点数評価 | 45点 |
プレイ状況 | ノーマルでクリア |
プレイ時間 | 約11時間 |
発売日 | 2021年9月24日 |
対応機種 | Switch/PS4/Steam |
プレイ機種 | Switch |
開発元 | スクウェア・エニックス ソニックパワード |
発売元 | スクウェア・エニックス |
ジャンル | クリエイション・アクション ジャンルの考え方 |
アクトレイザー・ルネサンスは、1990年12月16日に発売されたクインテット開発のアクトレイザーのリメイク版。原作は高評価で今でも愛されるゲームだが、リメイク版はプレイヤーの期待値を大きく下回った。クソゲーというレベルで酷い訳では無いが、単純につまらないゲームだ。開発陣は、原作へのリスペクトを忘れずにゲームを作る=プレイフィールを昔のままにする という誤った理解をしているのだろう。スクエニ発のリメイクでは、FF7や聖剣伝説3という良質なお手本が存在するにもかかわらず、このようなゲームが生まれてしまい残念だ。
【総合評価】 | |
革新性 | |
ユーザビリティ | |
ビジュアル | |
サウンド | |
プレイ継続性 | |
コストパフォーマンス |
スクウェア・エニックスからは、往年の名作の数々がリメイクされて発売されているが、過去の名作をリメイクする際に重視するべきは何だろうか?賛否両論を覚悟して、“新訳”というレベルで新しく作り直すべきなのか、それとも過去の雰囲気を残して今風に違和感なくアレンジを加えるべきか?
スクウェア・エニックスは、新訳タイプならファイナルファンタジー7、アレンジタイプなら聖剣伝説3にて、確かなリメイクの実績がある。そのため、アクトレイザーについても、リメイクが発表された際には大きな期待が寄せられた。
そして、満を持して登場したアクトレイザー・ルネサンスが選んだリメイクの在り方は新訳でもアレンジでもなく、“プレイフィールは大きく変えずに見た目を綺麗にし、タワーディフェンスを追加要素を追加”であった。
この試みは結論から言えば大失敗だ。リメイク版で新たに追加された、英雄達に指示を出しながら魔物の大群から町を守るというタワーディフェンスゲームはそれなりに面白い。しかし、肝心のアクションパートはキャラクターの動きが硬く、操作していても何の面白味も無く、戦闘のレベルバランスも滅茶苦茶だ。さらに、町づくりパートの大半は作業感しか無い上に、頻繁に無駄な待ち時間が発生して暇を持て余す。
リメイクとは日本語で言えば“作り直し”だ。確かにアクトレイザー・ルネサンスは至る所が作り直されているが、メインとなるアクションパートはガワを取り繕っただけである。大胆な仕様の変更も無ければ、現代風な軽快な2Dアクションゲームとしてのアレンジも無いので、3,520円という値段に見合うクオリティであるとは言い難い。原作を大切にしようとする気概は伝わってくるが、残念ながらそのクオリティは、2021年に発売されるゲームとしてユーザーを満足させる水準に届いていない。
何一つ面白さを見出すことが出来ないアクションパート
アクトレイザー・ルネサンスの最大の問題は、アクションパートの質の低さだ。
アクションパートは、主人公が剣による近接攻撃と、魔法による遠距離攻撃を駆使しながら、横スクロールのステージを進んで待ち受けるボスを倒すというオーソドックスなものである。それ自体は特に問題ないが、主人公の動きはぎこちなく不自然で、剣の当たり判定の持続時間が無駄に長く、剣を振った後にワンテンポ遅れてヒットするような奇妙な操作感だ。
操作キャラクター,敵モンスター,敵の飛び道具などのサイズが全て大き目なので、適当にステージを進んでいると被弾しがちだ。そのような仕様から、古き良きスーパーファミコン時代の難易度のアクションゲームなのかと思いきや、無敵のバックステップや最後の一撃が無敵になる3連攻撃のコンボなど、難易度を下げるアクションが追加されている。さらに、頻繁に回復アイテムが登場するので、殆ど何も考えずに剣を振り回して進むだけでクリア可能な、非常に低い難易度のアクションゲームに仕上がっている。
挙動に関しては、SFCのアクトレイザーを大切にしてリメイク版を開発したと言えば聞こえは良いかも知れないが、綺麗な見た目にもかかわらず挙動がレトロ調なうえに、難易度が低すぎて楽しみ所の無いゲームに仕上がっている。リメイクするのであれば現代風に爽快感の溢れるアクションに作り変えて欲しかった。
