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【Coffee Talk】レビュー: ファンタジー種族と現代社会をミックスした異世界で多様性を楽しむ良質短編ラノベ – コーヒートーク

点数評価80点
クリア時間約3時間
プレイ時間約4時間
プレイ状況2周クリア
トロフィー:80%
発売日2020年1月28日
対応機種Switch/PS4/Steam
Xbox (Gamepass)
プレイ機種PS4
開発元Toge Productions
発売元コーラス・ワールドワイド
ジャンルコーヒーをいれながら、心と心をかよわせるノベルゲーム
ジャンルの考え方
ネタバレ無し
総評/評判/感想

Coffee Talkを一言で表現すれば、VA-11 Hall-Aのコーヒー版だ。ただしストーリーはよっぽど真面目。VA-11 Hall-Aのフォロワーとしてみれば十分な出来栄えだと思うが、もう少しストーリーが長く、登場人物も多ければ1ランクアップを狙えた。ラテアートは難しい。次回作にも期待したい。

総合評価
 (4)
革新性
 (3.5)
ユーザビリティ
 (4)
ビジュアル
 (4)
サウンド
 (5)
プレイ継続性
 (3)
コストパフォーマンス
 (3)

Coffee Talkの主人公は、とあるカフェでバリスタとして勤務している。多くの来客者は人間以外の種族であり、種族ゆえの悩み、あるいは種族は違えど人間と似たような悩みを抱えているので、単に飲み物を提供するだけでなく、来客者の心身の状況に応じて飲み物をアレンジして提供していく。

Coffee Talkは選択肢の存在しないアドベンチャーゲームであり、客に提供する飲み物が選択肢の役割を果たす。ベネズエラのSukeban Gamesが開発した、VA-11 Hall-A(ヴァルハラ)は、カクテルが選択肢の役割を果たすバーテンダーのゲームだったが、COFFEE TALKはまさにVA-11 Hall-Aのカフェ版。実際に、Coffee Talkの開発者はVA-11 Hall-Aの開発者と対面しており、大きく影響を受けたことを公表している。

プレイ感はVA-11 Hall-Aと殆ど同じ一緒だが、落ち着いた短めのストーリー

Coffee Talkは紛れもないVA-11 Hall-Aのフォロワー作品なので、ゲームとしての作りはVA-11 Hall-Aと全く一緒だ。

飲み物が選択肢の役割を担っており、提供する飲み物で変わる客の反応を楽しむというゲーム性や、ストーリーは殆ど一本道で、幾ばくかの分岐も結末をそこまで大きく変えることは無いという点も同じだ。

一方で、世界観はVA-11 Hall-Aとは全く異なる。サイバーパンクな近未来を舞台としたVA-11 Hall-Aに対して、Coffee Talkは2020年のシアトルを舞台に、オーク、エルフ、サキュバス、人狼などなど、ファンタジーゲームで見かけるような種族が当たり前のように暮らしている世界だ。当然ながら、種族の数だけ価値観が存在し、人間とはかけ離れた考え方や生活様式を持っている種族も多い。

ネコミミは駆け出しアイドル、オークはゲームプログラマー

高潔なエルフ一族と怠惰(と思われている)サキュバスのカップルは、お互いの種族の価値観が全く異なるため、両親にどのように受け入れてもらえば良いかを悩み、人狼と吸血鬼の種族を超えた友人二人組は、その関係を人間の寿命からは想像の出来ないスパンで維持し続けている。一方で駆け出しアイドルのネコミミは、成人しているにも関わらず執拗に心配すると親との距離感を計りかねるという、人間と何一つ変わらない悩みを抱えていたりする。

吸血鬼はモデル、人狼は病院の事務員

交配目的(銀河レベルの種の拡散)に地球にやってきた宇宙人は、ストレートに交配に関する会話を振ってくるが悪意は無く、知的好奇心に溢れているだけである。これもまた、大いなる多様性のあり方の一つとして描かれる。

人間の宇宙服を模した格好をした宇宙人。

カフェで行われる異種族間の会話は、まさに価値観の坩堝だ。プレイヤーはカフェのマスターとして、悩みを抱える人々に大きく干渉し過ぎることはなく、それでいて適切に言葉(と飲み物)を挟んでいく。

Coffee Talkのプレイヤーは、VA-11 Hall-Aとは異なり立ち絵は用意されておらず、あくまで聞き手側であり発信側では無い。カフェのマスターとして、同じ場所で偶にクロスオーバーする、幾つかの短編小説を最後まで見届けると言ったところだろう。

一方で、VA-11 Hall-Aは最初から最後まで頭の悪い(褒め言葉)、セクシャルなCERO“D”トークを、バーテンダーであるプレイヤー自らが積極的に展開していく、中毒性のあるオトナな作品だった。つまり、プレイ様式は全く同じでも、Coffee TalkとVA-11 Hall-Aは、会話の方向性が正反対だと理解して頂きたい。

淡々と多種族のトークを聴くだけなので、VA-11 Hall-Aのような欲求に直球的で、刺激的な作品を求めている人は満足しない可能性が高い。一方で、VA-11 Hall-Aのトークの過激さはちょっと・・・という人には、Coffee Talkが合うはずだ。

なお、ストーリーの長さはVA-11 Hall-Aの半分程度しかないので、クリア後にはマスターとしてもう少し話の続きを聞きたかったと感じるかもしれない。腹八分目が丁度良いと言うが、感覚的には六分目ぐらいのボリュームであり、物足りなさは否めない。

