【Battlefield 2042】レビュー: スコアが無ければキルデスも無く、近未来テクノロジーも感じられない期待外れ作品 – バトルフィールド 2042

点数評価60点
プレイ状況トロフィー:10%
プレイ時間約8時間
発売日2021年11月19日
対応機種PS4/PS5/Steam
Xbox one /Xbox Series
プレイ機種PS5
開発元EA DICE
発売元エレクトロニック・アーツ
ジャンルFPS
ジャンルの考え方
総評/評判/感想

スコアがねえ、キルデスねえ、近未来感はどこ行った。おらこんなBF嫌だ~。
と、歌いたくなるようなBFシリーズ最新作がBF2042である。2042年とはこんなにも地味なのだろうか。目に見えて近未来感を得ることが出来る要素は、ロボット犬と自動攻撃タレットぐらいである。もう少し未来に夢を持たせて欲しかった。開発陣の想像力の欠如が手に取るように分かってしまう。大規模戦闘自体は面白いものの、スコアが無ければキルデス数も表示されないので、一兵士としての戦闘目標が持てずに速攻で飽きてしまう。ポータル機能だけは評価できる。

【総合評価】
革新性
ユーザビリティ
ビジュアル
サウンド
プレイ継続性
コストパフォーマンス

Battlefield 2042(バトルフィールド 2042)が発表された際、筆者は“2042”という数字にときめいた。時代が進み過ぎて完全なSF作品なるわけではなく、ある程度の予測がつく程良い近未来な世界観で大規模戦闘が味わえると思ったからだ。

BFシリーズの年代をおさらいすると、最高傑作と名高いBF3は2014年、その続編BF4は2020年、BF1は第1次世界大戦、BF5は第2次世界大戦が舞台となっている。今回発売されたBF2042はタイトルが示す通り2042年が舞台だ。スターウォーズとのコラボで発売されたSWBFのようなSF戦闘では無いものの、BF3やBF4のような現代戦からは兵器技術のブレイクスルーが感じられるような仕上がりが期待されていた。

しかし、いざ蓋を開けてみると、最大64人対64人の合計128人対戦という大規模戦闘に挑戦したことは評価できるものの、期待外れとしか言いようの無い出来栄えであった。

近未来2042年を全く感じることが出来ず、BF3や4に毛が生えた程度

Battlefield 2042でまず最初に感じた問題点は、余りにも近未来感が無いことだ。2042年とは、知能を持ったイルカが火炎放射器を片手に人類を襲うほどに遠い未来では無く、それなりに予想が出来る未来である。実際のところ、2042年になったとしても、敵味方を完全に識別して撃ち分ける迎撃タレットは実用化されていないだろうし、爆音が響く戦場で飼い主の声を正確に認識し、悪路を物ともせずに走破しながら随行するロボット犬は実現していないだろう。

しかし、これはゲームである。世界観や情勢は2042年相当で設定しつつも、兵器面では想像の域をやや超える程度のテクノロジーを設定した方が良かった。何故なら、現実的に見据えた2042年では、現代戦が舞台となった旧作と差別化が出来ないからである。実際にBF2042の兵器は、BF3やBF4に毛が生えた程度に進化しただけで、プレイヤーが近未来2042年に対して全く夢を持てない。

次のスクリーンショットは戦車のメインウェポンの選択画面である。初期装備はともかく、2042年にもなると一体どのような兵器が飛び出すのかと思いきや、従来と大して変わらない。近未来であれば指揮官席に誰かが座ってスポットなどせずとも、ドライバーシートからの操作で搭載しているドローン兵器を飛ばして、一定時間周囲を偵察/攻撃ぐらい出来ても良いのではないか。プレイフィールも、見た目も大して変わらず在り来たりだ。

Battlefield 2042 見慣れた戦車
見られた戦車に見慣れた装備。近未来感ゼロ。

また、Battlefield 2042においてプレイヤーは、出撃の際には固有スキルを持ったスペシャリストというジョブ的な物を選ぶことになる。例えば、突撃兵のサンダンスであれば、3種のグレネードを使い分けることができる。斥候兵のキャスパーであれば、偵察ドローンを飛ばして敵をスポットしたり、EMPで妨害が出来る。他にも、大型の携行型シールドを持つドーザー、セントリーガンを設置出来るボリス、遠距離回復ライフルを持ったファルックなどが用意されている。

Battlefield 2042 スペシャリスト選択画面
選んだスペシャリストは、再出撃時に変更可能。

近未来が舞台なのでテクノロジーが進歩して、技能を最大限に発揮するには、特定の分野において極めて高い専門性を持つスペシャリストが必要とされるなら分かる。しかし、スペシャリストという割には能力は地味で、グレネードの使い分けや携行シールドなど、兵士であれば誰でも対応できそうな能力が多い。また、タレットやセンサーのような、戦場で設置するだけで動作するような兵器は、時代が進むほどに汎用化されて、使うだけなら専門的な技能は不要になりそうなものだ。プレイヤーに随行するロボット犬であるレンジャーの方が、よっぽど扱いが難しそうだが何故か全スペシャリストが使える。

Battlefield 2042 ロボット犬と戦う
戦車にも突撃するロボット犬。

また、スペシャリストであるからこそ、使用するメインウェポンやガシェットには拘りがありそうなものだが、武器類は全てのスペシャリストで共通となっている。工兵で無くてもリペアツールを使えるし、突撃兵でも自由に無反動砲やリモート起爆可能なC5爆薬を使える。敵味方入り乱れる戦場での治療行為は、時代が進もうが最も高度な技術を要すると考えられるが、全スペシャリストが行うことが出来るうえに、分隊員に限定すれば誰でも蘇生が可能となっている。スペシャリストを用意することで、個性を出したいのか出させたくないのか、理解に苦しむ仕様である。

