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メトロイド ドレッド【レビュー/評価】恐怖体験とリッチな演出で差別化を図った良作だが、インディーの名作群を前には一歩譲る

評判/点数/感想

5段階評価:★★★★☆
点数:75点
感想:肝心の探索が一本道に近くて、つまらないと感じる場面もある。
レビュー投稿時の進行状況:ノーマルでクリア。
プレイ時間:約7時間

METROID DREAD(メトロイド ドレッド)は、2021年10月8日にSwitch向けに発売された、『メトロイドフュージョン』以来およそ19年ぶりとなる2Dメトロイドシリーズの完全新作。開発はMercurySteamが担当。

いつの頃からか、サイドビュー探索型アクションゲームは、”メトロイドヴァニア”という俗称が、一部の造語好きゲーマーの間に浸透している。その俗称は読んで字の如く、メトロイドとキャッスルヴァニアという2大探索型ゲームのタイトルを繋げたものだ。つまり、メトロイドは探索型ゲームの代名詞と言える存在であり、そのようなレジェンド級ゲームの19年振り新作が発売されるとなれば、必然的に期待は大きく高まって行く。

一方で、本家探索型ゲームが長期間沈黙していた間に、当ジャンルではインディーゲームを中心に、数々の名作が生み出されている。絶対王者Hollow Knight (ホロウナイト)を筆頭に、Ori and the Blind Forest (オリとくらやみの森)や、ENDER LILES(エンダーリリィズ)など、神ゲー級の作品がリーズナブルな価格で販売されているため、メトロイドと言えども評価のハードルは相当高くなっていると言えるだろう。

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飽和状態の探索型ゲームに対して、メトロイド ドレッドは、射撃主体+クセのあるアクションに加えて、触れると即死する強敵ロボット”E.M.M.I”に追い回される恐怖感と、開発規模の違いを見せつけるリッチなイベントシーンの演出で、インディーゲームの名作群とは上手く差別化を図っている。しかし、当レビューのタイトルにある通り、インディーの名作群には明確に一歩譲る★4という評価になった。

1.マップの構造自体は秀逸だが、一本道に近いプレイフィールは評価が分かれる

メトロイド ドレッドの基幹的なゲームシステムは、多くの探索型ゲームと大きく変わらない。複数の小部屋が繋がることで構築されたエリアを探索すれば、新しい移動能力や攻撃手段を見つけることができる。それらのスキルを使用することで、新たな道を切り拓いていくというオーソドックスなスタイルだ。

通常エリア、E.M.M.I.エリア、高温エリアなどで色分けされたマップ。

歴戦の猛者であるサムスだが、ゲームスタート直後のトラブルで、全てのスキルを失った状態になる。惑星ZDRを探索することで、シリーズでお馴染みの鳥人像を見つけたり、E.M.M.I.を倒すことでスキルを取り戻していくのだが、取り戻した後の動きについては賛否が分かれるところだろう。

定番の鳥人像からスキルを再入手。

スマブラでもお馴染みのボールスキルを手に入れると、狭い通路も通行可能に。

探索型ゲームの醍醐味は、ジャンル名からも明確な通り”探索すること”である。しかし、メトロイド ドレッドは探索しているというプレイフィールに乏しい。マップは広大で、有名探索ゲームと比較してもそのボリュームに遜色は無い。部屋の中を見渡せば、スキルで破壊できるブロックや、スキルで移動できる扉が幾つも見つかるので、プレイを開始した当初は探索のやり甲斐がありそうに見えるかもしれないが、探索と呼べるほどにスキル片手にエリアを走り回ることは想定していないゲームだった。

壁を破壊したり、高くジャンプするなどの、新たなルートを形成する手段はスキルの数だけ用意されており、その数は10種類以上にも及ぶ。スキルを取る度に同じ部屋でも、目的地に向かって全く異なったアプローチをすることになり、部屋と部屋が新しいルートで繋がって行くデザイン自体は秀逸だ。しかし、スキルの種類が多いことの裏返しで、一つスキルを手に入れただけでは劇的に探索範囲が広くなることは無く、小刻みにエリアが解放されていく。小刻みに解放されていくということは、探索の自由度が低いことを意味し、用意された正解ルートを見つけるだけの作業になりルート選択の多様性も無い。

グラップリングが出来るようになれば、高所へ登ることが出来るようになる。

スマブラでもお馴染みのスピンマーク。スピンが出来るようになれば破壊できる。

次から次へと流れ作業のように、新しいスキルを使ってテンポ良く進んでいくプレイスタイルが気に入れば評価は高くなるだろう。一方で、前述の名作インディー探索ゲームのように、新しいスキルを手に入れる度に、一気に探索可能エリアが広がり、何処から手を付ければ良いか目移りするようなスタイルに慣れ親しんでいる場合、メトロイドドレッドは探索型にもかかわらず一本道のアクションという印象を受けるだろう。

