Nintendo Switch Proコントローラーの動作不良を分解修理し、何を吹きかければベストなのか考えた

Switchのプロコンの左スティックがまともに動かない

以前、PS5のデュアルセンスの交換修理ネタを書いた際にも触れたが、筆者のSwitchのプロコントローラーの動きがおかしい。ただし、初期不良があった訳では無く、最初の内は正常に動作していた。いつの間にか、スティック中立状態でも、数十秒に一瞬だけ右方向が勝手に入力されるようになった。瞬間的な入力が発生するだけなので、良く問題となるフラフラと入力され続けるような、ドリフト現象とは少し異なる。

この不具合により、常時誤作動する訳では無いので、精密動作を求められるゲームでなければ我慢できると思い放置していた。しかし、ここ数日、エンダーリリィズやスーパーケーブルボーイなど、難易度高めなゲームを連続して遊んだところ、流石に誤動作のストレスを回避することは出来なかった。

しかし、プロコンは既に保証期間は切れているし、新しい物を買うにしても定価8228円と高いので、仕方が無く分解修理することを決意。

分解は自己責任!以下は素人作業なので成功の保証無し!

分解修理する前に、プロコンの動作不良に対して色々とインターネットで検索したところ、“コンタクトスプレー(接点復活剤)をスティックの隙間から入れろ”とか、“分解してエレクトロニッククリーナーで洗浄しろ”とか、“シリコンスプレーも使うべき”など、幾つかの手法が見つかった。何が正しいか分からなかったが、プロコンを買い替えることと比べれば安いものなので、まずは全部買ったうえで色々と考えてみることした。

KUREの3連星。エレクト:コンタクト、シリコン、プロコンにジェットストリーム修理を仕掛けるぞ!

まず、結論から書くと、ベストなプロコンの取り扱い方法は、

・買ったら真っ先にスティックの軸にシリコンスプレー(分解不要)

・動作に異常が出たら、分解してエレクトロニッククリーナー

・Switchがレトロゲームと呼ばれる頃に、分解してコンタクトスプレー(接点復活剤)

であるという判断に至った。

取りあえず直れば良いのであれば、エレクトロニッククリーナーだけで良い。

現時点ではコンタクトスプレー(接点復活剤)は不要!

クッソ硬いネジを外して分解

Switchのプロコントローラーの分解は簡単だ。10分もあれば終わる。

しかし、一番最初に外すグリップのネジがとんでもなく硬く締まっており、誤ったドライバーを使うとそれの解放がしんどい。コントローラーのグリップということで、知らず知らずの内に繰り返しの力が掛かる事を想定して、高トルクで締め付けているのであろう。適切なドライバーの持っていないとここで躓く可能性がある。

Switchのプロコントローラーを分解するためには、“+0の精密ドライバー”が必要である。

筆者はそれを持っていなかったので、特に何も考えずに精密機器向けの小回りが効くドライバーを購入した。

このドライバー自体は良品。だが、プロコン分解には向かない。

これが大失敗で、このサイズのドライバーでは、グリップ部ネジの締め付けトルクに太刀打ち出来ない。余程の力自慢でない限り、ドライバーは持ち手が付いたものを購入した方が良いだろう。

ここで精密ドライバー買うことが面倒くさい・・・と、サイズの合っていないドライバーを使わないように注意してほしい。確実にネジの頭をなめてしまい後悔するはずだ。ちなみに、ネジがなめた場合、追加でなめたネジ外しビットという商品を買って対応するハメになる。

いきなりドライバーの話題で脱線したが、分解手順は以下の通りだ。

グリップ下のネジを2本を外す

左右1本で止まっているだけなので、何一つ迷うことは無い。

背面のネジ4本を外して、背面カバーを外す

赤丸の4カ所を外す。

バッテリーを外す

簡単に外れる。

背面カバー下5カ所のネジを外す

ネジを無くさないように・・・。

表面のカバーを外す

透明なカバーと本体に隙間を作る。

表面カバーと本体がフレキシブルケーブルで繋がっているので、無理に引っ張らないように注意。

分解はこれだけである。

適切なドライバーを使えば、10分も掛からないはず。筆者は小さいドライバーで悪戦苦闘したので15分以上かかった上に、指が痛くなった。

スティック周りは粉だらけで、糸くずも侵入している

Switchのプロコントローラーは、分解前から分かっていることだが、スティックのきのこ部の軸が削れて周辺が粉だらけである。スティックのきのこ部は上に引っ張れば簡単に外れるのだが、その下のスティック本体部には糸くず(写真だと少々分かり難いが)が付着していた。

