点数評価 | 100点 |
プレイ状況 | ノーマルでクリア 実績:705/1250 |
プレイ時間 | 約7時間 |
発売日 | 2015年3月11日 追加要素を収録したDefinitive Editionが、2016年3月11日に登場。 |
対応機種 | Switch/Steam Xbox (Gamepass) |
プレイ機種 | Xbox Series X |
開発元 | Moon Studios |
発売元 | Microsoft Studios |
ジャンル | プラットフォーム アクション ゲーム ジャンルの考え方 |
全体的に高難易度ながら、リスポーンポイントを自分で設置できるため、難所を短期間で集中的に練習することが出来る。全高難易度ゲームはこの機能を搭載して欲しい。戦闘は控え目になっており、数々のギミックを乗り越えることに重きが置かれている。幻想的で美しいアートワークは、優しい雰囲気のストーリーに非常にマッチしており、サイドビュー型のゲームにもかかわらずフォトモードが欲しくなるほど。全アクションゲーマーが履修するべき神ゲー。
筆者は今まで、「探索型アクションゲームの決定版は?」尋ねられれば、Ori and the Blind Forest (オリとくらやみの森)をプレイする前であれば間違いなく、“Hollow Knight”と答えていた。
しかし、Oriをプレイした今となっては、“Hollow Knight”と“Ori and the Blind Forest”で甲乙付け難いと答えるだろう。
HollowKnightはシビアな戦闘と退廃的な世界観が魅力的な作品だったが、それに対してOriは、戦闘よりもパズルや精密動作に重きを置き、幻想的な世界で心の優しさを学ぶ子供向けの童話のような作品だ。OriはHollowKnightとは同ジャンルにありながら全く違った方向性を持っており、探索型アクションゲームを語るのであればプレイ必須の名作である。
美しい世界に酔い痴れながら、高速ダッシュで走り抜ける快感
Ori and the Blind Forestの舞台となるのは滅亡の危機に瀕したニブルの森だ。精霊の少年オリは、森を復活させるために精霊樹の化身セインと共に、「ギンソウ樹」「忘れられた廃墟」「ホルー山」という3つの広大なエリアを旅することになる。
本作は、幾つもの分岐が用意されたフィールドをマップを頼りに駆け抜け、新しいスキルを身に付ける度に新しい道を切り拓いていくという、探索型アクションゲームとしては王道的な作りとなっている。
エリアの奥地へ進めば必ずファストトラベルポイントが用意されており、スキル入手からの既踏破エリアの再探索はスムーズに進む。攻略の序盤に手に入るダッシュは非常に高性能で、初めて使うと面食らう程に動作速度が早く、一回の動作で移動する距離も長い。そのため、用意された探索範囲の広さの割にはクリアまでに“探索疲れ”を感じることは無かった。
王道且つ移動が快適な探索型アクションゲームなOriだが、特筆するべきはその美麗なグラフィックである。
ゲームの面白さは、グラフィックとは関係ない。
という言葉を時折耳にすることがあるが、グラフィック良さは間違いなくゲームのプレイフィールに直結する。Oriの独特の塗りが生み出すアートワークは、探索の舞台となる3つの主要エリアの特徴を引き立たせ、未踏破エリアに足を踏み入れる度に、思わず進行をストップして見惚れてしまうほどの美しさである。
スクリーンショットだけでは伝わらないかもしれないが、Oriをプレイしてそのアートワークに対する畏敬の念を抱かない人はまず居ないだろう。ゲームが進行する度に、次はどのような幻想的なエリアが待ち受けているのだろうかと、絶対に楽しみになってくるはずだ。風景用のスクショを張り出すとキリが無いので上記の3枚に留めておくが、探索型のゲームでここまで撮影したゲームは無いというぐらいに撮影した。
全エリアが美麗!よそ見してミスすることも多々あり!
