、古き良きコマンド制のJRPGに興味が無いのであれば本作を遊ぶ必要は無いだろう。しかし本作は、只々“良リメイク”という言葉が相応しい作品であり、当時を懐かしむためのアイテムとしては100点満点だ。
時代に合わせてドット絵は美麗な3Dモデルに置き換えられ、一部のイベントにはカットシーンが追加されることで表現がリッチになったりしているが、当時の雰囲気は何一つ損なわれていない。また、やや操作しずらいクォータービューのアクションや、今の時代にはそぐわないのような表現も変更されずにそのまま収録されている。
まさに思い出補正の権化とでも言うような仕上がりになっており、本作に少しでも思い入れを持っているのであれば絶対に買うべき作品である。一方で、レトロなJRPGに興味を持っていない人にはそこまで積極的にプレイして欲しいとは思わない作品である。リメイク作品として正しいターゲット向けには文句無しなので、点数評価では100点としつつも分類では★4としている。
点数の付け方及び分類方法については、当サイトの説明を参照。
ほぼ完全にリメイクされているため、“オリジナル版が好きだった人は買い!”が全てなのだが、事前に気になっていた部分について幾つか言及する。
マリオRPGのマリオは一切喋らない。マリオというと、声優の変更がニュースになるほどに喋る印象があるが、本作のオリジナル版が発売された当時はマリオはおしゃべりなキャラクターではない。そしてスーパーファミコン時代のJRPGの主人公というと多くは寡黙で喋らない。
実際に数を調査した訳では無いが、“JRPGの主人公=寡黙で無口”という印象が強いはず。
そんなJRPGの主人公の傾向に従って、本作のマリオも一切喋らないのだが、その代わりに何かある度にオーバーリアクションで小芝居を打つ。身振り手振りを交えて世話しなく動き回り、時には変身しながら伝えようとするマリオの動きは、スーパーファミコン時代のJRPGと、アクションゲームの王者であるマリオが融合した賜物である。
今回フル3D化したことで、“マリオ劇場”とでも言うような演出がどのように変化するか気になっていたが、何一つ違和感を覚えない仕上がりとなっていた。正直なところ、27年も前に遊んだ過去の記憶など怪しく、今でもオリジナル版を繰り返し遊んでいる人が見れば気になるところもあるかもしれないが、少なくとも99%以上のプレイヤーが不自然に感じることは無いだろう。
近頃は何かと平等の名のもとに表現の自由が奪われがちであり、それは任天堂作品においても例外ではない。例えば、太ったハンマーブロスは従来「ヒマンブロス」という名前であったが、実際に肥満体型にある人間に配慮したことで現在はその名を奪われ、代わりに「メガブロス」と呼ばれている。マリオRPGにも「ヒマンパタ」という太ったパタパタが登場しており、リメイクに伴ってこちらも名前を奪われるかと思っていたがそのようなことはなく、原作通りに忠実に再現されている。
また、本作に登場するマシュマロ王国出身のマロは泣き虫な性格なのだが、途中で「ぼくは男の子なんだ!泣き言は言わないぞ!」と、意を決して駆け出すシーンがある。性別による行動原理に言及していることから、如何にもポリコレの標的になって修正させられそうなセリフだが、無事にそのまま収録されている。
また、悪気の無い子供発言に対してマリオが激怒し、拳を振り上げてぶん殴ろうとしたところをマロに止められるという、今ならあり得ないような手法のジョークシーンについても、一切カットされることなく完全再現されている。
このように、修正が懸念されていた部分も完全収録されており、本作はリメイク作品として非常に満足度が高い。
本作はJRPGだがクリアまで10時間前後と、このジャンルの作品にしてはボリュームが少ない方だ。クリア後にボスと再戦できたり、再戦ボスを倒すことで追加された新アイテムを入手できたりするが、それらはあくまでオマケ要素であり本編には何も追加されていない。従って、オリジナル版でも指摘されていたボリューム不足は、残念ながら解決していない。
詳細は次項に記載するが、幾つかの追加要素のお陰で戦闘は奥深くなっている。そのことから、レベルアップ時のステータスボーナスの振り方についてしっかり計画を立てて、低レベルクリアやタイムアタックに挑戦しながら、ボリュームの少なさ活かして複数回最初から遊んでみるのも良いだろう。
完全再現というと素晴らしい事のように聞こえるが、完全再現して欲しく無かった部分もある。それは隠し宝箱だ。本作には至る所に隠し宝箱が設置されており、見つけることで何らかのアイテムを手に入れることが出来る。エリア内の隠し宝箱の存在を知らせる“おしらせリング”というアイテムも用意されているが、隠し宝箱があると言われても見つけることが相当に大変だ。
どこかにあるはずの隠し宝箱を求めて、ひたすらにジャンプを続けることは結構な苦痛であり、リメイクに伴って隠し宝箱そのものの在り方は考えてもらいたかった。“おしらせリング”の入手タイミングの変更が配慮なのかもしれないが、もう少し別の方向性で改善して欲しかったところである。
隠し宝箱はマイナス方向の思い出。プラスの思い出を持っている人は余り居ないと思われる。
