点数評価 | ー |
クリア時間 | 2時間(初回ハザード1) |
プレイ状況 | 全バイオームをハザード3まで (2024年2月20日版) |
プレイ時間 | 約12時間 |
発売日 | 2024年2月14日 |
対応機種 | Steam |
プレイ機種 | Steam |
開発元 | Funday Games |
発売元 | Ghost Ship Publishing |
ジャンル | 1人用のサバイバーライクなオートシューター ジャンルの考え方 |
ネタバレ | 無し |
『Deep Rock Galactic: Survivor』は、『Deep Rock Galactic』を見事にサバイバーズ系に落とし込んだ作品だ。戦略的にトンネルを掘り、高耐久力で迫ってくるエイリアンを打開する戦い方は、他のサバイバーズ系では味わえない面白さがあり、サバイバーズ系の作品を多数遊んできたプレイヤーでも楽しめるだろう。プレイヤー強化の速度が遅く、高難易度に挑むにはどうしても稼ぎの周回プレイが必要になるが、ステージが3種類しかなくボスも1種類なので稼ぎを苦に感じるプレイヤーは、全難易度クリアは難しいかもしれない。この辺りのバランスが正式リリースでどのようになるか見守りたい。
【総合評価】 | |
革新性 | |
ユーザビリティ | |
ビジュアル | |
サウンド | |
プレイ継続性 | |
コストパフォーマンス |
『Deep Rock Galactic: Survivor』は、圧倒的な高評価を誇るCo-op系ドワーフ鉱夫FPSである『Deep Rock Galactic』の世界観をベースとして、ソロプレイに特化したサバイバーズ系に落とし込んだのスピンオフ作品だ。サバイバーズ系ということで、見下ろし視点で全方位から迫りくる敵を自動攻撃で撃退するローグライクゲームとなっている。
穴を掘る、唯一無二のサバイバーズ系作品
2022年にリリースされたヴァンパイアサバイバーズの成功を受け、サバイバーズ系の作品が生まれ続けているローグライク界隈。ローグライクのサバイバーズ系において成功するには、全方位からプレイヤーに群がってくる敵を自動攻撃で迎撃するという基本に、何らかの強烈な個性を加えて他のサバイバーズ系作品との差別化を図ることが必要不可欠だ。この差別化が生半可では評価されない厳しいサバイバーズ系の世界だが、『Deep Rock Galactic: Survivor』は“穴を掘る”という唯一無二の個性を引っ提げての参戦となっている。
まず、『Deep Rock Galactic: Survivor』の原作となる『Deep Rock Galactic』は、ステージ内のあらゆる場所をツルハシなどを用いて掘ることができるFPSだ。詳細については上記リンク先の原作のレビューを参考してもらうとして、ゲームの簡単な流れは、穴を掘ってお目当ての鉱石を探し、襲い来る虫型エイリアンを撃退し、指定された時間内にドロップポッドに乗って脱出するというものだ。
本作はその流れを完全にサバイバーズ系の作品に落とし込むことに成功している。特に、最大の特徴である穴を掘るという行為が、無数の敵が全方向から襲い掛かってくるサバイバーズ系の作品と最高に相性が良い。その理由は簡単だ。穴を掘って敵エイリアンを誘導して迎撃する作業が実に楽しいからである。
本作に登場する敵エイリアンは頭が良く、どれだけエリア内にトンネルを掘りまくったとしても、迷うこと無く一直線にプレイヤーの元へ殺到してくる。そのため、迂闊にトンネルを貫通させると、敵エイリアンにトンネル出口に先回りされるので、ギリギリまで掘っておいて誘い込んでから、最後の一掘りをして逆サイドに逃げるなどの工夫が必要となる。
次の動画はエイリアンの大群を上手く誘導して一網打尽にしたシーンだ。大量発生したエイリアンを少し掘った画面の左下に誘導してから一気にトンネルを貫通させ、大きく岩盤を回り込んでエイリアンの大群の背後に回り込んでいる。そして大群の後方で密集していた爆発性のエイリアンを一気に誘爆させて群れを撃破している。このような立ち回りが出来た暁には膨大な量の経験値取得からの連続レベルアップとなるので、何とも言えない高揚感を味わうことができるだろう。
