点数評価 | – |
クリア時間 | 約1時間 |
プレイ時間 | 約7時間 |
プレイ状況 | 難易度6段階アップまでクリア (アーリー版 v0.8.28) |
発売日 | 2022年4月26日 |
対応機種 | Steam |
プレイ機種 | Steam |
開発元 | Red Nexus Games Inc. |
発売元 | Red Nexus Games Inc. IndieArk |
ジャンル | ローグライク・パチンコ ジャンルの考え方 |
Peglin(ペグリン)はターン制バトルRPGだが、与えるダメージはパチンコ玉がクギで反射した回数で決まるうえに、パチンコ玉に相当するオーブがデッキ構築要素を持っているという新しいタイプのローグライクゲームだ。普通のローグライクゲームでは満足できない体になってしまった、ローグライク狂人に相応しいゲームである。今回はアーリーアクセス版をプレイしたため点数評価は控えるが、正式なリリース後に改めてレビューを更新したい。
ターン制バトルRPGがパチンコと融合
ありとあらゆるジャンルと融合を続け、インディーゲーム界隈において無限の広がりを見せ続けるローグライクゲーム。とりわけ、パンデミックの如き勢いで新作が生まれ続けているデッキ構築型のローグライクだが、また一つ今までにないジャンルの組み合わせを持った異端児が現れた。
今回レビューするPeglin(ペグリン)は、ターン制バトルRPGにおける自キャラクターの攻撃力をパチンコで決定し、パチンコ玉をローグライク形式でデッキ構築する作品だ。パチンコ玉はオーブと呼ばれ、ルート分岐を経て気に入ったオーブをデッキに加え、それをクギ(ペグ)に反射させることで攻撃力を高めていく。
なお、ゲームにストーリー的なものは殆ど無く、“ペグリンがドラゴンに奪われた財宝を取り返しに行く”という設定だけを、Steamの販売ページにて確認できる。
まず、“デッキ構築なうえにターン制バトルで、さらに攻撃力がパチンコで決まる”などと言われると、意味を理解できずに身構えてしまう人も多いだろう。しかし安心して欲しい。ペグリンはその説明文こそ奇妙だが、実際には難しいゲームでは無い。
まず、次のスクリーンショットは実際の戦闘シーンを示したものだ。画面上段の左に居る緑色のゴブリンが主人公のペグリンで、右側のコウモリ、クモ、スライム達が敵モンスター群である。毎ターン、ペグリンとモンスターが交互に攻撃をして互いのHPを削り合うのだが、ペグリンの攻撃力は画面の約半分を占める中央のパチンコ盤で決定される。
与ダメージの計算はシンプルで、パチンコ盤の上部から投げたオーブの攻撃力(スタッツ)に、クギに反射した回数を掛けたものとなる。前スクリーンショットであれば、投げようとしているオーブ“石ころ”の攻撃力は3なので、石ころが画面下の穴に落ちきるまでに10回クギに当たれば与ダメージは3×10=30となる。
白色の破線が投げるオーブの軌道であり、投げた先で反射を繰り返した後に下の穴に落ちると、計算値分のダメージを敵モンスターに与えてターンエンドとなる。
基本的には先頭のモンスターから攻撃する。特殊能力があれば後方のモンスターを優先して攻撃可能。
なお、パチンコ盤面のクギはオーブが当たると消えていくが、“R”と書かれたクギに当たると盤面がリセットされて、消えたクギが復活する。他にも、爆弾に当たればボーナスで敵全体に固定ダメージを与え、中心が金色のクギに当たればショップで使用できる通貨を得ることが出来る。
また、“!”で示されたクリティカルのクギにオーブを当てれば、クギがオレンジ色に変化して与ダメージの計算式が変化する。変化すると言っても、参照されるオーブの攻撃力がクリティカル時のスタッツに変更されるだけだ。
