点数評価 | 80点 |
クリア時間 | 約5時間 |
プレイ状況 | クリア オニギリは2割ほど収集 |
プレイ時間 | 約8時間 |
発売日 | 2020年11月20日 |
対応機種 | Switch/Steam |
開発元 | Sørb |
発売元 | Beep |
ジャンル | プラットフォーマー ジャンルの考え方 |
Super Cable Boy(スーパー・ケーブル・ボーイ)は、公式の説明からでは全容を把握することは困難だが、名作インディーゲームとして名高い“セレステ”を気に入っているアクションゲーマーには遊んでもらいたい。主人公がゲームボーイになって、カートリッジ交換式で移動能力を入れ替えれるようになったセレステのようなゲームだ。チャレンジングなステージや、収集要素のコンプリートなど、高難易度なやり込み要素も用意されており満足度は高い。
My Nintendo Storeに記載されている、このゲームの紹介文を引用すると以下の通りだ。
Super Cable Boyは、レトロなインスピレーションを受けたプラットフォーマーで、電源コードを持った携帯ゲーム機をプレイします。ゲームカセットを集めてパワーアップし、世界を破壊しようと脅かすミステリアスな存在を倒すために旅をしましょう。
この説明を読んだだけでは、一体どういう意味だ?と、首を傾げる人が多いはずだ。サンプルイメージからレトロ“調”のアクションゲームであることは分かるが、果たしてその実態を1490円払って確かめるかというと、多くの人はNoだろう。スーパー・ケーブル・ボーイは、膨大な数のインディーゲームが毎月のようにリリースされる昨今のゲーム業界においては、ほぼ確実に埋もれてしまう作品だ。
しかし、世界観の取っ付き難さはさておき、アクションゲームとしては埋もれさせてしまうには勿体無い面白さであった。
どのようなゲームであるかを簡単に表現すれば、
PC用語を添えたゲームボーイ“風”セレステ
が近いだろう。
結局はどのようなゲームなのか?
スーパー・ケーブル・ボーイは、ゲームボーイのような風貌のケーブルボーイを操作し、世界に発生した“グリッチ”により崩壊していく世界を旅し、原因を突き止める作品だ。ゲームがスタートすると、炊飯器に色々と世界の異変を教えてもらい、コンピューター用語に溢れるレトロ“調”な世界へ繰り出していく。
スーパー・ケーブル・ボーイは、ステージ制のアクションゲーム。ステージはごく短く、クリアする度に次のステージが解放されていき、全部で約100ステージが用意されている。
独特のグラフィックで良く分からないかもしれないが、次のスクリーンショットであれば、☐がステージを表しており、左から伸びていく黒い線がステージの繋がりである。現在のステージをクリアすれば、次の☐に黒い線が繋がり、新しいステージをプレイ可能になる。
100ステージと聞くと多く感じるかもしれないが、ステージはどれも短めでだ。ただし、“短い”と言うのは直線距離的な話である。ゴールは目と鼻の先であっても、ステージの大半は触れれば即死亡の黒い壁に覆われており、ギミックを理解して適切なアクションを取れるようになるまで、ひたすらに死にまくる。死亡演出は一瞬で、即時リトライが始まるのでストレスフリーで何度でも挑戦できる。
ケーブルボーイはゲーム開始時には壁蹴りしかできないが、ボスを倒してカートリッジを挿入すれば、新しい能力を手に入れることが出来る。具体的には、電源ケーブルを使ったワイヤーアクション、2段ジャンプ+空中ダッシュ、見えない床・壁のONOFF、火の玉になって飛び回る という4能力だ。これらの能力は、ケーブルボーイが自分自身に差し込むゲームカートリッジを取り換えること使い分けることができる。
なんとも奇抜で如何にもインディーゲームな設定。
ワイヤーアクションは単純にケーブルボーイから伸びた電源ケーブルで壁にぶら下がるだけなので分かり易いが、他の能力は停止したスクリーンショットではイマイチ伝わらないので、次の動画を見てもらいたい。
ケーブルボーイはこのような能力を駆使しながら、パソコン用語で構築された電脳世界を旅し、“グリッチ”に狂わされた住人(ボス)を正気に戻していく。主人公の見た目はまさにゲームボーイで可愛いのだが、各ステージはとにかく容赦なく難しい。そんなギャップを楽しみつつ、高速リトライで何度も高難易度ステージに挑戦してゴールを目指すアクションゲームなのだd。
