- 5段階評価:★★★★☆
- 点数:80点
- 感想:インディーゲームの深淵。
- レビュー投稿時の進行状況:クリア。オニギリは2割ほど収集。
- プレイ時間:約5時間
Super Cable Boy (スーパー・ケーブル・ボーイ)は、ドイツ出身のインディーゲーム開発者”Sørb”が開発したアクションゲーム。2021年6月24日発売。パブリッシングはBeepが担当。
My Nintendo Storeに記載されている、このゲームの紹介文を引用すると以下の通りだ。
Super Cable Boyは、レトロなインスピレーションを受けたプラットフォーマーで、電源コードを持った携帯ゲーム機をプレイします。ゲームカセットを集めてパワーアップし、世界を破壊しようと脅かすミステリアスな存在を倒すために旅をしましょう。
一体どういう意味?と、首を傾げる人が多いはず。サンプルイメージからレトロ”調”のアクションゲームであることは分かるが、果たしてその実態を1490円払って確かめるかというと、多くの人はNoだろう。スーパー・ケーブル・ボーイは、膨大な数のインディーゲームが毎月のようにリリースされる昨今のゲーム業界においては、ほぼ確実に埋もれてしまう作品。
しかし、世界観の取っ付き難さはさておき、アクションゲームとしては埋もれさせてしまうには勿体無い面白さであった。
どのようなゲームであるかを簡単に表現すれば、
PC用語を添えたゲームボーイ”風”セレステ
が近いだろう。
画面はゲームボーイ”風”だし、主人公(ケーブルボーイ)の見た目はまさにゲームボーイ。その可愛い見た目と、容赦ない難しさのギャップを楽しみつつ、高速リトライで何度も高難易度ステージに挑戦してゴールを目指すアクションゲームである。複数の移動系能力を、主人公が自分自身に差し込むカートリッジを取り換えることで使いこなすなんてアイデアは、なんとも奇抜で如何にもインディーな設定。
結局はどのようなゲームなのか?
スーパー・ケーブル・ボーイは、ゲームボーイのような風貌のケーブルボーイが世界に発生した”グリッチ”により崩壊していく世界を旅し、原因を突き止めるお話。ゲームがスタートすると、炊飯器に色々と世界の異変を教えてもらい、コンピューター用語に溢れるレトロ”調”な世界へ繰り出していく。あまり深く考えてはいけない。
スーパー・ケーブル・ボーイは、ステージ制のアクションゲーム。ステージはごく短く、クリアする度に次のステージが解放されていき、全部で約100ステージが用意されている。
独特のグラフィックで良く分からないかもしれないが、下のスクショであれば、☐がステージを表しており、左から伸びていく黒い線がステージの繋がりである。現在のステージをクリアすれば、次の☐に黒い線が繋がり、新しいステージをプレイ可能になる。
なお、ステージが短いと言うのは直線距離的な話。ゴールは目と鼻の先でも、ステージの大半は触れれば即死亡の黒い壁に覆われており、ギミックを理解して適切なアクションを取れるようになるまで、ひたすらに死にまくる。死亡演出は一瞬で、即時リトライが始まるのでストレスフリーで何度でも挑戦できる。
ケーブルボーイはゲーム開始時には壁蹴りしかできないが、ボスを倒してカートリッジを挿入すれば、新しい能力を手に入れることが出来る。具体的には、電源ケーブルを使ったワイヤーアクション、2段ジャンプ+空中ダッシュ、見えない床・壁のONOFF、火の玉になって飛び回る という4能力だ。
ワイヤーアクションは単純にケーブルボーイから伸びた電源ケーブルで壁にぶら下がるだけなので分かり易いが、他の能力は停止したスクショではイマイチ伝わらないので、下の動画を見てもらいたい。
基本の壁蹴り
ゲームボーイみたいなキャラが、壁蹴りしながら何故かオニギリを集めながら進んで行くアクションゲーム始めました。 #スーパーケーブルボーイ #NintendoSwitch pic.twitter.com/VMydVX6dnV
— Sara@ゲームの話が7割ぐらい (@mig60_net) June 27, 2021
壁のON/OFFと2段ジャンプ+空中ダッシュ
連続して能力切り替えを求められるようになり、終盤は1ステージクリアするだけで、リトライ数が50回ぐらい行くw #スーパーケーブルボーイ #NintendoSwitch pic.twitter.com/N207WGUq4P
— Sara@ゲームの話が7割ぐらい (@mig60_net) June 29, 2021
火の玉空中移動
高速移動する技で、迫り来るグリッチから逃げるステージは、ヒヤヒヤするけどテクニカルな動きができて達成感がある! #スーパーケーブルボーイ #NintendoSwitch pic.twitter.com/xL2RG8upQJ
— Sara@ゲームの話が7割ぐらい (@mig60_net) June 29, 2021
ケーブルボーイは、このような能力を駆使しながら、パソコン用語で構築された電脳世界を旅し、”グリッチ”に狂わされた住人(ボス)を正気に戻していくのである。
なおステージの背景は、赤、青、緑、ピンクにグラデーションが掛かった独特の色合い。この色は使うスキルに対応しており、スキルを切り替えると同時に背景色もガラリと変わる。青と緑は、まあまあ綺麗かも知れないが、赤とピンクは目に来るので、人によっては色合いが辛いかもしれない。