Sara
Sara

武器は兵種毎に制限が在った方が、スペシャリストという設定に説得力が在ったはず。

なお、事前に分かっていたことだが、Battlefield 2042にはシングルプレイヤーキャンペーンが用意されていない。一方で公式サイトでは2042年に至るまでの歴史が、ショートフィルムと共に用意されている。似たような手法はOverwatchでも行われていたが、バトルフィールドはキャラクター性が強いゲームでは無いので、キャンペーンモードで世界観を強調して欲しかった。

スコアが無ければキルデスも分からない

Battlefield 2042の戦闘人数は、最大で64人vs64人の128人規模にまで膨らみ、巨大竜巻や雷雨などの気象変化も取り入れらたので、戦闘は間違いなく進化している。そのため近未来感が無いにもしても、BF3や4の延長線上にある最新作として十分に楽しめたはずだ。しかし、大きく評価を下げた理由は、スコアボードの廃止である。

大規模戦闘、特にバトルフィールドシリーズ一番人気のコンクエストルールにおいては、戦況を一人では変えることはできないが、小さな努力の積み重ねが後々効いて来る。特に、戦闘の合間合間にスコアボードを見ながら、敵チームに圧倒的な戦果を挙げるエースが居れば、そのプレイヤーを覚えて挑まずに隠れて迂回する、撃ち合わずにガシェットで対処するなどして、デスを重ねないことが重要だ。しかし、スコアボードが廃止されているためそのような判断は一切不可能である。

Battlefield 2042 コンクエストの導入部分
やはりBFと言えばコンクエスト。

筆者はシリーズを通して戦車が好きなのだが、戦車乗りからするとスコア表示の廃止は非常に痛い。従来シリーズであれば、戦車で一定の戦果を挙げていると、しっかりとスコアボードを見て戦っているプレイヤーであれば、“この戦車は信頼できる”と判断してガンナーシートに入ったり、リペアツールで戦車を修理して援護してくれたものだ。しかし、本作ではそのような援護するべきか否かをスコアから判断することが出来ない。その上、壊せないオブジェクトの配置が嫌らしく、(思い込みかも知れないが)戦車が直ぐに引っ掛かり移動を阻害し、どのスペシャリストでもガシェット枠で使用できる無反動砲を喰らうと数発で大破する。そのため、ガンナーシートは常に死と隣り合わせでヒヤヒヤする。素早く動けてガンナーシートにミニガンを備えたホバークラフトの方が強いのはどうにかして欲しい。

そもそも、今までのバトルフィールドであれば、負け試合であってもスコア上位に入ることが出来れば満足度が高かったが、スコアが無いので負けは負けである。勝ち試合であっても、陣営で1位を取るために、残り増援数とスコアをチェックしながら、キルや占領など何の手段でスコアを稼ぐか考えて、貪欲に戦ったものだがそれも出来なくなった。

Battlefield 2042 マルチキルのスコア
マルチキルを取ったところで、経験値がキルした回数だけ入るだけ。スコア無し。

このように、スコアボードは大規模戦闘において、優位を重ねたり立ち回りを見極めるための必須ツールであり、仲間内の競争心を高める効果もあったが削除されてしまった。2042年にもなると、情報社会は更に高度化しているはずなので、スコアボードも詳細化されても良かったのだが、完全に削除という真逆の仕様変更には絶望した。スコアも無く単純な撃ち合うだけでは、飽きて来るのは早そうである。

Sara
Sara

一試合の間に、何度もスコアボードをチェックして来たので物足りない。

PORTAL機能にまだ救われている

Battlefield 2042には、過去の人気マップやルールも収録されており、Battlefieldビルダー機能を使えば、細かく独自のルールを設定することが出来る。

プレイ人数、マップのローテーション、勢力(1942のマップを2042の兵士で遊ぶなど)、乗り物の制限といった一般的な設定だけでは無く、歩兵の移動速度や、ライフの再生速度、1キル毎に失う増援数なども細かく設定できる。適当にプレイしても良いが、根気良くブラウズ機能で探していけば、自分と相性の良いルールが見つかるはずだ。

Battlefield 2042 過去作品を遊べるポータル
4種類から即スタートしても良いし、ブラウズからサーバー設定を吟味しても良い。
Battlefield 2042 BF3のガソリンスタンド
懐かしのBF3のガソリンスタンド。ここの防衛が一番記憶に残っている。

このポータル機能のお陰で、★評価2から0.5救われて2.5になっていると思って頂きたい。相性の良いルールを見つけると夢中になって遊ぶことが出来るが、結局スコアが無いことは変わらないので、旧作のように寝食を忘れてプレイし続けるということは無かった。スコアボードが健在で、ポータルもあれば★3.5付けても良かった。正直な所、自分の好みのサーバーを見つけて遊ぶことが出来るポータル機能が無かったらと思うとゾッとする。

Battlefield 2042 ポータルで戦車を利用する風景
旧作のリメイクが欲しくなる。

次回作は完全に旧作のリメイクに特化して、ポータル機能を中心に遊ぶ仕様にした方が満足度は高くなりそうな気がする。新規プレイヤーの獲得には少々苦戦するだろうが、キャンペーンを用意して、ポータル機能のチュートリアルを充実すればそこはクリアできるだろう。今作はハズレだったので、次回作はアタリが出ることを期待したい。

エレクトロニック・アーツ
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