点数評価 | 90点 |
クリア時間 | 約20時間 |
プレイ状況 | クリア 実績:30/43 |
プレイ時間 | 約23時間 |
発売日 | 2023年6月28日 |
対応機種 | Steam/Switch |
プレイ機種 | Steam |
開発元 | MINTROCKET |
発売元 | MINTROCKET |
ジャンル | ハイブリッド・海洋アドベンチャー ジャンルの考え方 |
ネタバレ | 無し |
デイヴ・ザ・ダイバー(DAVE THE DIVER)は、おふざけも突き詰めれば芸術に昇華するということが良く分かる作品だ。表面上はダイビングと寿司屋経営を楽しむ作品だが、何が本作を神ゲーたらしめるかというと、日本文化の理解の先にある過剰な演出の数々である。ダイビングと寿司屋経営はそこそこに、とにかく新しい演出が見たくなる神ゲー。
【総合評価】 | |
革新性 | |
ユーザビリティ | |
ビジュアル | |
サウンド | |
プレイ継続性 | |
コストパフォーマンス |
デイヴ・ザ・ダイバーは、太っているオジサンである主人公『デイヴ』が、おいしい寿司を食べるために昼間はブルーホールでダイビングをして魚を採り、夜は寿司屋で働くゲームだ。昼間のダイビングパートと夜の寿司屋パートの掛け合わせで構成されるため、本作の公称ジャンルは“ハイブリッド・海洋アドベンチャー”となっている。
ピクセルアートで構成された美しい水中で寿司ネタ探し
デイヴ・ザ・ダイバーのダビングパートは、上下左右に自由に動ける水中2Dアクションゲームだ。水中では近接攻撃や海藻などの採取に使うナイフ,魚を捕獲するための銛,主に凶暴な魚と戦うための水中銃を駆使して、寿司ネタ探しに興じることになる。
ブルーホールでダイビングを始めると、まずは緻密なピクセルアートで表現された美しい水中の世界に驚かされる。色取り取りな熱帯魚が優雅に泳ぎまわり、綺麗なサンゴが群生するブルーホールは圧巻であり、進化を続けるピクセルアートの世界の最前線を感じることができるだろう。
そんな美麗なブルーホールに登場する様々な魚は例外なく寿司ネタの対象だ。マグロやアジといったメジャーな魚から、カラフルな熱帯魚,凶暴なサメや深海魚,クラゲやタツノオトシゴまで、泳いでいる魚は全て捕獲して食することができる。
魚の捕獲方法は基本的には銛を打ち込むことによる引き寄せだ。照準を合わせて銛を打ち込んだ際に魚の体力が一定値を下回っていると、ボタン連打やスティック回転などのQTEが発生し、それをクリアできると魚を確保できる。小魚であればナイフを振るって捕っても良いし、逆にサメのような凶暴な魚を捕獲する際には、遠距離から水中銃で攻撃したり地雷を設置するなどして安全な位置から倒すことになる。
なお、水中での活動は無制限という訳にはいかず、画面左下に示された酸素ゲージが無くなる前にブルーホールを脱出しなければならない。酸素が無くなるとダイビング失敗となり仲間に助けられるものの、折角集めた食材は一つだけしか持ち帰れない。サメに噛みつかれる,クラゲに刺される,うっかりウニを素手で掴むなどなど、海は何かと危険だ。ダイビングするデイヴ本人には体力が設定されていないが酸素ゲージが体力を兼ねており、デイブが危険に晒される度に酸素ゲージが減っていく。
また、食材は無限に持てる訳では無く重量制限が設定されており、制限値を超えると極端に移動速度が遅くなって、移動に余計な酸素が必要とされてしまう。1回のダイビングでギリギリまで粘って食材を可能な限り集めて帰りたいところだが、欲張り過ぎてダイビングに失敗してしまうと何の意味も無いので、引き際を考えることが重要となっている。
重量超過した帰り道にサメに襲われると絶対に逃げきれないので、危険を感じたら食材を捨てて身軽になるような判断も必要。
なお、ブルーホールは単に潜って魚を捕る場所という訳では無く、メインクエストとサブクエストが設定されている。メインクエストに設定されたお題を達成することでストーリーが進んでいき、海底の魚人の村を訪れることが出来るようになったり、強大なボス魚との戦闘が待ち構えている。変な寿司を食べることだけが目的という訳では無く、意外としっかりとしたストーリーが用意されているので、そちらもしっかりと楽しもう。
ボス魚も倒せば寿司ネタとして活用可能。
ストーリーを進めていくと、ダイビング以外でも食材を入手可能になる。魚の卵を入手すれば生け簀で繁殖が出来るようになり、農園では米や野菜を育てることができ、ゲーム後半には鶏を飼うことで鶏卵も食材として利用できるようになる。農園では水やりをしたり雑草を抜いたりと手を掛けることで米や野菜を収穫でき、それらと魚を合わせて食材とすることで寿司屋にて高単価な特殊な料理を提供できるようになる。農園の管理は面倒臭いと思うかもしれないが、農園の状況はゲーム内のスマホアプリにて逐次確認できて、さらには農園に変化が生じればゲーム内のスマホにプッシュ通知が届くため頻繁に見て回る必要は無い。なんとも現代的で非常に有難い仕様だ。