新しいスキルを取得した後は、高確率で近隣の部屋にそのスキルを使う場所が用意されている。スキルを使う場所が見当たらない場合は、付近にテレポーターや列車などの移動手段が必ず設置されているので、それを利用すればスキルを使うエリアまで容易に移動することが可能となっている。この仕様が一本道感に拍車を掛けており、手探りで探索することを期待していた筆者としては不満だった。

筆者は”正解ルートは近隣の部屋にある”という法則に気が付くまでは、新しいスキルを手に入れる度に、一般的な探索型ゲームのように、踏破済みエリアを片っ端から調べ廻っていた。しかし、全てが近場で完結するという法則に気が付くと、一気に探索型ゲームとしての魅力が失われたように感じた。

実際にこれだけ広いプレイエリアを持っているにもかかわらず、クリア時間はメトロイドシリーズを初めてプレイした筆者でも7時間程度だ。ファストトラベルが用意されていないことから、意図的に一本道に近い作りをしているのだろうか。意外な繋がり方をするマップ構造自体に好感を持ったり、迷うことなく新しいスキルで道を切り拓くことが出来るスタイルに好感を持った人は高評価を付けそうだが、探索型としての在り方に疑問を抱く人も多いことだろう。

端末からマップのダウンロードも出来るが、ピンを打っておいて後から探索という遊び方は皆無。

2.資本力の差を見せつけるリッチな演出

メトロイド ドレッドは、潤沢な任天堂資本が投入された作品なので、インディー作品とは違って演出がリッチである。タイトルのDREAD(=恐怖)の通り、触れると即死のE.M.M.I.に追われる恐怖に加え、巨大なボスキャラに立ち向かう凛々しいサムスのイベントシーンがふんだんに挿入されるため、映像的に実に満足度の高い仕上がりとなっている。

単に射撃メインの探索型だけでは終わらない体験が出来る!

E.M.M.I.に捕まるとDNA採取のスパイクを撃ち込まれて即死する恐怖。

サイズ感の全く異なる巨大なモンスターにも、チャージショット片手に堂々と立ち向かうサムス。

サムスを執拗に追跡するE.M.M.I.は、四足歩行で狭い通路を這い回り、音を頼りにサーチライトで辺りを照らしながら近寄って来る。E.M.M.I.が出現するエリアに入ると、画面もノイズ混じりの暗いフィルターを掛けたような見た目になり、E.M.M.I.の挙動と相まって一気に不気味さが増してくる。実際の追跡能力もなかなかのもので、壁ジャンプや透明化などを駆使して振り切るアクションシーンでは、手に汗握る緊張感を味わうことが出来るだろう。

透明化すれば視認されることは無いが、移動能力が大幅に低下し、透明でも触れると捕獲される。

一切の攻撃が効かずにやり過ごすしかないE.M.M.I.だが、ある条件を満たせばオメガキャノンという武器を使えるようになり倒すことができる。ただし、倒すにはオメガストリームという連射武器でオーバヒートさせてコアを露出させてから、コアにオメガキャノンのチャージショットを当てる必要がある。連射は射撃ボタンの押しっぱなしにすればオートで行われ、チャージも専用のボタンを押しっぱなしにして待つだけなので、操作自体は難しくは無い。しかし、メトロイド ドレッドの照準機能は、イーズインが設定されておらず、センシティブにスティック入力が反映されるため、簡単な操作に見えて照準を外しやすい。この操作性は、追い詰められて外せばゲームオーバーになるという状況において、程良い焦りの感情をプレイヤーに生じさせてくれる。

また、E.M.M.I.と対峙するエリアは起伏が多く、連射時間やチャージ時間を簡単には確保できなくなっており、時間稼ぎのための位置取りが重要になる。そのため、撃破に失敗した場合は、自分のスティック操作が悪かったのか、立ち位置が悪かったのか考える必要があり、狭いE.M.M.I.エリアの中でも色々と試行錯誤して考える楽しさを味わうことができる。

E.M.M.I.やエリアボスだけでなく、時折出現する中ボスにもトドメの演出が用意されていることも嬉しい。中ボス戦では、一定以上のダメージを与えるとイベントが発生して画面が切り替わる。イベントの途中で敵の腕が光った瞬間にXボタンを押せば、メレーカウンターが発動して格好良い演出と共に中ボスを撃破という流れになる。