一度入力をミスるとリカバリーが難しい操作系
スーパー・ケーブル・ボーイが一体どのようなゲームなのかは、項目1で大体分かって頂けただろう。
では、このゲームをプレイすることで何が得られるかというと、高難易度ステージをリトライの果てに突破できたという達成感に他ならない。
序盤でこそ、僅かなリトライでクリア出来て、自分の感性にマッチしたステージであれば一発クリア出来るような適度なバランスが続く。中盤から雲行きが怪しくなり複数回のリトライが当たり前になり、終盤になると1ステージで数十回のリトライの嵐。
スーパー・ケーブル・ボーイを未プレイの人は、他人のプレイ動画で見てもそこまで難しいと思わないかもしれない。実際に、ステージ中の辿るべきルートには、ヒントとして部分的に色が付いていたり、”0”と”1”の文字列の羅列が並んでいるので、どこに行けば良いのか分からないことは無いし、能力の切り替えが必須の場面であれば強制的に切り替わるようになっている。
ここまでお膳立てされて何が難しいのか?と疑問に思うかもしれないが、スーパー・ケーブル・ボーイの難しさは独特の操作感に由来する。
簡単に言えば、操作キャラクターが”暴れる”のだ。操作入力に対して出力が大きい上にセンシティブで、ちょっとした入力でケーブルボーイが動き過ぎてしまう。それを戻すために逆方向にカウンターを入れると、今度は逆方向に行き過ぎてしまう。更にそれを戻すために・・・という悪循環を短時間で繰り返してしまい、簡単そうに見えても、実際にプレイすると直ぐ壁にぶつかってに死んでしまうだろう。
もう少し説明すると、プレイヤーの操作入力に対する出力がリニア(等速)な上に傾きが大きく、イーズイン(ゆっくり動き始めてだんだん加速していく)が設定されていない。また、入力に対するデッドバンドも設定されていない。(FPSのオーバーウォッチでエイム周りを細かく設定している人には伝わりやすいだろうか)
そのため、狭いエリアでは操作ミスをカウンター入力で相殺して調整することが非常に難しい。よって、指先の神経を研ぎ澄まして、針の穴に糸を通すような正確なアクションを連続して求められる。
操作がリニアで、入力に対してイーズインしないし、デッドバンドの設定も無いのでキャラが暴れがち。なので、アクションによってスティックと十字キーを使い分けた方が楽かな。この動画なら、青色の狭いエリアの横ダッシュ連続とか。 #スーパーケーブルボーイ #NintendoSwitch pic.twitter.com/wKAHyHD0id
— Sara@ゲームの話が7割ぐらい (@mig60_net) June 29, 2021
基本的にスティック操作有利なゲームだが、場所によってはブレなく上下左右に入力を入れるために、一時的に十字キー入力にした方が良いステージも存在する。なお、全てを十字キーでやろうと思ったら左手の親指が腫れ上がるはず。
クリアだけなら何とかなるが、やり込みだすと恐ろしい沼
スーパー・ケーブル・ボーイには、クリアには関係の無い収集要素として、”オニギリ”がステージ内の至る所に設置されている。簡単に言えば、セレステのイチゴだ。
これの収集が尋常では無く難しい。まず最初はオニギリは無視してクリアを目指した方が良いだろう。取れそうで取れないオニギリに執着するが最後、1ステージで100回近いリトライに陥る可能性がある。
オニギリを取る難易度が確実に上がっていく。でも、自分の腕前の上達も実感できて止め時を失う。 #スーパーケーブルボーイ #NintendoSwitch pic.twitter.com/CLIQ2quTaT
— Sara@ゲームの話が7割ぐらい (@mig60_net) June 28, 2021
また、ステージの分岐で、ストーリークリアとは関係の無い、チャレンジングな難易度のステージも用意されているようだ。通常のステージと比べて難しい上に、さらにセーフティゾーンの視認性も悪い。筆者はこのようなステージは途中までしかクリア出来ていないので、全ステージクリアするとどうなるかは不明だが、高難易度のゲームを求めているアクションゲーマー向きであることは間違いない。
着実に向上していく自分の操作精度に気が付いたらもう虜。止め時を失ってリトライし続けてしまう魅力を持っている。
黒く境界面が揺らいでいる部分(グリッチ)は触れるとアウト。流れるようなアクションが求められる。難しいがリトライ早くてストレスフリー。突破出来たときは嬉しさが込み上げてくる。 #スーパーケーブルボーイ pic.twitter.com/1mewTBYtxY
— Sara@ゲームの話が7割ぐらい (@mig60_net) June 27, 2021
このように、スーパー・ケーブル・ボーイは、そのビジュアルと世界観から少々取っ付き難さはあるものの、トライ&エラーで繰り返し遊ぶ高難易度アクションが好きな人にはオススメしたいゲームである。また、曲数は少ないが世界観にマッチしたサウンドトラックも心地良く満足度が高い。インディーゲーム界隈の深淵に触れたい人はプレイしてはどうだろうか。
ありがとうございます。
買います
面白さが伝わって良かったです!
RTAジャパンでタイムアタックに挑戦する人が居るようなので、プレイして気に入ったら見ると新しい発見があるかも。
https://oengus.io/marathon/rtaij2021s/schedule