余りに簡単過ぎて、途中から虚無感を覚えてくる。
また、収集要素としてステージ道中で金の天使像を見つけると最大MPをアップできるが、謎解きやテクニカルな操作を求められることは無い。単純に道の分岐点があれば、一方が進行方向、もう一方は天使像となっているだけであり、一切の捻りは無く探索のやり甲斐が無い。その割には、一度分岐を選ぶと道を戻ることが出来ない場面が多く、天使像を取り損ねるとステージを最初からプレイし直す必要があり非常に面倒くさい。
ゲームとしての質の低さの極め付けは、何と言ってもボスの弱さだろう。ボスは極端に頭が悪い設定なのか、主人公を目の前に停止したり、主人公に背を向けたまま明後日の方向に歩いて行ったりするので幾らでも攻撃し放題だ。更に主人公の放つ魔法の威力が異常に高いので、適当に殴った後に魔法を連打するだけで勝ててしまう。
折角なのでボス戦の動画を幾つか紹介しよう。ボスは最初から最後までこのような調子なので、ただの一度も倒されることは無く、全てのステージを初見でクリアできた。
懐古的に昔のゲームを楽しむことは一切否定しない。実際に筆者はレトロゲームのレビューも行っており、最新ゲーム機以外のソフトも積極的に購入しているので、この手のプレイフィール自体に拒否感は無い。しかし、アクトレイザー・ルネサンスはリメイク作品だ。リメイク作品を謳っているにも拘らず、プレイフィールがリメイクされていない。リメイク作品に対して求めていた物とは違うと感じたプレイヤーも多いだろう。
果たして、開発者は自分で遊んで面白いと感じているのだろうか?
酷い出来栄えのクリエイティブモードと、並なタワーディフェンス
次に、神の視点で奇跡を用いて人々を導く町発展シミュレーションから構成されるクリエイティブモードと、迫りくるモンスターから町を守るリアルタイムストラテジー型のタワーディフェンス、について紹介する。
クリエイティブモードでは“奇跡を用いて人々を導く”ので、実に大層な役割がプレイヤーに与えられたように感じるかもしれないが、その内容は実際にプレイすると極めてシンプルだ。奇跡には、雷、雨、太陽、風、地震の5種類が用意されており、地面が乾いていると言われれば雨を降らし、風車が回らないと言われれば風を吹かすなど、村人が欲しがっている自然現象を奇跡で再現するだけの単純作業である。困り事から連想が必要な謎解き要素がある訳でも無く、何一つ迷うことは無いだろう。
そして、町の発展については、クリエイティブモードと言いつつも、創造性や独創性は一切ない。奇跡を用いて、邪魔な樹木や岩などの障害物の除去さえしてやれば、村人が勝手に住居・農地・工場を自動的に作り出すので、それを眺めるだけだ。自分で好きな位置に好きな建物を置いて好みの景観を作れる訳でも無く、ランダムに生成される町を眺めるだけとなってので、はっきり言って暇である。加えて、作ることが出来る建物も、前述の3種類だけなのでランダム生成と言っても似たような景観しか生まれない。
建物の配置は自分で決めたかったし、畜産用の牧場が作れても良かった。どうせタワーディフェンスパートがあるのだから、砦の人員を確保するための兵舎を出来ても良かったはずだ。プレイヤー介入不可なうえに3種類しか作れないのであれば、“クリエイティブ”を名乗らないでもらいたいレベルである。
また、本モードでは時折、飛んできたモンスターに町を壊されることがある。しかし、町を壊されたとしても何かペナルティがある訳でも無く、放置していれば指示がなくとも勝手に村人が修復する。モンスター退治もボタンを連打するだけなのでやりがいも無い。
町の人口が増えると文明レベルが上昇し、新しいランクの建物を建築できるようになる。しかし建築済みの古いランクの建物が邪魔なので容赦なく雷の奇跡で壊してやると、人々が文明に合った新しい建物に直すのだが、人間を守る立場にあるプレイヤーが建物を破壊する様には違和感がある。また、破壊した後は当然ながらプレイヤーが介入する余地は無く、復興を見守るしかない。それが神の視点だと言われればそうなのかもしれないが、間違いなく面白さには結びついていない。
思考を伴わずに眺めるだけのゲームに意味があるのか?