左スティックの方が粉が顕著。

動かす頻度が多いからか、糸くずも右よりも左スティックの方が多い。

表面のカバーを外した状態を見ればわかるように、スティック本体にきのこ部が傘のように覆いかぶさる構造になっている。そのため、異物はあまり基盤側には落ちて行かないように見える。が、実際には糸くずが多数付着していた。きのこ部の軸が削れて発生した粉は、きのこ部に留まっているため基盤側では余り目立たず。

つまり、この糸くずどうにかすれば、正常に動くのだろう。糸くずだけを取って一度蓋をして動作確認すれば、動作不良の原因切り分けが出来るが、ドライバーの問題もあり流石に面倒くさいので、エレクトロニッククリーナーを全面に吹き付けて、粉も糸くずも全部綺麗した。吹き付けると基盤が全面水浸しのようになるが、公式サイトによると、

プリント基板やセンサーなど、デリケートな部分に付着した油汚れなどをすばやく取り除きます。
速乾性で、残渣がなく、拭き取りが不要です。

とあるので、遠慮せずにこれで付着した異物を洗い流す。

乾いた後に、念のためコンタクトスプレー(接点復活剤)をスティック周りに吹き掛けておく。ただし、前述の通り、接点復活剤は利用する必要はない。

何故、コンタクトスプレー(接点復活剤)が不要なのか?

答えは簡単で、当記事を投稿した2021年の段階における、初期不良以外の動作不良の原因は、間違いなくスティック本体の破損か、侵入した異物による誤作動だからだ。そして、スティックの隙間から入るレベルの異物であれば、エレクトロニッククリーナーで十分に除去できる。

以下は、KURE製コンタクトスプレー(接点復活剤)の公式サイトの説明文である。

特殊置換性オイルがカーボンや汚れ、異物を除去し、電気接点の接触不良を解消します。

接点部の摩擦を軽減し、腐食から保護します。

コンタクトスプレーによって電気接点の接触不良が改善する仕組みは、詳しい解説サイトでも見てもらうとして、特殊置換性オイルが・・・と記載があるので、呉のコンタクトスプレーは、接点不良の原因になるような、接点に生成された被膜類をどうにかしてくれる機能持っている訳だ。それは発売から20年~30年経ったレトロゲームや、劣悪な大気環境に曝露されたような端子部分に効果が期待できる。発売から高々5年程度のプロコンの、剥き出しでも無い内部の接点が電気的接触不良を引き起こすほど劣化するとは考え難い。

コンタクトスプレーは、レトロゲーマーなら良くお世話になっていると思うが、基本的に劣化した接点に利用する製品である。従って、コンタクトスプレーをプロコンに流し込んで直ったというのは、単にコンタクトスプレーで異物が流されて綺麗になっただけと考えるべきである。それであれば、エレクトロニッククリーナーでも全く同じ効果を得ることが出来る。

加えて、

フレキシブルケーブル(フィルムケーブル)、導電性ゴムへは使用しないでください。

との注意書きがあるので、同じ効果が得られるからといって、エレクトロニッククリーナー代わりにコンタクトスプレー(接点復活剤)をむやみやたらに吹き掛けるのも良くない。プロコンにはフレキシブルケーブルが使われており、劣化を進める原因となる。

適当なYoutubeの動画を信じて、何でもかんでも接点復活剤を使うことは止めなさい。

スティックの軸にシリコンスプレー後、逆順で組み立て

原因の切り分け調査をしていないので、粉が悪いのかゴミ(糸くず)が悪いのか、動作不良の真因は不明だ。しかし前述の通り、スティックのきのこ部から発生した粉は。基盤側に殆ど落ちていないので無視しても問題ないと考えている。

が、粉を吹いているコントローラーは見た目が格好悪いし、これからも削れていくことは確かだ。削れ量が許容値を超えて、別の動作不良になるかもしれない。従って、きのこ部の軸にシリコンスプレーを吹きかけておく。シリコンスプレーを吹きかけておけば潤滑が良くなり、間違いなく粉の発生は少なくなるはずだ。Switchのプロコンに限らず、どのようなコントローラーでも買ったらまずは、スティックにシリコンスプレーを吹きかけておいて損は無い。

コンタクトスプレーは速乾とはいえ、多少は乾くまでに待ち時間が有るので、その間に吹き付ければ良いだろう。

後は分解した時とは逆順で組み立てるだけである。組み立てが終わったら、適当なゲームをプレイすれば直ったかどうか分かるはず。筆者の場合は問題なく直っていた。

分解して清掃しても動作不良が続くのであれば、キノコの下のスティック本体部分が死んでいるので、専門的な修理技術を持っていないと修理は出来ない。使い方が荒かったり、落下させてスティック部からぶつけたりすると、スティック本体部分が故障すると思われる。その場合は大人しく買い直すしかないだろう。

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