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【サムライブリンガー】レビュー: 最低限の開発スタッフで、テーマ特化型の低価格ゲームを作る際のお手本のような良作。早くもボリュームアップした精神的な続編を遊びたくなった

点数評価75点
プレイ状況真エンディングまでクリア
プレイ時間約7.5時間
発売日2022年4月21日
対応機種Switch/PS4/Steam
プレイ機種Switch
開発元アルファウィング
発売元PLAYISM
ジャンル和風ローグライトアクション
ジャンルの考え方
総評/評判/感想

低価格帯ゲームが氾濫するインディー界隈だが、何かアクションゲームを探している人が居ればサムライブリンガーは間違いなくオススメしたい。自分で戦技を組み合わせてコンボを産み出す楽しさに特化したゲームであり、自分好みのコンボを見つけることが出来たときの喜びは大きい。また、主人公の成長に合わせてプレイフィールが大きく変わるので、低価格にもかかわらず一粒で二度美味しいのも嬉しい。四角くデフォルメされた登場人物の見た目は親しみやすく、懐かしさを感じるチップチューン風のBGMも好印象。低価格帯のゲーム界隈に大きな爪跡を残しただろう。

【総合評価】
革新性
ユーザビリティ
ビジュアル
サウンド
プレイ継続性
コストパフォーマンス

特化型のゲームでシンプルな作り

サムライブリンガーは、荒神スサノヲが生贄となったクシナダを救うため、プレイするたびに変化するステージを踏破して八岐大蛇の討伐に挑むアクションゲームだ。クシナダを救うためには、待ち受けるボスを8体倒してラスボスのヤマタノオロチを倒さなければならない。強大なヤマタノオロチに立ち向かうため、主人公であるスサノウは伝説の侍達を相手に特訓を始める。ストーリーはこれだけであり、サムライが出て来る理由も単純に“アマテラスが召喚したから”というだけなので、余り深い意味は無い。ストーリーは早々に切り捨てて、完全にアクション面に特化したゲームである。

サムライブリンガー ゲームのオープニング
言葉の通り沢山登場する。開発陣は相当に戦国時代好き。

本作のアクションで重要なことは、戦技の収集と戦技のカスタマイズ経て、オリジナルコンボを好きなだけ楽しむことだ。サムライを相手に戦い続ければ、“敵を切りつける”,“ジャンプする”,“攻撃に属性を付与する”といった、戦技と呼ばれるアクションを入手できる。そして、スサノウは手に入れた戦技を自由に組み合わせて利用することが出来る。

また、敵の累計撃破数や装備の収集数に応じて、SPという集めた戦技を繰り出すためのポイントを成長させることができ、戦技を同時にセットできる数や、戦技を連続して出せる数も増えて行く。戦技を同時にセットすれば攻撃力が上がり、戦技を連続して出せるということは、コンボが繋がるということを意味している。つまり、SPは攻撃力に直結している非常に重要なステータスである。

サムライブリンガー SPの成長
戦いの実績に応じてSPが成長していく。
サムライブリンガー パズルゲーム
ちょっとしたパズルゲームを解いてもSPを増やすことが出来る。

次に、サムライブリンガーはローグライクゲームなので、道中でHPが無くなると収集した装備品は全て失われ、ボス攻略も最初からやり直しとなる。しかし、解除した実績によるSP増加や、敵キャラクターから入手した戦技は引き継がれる。そして、装備の入手は比較的容易なため、ローグライクとはいえパーマデスの要素は限定的だ。

サムライブリンガー 敗北して装備を全ロスト
敵に倒されると装備品は全て無くなる。が、さほど痛くは無い。
サムライブリンガー ボス撃破
敗北した場合、討伐済みのボス妖怪は全て復活する。

なお、ゲームはステージ制となっているが、ボスにはいつでも挑戦することが出来る。また、ボス戦の途中でも、撃破は厳しいと感じればいつでも撤退することが出来る。ステージはサムライが無数に配置されている修行用のステージと、妖怪と戦うボスステージの2種類しかなく、プレイヤーは任意のタイミングでボスに挑むことができるのだ。装備が不十分であったり、もう少し実績を解除したいと思えば、幾らでも修行用のステージを繰り返し遊んでスサノウを強化可能だ。ただし、ゲーム内では常に時間が流れており、1日経つごとに敵が強化されていくので、稼ぎとボス挑戦のタイミングの見極めが重要となる。