追加要素で奥深くなった戦闘
スーパーマリオRPGのオリジナル版が発売された当時は、マリオ達の攻撃にタイミングを合わせてボタンを入力することで与ダメージにボーナスを得たり、敵の攻撃にタイミングを合わせてボタンを入力することで被ダメージを減らすという仕組みが画期的だった。しかしそれは27年前の評価だ。当時は評価が高かったものの、現在の目の肥えたゲーマーがそのままの仕様で遊べば、戦闘に関して物足りなさを感じることは間違い無しである。
そのためリメイクに伴って、戦闘に関しては幾つかのテコ入れが行われている。完璧なタイミングでボタン入力することでダメージがターゲット以外にも波及するようになり、タイミング入力のチェインが繋がるとキャラクターステータス補正が得られ、さらに攻撃や防御の度に溜まっていくゲージを消費することで発動する大技である“3人わざ”が追加されている。
防御面でも、全体魔法以外はガードでダメージを完全に0にすることもできる。
ベースは昔ながらのJRPGなので、幾つかの新要素が追加されたとしても感動的な新鮮さを得ることは無いが、チェインでステータス補正を乗せてからのジャストタイミングでダメージ波及を行うことで、マロやジーノの全体攻撃と合わせて効率良く複数の敵を撃破出来るようになっている。筆者のようにプレイ効率を高めることに面白さを見出すタイプのプレイヤーは、手順の工夫と人力によるボタン入力でターン数を減らせるとそれだけで楽しいはずだ。
このような追加要素のお陰で戦闘が簡単になったと思いきや、ザコ敵に通常よりも大幅に強化された個体が混じることがあり、それにより難易度的なバランスを取ろうとしているようである。元々の攻撃力が高い敵が強化された場合、マリオ達の体力が最大であっても一撃で倒されることも珍しく無く、“防御時のボタン入力をミスすると倒される”という緊張感のある戦闘を楽しむことができるようになっているのも嬉しい。
レベル上げが好きな人はこのような状況にはならない。過度にレベルを上げずに、順当に進めることを推奨したい。
なお、リメイクで追加された3人わざは、どれも演出が素晴らしく何度も見たくなる出来栄えであることを補足しておきたい。この手の演出は大抵1回か2回見たら飛ばすことが多いが、本作に限っては毎回必ず最後まで見ていた。3人技はマリオ以外のキャラクターの組み合わせで変化するので、プレイするのであれば必ず全組み合わせを見て欲しい。
マリオらしからぬ演出を楽しむ
さて、冒頭にて若い世代やJRPGに思い入れが無い限りはそこまでオススメしないと書いたが、マリオ関連作品らしからぬ異質さを体験してみたいという人は、本作をプレイしてみても良いだろう。
本作には、前項にて紹介したマリオが子供を殴ろうとするシーンの他にも、マリオが国民的ヒーローらしからぬ行動を取るシーンが幾つか用意されている。また、“城を奪われて宿が無い”という情けない状況に追い込まれつつも、饒舌にしゃべりながらその場しのぎで威厳を取り繕うクッパなども滑稽で面白い。
また、何かとツッコミどころの多いイベントシーンも、人によっては見どころになるだろう。例えば次のスクリーンショットは、自分自身をカエルだと思い込んでいたマロが、自身の出自に関する謎を聞かされカエルでは無いことを受け止めるシーンだ。このようなシーンを見て、“カエルだと思い込むのは無理があるだろう”と笑いながらツッコミを入れることが出来るのであれば、本作をプレイしても良いはずだ。一方で、このようなシーンで白けてしまう人は本作のプレイを避けた方が良いだろう。
その他にも、ドンキーコングの偽物のような“ドソキーユング”を筆頭に、メタ的なパロディネタも多いので、マリオの世界観ベースにした“異質なおふざけ”に興味を持った人もプレイしてみると良いだろう。なお、モンスター図鑑のドソキーユングの解説文に記載されている、「名前の由来は知りません」という文言はリメイク版の書き下ろしである。モンスターリストの説明文は全て書き下ろしなことに加えて、ユニークなセンスが際立った内容となっているのでしっかりと読み込みたいところだ。
単にクリアするだけでは勿体ない。リストを埋めてメタな説明文を読んで楽しみたい。
評価ポイントのまとめ
Switch版スーパーマリオRPGは、オリジナル版を遊んだ人であれば間違いなく満足できる作品だ。革新的な追加要素は無いものの、リメイク作品としては文句無しである。オリジナル版を遊んだことが無くても、マリオを使った異質なユーモアに触れてみたい人も遊んでみると良いだろう。
なお、任天堂はゲーム音楽の扱いが極めて悪く、ゲーム内BGM音盤化や過去作品の再販を嫌う傾向にあるため、BGMはリメイクに伴ってアレンジされているがサウンドトラックは発売されないようだ。オリジナル版が異常に高騰しているため残念である。
長所
- 雰囲気を損なわない良質なリメイク
- コマンドバトルの面白さが増した戦闘の追加要素
- パロネタや表現の改変無し
短所
- オリジナル版を遊んでいない人には勧め難い。
- サントラの発売予定が無い。
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