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【Golf Club Wasteland】レビュー: 極上のサントラを聴きながら、摩擦係数と反発係数に何度も泣かされるSFゴルフ – ゴルフクラブ・ウェイストランド

点数評価
クリア時間約2時間
プレイ状況ストーリーモードでクリア
プレイ時間約2時間
発売日2021年12月23日
対応機種PS4/PS5/Switch/Steam
Xbox Series,One
プレイ機種Switch
開発元Demagog Studio
発売元Beep
ジャンルスポーツ
ジャンルの考え方
ネタバレ無し
総評/評判/感想

Golf Club Wasteland (ゴルフクラブ・ウェイストランド)は、ポストアポカリプスな世界観と物理演算サイドビューゴルフを掛け合わせた、斬新な発想のゲームだ。崩壊後の地球で一人黙々とゴルフをするお供はラジオであり、流れて来るナンバーにはエモーショナルな気持ちにさせられること間違いない。小振りなゲームだが、パズル要素のあるゴルフゲームとして面白く、想定外のボールの挙動に泣かされるチャレンジモードは歯応えがある。ステージだけを追加するようなDLCの追加配信もアリだと感じた。

総合評価
 (4)
革新性
 (4)
ユーザビリティ
 (4)
ビジュアル
 (4)
サウンド
 (5)
プレイ継続性
 (3.5)
コストパフォーマンス
 (2.5)

新感覚SFゴルフパズルゲーム

Golf Club Wastelandは、タイトルの通りゴルフゲームである。ただし、そのゴルフの舞台は荒廃して人が住めなくなった地球だ。地球は放射能汚染が進んでいるために、人類は既に火星に移住しており、動くものは僅かな野生生物だけという状況。崩壊を免れたビルには、生き残ったネオンサインが未だに怪しく輝き、低層の建物は植物に侵食されているという、如何にもな終末系の光景が広がっている。そんな地球は、物好きな超富裕層がゴルフを楽しむためのコースになっているという設定である。

Golf Club Wasteland ゴルフの様子
防護服にジェットパック移動でゴルフを楽しむ。

コースは全部で34種類。ゲームモードは規定打数以内でコースを回るチャレンジモードと、打数制限無しでカップにボールを収めさえすればクリアとなるストーリーモードが用意されている。

単純におかしなコースを回るだけのゴルフゲームという訳では無く、それなりにストーリーが設定されている。ゲーム途中に流れて来るラジオや、規定打数でアンロックされる個人日誌を読むことで、プレイヤーは断片的にだが世界観を伺い知ることが出来る。

ゴルフゲームとしての操作方法は非常に簡単で、打角と打力をスティックで調整するだけである。ゴルフクラブの選択は無いし、スピンのための打点調整なども無く、単純な斜方投射でボールを飛ばすことしかできない。

Golf Club Wasteland ゴルフで打つ瞬間
荒廃した地球で、黙々と斜方投射。

一見シンプルで簡単そうなゲームに見えるのだが、飛んで行ったボールはしっかりと物理演算されており、着地地点の反発係数と摩擦係数に従って挙動が大きく変わる。廃墟で好き勝手にミニゴルフを楽しむゲームなので、当然ながら綺麗な芝のコースなど存在しない。

そのコースは、破損したハイウェイ、廃墟と化したショッピングモール、大型の建設機械の上など、通常のゴルフではありえない場所ばかりだ。飛んで行ったボールが金属面にぶつかれば、高反発で高く跳ね、勢い良く転がって行く。一方で荒れ地やビニール素材は、低反発で跳ねずに転がりも悪い。

Sara
Sara

地形によって大きく変化するボールの挙動を読むことは実に難しい。

パズル要素が強いゲームなので、ボールの挙動が何となく想像できたとしても、ボールは想像を上回るおかしな動きをしてリトライを頻繁に強いられることだろう。

Golf Club Wasteland 工場内でゴルフをする様子
まだ生きている機械のスイッチにボールを当てて、ボールを運んでもらうようなギミックも。

更に、打力は目盛り付きのパワーゲージで示されたような分かり易い物では無く、矢印の伸び具合だけでしか判断ができないため、ショットの再現性に乏しい。従って、頭の中では理想のショットとボール軌道が思い浮かんでいても、安定してショットを再現できず梃子摺るだろう。