サムライブリンガー ボスステージへの移動
青い光を踏むと修行ステージ、赤い光を踏むとボスステージへ繋がる。

ラスボスのヤマタノオロチを撃破した後は、装備をそのままに再び最初からプレイし直すことになる。引き継いだ装備を駆使して、指定された時間以内にクリアすることで真エンディングとなる。

サムライブリンガー ラスボスのヤマタノオロチ
ラスボスはヤマタノオロチであることが最初から明言されている。
サムライブリンガー 最終クリア目標
最終目標の実績も最初から公開されている。

単純に言えばサムライブリンガーは、“お題(実績)をクリアしてSPを強化→自分好みのコンボ作成→ボスを素早く倒す”という流れで、それ以上のことは何も用意されていない。一切の捻りが無い訳だが、自分好みのコンボを作って戦うという部分に特化してた作りなので、コンボの探求が非常に楽しいのである。

自分で戦技を組み合わせてコンボを産み出すことの楽しさ

サムライブリンガーの面白さは、自由に戦技を組み合わせてコンボを作れることである。コンボの自由度の高さが、ゲームの評価ポイントの大半を占めており、見事にそこで高評価を得ている。

敵から入手した戦技は自由に重ね付けができ、更に重ね付けした戦技を連続使用(連撃)する順番を自分でカスタマイズ可能だ。自分でカスタマイズと聞いても、簡単には想像が付かないと思うが、その場合は次の動画を見てもらうと分かり易いだろう。

まず一つ目の動画は、薙ぎ払い⇒逆薙ぎ払い⇒突き の3連撃をAボタンに割り振った様子だ。この並びは自由に変更可能で、好きな順番に並べることが出来る。また、付加効果も自由にセットできるので、1撃目と2撃目には防御破壊をセットし、3撃目には武器が大きくなる拡大と、衝撃波がでる波動もセットしている。そして、途中からは1撃目と2撃目にステップ、3撃目にジャンプを加えている。すると、その場で武器を振っていた攻撃が、相手の懐に飛び込むような攻撃に変化していることが分かるだろう。

二つ目の動画は、逆薙ぎ払い⇒薙ぎ払い の2連撃をYボタンに割り振った様子だ。同じ戦技は重ね付けすることで攻撃力がアップする。最初は逆薙ぎ払い、薙ぎ払い共に3つ重ねてセットしており、途中からは共に同じ戦技を4つセットに変更している。すると、薙ぎ払いは威力が上がるだけだが、逆薙ぎ払いは全く違う技に変化していることが分かる。

このように、攻撃+移動系戦技の組み合わせや、同じ戦技の重ね付けにより戦技の挙動が大きく変わるので、自分の戦闘スタイルに合ったコンボを探したり、ボスの動きに合わせて移動距離を調整するなどの工夫が面白い。近接攻撃以外にも、弓や鉄砲で遠距離攻撃が出来たり、操るという戦技を使えばファンネルのように武器を飛ばして戦うこともできる。ちなみに、遠距離攻撃にジャンプを複数個付けてやれば、飛び上がって安全な場所から射撃するという戦い方も可能になる。

戦技の組み合わせは自由度が高いが、重ねれば重ねる程に消費SPが増えて行く。SPは自動回復するが、無理に戦技を重ね過ぎると直ぐにSPが枯渇してしまうので、効率良く戦える組み合わせを考えることも重要となる。なお、SPが大きく育ったゲーム終盤には、戦技の重ね数は20を超え連撃数も7や8にまで成長する。そうなってくると、武器の拡大や連続ヒットなどを重ね続けた結果、一瞬で数百ヒットを叩き出すようなコンボも可能となる。ゲームを開始した当初は苦戦していた敵も一瞬で吹き飛ばせるようになり、無双シリーズのような爽快感の溢れるプレイフィールを得ることが出来るだろう。