SNSでバズらせて客を集める寿司屋の経営
デイヴ・ザ・ダイバーの主人公デイヴは、寿司を食べるために昼間にブルーホールで魚を捕ってくるだけで良かったはずが、気が付けば夜は寿司屋のホールスタッフとして働かされることになる。
デイブが昼間に捕った魚は自動で厨房に送られているので、夜になれば好きな魚を寿司ネタを選んで客に提供することができる。基本的には単価の高い寿司を提供すれば良いのだが、不定期に特定のイベント、例えばマグロデイなどが開催されるので、その際にはテーマに沿った寿司ネタを優先して提供していくことになる。
寿司ネタさえ決定してやれば、後は自動で板前のバンチョが調理してくれるので、デイヴは配膳や皿の跡片付けを担当する。時にはお茶やビールなどの飲み物を要求されることもあるが、それらを提供中であったとしてもゲーム内の時間は刻一刻と進んでいく。そのため、手際が悪いとサービス提供を待つ客のストレスが高まっていき、一定時間以内に提供が完了しないと怒って帰ってしまう。そうなってしまうと機会損失となり収益に結びつかず、さらに配膳途中に客が帰ってしまうとその料理は無駄になってしまう。そのため、しっかりと提供順序を見極めながら、画面右端のバンチョから寿司を受け取って手際よく客に寿司を提供しなければならない。
デイヴは水中こそ軽やかだが、陸に上がるとその体系のお陰で移動は非常に鈍重だ。おまけにホールを走り回る体力も無いので直ぐに息切れをしてしまう。ホール仕事は左右に動いて、寿司を運んで飲み物を提供するだけの単純なミニゲームだが、デイヴ1人では来客者を満足させることはできないので、完璧なサービスを提供するためにはホールを切り盛りするバイトを雇わなければならない。そして、雇ったバイトはそのままでは使い物にならないので、資金を投入して教育を実施する必要がある。雇用や教育といった投資を行いながらも、徐々に店の評判を上げて売り上げを伸ばしていくのが、寿司屋パートという訳だ。
ゲームクリアのために具体的な売り上げ目標などが設定されている訳では無いが、ゲームの進行にはデイヴのダイビング装備のアップグレードが必須となっており、アップグレードには莫大な資金が必要なので店の売り上げは重要だ。また、アップグレードを繰り返す度に要求費用は増加していくため、顧客満足度を高めてゲーム内SNSであるCOOKSTAにて“イイネ”を稼ぎ、店の知名度を上げて来客数を増やす必要がある。そして増えた来客に対応するためには、さらにバイトを増やして教育する必要がある訳だが、そのためには稼いだ金で装備を更にアップグレードして未知なる深海へ潜り、大量の高額魚を仕入れることで売り上げと満足度の高みを目指していくことになる。
つまり、アップグレードと売り上げ増加のサイクルで規模が大きくなっていく。
なお、寿司屋パートが終わり翌日が始まると、前日に来店した客の反応をSNSで確認することができる。提供した寿司ネタに応じて投稿される写真が変化するので、一度も提供したことの無いネタがあれば、少々値段が安かったとしても提供してみると良いだろう。配置やフォーカス具合までが完璧に再現された“映える”寿司のピクセルアートは必見だ。
演出の作り込みが神ゲー
さて、デイヴ・ザ・ダイバーのダイビングパートと寿司屋パートの評価がどれぐらいかというと、“そこそこ”面白いといった所だろう。ダイビングアクションと寿司屋経営だけでは良作ゲームの域を出ない本作がなぜ神ゲーなのかというと、それは作り込まれた数々の演出が素晴らしいからだ。それらの凝り具合からは、作り手が日本文化に対する理解度の高さと、本当に面白い物を作ろうとした執念が伝わってくる。
まず、本作を開発/発売したMINTROCKETは、多国籍ゲーム企業であるネクソンのサブブランドだ。つまり、本作は海外産のインディーゲームな訳だが、本作の開発陣営の日本文化に対する理解度の高さには驚かされる。
本作には赤青黄色などが綺麗な熱帯魚の握り寿司を筆頭に,食べることが憚られるような深海魚をネタに使った料理や,サメの頭の姿揚げなどなど、カリフォルニアロールも真っ青なゲテモノ料理が大量に登場する。しかもそれを調理するのは、ヒップホップが大好きな外国人シェフだ。
本作がこの手の勘違い系の“ジャパーズスシ”と、異様な雰囲気を醸し出している外国人料理人の組み合わせで笑いを取りに来ていることは確かなのだが、本作の凄い所は変な外国人が変な料理を作って終わりでは無い所だ。例えば次のスクリーンショットは、ヴィンセント山岡なるVIP料理評論家に、海ブドウとクラゲを使った握り寿司という訳の分からない料理を提供する場面だ。奇天烈な寿司ではあるものの、何故このような食材の組み合わせを選んだのかしっかりと解説が繰り広げられる。