次のスクリーンショットであれば、石ころの攻撃力は2だが、クリティカル時には右側の4が計算時に参照される。パチンコ盤の中央部分を見ると“36⇒40⇒44⇒48”と数字が表示されていることから、通常時の2の倍数ではなく、クリティカル時の4の倍数で与ダメージがアップしていることが分かるだろう。
オーブのスタッツは、取得したレリックや強化具合によって上下する。
このように、ペグリンはターン制RPGにおける自キャラの攻撃部分をパチンコに置き換えた作品だ。ターン制バトルとパチンコをミックスしたといっても、中央のパチンコ盤の意味さえ把握できれば、ゲームシステムを理解する難易度は決して高くない。
なお、クギで反射したオーブの軌道を読むことは非常に難しく、想像が付くのはせいぜい反射2回目までだ。投げられたオーブに対してプレイヤーが介入できることは何も無いので、出来るだけクギが密な位置を狙ってオーブを投げた後は、可能な限り多く反射してくれることを祈るばかりである。
しかし、先の読めない反射というものは、何とも射幸心を煽るものである。現実のパチンコには一切興味のない筆者であっても、オーブの気まぐれな挙動によって攻撃力の数値が大きく伸びる様子を見ていると、何とも言い難い気持ち良さが心の底から湧いてきた。敵と一進一退の体力の削り合いをしている場面で、期待以上にオーブ反射がしたことで勝利を手にできたときには、まさに“会心の一撃”が発生して戦闘を乗り切った時のような嬉しさを感じることができるだろう。
デッキ構築型ローグライクにおいては、先を見越したルート選択が重要であり、ペグリンにおいてもそれは同じである。しかし本作の場合は、プレイヤーが意図したルートを絶対に選択できるという保証は無い。というのも、ルート選択にもパチンコ要素が適用されているからだ。
戦闘が終了すると、オーブがぶつからずに盤面に残ったクギは撤去されず、そのクギの下方にルート分岐が表示される。次のスクリーンショットであれば、左側が確定でレリックを入手できる宝箱マスで、右側がランダムにイベントが発生するハプニングマスとなっている。このような選択肢であれば当然ながら左の宝箱マスに入りたいだろう。
しかし、選択肢の前にクギが固まって残っているため、投げたオーブの反射具合によっては、反対側のハプニングマスに入ってしまう可能性がある。そのため、所望するルートに入るためにも、被弾覚悟で故意に戦闘を長引かせて、邪魔になりそうなクギを消しておくようなプレイングも重要となる。
なお、この狙ったルートに入れないという仕様のお陰か、本作のハプニングマスではデメリットが発生しにくく、デメリットが発生したとしても壊滅的な被害を受けることはまず無い。特別なレリックが手に入ったり、デッキの圧縮やオーブの強化が進むなどメリットの方が圧倒的に多いので、ルート選択が思い通りに行かなかったとしても、余ほどの高難易度に挑んでいない限りは軌道修正が可能となっている。
特殊なオーブとレリックでデッキを強化
パチンコ玉に相当するオーブを投げた後は反射を見守るだけしかない本作だが、当然ながら運に任せるだけのゲームではなく、その事前準備となるデッキ構築部分が重要なことは語るまでもないだろう。カードタイプのデッキ構築型ローグライクと同様に、特殊効果を持ったオーブを取捨選択してデッキを構築し、恒久的なバフであるレリックを取得してシナジーを発揮し、不要なオーブを削除してデッキの圧縮を進めていく過程を存分に楽しみたい。
ペグリンでは戦闘に勝利する度に、リワードとして4択にて新しくオーブをデッキに加えることが出来る。一般的なデッキ構築型ローグライクでは、提示された選択肢からどれか一種類しか選べないことが多いが、本作の場合はリワードの取得に必要な通貨さえ許せば、複数種類のオーブをデッキに追加できる。また、オーブの取得を選んだからと言って、オーブ強化やHP回復を選べないという訳ではなく、別の選択肢も同時に選択可能となっている。