本作は数あるサバイバーズ系の作品の中でも特に敵が硬めに設定されており、プレイヤーが大量にレベルアップして強力な武器を入手できたとしても、決して手放しで放置して無双できるほどには強くならない。そのため、プレイヤーは常に緊張感を持って、上記の動画のように上手く掘削できる方法を考えなければならず、他のサバイバーズ系とはしっかりと差別化が出来ている。
多くのサバイバーズ系の作品は、敵の攻撃を一定時間耐え凌げばクリアとなるが、本作は時間経過ではクリアとならない。時間経過と共に予告されたタイミングでエイリアンの群れや強化個体が出現し、最終的にエリアボスが出現するので、どれだけ時間が掛かったとしてもエリアボスの撃破がエリアクリアの必須条件となっている。全5エリアでボスを撃破出来れば、ステージ(バイオーム)をクリアとなり、道中で手に居れば大量の鉱石と共に帰還できる。
ただし、エリアボスの撃破はクリア条件の一つでしかなく、エリアボスの撃破後にはドロップポッドまでの撤退戦が待っている。エリアボスを撃破したとしても、制限時間30秒の間にドロップポッドに辿り着けなかった場合は強制的にゲームオーバーとなる。大量のスリップダメージを覚悟で敵の大群の中を突っ切るのか、時間を掛けて大きく回り道をするのか、あるいは最短ルートで壁を掘り進むのかなど、プレイヤーの判断力が問われることになる。
低い難易度(ハザードレベル)では、とりあえずは敵の中を突っ切れば良いが、ハザードレベルを上げると撤退も容易では無い。また、30秒の間に出来る限り散らばった経験値を回収したいし、途中に気になる鉱石があれば掘りたい気持ちも生まれて来る。しかし、欲を出し過ぎるとゲームオーバーとなる、“帰るまでが遠足”あるいは“生きて帰るまでが戦い”的な展開であり、僅か30秒とは言えプレイヤーの腕前や判断力が試される面白い仕組みとなっている。
被ダメージは次のエリアに持ち越されるので、出来る限りは敵を避けて被ダメージを最小に抑えたい。しかし、制限時間に間に合わなければ意味が無い。
エリアボスの撃破がクリアの必須条件なのであれば、それを達成せずに無限に沸き続けるザコのエイリアンを倒して経験値を稼げば良いと思うかもしれない。しかし本作は、時間の経過と共に敵の能力が大幅に上昇するようになっている。それも一段階だけでは無く、時間を掛ければ掛けるほどにパワーアップを繰り返すので、永遠に稼ぎ続けることは出来なくなっている。
ちなみに、ラスボスのドレッドノートを除いて、エリアボスはサプライポッドと呼ばれる補給物資をぶつけることで一撃で倒すことができる。次の動画は、おびき寄せたエリアボスを一撃で倒す様子だ。障害となる岩盤を採掘し、指定されたエリア内に一定時間留まることでサプライポッドが召喚され、それに押しつぶされて大ダメージを受けるという仕組みだ。
エリアボスはサプライポッドで一撃で倒せるとは言え、ザコ敵がパワーアップし過ぎると撤退の難易度が上がり、万が一にもサプライポッドを外した際にはクリアが絶望的になるので、時間を掛けて敵を強化するのは程々にした方が良いだろう。
パワーアップアイテムのシナジー効果は低め
『Deep Rock Galactic: Survivor』には、原作となる『Deep Rock Galactic』と同様に、スカウト,ガンナー,ドリラー,エンジニアの4種類のクラスが用意されている。また、それぞれのクラスには、初期装備やステータスボーナスが異なる3つのMODと呼ばれるバリエーションが用意されている。
お馴染みの4クラスだけではサバイバーズ系の作品としては物足りないと思うかもしれないが、MODの派生を含めて全12種類のバリエーションを楽しめるのであれば、『Deep Rock Galactic』というビッグタイトルの派生作品ということと、本作が1200円という安価で販売されていることを考慮すれば十分なボリュームだろう。