また、一定時間ごとに、畑ではリンゴ又はポーション,工場では建築資材又は防衛柵がランダムで生産されるのだが、リンゴと建築資材を一定数集めるクエストが度々出現することが問題だ。必要数が生産されるまで、プレイヤーは操作を放置して待機するしかなく、狙って畑や工場を拡張出来ないので生産効率を上げることもできない。オマケに何が生産されるかはランダムなので、延々とポーションばかり生産されて、クエストが停滞してしまいイライラすることもある。全6ステージで、育成・破壊・放置を繰り返すだけなので、町づくりは最初の2ステージで飽きてしまい、残りはストレスを溜めるだけであった。
本作のクリエイティブモードを進めると定期的にモンスターが襲来してくるのだが、それを退けるためのタワーディフェンスゲームはそれなりに面白い。ステージ毎に現れる一騎当千の力を持った英雄に移動指示を出し、神を祭る神殿が壊される前にモンスターを全て殲滅出来ればクリアとなる。英雄は幾ら強いと言っても多勢に無勢なので、一人で防衛することは出来ない。そのため、英雄の手が回らないエリアには、モンスターの移動を制限する防衛柵を設置したり、弓や魔法で自動攻撃する砦を駆使して、モンスターの大群を足止めすることになる。適当にやっていると防衛失敗する程よい難易度だ。
最終的に1ステージに英雄を3人召喚できるようになり、敵も画面を埋め尽くすように湧いて来るようになる。いざという時にMPを消費して繰り出せる神の奇跡を出すタイミングや、攻撃タイプ毎に仲間を何処に配置するか、どのタイミングで次の防衛エリアに移動させるかなどを、計画的に考えて作戦を立てる必要がありそれなりに頭を使う。ただし、面白いと言ってもタワーディフェンスとして並程度なので、わざわざタワーディフェンスのためにアクトレイザー・ルネサンスを遊ぶべきかというと、そうでは無いだろう。
なお、タワーディフェンスバトルを開始する前には、経験値の書を使って英雄のレベルを上げるという作業があるのだが、この行為に意味を見出すことが出来なかった。戦闘報酬やクエスト報酬で、自動的に英雄に経験値が溜まってレベルアップするだけで良いところを、アイテムを経由することで単純に時間を無駄にロスしている。
なお、クリエイティブモードの途中にはタワーディフェンスとは別に、魔物の巣に入り魔物発現器を壊すというアクションパートが挿入されるが、このシステムは完全に蛇足である。球状のボスを叩いて倒すだけの負けようの無い消化試合が度々挿入され、ゲームのテンポを著しく悪くしている。
クリエイティブモードは、タワーディフェンスゲームが並程度に面白いと言っても、その他の不満要素によるマイナス評価の方が圧倒的に多い結果となった。
イラストと天使の態度だけは評価したい
褒める部分が少ないアクトレイザー・ルネサンスだが、どのキャラクターも立ち絵にバリエーションが幾つか用意されており、村人の服装も地域ごとに特色が出ていて好感が持てる。中でも、神であるプレイヤーをサポートする天使は、人間をやや小馬鹿にした言動と生意気さが、中性的な見た目と非常にマッチしている。特に、“やれやれ”という調子で両掌を上に向ける仕草は絶妙。
アクトレイザー・ルネサンスは、アクションパートの出来の悪さや、介入の余地が少ない町づくりを筆頭に不満点は多いが、それなりに面白いタワーディフェンスと天使と他のキャラクターの会話によって、何とか最後までプレイさせる魅力を持っている。ゲーマーのボリューム層が求めるプレイフィールを理解してリメイク(リマスター)できれば良作に成り得ただけに惜しい作品である。
余談だが、アクトレイザーは、『イース』シリーズでも知られる古代祐三が作曲したサウンドトラックの評価が高い。アクトレイザー・ルネサンスの発売に先駆けて、2021年3月に海外限定でサウンドトラックCD&LPが新規リマスターにて発売されている。30年前に発売されたサントラは入手が困難なので、音楽が気に入った人はそちらもチェックすると良いだろう。
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