なおステージの背景は、赤、青、緑、ピンクにグラデーションが掛かった独特の色合い。この色は使うスキルに対応しており、スキルを切り替えると同時に背景色もガラリと変わる。青と緑は、まあまあ綺麗かも知れないが、赤とピンクは目に来るので、人によっては色合いが辛いかもしれない。
ゲーム開始時に発光に対する警告もあり。苦手な人は注意。
一度入力をミスるとリカバリーが難しい操作系
スーパー・ケーブル・ボーイが一体どのようなゲームなのかは、項目1で大体分かって頂けただろう。
では、このゲームをプレイすることで何が得られるかというと、高難易度ステージをリトライの果てに突破できたという達成感に他ならない。
序盤でこそ、僅かなリトライでクリア出来て、自分の感性にマッチしたステージであれば一発クリア出来るような適度なバランスが続く。しかし、中盤から雲行きが怪しくなり複数回のリトライが当たり前になり、終盤になると1ステージで数十回のリトライが必要になるはずだ。
リトライは一瞬なので、心が折れる暇すらない。
スーパー・ケーブル・ボーイを未プレイの人は、他人のプレイ動画で見てもそこまで難しいと思わないかもしれない。実際に、ステージ中の辿るべきルートには、ヒントとして部分的に色が付いていたり、“0”と“1”の文字列に従ええばよいので、どこに行けば良いのか分からないことは無い。また、能力の切り替えが必須の場面であれば強制的に切り替わるようになっている。
ここまでお膳立てされて何が難しいのか?と疑問に思うかもしれないが、スーパー・ケーブル・ボーイの難しさは独特の操作系統に由来する。
簡単に言えば、操作キャラクターが“暴れる”のだ。スティックの操作入力に対してキャラクター移動の出力が大きい上に、スティックの感度は非常にセンシティブだ。そのため、ちょっとしたスティック入力でケーブルボーイが動き過ぎてしまう。
動き過ぎを是正するために逆方向にカウンターを入れると、今度は逆方向に行き過ぎてしまう。更にそれを戻すために・・・という悪循環を短時間で繰り返してしまい、簡単そうに見えても、実際にプレイすると直ぐ壁にぶつかってに死んでしまう。
もう少し説明すると、プレイヤーのスティック操作入力に対する出力がリニア(等速)な上に傾きが大きく、イーズイン(ゆっくり動き始めてだんだん加速していく)が設定されていない。また、入力に対するデッドバンドも設定されていない。(FPSのオーバーウォッチでエイム周りを細かく設定している人には伝わりやすいだろうか)
そのため、狭いエリアでは操作ミスをカウンター入力で相殺して調整することが非常に難しい。よって、指先の神経を研ぎ澄まして、針の穴に糸を通すような正確なアクションを連続して求められる。
集中力を鍛える修行だと思ってプレイするのだ。
基本的にスティック操作有利なゲームだが、場所によってはブレなく上下左右に入力を入れるために、一時的に十字キー入力にした方が良いステージも存在する。なお、全てを十字キーでやろうと思ったら左手の親指が腫れ上がるかもしれない。
クリアだけなら何とかなるが、やり込みだすと長い
スーパー・ケーブル・ボーイには、クリアには関係の無い収集要素として、“オニギリ”がステージ内の至る所に設置されている。簡単に言えば、セレステのイチゴだ。
これの収集が尋常では無く難しい。まず最初はオニギリは無視してクリアを目指した方が良いだろう。取れそうで取れないオニギリに執着するが最後、1ステージで100回近いリトライに陥る可能性がある。
また、ステージの分岐で、ストーリークリアとは関係の無い、チャレンジングな難易度のステージも用意されているようだ。通常のステージと比べて難しい上に、さらにセーフティゾーンの視認性も悪い。筆者はこのようなステージは途中までしかクリア出来ていないので、全ステージクリアするとどうなるかは不明だが、高難易度のゲームを求めているアクションゲーマー向きであることは間違いない。
着実に向上していく自分の操作精度に気が付いたらもう虜。止め時を失ってリトライし続けてしまう魅力を持っている。
このように、スーパー・ケーブル・ボーイは、そのビジュアルと世界観から少々取っ付き難さはあるものの、トライ&エラーで繰り返し遊ぶ高難易度アクションが好きな人にはオススメしたいゲームである。また、曲数は少ないが世界観にマッチしたサウンドトラックも心地良く満足度が高い。インディーゲーム界隈の深淵に触れたい人はプレイしてはどうだろうか。
ちなみに、ファンアイテムとしてゲームボーイ実機で遊ぶ、Super Cable Boy – Gameboy Versionも存在する。
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