Coffee TalkとVA-11 Hall-Aはシステム的なプレイ感が全く同じなため、“似たような作品”と一括りにされる可能性が高い。しかし、上記の通りストーリーが目指すところは全く異なるため、2作品を連続してプレイしたとしても飽きることは無く、何一つ問題は無いはずだ。

音楽に関しては、Coffee TalkはVA-11 Hall-Aに引けを取らないとまで言うと過大評価になるが、良質で心を安らかにしてくれるカフェミュージックとして十分に評価に値する。システムの共通点以外にも、音楽の質が高い部分も、Coffee TalkはVA-11 Hall-Aの共通点といえるだろう。

ファンタジー多種族×現代社会という特異なジャンルで、大人しめで短めに仕上げた、“良質な短編ライトノベル”と認識すれば良いだろう。

ドリンク作りはヒントが少なく間違いやすい

Coffee Talkにおけるドリンク提供パートは、情報が少なくやや難しい。

ベース、メイン、サブの3種類の材料を選んで、バリスタマシンにセットすればドリンクは自動で完成する。簡単なドリンクであればレシピ帳を見れば作れるが、時には自分で配合を試して正解を導き出す必要がある。最も、2週プレイする前提のゲームなので、1周目は一々レシピを検索したりせずに試行錯誤を楽しんでもらいたい。

コーヒー系やココア系なら何となく分かるだろうが、いきなりレシピ帳に載っていないドリンク名を告げられた際には戸惑うこと間違いなしだ。

マサラチャイ程度であれば簡単だが・・・

ゲームのロード画面にはランダムに、ドリンク名、味、外観が表示されるので、一応はこれがヒントになっている。見慣れないドリンクが表示された場合はレシピを想像してみよう。

真ん中の黄色の物体と、説明文のお茶から、ショウガと抹茶が確定。後は・・・?

偶に“お任せ的”なことを言われ、提供するドリンクを自由に作れるシーンが到来する。こういうシーンでは、ピッタリのドリンクを提供して雰囲気を盛り上げたいと思うところだが、前述の通り2週遊ぶことが前提なので、作った事の無い組み合わせにチャンレジして反応を見ても良いだろう。ちなみにドリンクの作り直しは1日5回までだ。

判断を信じると言ってくれているので好きに作る。

ドリンク作りのヒントの無さをゲームの難易度と捉えることは厳しい。そのため、不本意なブレンドの提供に遭遇した際に、人によっては減点するかもしれない。

要望に合った正しいドリンクを提供し続けることによって、プレイヤーと客との信頼が上昇していくのだが、プレイヤーが信頼されるほど、客のSNSのプロフィール情報の開示度合いが変わってくる。最終的に親しい友達になれば全情報が解禁されるという、現代をテーマにしたゲームらしい仕組みである。

VA-11 Hall-Aでもブログや掲示板を見るという、インターネットを楽しむ要素があった。Coffee TalkではそのポジションにSNSが採用されており、ドリンク提供のミニゲームとリンクしているのである。ただ、SNSと言ってもプロフィールが開示されるだけなので、VA-11 Hall-A経験者であれば、これにも刺激が足りないかもしれない。

なお、ラテ系のドリンクを作った場合には、自分でラテアート描くことが出来るのだが、このラテアートが実に難しい。

初挑戦で作ったラテアートは、Switch リングフィットアドベンチャーで初めて作った“ろくろ回しの上級”レベルにひどい物が出来上がる可能性が高い。ラテアートを1時間プレイしたトロフィーが用意されているが、Coffee Talkがクリアまで3時間、飛ばしながら追加要素だけ見て2周しても4時間のゲームである。そのようなボリュームのゲームに、1時間も費やすトロフィーが用意されているということは、“ラテアートとは相当の鍛錬が必要な技法である”という、開発陣からプレイヤーへのメッセージなのだろう。

チューリップみたいな花を描いたつもり!

実はToge Productions次回作の名前が隠れている

Coffee Talkを開発したToge Productionsの次回作は、2021年5月20日発売のRising Hell (ライジングヘル)だが、どうもCoffee Talkを開発した時点で既にアイデアが存在していたようである。

次のスクリーンショットは1日の始まりの最初に表示される新聞記事だ。

ある日の新聞記事の右側に、アクションゲーム「ライジング・ヘル」が暴力的なゲームとして問題視されているという記載がある。まさしくライジング・ヘルは、暴力的な印象のヘビメタサウンドが唸りを上げる、ローグライクのアクションゲーム。

ライジング・ヘルは、Coffee Talkからは全く想像の出来ない路線のゲームなので、Coffee Talkリリース時点でアイデアがあったとは驚き。

Coffee Talkはクリアまで数時間と小ぶりながらも、良質なカフェサウンドと共に、非現実的な世界で多様性のあり方を楽しむことが出来る癒しのゲーム。VA-11 Hall-Aと同様に、ハードなゲームの合間の休憩に最適。既にVA-11 Hall-Aをプレイ済であっても、シナリオの特色も世界観も異なるためプレイして損は無いだろう。

なお、パッケージ版を購入するのであれば、特典のサウンドトラックCD(資料集同梱)も忘れずに入手したい。サントラはAmazonでも聴き放題で配信中。

コーラス・ワールドワイド
コーラス・ワールドワイド

【2022年8月16日更新】Xbox Game Passに対応

マイクロソフトが提供する、ゲームのサブスクリプションサービスであるXbox Game Passにて、コーヒートークの配信が始まった。2022年8月16日から遊び放題となっている。

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