デッキ構築型ローグライクをプレイしていると、リワードにシナジーを期待できない選択肢ばかりが並び、無駄にデッキを膨らましてしまうという事態に陥ることが多い。しかしペグリンの場合は、オーブの強化や体力の回復に逃げることが出来るので、理想とするデッキを構築する難易度はやや低めに設定されていると言えるだろう。
ちなみにショップではオーブを5択から、レリックを4択から選んで購入することができ、さらに不要なオーブを削除してデッキの圧縮も出来る。通貨を温存できていれば、一気にレリックを充実させることが出来るチャンスとなるだろう。
攻撃力がオーブの反射運で決まるのであれば、デッキ構築時にとりあえずスタッツの大きいオーブを選んでおけば良いと思うかもしれない。ザコ敵であればそれでも突破できるが、ボス戦はそう簡単に事が進まないようになっている。
例えば、ステージ1ではモグラがボスに選出されることがある。モグラは高体力の木を盾にしつつザコ召喚し、周期的にペグリンの目の前に現れて攻撃した後に安全な後方へ帰っていく。幾ら運よくオーブが反射を繰り返して与ダメージを高めたとしても、モグラが後方に移動していると木やザコ敵が盾となりダメージが通らない。そのため、ボスにモグラが見えていれば、後方や敵全体を攻撃が出来るオーブをデッキに加えたり、全体ダメージを期待できる爆弾をリスポーンさせるレリックを取得するなどの対策を講じなければならない。
このようにペグリンは、クギに当たったオーブの跳ね方に左右されるゲームとはいえデッキ構築としての奥深さも兼ね揃えており、インテリジェンスと高いギャンブル性を同時に味わうことのできる風変わりな作品に仕上がっている。
難易度は改善の余地あり
ペグリンは多くのデッキ構築型ローグライクゲームと同様に、クリアする度に新しい難易度が解放されていく。今回プレイしたVer0.8では15段階まで遊ぶことができ、最終的には20段階まで伸び代が用意されている。難易度を上昇させることで、初期デッキに最弱である“石ころ”が追加で加えられたり、盤面をリセットする“R”のクギが減ったりされたりと、徐々に難しくなっていく仕組みだ。
この難易度が少しずつ上昇していく仕組み自体は何ら問題ないのだが、現バージョンでは一部のオーブがレリックのシナジーを持たない状態でも圧倒的な性能を発揮しており、完全にバランスブレイカーとなってしまっている。
例えば、マルチボールというオ-ブが分裂する能力を持った“マトリョーブカ”は、思考放棄して雑に投げるだけでも簡単にクリティカルや盤面リセットを取ることが出来てしまう。また、“電磁オブネット”という磁石のオーブは、クリティカルや盤面リセットに吸い付く能力を持っており、その吸い付き方が尋常ではないのでこちらも適当なプレイでも非常に大きなダメージを叩き出すことが出来てしまう。
リワード選択の自由度の高さが相まって、特定のオーブの強さを知ってしまうと一気に難易度が下がる。あくまで現在はアーリーアクセス中なので、これらの問題は修正されていくことだろう。また、今後はペグリン以外にもプレイアブルキャラクター(クラス)が複数追加されるようなので、それらの性能も踏まえてステージ構成も含めた最適化が実施されるはずだ。今後のアップデートに期待したい。
アーリーアクセスを抜けると大化けしそうな予感。
評価ポイントのまとめ
ペグリンは、デッキ構築型にパチンコという新しいルールを持ち込んだ新進気鋭のRPGだ。現状でもそれなりに面白いが、筆者は正式リリース後にさらに面白くなると確信している。アーリーアクセス価格で買える今のうちに確保することを推奨する。
長所
- ローグライクにパチンコを採用するという奇抜なアイデア
- 射幸心を煽るパチンコによる攻撃力決定
短所
- 一部のオーブが協力過ぎる
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