ちなみに、メトロイド ドレッドの戦闘は、フラッシュシフトという瞬間移動スキルを軸に組み立てることになる。殆どのボス戦が、フラッシュシフトで攻撃をかわしてからの射撃が基本となり、演出は上記の通りにリッチで満足度は高いものの、戦闘の楽しみ方の幅は狭い。モーフボール、グラッピング、スピードブースター、スペースジャンプなど、移動系スキルが豊富なので、ボス戦闘にはそれらも積極的に戦闘に組み入れて、反射神経で勝負するだけでは無くしっかりとスキル運用を考えるボス戦を用意して欲しかったところだ。プレイ時間は短めなので、クリアまでに飽きてしまうことは無かったが、サムスの豊富なスキルを戦闘に活かしきれていない点は残念に感じた。

敵に距離を詰められると、フラッシュシフトで抜けることが基本。

シャインスパークを活用するボスが在っても良かった。

3.周回遅れなSwitchのハード性能が足を引っ張る

メトロイド ドレッドはロードが遅い。他のゲームと差別化のためにリッチに仕上げれば、当然ながらゲーム容量が大きくなり、他の現行ハードと比較して周回遅れ性能なSwitchではロードが遅くなるのは当然の結果だ。
ゲームの舞台となる惑星ZDRは、全プレイエリアがシームレス繋がっている訳では無く、幾つかのエリアに分かれている。これらのエリア間の移動をすると、10秒近い読み込みが発生する。ここまで長いと何らかの演出で誤魔化すことは難しいと判断してか、ロード中は潔く立ったり座ったりしているサムスが映し出されるだけである。

エリア間移動が少なければ良かったが割と多い。

サムスをただ見つめる時間も長い。

ロードの長さに加えてエリア間のファストトラベルは用意されていないため、後からアイテムを回収しようと思うと、何度もロードを挟みながらエリア間を移動しなければならない。当然、アイテムを回収し終えた後は、同じロード時間を味わいながら地道に帰ることになる。これが結構な苦痛で、アイテム回収は早々にやる気が削がれてしまった。

アイテムの大半はライフアップとミサイル弾数アップなのだが、ライフアップは重要という判断からか、比較的目に付く場所に置いてある。一方でミサイルは見逃しやすく隠されているが、一体何に使うのか分からない位の量を持てるようになる。ボス戦でも頻繁にミサイルを補充できるので、ミサイルに困ったことは一度も無かった。

ボス戦自体が覚えゲーに近いため、ライフが在ろうが無かろうが、クリア出来ない時は出来ないし、クリア出来る時はノーダメージに近い状態でクリア出来る。そのため、途中からはアイテムを回収は無駄と考えて放棄したので、クリア時のアイテム回収率は50%に止まった。

アイテム回収率50%でも一度も弾切れにならず。ミサイル弾数は完全に調整不足だろう。

話をロードの長さに戻すと、ゲームオーバー時にリスタートした際にも、エリア移動と同程度の読み込みが発生する。他の探索型ゲームとの差別化を狙って投入されたE.M.M.I.は、メトロイド ドレッドの目玉であることは間違いないが、その目論見はSwitchという低スペック機のお陰で十全には機能していない。

E.M.M.I.の探索範囲は広く、追跡は極めて執拗なので、初めて入るE.M.M.I.エリアでは大半のプレイヤーが何度もゲームオーバーになる。プレイヤーは、音を立てずにE.M.M.I.の追跡から慎重に逃れつつも、時にはリスクを負って大胆に逃げてスリルを味わうはずだが、途中からは捕まって即死させられる恐怖よりも、リトライの読み込み待ちをしたくないという、タイムロスの不快感の方が勝って来るのではないだろうか。こう感じて来ると最後、プレイヤーにとってE.M.M.I.の存在は、鬱陶しいだけの障害物に成り下がってしまう。

差別化を図って投入されたE.M.M.I.だが、低性能ハードのお陰で役割を完全に果たせたとは言えない。

以上のように、メトロイドドレッドは、マップ構成については賛否両論で評価が分かれるだろうが、演出面では満足度の高い仕上がりになっている。ボス戦は戦略の幅は狭いが、難易度はやや高めで攻略時の達成感も高い。一方で、ロード時間が明確に探索意欲を削ぎ、E.M.M.I.の存在価値を毀損している惜しい仕上がりだ。

また、インディーゲームと比較して割高な分だけリッチな演出が用意されているが、実際にアクションゲーマーが真に欲しているのは、演出では無く探索や戦闘の楽しさであったはずだ。そのため、一定水準のクオリティを満たした良作ではあるものの、完全に期待に応えられたかと言うとNoだろう。

ホロウナイトの発売から3年4カ月が経過したが、レジェンド級のメトロイドを持ってしても、その王座には届かなかった。ホロウナイトを超える探索型ゲームは今後出現するのだろうか?

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