Sara
Sara

序盤こそ数回のリトライでクリアできるが、ゴールまでの距離が長くなり打数が増えてくるとリトライの嵐となる。

Golf Club Wasteland 放棄された建築現場でゴルフ
反発係数と摩擦係数が異なる地形の巧妙な組み合わせ。簡単にクリアさせてくれない。

また、ボールを失うトラップも多数用意されており、足を踏み入れることが憚られる汚染物質や、深々と積もった落ち葉の中にボールが落ちると打ち直しとなる。時には野生のリスや謎の生物にボールを奪われることもある。

次の動画は最初の難関リスが出現するエリアのプレイ風景だ。簡単そうに見えるのだが、切り株の間はリスのテリトリーになっており、ここにボールが落ちるとリスにボールを隠されて打ち直しとなる。一方で飛び過ぎると草むらに落ちてアウトなので、切り株の上を丁寧に渡って行く必要があるのだが、またそこも予想外なボールの跳ね方をするので難易度が高い。

筆者は最初こそチャレンジモードでプレイしていたが、想像以上に難しいゲームだったので12ステージ目ぐらいから難易度を落として、ストーリーモードでクリアした。ストーリーモードであれば、好きなだけボールを引っ叩けるので、思う存分に廃墟×ゴルフのマリアージュを楽しむことができる。1周目は世界観を楽しみながら好き勝手にボールを飛ばし、気が向けば2周目でチャレンジモードを遊ぶと良いかもしれない。

スポーツゲーム史上、最もエモい

Golf Club Wastelandは、ゴルフの最中に火星から流れて来るラジオ放送を聴くことで、断片的に世界観を伺い知ることが出来る。ラジオからは過酷な火星の暮らしが伝わってくる一方で、希望を見出そうとするような前向きな内容もあり、ポストアポカリプス作品における、貴重な情報源としてのラジオの立ち位置が明確に表れている。淡々と廃墟で行う一人ゴルフと、一縷の望みを抱いて放送されるラジオは絶妙にマッチしており、ゴルフゲームながらにその世界の住人としての没入感は高めだ。また、規定打数でラウンドを回ることでアンロックされる個人日誌でも世界観が補足されていく。

ラジオ放送はDJが喋るだけではなく、BGMのパートも用意されている。曲数は決して多く無いものの、レトロなカントリー系の映画で流れてきそうなサウンドトラックは、コースの雰囲気と相まって哀愁と穏やかさの狭間のような雰囲気を醸し出しており、プレイヤーは間違いなく“エモい”という感覚を得ることだろう。

なお、難易度を問わず、ゲームクリア後にはデジタルサウンドトラックをダウンロード可能となっている。ゲーム内のイントロダクションにて、ヘッドフォンで音楽を聴くことが推奨されることからも、デベロッパーのサウンドトラックに対する自信が伝わってくる。

ここ数年、海外のゲーム市場では、高評価なインディーゲームは後からパッケージ版とLPレコードが発売されることが多い。Golf Club Wastelandも例に漏れず、後からLPレコードが発売される可能性が高いだろう。

ハードなゲームの隙間に軽く遊びたかったので、今回はストーリーモードでクリアしたが、いずれチャレンジモードでも全ステージをクリアしたいと考えている。全ステージの1/3をチャレンジモード、2/3をストーリーモードでプレイして約2時間のボリュームで、全てチャレンジモードで遊んでもクリアまで4,5時間と推測される短い作品だが、雰囲気ゲーというだけではなく、物理演算パズルゲームとしての面白さも確か。コースだけを大幅に拡張するようなDLCが発売されれば必ず購入したいと思わされた作品。

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