料理の専門家から見て説得力があるかどうかはともかくとして、一般プレイヤーであれば何となく納得してしまうような会話としての流れが用意されている。本作では繰り返し料理対決や奇想天外な料理の要求が発生するが、必ずそれなりの理由と共に料理が紹介されるので、プレイヤーはグルメマンガの論評シーンのような面白さを味わうことができるだろう。
つまり本作の開発陣は、海外で外国人が握る誤った“とんでもない寿司”を、日本人が最早コメディとして受け入れて楽しんでいることを完全に理解したうえで、それをどうすれば正当化できるかを把握しているのだ。
ヴィンセント山岡はマンガ『美味しんぼ』のオマージュ。
なお、本作は料理の出来栄えだけに言及しているのではなく、料理と向き合う評論家の姿勢について論じられることもある。例えば前述のサメの頭の姿揚げであれば、グロテスクな見た目から食することを拒否した美食家が、後に食べずに評論したことを責められて地位を失うものの、料理対決を通じて和解するというエピソードが用意されていたりと、登場人物たちの料理に対する真剣な姿勢が描かれていたりもする。
本作では何をするにしても、ちょっとしたムービーが挿入されるのだが、それがとにかくバカげている。和食をリスペクトしているのかしていないのか良く分からない外国人料理人の演出,1990年代に確立したであろうステレオタイプな見た目をしたオタクが日本語のアニソンを流しながら武器を作成,料理を食べた際の衝撃で過剰過ぎる心理描写が飛び出すVIP客などなど、全てにおいて“やり過ぎ感”が満載だ。(次の動画は、ゲーム序盤に流れるムービーを4つ繋げたもの)
本作に登場するこの手のムービーは、前項に示したように日本文化に対する理解度の高さがベースとなっているため、滅茶苦茶な内容ではあるもの“許せる”仕上がりであり、いずれも魅力的で中毒性がある。是非とも本作を購入し、全てのムービーを見てもらいたい。
折角なので他にも例を挙げると、ゲーム内SNSである“クックスタ”にて一定の評価を得るとランキングの審査員が来店した際のムービーの作り込みが素晴らしい。審査員はこれまた古いステレオタイプな“クソ真面目そうな日本人”の見た目をしており、その審査の風景はまるでコントで笑いを取るために誇張され過ぎたような動きとなっており見応え抜群だ。
本作には数々のミニゲームが登場するのだが、それらは使い回しが殆ど無く一度限りの登場となるものが多い。そのような汎用性の無いものであっても、妥協せずに作り込まれており非常に好感が持てる。その最たる例が唐突に始まる音ゲーだろう。ダイビングと寿司屋経営のゲームのはずが、何故かオタクな武器屋を操作して音ゲーが始まるのだが、前項で紹介したムービーシーンと同様に全力でふざけた演出である。おふざけも突き詰めれば芸術だ。
この音ゲーは極端な例だが、ゲーム進行上の要所では簡単なミニゲーム的な演出が必ず用意されている。巨大な亀をパチンコの要領で発射して壁を壊すシーンでは、角度を調整してバーの位置を合わせてボタンを押す斜方投射のミニゲームが用意されたり、夜になるとコッソリ店を抜け出す猫を追跡するシーンでは、簡単なステルスアクションのミニゲームが挿入されたりと、何かにつけて専用のミニゲームを遊ぶことになる。
これらの他にも障害物を横シューティングの要領で避けて進んだり、QTEによる料理対決など、ミニゲームの種類は非常に豊富だ。恐らくこれらのミニゲームは、ダイビングと寿司屋経営の繰り返しだけでは飽きることを懸念して挿入されたのだろう。ミニゲームそのものは決して繰り返し遊びたいような内容では無いが、1回ぐらいであれば気分転換に丁度良いという尺であり、内容もくどく無くて絶妙だ。単にキャラクター同士の会話で終わらせてもいいシーンであっても、わざわざ簡単なミニゲームが用意されているだけで、随分と印象は良くなるものである。
ちなみに、繰り返し遊ぶことができるミニゲームも用意されており抜かりが無い。卵から孵化した幼生をお世話して、何に進化するかを楽しむ、“GYAO!”という、たまごっちオマージュしたゲームを、本作内のスマホアプリとして遊ぶことができる。
その他にも、捕った魚はデジタルトレーディンカードという扱いでコレクションされており、こちらもスマホアプリ内で確認ができる。レアな魚はホログラム仕様になっており見ていて楽しい図鑑になっているなど、単なる図鑑に終わらずちょっとした遊び心を忘れずに付け加えて、カード集めというミニゲームになっている点が実に素晴らしい。
評価ポイントのまとめ
デイヴ・ザ・ダイバーは、美しいピクセルアートを楽しみながら、面白おかしい数々の演出を楽しむことのできる神ゲーである。日本文化への理解度の高さは称賛に値する。短所は特にない。
長所
- 美しいピクセルアート
- 奇妙な寿司ネタの数々と、日本文化を踏まえた正当化
- バカげているが癖になるムービー
- 1回限りのミニゲームの数々
短所
- 無し
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