やや難易度が高めで、慎重な立ち回りと効果的な戦技の組み合わせが求められる前半戦(オロチ1回目まで)と、多段ヒットで一瞬で敵を溶かす快感を味わいながらも、ゲーム内時間を気にしながら駆け抜ける後半戦(真エンディングまで)は完全に別ゲーである。まるで途中で味変を楽しむような遊び方が出来るゲームだ。980円という安さの特化型ゲームにも拘らず、異なった遊び方が用意されているのは何とも嬉しい。

細部を作り込んだ精神的な続編を出して欲しい

サムライブリンガーを真エンディングまで遊んで感じたことは、“基本はそのままに枝葉を広げたような続編を遊びたい”である。980円という低価格で、戦技をビルドする楽しみやオリジナルコンボで数百ヒットを叩き込む爽快感を考えると、現状でも十分なクオリティである。ただし、システム周りの解説が少なく、Tips的なものを振り返って確認できる仕組みも無いので、やや説明不足も感じたことも事実だ。また、考えた戦技の組み合わせを保存する仕組みはあるもの、保存にはひと手間掛かかる。そして、戦技が組み合わせによりどのように変化・派生したのか分かり難く、戦技の図鑑的な物も欲しかった。

サムライブリンガー 戦技の組み合わせ
ビルドした戦技の保存するには、金を貯めて保存枠の購入が必要。

登場する戦国武将が一体幾つ用意されているのか不明だが、猛将と呼ばれる強敵ですら142名も用意されている。猛将を倒せばゲームのスタート地点に登録されていくので、次回のプレイ開始時に登録された猛将をピックアップすると、その猛将をイメージしたような戦技のビルドが自動的に使用可能となる。このプリセットされた戦技を参考に、プレイヤーが好きなようにカスタマイズしていくのだが、手を加えた結果が記録される訳では無いので、ピックアップする毎にカスタマイズし直す必要があり少々面倒に感じた。

サムライブリンガー 武将の選択画面
クリア時点でも56/142しか埋まらず。

また、属性耐性スキルの扱いや、武具のスキルを継承させるの鍛冶屋の仕様についても再考する余地があるだろう。まず、武具のスキルについては、攻撃力/防御力増加のようなシンプルなものから、HPダウンで攻撃力アップや、敵撃破でSP回復のような条件で発動するものまで多数用意されている。最終的に爽快感がウリになるゲームなので、攻撃力アップや、継戦能力を上げるためにSPアップ/回復を積んで行きたいが、実際には属性耐性が重要となる。というのも、自身が放った属性攻撃が、自分自身にも被害を及ぼすからだ。毒を撒けば自分がスリップダメージを受け、雷を放てば自分が痺れて足が遅くなることもある。そのため、コンボ数が増えて付ける属性が増えれば増える程、属性耐性が重要となる。戦技のビルドはいつでも変更できるので、状況に合わせて属性を変化させることで耐性は一つだけで済ませることが出来るのだが、何度もアクションビルダーを開いて戦技の付け替えを行っていると爽快感が失われてしまう。自分の放った属性で自滅する仕様は無くして欲しい所だ。

サムライブリンガー スキルの組み合わせ
多少の攻撃力やSPは犠牲にして、耐性は予め積んでおいた方が快適。

また、武具の強化に関しては、鍛冶屋で二つの武具を合成すると、ベース武具に素材武具のスキルが引き継がれたうえで、ベース武具が強化されるのだが、スキルを引き継がずに強化を行うという選択肢が無い。そのため、強化とスキルの思い通りに行えず、戦闘で得た金を持て余してしまうことが多いのも勿体無い。

サムライブリンガー 鍛冶屋で武器を合成
同じスキルを2個持っていないと合成しずらい。

更にもう少し欲を言えば、敵のステータスを倍増させるだけの単純な調整で良いので、上位の難易度を複数個用意してくれると★4の75点が80点になっただろう。

改めて書くが、サムライブリンガーは980円である。色々と改善の余地があることは事実だが致命的な訳では無く、低価格なので基本的には目を瞑るべきだろう。しかし、自由自在に好みの戦技を繰り出せる楽しさは確かなものなので、もっと金を払ってでも細かい部分まで作り込まれたものを遊びたいと感じさせられた作品である。

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