ストーリーは3つのエリアを回って森を復活させるだけだが、前述の通り優しさに溢れた童話のような展開だ。さほど捻りは無く、複雑で理解が難しかったり考察が必要になるような凝った内容ではないが、アートワークのタッチと良くマッチした、心温まるストーリーを味わうことが出来るだろう。
高難易度だが、どこでもセーブが出来てリトライ性が高い
Ori and the Blind Forestは、その幻想的な雰囲気と優しいストーリーとは裏腹に、やや難易度の高いゲームである。
道中には障害となる敵が登場し、オリは同行するセインが繰り出す“精霊の炎”を使って戦うことになる。敵を倒して経験値を溜めたり、能力セルというアイテムを手に入れることでスキルポイントが増えて行くので、それを消費することで攻撃手段を強化し、新しい移動能力を入手することが可能だ。
しかし、本作における敵との戦闘はさほど重要では無い。ストーリー上、ボスと呼ぶ程でも無いが、敵を倒さなければ進行しないエリアは用意されているものの、殆どの戦闘は回避可能となっている。では、何が難しいかと言うと、即死級のギミックが頻繁に登場することである。
特に主要3エリアの最後には、ボス戦の代わりにボスギミックとでも形容すべき難所が待ち構えている。次の動画はとあるエリアの最後のギミックだ。この動画はクリア出来たときの物なので、余りダメージを喰らわずにクリアしているが、クリアまでには10回以上のリトライを要した。
何度も倒されながらギミックのタイミングを覚え、使用するべきスキルを考えることでようやくクリアできる難易度であり、アクションゲームを好むプレイヤーでも苦戦は間違いない。初見でクリアできることはまず無いだろう。ちなみに、エンディング到達までノーミスクリアの実績が用意されているが、2021年9月の時点で取得率は0.06%しかない程に難しい。
実績取得率を見れば、本作の難しさが分かる!
“高難易度”と聴くと、それだけで“アクションは得意ではないからプレイしない”と判断する人が居るが待って欲しい。確かに本作はやや難しめで、主要エリアのラスト以外でも即死ギミックが頻繁に登場する。しかし、Oriはセーブポイント(リスポンポイント)を任意で作りだし、能力ツリーにポイントを振ることが可能となっている。また、オリが倒れた場合は、最後に作ったセーブポイントから即リスタートとなるため、難所の直前でセーブポイントを作っておけば、リトライが非常に容易になる。
一般的に、ゲームをプレイしていてギブアップに至る直接的原因は“難易度の高さ”だが、間接的原因は“リトライ性の悪さ”だと筆者は考えている。
例えば、ボス戦が難しいゲームをプレイしているとして、後はボスさえ倒せばクリアできる状況で、10回ぐらいボスに挑めばパターンを覚えて勝てそうな雰囲気になったとしよう。しかし、ボスに負けると再戦までに10分以上掛かる道のりが用意されている場合、どう感じるだろうか。恐らく多くのプレイヤーは、“10分×10回で後100分は無駄な時間が必要だな・・・”と、無意識に計算してしまい、面倒くさくなってギブアップするのではないだろうか。
勿論、ここで挙げた100分は適当な数字なので感じ方は人それぞれだが、いずれにせよリトライ性の悪さがプレイヤーの心を折ることは多いはずだ。逆に、難易度が少々高いところで、徹底的にポイントを絞って練習(リトライ)出来るのであればクリアに漕ぎ付けることのできるゲームは多い。
Oriのセーブポイント作成機能は、まさにリトライ性の高さの化身のような機能だ。ボタン一つを長押しするだけで、緩い縛り(周囲に敵が居ない、足場が安定している、エナジーが1以上)はあるものの殆どの場所でセーブが出来る。次の動画は、嫌な予感がする未踏破のエリアに入る前にセーブし、何とか辿り付いた安全地帯でもすかさずセーブする様子である。
このように、少し進む度に小まめにセーブをしておけば、不慮の事故で倒されたとしても即やり直しができる。そのため、本作は難易度の割にストレスが溜まらないのだ。また、トライ&エラーを短期間で積み上げることが出来るため、プレイヤーの上達も早くクリア時間は比較的短くなっている。上記の動画のコメントにも書いているが、高難易度を謳うゲームは今後全て、Oriと同じスタイルのセーブ方式を用意してもらいたいぐらいに、このセーブ方法は快適な物だった。
チャレンジングな実績として3時間クリアも用意されているので、テクニックを磨いたうえで、セーブポイントを見極めるのも良いだろう。
戦闘に重きを置きたい人には刺さらないかもしれない
個人的には、Ori and the Blind Forestは★5の100点だが、敵と戦って撃破することに魅力を感じる人には余りウケが良くないかもしれない。戦闘を重視したい人は、“Hollow Knight”の方が向いているだろう。特にこだわりが無ければ、どちらも名作なので両方を遊ぶことが正解だが、時間的な制約もあり忙しいのでどちらか1作品だけしか遊べないと言う人は、リトライ性の高いOri and the Blind Forestをプレイしては如何だろうか。
なお、Ori and the Blind Forestの続編である、Ori and the Will of the Wisps(オリとウィプスの意思)もXboxのゲームパスに対応している。ノーマルクリアだけであれば短い作品なので、2作目を続けて遊んでみるという選択も良いだろう。なお、2作目は戦闘が大幅に強化されているので、ストーリーの繋がりを感じられなくなるが2作目だけを遊ぶのもアリかもしれない。
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