そして本作も他のサバイバーズ系と同様に、レベルアップ時の3択で提示されるアイテムや、エリア間のショップにおけるアイテムの購入でプレイヤーを強化していくことになる。ただし、本作のアイテム間のシナジーは弱めだ。
それぞれの武器には、火炎や冷気などの属性や、ビームやプロジェクタイルなどの攻撃のタイプが設定されており、特定の属性やタイプを一括して成長させるアイテムが登場する。本作は、全部で4つ持てる武器の属性やタイプを上手く揃えて効率良く武器を強化することに主眼が置かれており、他のサバイバーズ系の作品のように上手くアイテムを取捨選択してシナジー効果を爆発させれば一気に強くなるような遊び方は想定されていないようである。
成長は比較的リニアで、持てる武器が増えた際に属性やタイプを一致させると傾きが大きくなるイメージ。あるタイミングで指数関数的に強くなることは見込めない。
なお、各武器はレベルアップを繰り返していくうちに、オーバークロックと呼ばれる劇的に性能を変化させるパワーアップを得ることができる。攻撃力や発射レートの大幅増加以外にも、武器の属性を変化させたり、設置タレットがプレイヤーに追従するようになるなど、ユニークなものが幾つか用意されている。オーバークロックの効果の組み合わせによっては、ある程度は大きなシナジー効果を発揮することもある。ただし、1プレイにおけるオーバークロックの取得数はそれほど多くないため、敵を無双するような快感を得るレベルのシナジー効果を得ることは叶わない。
結局のところ、本作は穴掘りと敵誘導のテクニックや、効率良く鉱石を掘りながらもボーナスアイテムを集める回ることが重視される、手堅い印象のサバイバーズ系の作品と言ったところだろう。武骨な宇宙ドワーフ鉱夫に相応しいような印象を受けないこともないが、シナジーの探求を楽しみたいローグライクファンは少々物足りなさを感じるかもしれない。
新武器の解放や恒久的なアップグレードに時間が掛かる
『Deep Rock Galactic: Survivor』は、新たな武器の解放や恒久的なアップグレードを得るには時間が掛かる。原作である『Deep Rock Galactic』も武器の解放にかなりの時間が掛かったが、それを踏襲する形となっている。ちなみに筆者の場合は、12時間遊んだ時点でもまだ各クラスの最終MODが解放されていない。また、恒久的なアップグレードに関しても、段々と要求される鉱石が増えて来ることを考えると達成度合いは3割ほどだろう。
現在はアーリーアクセスということでバイオームがまだ3つしか用意されておらず、いずれも最終目標はドレッドノートの撃破であり差異がそこまで大きくない。各バイオームの高難易度のハザードレベルに挑むには、恒久的なアップグレードを多数積む必要があるが、それを達成するにはどうしてもクリアできるハザードレベルを黙々と遊び続けて鉱石を集めることになる。また、ボスもドレッドノートの1種類しかないので、ハザードレベル4以降に挑むための鉱石稼ぎが作業的に感じてしまうだろう。
原作の方はCo-opゲームなので時間が掛かっても良かったが、本作はシングルプレイなので時間稼ぎ要素は不要だった。
本作は当レビューを投稿した現時点でアーリーアクセスなので、今後はこの辺りの稼ぎ作業で感じるマンネリが解消されることに期待したい。ただし、販売価格は1200円と安いので大きな変化を望むことは難しいかもしれない。
評価ポイントのまとめ
『Deep Rock Galactic: Survivor』は、『Deep Rock Galactic』をプレイ済みでサバイバーズ系が好きであれば買いである。
長所
- 穴掘りとサバイバーズ系の相性抜群
- 資源採掘の重要性が高く原作リスペクト
短所
- 原作ほどでは無いが、武器の解放や強化がやや遅い
- 新武器のオーバークロック解放が面倒
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